IRON MAIDEN FESTIVAL.
<2004年2月8日: 埼玉スーパーアリーナ>
〜出演アーティスト: ソナタ・アークティカ、アークエネミー、アイアンメイデン〜
まーそんなわけでね。なんだこのザマ!?ってな感じで、よりにもよってもっとも楽しみにしていた
ライブのチケットを道端で軽々と落っことしてしまうなどという世紀の間抜けっぷりをあますことなく
発揮してしまったアイムルーザーことサカイ君、つまりミー。果してどうするのかなーと思いきや、
次の日の埼玉スーパーアリーナ開演4時間前のゲート入り口にて、血が滲むほど唇をかみしめつつ、
容赦なく吹きつける寒風にひたすら耐えながら、当日売りチケットを何とかゲットすべく必死も必死で
踏ん張っている虫ケラの姿があったというわけでしてね。正直自分でもそこまでやるか?ぐらい思った
のですが一度走りはじめたら止まらないもう誰にも止められない的オーム原理主義であるところの僕を
止められる筈の青き衣を身にまとった処女、つまりはナウシカが朝起きたら僕の横に寝ていなかった
のが全部悪いンだー!というわけでこりゃもう仕方がないよね?うん凄いやけくそ。そんなやけくそ
ついでに何とかチケットをゲットできた僕が会場内に入ってまず一番はじめにしたことと言えば、
落としたチケットに記載されていた本来の席をがっちり監視して「ん?ボクの席ココダヨ?」とでも
言いたげなハト面でその席にちゃっかり座ろうとするヤツがいたら容赦なくソレ叩き殺してメイデン神
に生け贄として捧げるつもりだったという、まさに僕かゾウリムシか並のその器の小っちゃさをいかんなく
見せつけるような惨めったらしい作業にひたすら熱意を注いでいたというわけでして。
まあ、ウルドも小っちゃいことはいいことだって言ってた筈だしね。そら僕だって、ああっ!って吐息
もらしつつ女神様ー!とかね、いつ絶叫してもおかしかない精神状態にだって陥っちゃいますよ、開演
5分前ともなると。
<ソナタ・アークティカ>
そんな自分で穴掘ってそれ埋める並の、なに?ここは北朝鮮ニダ?的虚しい作業にいそしんでいる内に
いつのまにかオープニングアクトであるところのソナタ・アークティカの演奏が始まってしまったという
わけでありまして、会場内が突然真っ暗になってしまったことにより身動きすることすら許されなくなって
しまった僕は、階段という無機物にかしづきながらライブ鑑賞をする、などという生物の尊厳を踏みに
じられるような屈辱的仕打ちに耐えながら、ソナタのその究極的とも言うべき光速メロディに心奪われて
いくのでありました。それにしてもコイツ等の演奏は速いなー、たぶんテクはピカイチ。あえて難を
あげるなら御多分に漏れずメロスピ特有のストラト症候群(曲が飽きやすい)から脱却しきれていない
ことぐらいでしょうが、そのマイナスを補ってあまりあるルネッサンス風華麗さがまた素晴らしいときた
もんで。
そんなことを感じつつ優雅にビアなどを嗜みながら鑑賞しておりましたその1分後、ふと気づきましたら
僕は遅れてやってきた超アッタマ悪そうなガラの良くない一団にすっかり周囲を取り囲まれていたという
わけでありまして。コイツ等ときたらギタリストがポーズをつけるところ見ては「あのポーズだっせー」、
ヴォーカルがマイクを振り回せば「頭に当たらねーかなー」(僕も少し思った)ですよ?その鑑賞態度の
悪さに僕はすっかりトサカにキてしまいました。正直そーゆうロック特有のアクションにシンパシー感じず
してお前等は一体全体なにしにココに来たんだ?って感じ。照れとか見栄とかが邪魔してるせいもあるので
しょうが、こういう自分を解放すべき場においてボヘミアンにもフリーダムにもなれない中途半端なシャバ僧
を僕はエターナルにイモータルにフォーエバーに許さない!(と小さく呟いた)しかもコイツ等の髪の毛、
妙に塩素臭いのな。なに?ビーチボーイズとかそういうの?水泳ついでに一秒でも早くここの2階席から
アリーナへダイブして永遠に僕の目の前から消え去ってほしいナァと思いました。そんなこと考えてたら
ソナタいつのまに終ってた、台なしだ畜生。この時点で僕の頭は多少おかしくなりかけていました。
01:Abandoned, Pleased, Brainwashed, Exploited
02:Kingdom For A Heart
03:8th Commadnment
04:Victoria,s Secret
05:Last Drop Falls
06:My Land
07:Black Sheep
08:Mary-Lou
09:The Cage
<アーク・エネミー>
まあ、そもそも階段にかしづいて鑑賞するなどという愚かしい行為をとっていた自分にも、この事態を
招いた責任はあるっちゃあるので渋々当日チケットの席へ向かう僕。ところがそこへ行ってみて驚き
ましたよお客さん、なんと先行予約で取った筈の席より全然前の方だったというワンダラーがそこに!
