GUNS N' ROSES.


2007年7月18日: 日本武道館>



アクセル以外のオリジナルメンバーは今や皆無な、通称「アクセル&ローゼズ」こと
アクセルさんと愉快な仲間達… いや正しくはアクセル様と彼にかしづく忠実な下僕達
がサマソニ02以来、約5年ぶりの来日をはたすというので、まあ話の種に見とくかぐらい
のゆとり気分でもってとりあえずチケを抑えてみたら、来日3日前になって突如ベースの
人が怪我したとかで、全公演がキャンセル&延期扱いになるという最悪の事態に。
まあ公演お流れなんてなガンズ伝説に付随する一番ポピュラーな「お約束」とはいえ、
よもや本当にそうなっちゃうと全然笑えませんね。(やっぱしー?的な半笑いはあれど)
こりゃもう流石に付きあってられんわとチケを即払い戻して、そのままこのライブの事は
忘却の彼方へと追いやるつもりだった筈が、やり直し公演日程に「武道館」の新規追加が
組まれていることを知るやいなや「他日程の幕張メッセと比べて行きやすいから行くー」
と現金にもほどがある行動をとっている自分をそこに再発見、そんな節操なき自身にドン引き
しつつも行ってまいりました、九段下は日本武道館まで。

ところで皆さん、ガンズのライブに必ず必須な持ち物って何か知ってます?
え、ガンズTシャツ? まあ必要だけど絶対ってわけじゃないよね?
え、VRのTシャツ? それは絶対やっちゃいけないことの一つです。実際、海外じゃ
「アーティストの気分を害す可能性がある」という理由一つで、代わりの服もないのに、
その場剥きされちゃって、上半身裸で震える羽目になった可哀想な人もいたらしいですよ。
じゃスラッシュのコス? それは最もやっちゃいけないことの一つです。名古屋公演じゃ
服装から髪型まで完全にナリきった勇者が最前で「スラァァァァシュッ!」と連呼した末、
屈強な肉体美を誇る黒人2人にツマみ出されるという、実に心温まる出来事もあったそう
ですからね。こわいこわいっと。
はい、もちろん答えは「本」です。あ、ニンテンドーDSとかでも構いません。要は時間
を潰す為のアイテムですね。何せ本国じゃ21時開始の筈が、始まった頃には既に日付が
変わっていたなんて逸話もあるくらいですから。えーっと今日は19時開演だから、と… 
せめて21時くらいまでには出てきてくれるといいなー あっ、もちろんタクシー代も用意
してきましたよ、うん、終電なくなっても大丈夫なように! って、どんだけ〜 

我ながら何でそこまでして…的な自己嫌悪にとらわれつつ、ミクシのガンズ関連コミュを
流し読みしていたら、そこで「ヤバイ……ついに来ちゃった( ̄^ ̄) スラッシューにもう
スグ会える(((・・;)」なんてな天然200%の書き込みを見つけちゃって思いきり苦笑。
そんなところへいきなり客電が落ちて"Welcome To The Jungle"のイントロが流れだした
もんだから意表を突かれすぎて心底たまげる羽目に。えー、まだ19時10分なのにもう
始まっちゃうんですか?いくらなんでも早すぎね?(←もはや前提がおかしい)
でもって出だしの「イントロを少し弾いて止めるの繰り返し」な焦らしプレイにまんまと
ハマってマタタビを眼前で寸止めされてる猫みたいになっちゃったところへアクセルの「あの」
超有名な第一声、「You know where the fuck you are!」が鳴り響いたもんだからもう大変。
「話の種に見とくか」的な最初のゆとりスタイルはどこへやら、もはや完全ガチモードと化して
その場ヘドバンをやり始めた自分と、それを客観的に観察しているセカンド自分とのせめぎあい
バトルがさっそく脳内で開始されることに。

 (ROCKCITYより)

しっかしまあ、多少ファットになられたとはいえ実際に「スタンドを水平にもってその場を
グルグル回る」だとか「歌いつつ足を揃えて後方スキップ」だとかの、これまでビデオでしか
お目にかかることのなかった往年の動きを目の前で完全再現されたとあっちゃね。
しかも既にモラトリアム期を過ぎていたとはいえ、当時、ほぼ直撃世代だった自分にとっちゃ
このアクセルの姿はもうたっまんないですよホント。
更には、始めて聴いたとき「え?Vo二人いるの?」と本気で勘違いした程、高音と低音の
切り替えが常人離れしていた"It's So Easy"にて、ほぼ当時と遜色ない声の張りと伸びを
見せつけられた上で、武道館の一万人とともに「Fuck Off!」をキメられた日にはね。
駄目押しが次曲の"Live And Let Die"。当時から「個性的」という枠を飛び越えて
「一線を画す」レベルにまで至っていたその渾身シャウトが、どうせ懐メロ「ショー」だろ、
と不埒にも思いこんでいたこちらの予想を軽々と飛び越えて、もう伸びる伸びる。
いや、これだけの出来を見せつけられたとあっちゃ、そりゃ「理性」という名のサード自分を
地平の彼方にスッとばす勢いで盛り上がっちゃっても仕方ないですって。

