The TOY DOLLS.


2007年9月6日: 渋谷Duo Music Exchange>

あの衝撃のパンクブームが嵐のように去っていた直後にイギリスはサンダーランドで結成
されて以来、ビートパンク一筋28年。今年行われた「PUNKSPRING 07」においても相変わらず
のパフォーマンス巧者っぷりを見せつけて、今も尚「KING OF BEAT PUNK」健在なりという事実
を見事に証明してみせてくれた「TOY DOLLS」。そんな彼等が単独としては約10年ぶりとなる
来日公演を行うと聞き及び、「パンク強化」を今年のライブテーマに掲げているこの身としては
当然抑えておかねばならない公演であると確信するに至った結果、平日の木曜は渋谷までテクテク
と赴くことになった次第なのであります。

そして着くやいなや、相変わらずステージ低いわ、ドでかい支柱が左右にドンと二本立ちで視界
悪いわと、その低パフォーマンスをあますことなく主張してくる「Duo」の変わらぬウンコ会場っぷり
に辟易することしきり(TRIVIUMの時も最悪でした)、まだライブ開始前だというのに落ち込み気味
になってしまったミーでしたが、いざ"Final Countdawn"のコミカル版とともにトイの面々が入場
してきて、のっけの"Dig That Groove Baby"からそのコミカルで歯切れ良いサウンドをテケテケっ
と掻き鳴らし始めた途端、それまでのローっぷりはどこへやら、あっという間に高揚しきって前方の
モッシュ地帯へすかさず突っこむというニワトリばりな頭の悪さを野晒す羽目に。

そのくらい最初の掴みが抜群でした。オルガのファニーな声、そしてトミィの欽ちゃんジャンプ、
芝居っけたっぷりに脱ぎ始めたかと思いきやベストの下から出てきたのはたるみきった太鼓腹、
その笑いを合図に周囲でポゴり始める観客、激しくもおちゃらけてるそのグルーヴ、このカッコ悪い
ことはなんてカッコいいんだという矛盾とともにある多幸感、そんな雰囲気をテケテケっとリズムよく
作られたら、そりゃ否が応でも気分は盛り上がってきちゃいますって。

その後のオルガの「イイテンキデスネー」(でも外は台風)という更に笑いを誘うMCや、
パンスプ07でも披露してくれた「巨大シャンパンの先端から花火」のギミック、そこにトミィの
腹踊りも加わって、ますます場内が暖まってきたところで繰り出した"Nellie The Elephant"と
そこから発生した狂喜混じりのポゴ祭りがまず中盤最大のハイライト。
次に"I Caught It from Camilla"へと繋げ、その印象的なリフとそれに絡む疾走感を存分に味わ
せてくれたところで、更にトドメとばかり放った"Bless You My Son"、それにより巻き起こった
サークルモッシュも、前述した「ネリーさんだ像」時に負けないくらいヒートアップしたかなと。

あと全体の流れを通しては、"Lambrusco Kid"や"Alec's Gone"などの、ともに歌ってアガれる
「シンガロング」という名の飛び道具を備えているのみならず、パンク系としては異色ともいえる
"Wakey Wakey"や"Wipe Out"などのインスト系でもしっかり場を沸かせられるというその事実、
これこそが彼等ならではの強みだということを再実感させられたり。いや、もちろんミニデーモンっぽい
衣装で出てきてヤリの先で花火をパチパチやったり、演奏中ギターをグルグル回したり、などといった
小技も絡めてこその盛り上がりでもあったわけですが、それを抜きにしても演奏面における基本スペック
の高さが普通に凄すぎるなーって。

そんな凄さとともに楽しさやおかしさを交えた70分強のステージ、ここ一番のキメどころに使って
きたのは先程の"Nellie…"と並ぶトイ最大のキラーチューン"Glenda And The Test Tube Baby"。
「Victory〜♪ if Glenda she〜♪ had a baby、oooeee〜♪」の大合唱が響く中、スーツ姿のリーマンや、
チェーンをジャラつかせた若手パンクス、はたまたミーのようなアキバ系ピザという、普段じゃまず共存
不可能と思わしき組み合わせが、それは楽しそうに踊り舞っているシーンを眺めて、ジョー御大の言葉
「パンクはスタイルじゃない、姿勢なんだ」をふと思いだしたりも。

が、楽しさ一杯で大団円となる筈だったこのライブ、最後の最後に落とし穴。
アンコール終了後、台風による電車の影響が少し心配だったのがあって、普段より少し早めに会場を
後にしちゃったんですが、次の日、感想サイトを巡っていてそこで予定調和外の再アンコールがあった
ことを知り、すさまじくほぞを噛む羽目に。
「慌てる乞食は貰いが少ない」「前座スルーなどの横着は厳禁」と並ぶ、ライブライフにおける絶対
原則として、この身に叩き込んでおきたいと思います。


<今日の一枚>

 The Toy Dollsin : Solitary Confinement / The Toy Dolls

シンガロング系にその威力を発揮するoiパンクの流れを汲みつつ、その「押し」テンションの中に
彼等特有の「抜き」リズムを混ぜて独特のグルーヴ感を作り出す、そんなトイの類い稀なる音楽性が
思う存分楽しめちゃう一枚。いや、特に厳選したわけでなく、これがおそらく今一番手に入りやすい
一枚だと思ったので。…というぐらいトイの日本における知名度は低いわけですが、そんな彼等をこよなく
リスペクトする「ビート・クルセイダーズ」などの邦楽勢がブレイクしている今、そろそろこの現状が
変わってきてもいい頃かなって。如実にそう思います。


<今日の無駄T>



#パンスプ07の時に続く、よもやの2枚目。
 まさかトイのTシャツを2枚もゲットすることになろうとは。いや、買うつもり全然なかった筈なんですが、
 あまりにもパフォーマンスが良かったものでつい… 



<セット・リスト>

01:Dig That Groove Baby
02:Dougy Giro
03:Barry The Roofer
04:Fisticuffs In Frederick Street
05:Waltz
06:The Lambrusco Kid
07:Nellie The Elephant
08:I Caught It from Camilla
09:Bless You My Son
10:My Girlfriend's Dad's A Vicar
11:Tocatta In Dm
12:Alec's Gone
13:Yul Brynner Was A Skinhead
14:Wakey Wakey Intro
15:Stay Mellow
16:Olga,I Cannot
17:Idle Gossip
18:Tommy Kowey's Car
19:Sabre Dance
20:I've Got Asthma
21:Mountain K
22:Fiery Jack
23:Wipe Out

24:When The Saints Go Marchin' In
25:Back in 79
26:Glenda And The Test Tube Baby
27:She Goes to Finos
28:Theme

29:Spiders in the Dressing Room


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