世の中の不条理さというものを死ぬほど噛みしめつつもちょっと嬉しかった。ま、当日券ゲットするため
死ぬほど早起きしなきゃならない羽目に陥った挙句、都合一万円も余分に払っているンだもの、このぐらい
の事でもなきゃ実際やってられねえわなケケケ、そんな感じで腹も心も真っ黒になりつつセカンドアクト:
アークエネミーの出番をひたすら待つことに。
ちなみにアーエネは凄いですよ。鬼のような手数で迫りくる怒濤のバスドラと、ベヒモスの地団駄と聞き
間違えんばかりの轟音ベース、その間に割り込むようにして奏でられる美しいギターの旋律、それら三位
一体の美をアンジェラ嬢の脅威のデス声が全破壊するという世にも稀にみる破壊の美学に満ち満ちたこの
メロディック・デス・メタル、通称メロデスなるジャンルの第一人者たる彼等の音をはじめて聞いたときは
全身がわなないて暫く震えが止まらなかったくらいですからねえ。飛行機に例えるならソナタをアクロとすると
アーエネは縦断爆撃、ナパーム弾よろしくなにもかも根こそぎ燃やし尽すといった感じ。やべーすげー期待大!
そんな感じでドキドキしながら彼等の登場を待っていたらウボー!ってな、アンジェラ嬢の発情期の雌ゾウの
いななきとも聞き間違えんばかりの大絶叫とともにアーエネ登場。そのステージの様相たるや、あえて文字で
表現するとしたならば怒怒怒怒怒怒!(ドラム)破破破破破!(ベース)魚魚魚魚魚魚魚淫淫淫淫!(ギター)
その狭間を狙ってウボォォォ!!マジこんな感じ、ウボォーキンもびっくりです。困ったことにまったくといって
いいほど誇張ナシ。怒涛のバスドラがはじき出す低音に押しつぶされて、シェンカーのごとき叙情性の高さを
誇るアモットのギターソロがいまいち聞こえづらかったということだけがちょっとアレでしたがそれ以外は満点、
ぶっちゃけ圧倒されまくりました。そしてこの時点で僕の頭はすっかりおかしくなってしまいました。
01:Silent Wars
02:Burning Angel
03:Pilgrim
04:Instinct
05:Bury Me An Angel
06:We Will Rise
07:Dead Eyes See No Future
08:Dead Bury Their Dead
09:Bridge Of Destiny
10:Snow Bound
11:Ravenous
12:Enemy Within
<アイアン・メイデン>
さ、次はいよいよトリのメイデンです。登場のサインであるドクタードクターのイントロが流れ始めるとともに
会場内は俄然ヒートアップ、メンバーがまだ現れてもいないのに手拍子の大合唱がはじまってしまいました。
メイデン信者には狂信的な方が多くライブ最中にシットダウンでもしようもんならソッコー首根っこ掴まれて
無理やり立たされた末シンバル持たされて脳に電極当てられたチンパンジーのごとく一心不乱の手拍子を強要
させられるとのお話を以前伺ったことがあるのですが、周囲の方々の血走りまくったまなじりをみてこらその話
あながち嘘でもないかもなぐらい思いました。登場前からこのヒートぶりだもの、ブルースが登場した瞬間なんか
もう大変、まさに狂乱の宴のはじまりといったその様に僕はマジで生命の危険を感じてしまいました。ちょっと
でもそんなことを思ってしまった僕の念能力は、自分の意思にまったく関係なく自らの不安を軽々と具現化して
しまうことであり、今回も漏れなくその能力が発動ドゥルルルル4!その目が示すところの未来は、隣のキチガイ
外人(ロードウォリアーズみたいだった)のこぶし振り上げざまのアックスボンバーに巻き込まれて、危うく10
メートル下のアリーナ席まで落下しかけるというおちゃっぴいな内容であり、僕は以降やむなく中腰での観賞
(外人の脇の上以上は全部デンジャーゾーン)を半ば強制的に強いられるのでありましたってかなんだこりゃ?
中世のヨーロッパかなんかでギリギリ腰が立たないくらいのぴっちりした檻にむりやり詰め込んで生涯をそこで
過ごさせるという鬼のような拷問があったと聞いたことがありますが今の僕の状態はさまにそれ、さすが僕らの
アイアンメイデン、びっくりするほど鋼鉄の処女!オーディエンスまでゴーモンだ!そこに痺れるあこがれるゥ
(大間違い)うん、死ぬかと思いました。
それにつけてもげに素晴らしきはブルースのその運動量と歌唱力。おなじみ半チョッキ姿で雄々しく雄叫びを
あげるブルース!"The Trooper"でユニオンジャックを振り回すブルース!ネズミ男のような衣装で(どうも
本人は死神に見えると思ってるくさい)クルクルと回転しまくるブルース!ブルース!ブルース!ブルース!
ディッキンソーン!てな勢いでその絶好調ぶりを僕らに容赦なくみせつけていたブルースですがカッコ良かった
のはここまでで、その後は何処で足でもブツけたかビッコをひきつつ歌うはめになるという非常にアレな展開に。
その誇るべき運動量も当然ガクッとダウン、さらには舞台裏で治療でもしているのか声は聞こえど姿はみえず的
透明人間さんと化してしまい会場全体のテンションも落ちかけたその時、そのピンチを救ったのはエイドリアン
以下メイデンおなじみトリプル・リード隊がみせた、俺達ゴレンジャーとでも言いたげなダサさ100%ゆえに
カッコ良さ200%のフォメーション攻撃だったというわけでして、50近いオッサン共が必死こいて見せて
くれるその戦隊系ポーズにより僕らは心逝くまで癒されてしまうのでありました。それにつけてもヤニックは
凄い、最大の見せ場である筈のソロパートをそっちのけにしてギターをハンマー代わりに巨大エディーと闘う
ところなんざほとんど神だと思いました(もはやギタリストじゃなくてソルジャー?)。
(ロック・イン・リオより)
同時に前々から疑問に思っていた”何ゆえトリプルリードなのか?”ということへの謎もすっかり解明
されました。これはアレだね?他の2名が弾いていればその間にヤニックが思う存分戦えるからなんだね?
うん全然アリ!(メイデンだけです)。正直ギターテクうんぬんの前にパフォーマンス能力メインで食ってる
ギタリストもはじめて見ました(ヤニックだけです)。そしてここまで大仕掛けを乱発できるのもやっぱ
フルプロダクションのステージならでは。最後の曲"Run To The Hill"で、会場一杯に広がった一万人以上
ものオーディエンス達が同時に両腕を上げてシャウトする様はまさに圧巻。突然でてきてステージ上を無駄に
走りまわったアンジェラ嬢&スタッフのパフォーマンスも間抜け度高くて逆に最高。抜群の疾走感をみせていた
ハリスのベース及びトリプルリード隊の素晴らしさは言うに及ばず、ビッコひきつつも声の方にはその影響を
微塵も感じさせることのなかったブルースのプロ根性も素晴らしかった!というわけで、3日連続はちと疲れたし、
お金も一杯なくなったけど、それでもやっぱりライブは最高だなあ、来て良かったナァと心の底から思った帰り道、
ロック・ウィル・ネバー・ダーイ!
そして、以降3日間、僕の足はまったくと言っていいほど(和便でウンコすンのもキツくなるくらい)使いものに
ならなくなってしまうのでありました。