そんなミーと周囲の過熱っぷりに思いきり冷や水を浴びせてくれたのが「Robin Finck」なる
忠実な下僕ズの中でも筆頭格さんのギターソロ。スラッシュもどきな格好がもろチープ感を
醸しだしちゃってるところへ、ベタ全開の泣きフレーズを弾きまくって、しかも四股踏む勢いな
大股&ガニ股でそこらを歩き回っちゃうもんだから、クールはもちろんファニーの方向にも
そのベクトルは向かっていかなくて、見ているこっちは苦笑もしくは失笑以外のリアクションを
することがまったくできなくなるという有様に。ここまで必要性というものをまったく感じさせない
ソロタイムというのも凄いと思いましたが、この後、これと似たようなソロが2回もあったのには
心底仰天させられました。まあアクセルの喉を休ませる為と考えれば若干の意味は感じないでも
ないけれど、でもそれって、ここまでのショーの流れを全てブッタ斬った上でなおかつダレさせる
という最悪効果と引き換えにする程のものでもなかったんじゃないかって。

けれどもアクセルが登場する本編の方は相変わらず素晴らしい出来具合なんですよね。
あまりに回数を聞きすぎてもはや食傷気味になってしまった筈の"Sweet Child O'Mine"にて、
あたかも今はじめて聴いたかのような新鮮さを味わせてくれたかと思えば、その後の
"Knockin' On Heaven's Door"においては、フレディ追悼ライブ時のビデオを見た時に感じた、
あの打ち震えるような情感をも再現してくれるという至れり尽くせりっぷり。
おまけにノコノコと膝で歩くカワユスなアクセルの姿も見れちゃうし…いや今日は本当に来て
良かった…!と1人フルフルしていたところへ、キッスのTシャツを着た下僕の1人がいきなり
ご自慢のフライングVをピロピロとやり始め、その情緒感は一瞬にして吹き飛んでしまいました、
めでたしめでたし!…ってか誰がここで速弾きしろと!頼むから空気を呼んでくれー 
しかもこの男、この後の"Don't Cry"においても案の定タッピングかましまくって、その場の
雰囲気を再度台無しにしてくれてたし。あ、でもコイツのソロタイム時、したくて仕方なかった
ウンコが処理できたんで、そこだけは助かったかな。

まったく思い出すだけでムカッ腹が立つそんな素敵なフライング猿の所行はさておき、
中盤以降のハイライトを挙げていくとするなら、新曲の一つである"The Blues"演奏時、
途中のジャムっぽい展開がちょっと退屈になりかけてたところで、いきなりピアノの上に
飛び乗って熱唱を始めるという破天荒技を繰り出して、それまでの停滞ムードを一掃して
しまったアクセルのパフォーマンス。ここは冗談抜きで鳥肌ものでしたね。
あともう一つ、"November Rain"の後半部分にて、一旦演奏を切って「間」をおいてから
一気に激情パートへと移行するところね。そのタイミングに合わせて青一色に切り替わった
照明と大量のスモーク効果も後押しとなって、ただならぬオーラを見せつけてくれていました。

そしてこれは絶対はずせないでしょう、ラストの"Paradise City"。
何せステージの端から端まで全力疾走してくれてるアクセルなんてな本来のキャラ像に似合わぬ
やる気っぷりを眺めてるだけですっかり嬉しくなっちゃったところへ、絶妙のタイミングで天井
から降り注ぐ紙吹雪の雨あられ、そこに加えてアリーナのみならずスタンドの客までもがホール
全体を揺るがさんばかりのサビ大合唱という、考えうる限り最高の条件が重なってましたからね。
 「Take Me Down To The Paradaise City Where The Grass Is Grenn & Girl are Pretty!」
 「Take Me Home〜♪」
この光景を前にして胸を熱く焦がさない奴は断じてメタラーではないとほぼ断言できるほどの
アガりっぷり、最後にホイッスルのみならずマイクまで投げちゃうほどの豪快っぷりも含めて、
やはりアクセルはどこまでいってもアクセルだったとその存在感を改めて証明しきってくれた
2時間半、どうせ衰えてるんだろ?的なこちらの先入観をいい意味で裏切ってくれた最高の内容
だったと思います。ショーの流れを切っちゃっていたソロタイムさえなければ今年見に行った
ライブの中でも一番だったかも。


<今日の一枚>

 Appetite for Destruction / Guns N' Roses

今更語るまでもない屈指の名盤。
80年台HR史を語る上で絶対はずすことの出来ない最重要アルバムの一つ。
本質のサウンド面においてはメタルとパンクをこれ以上ないくらい上手に融合させたのみならず、
個性面においても、オリジナティ極まりない声質を持つボーカリスト、類稀なる表現力を有する
ギタリストとベーシストに、飛びぬけた作曲センスのあるもう1人のギタリストと、四拍子揃い踏み。
加えてバンドの外殻面であるルックスからそのイメージまで完璧だったってんだから、そりゃ売れない
わけないですね。


<今日の無駄T>



#特に語るべきところのないオーソドックスなデザイン。
 ところでメジャーなバンドのTであればあるほど、かえって着るのに気がひけたりしません?



<セット・リスト>

01:Welcome To The Jungle
02:It's So Easy
03:Mr, Brownstone
04:Live And Let Die
05:〜 Robin Finck's Guitar Solo 〜
06:Sweet Child O' Mine
07:Better
08:Knockin' On Heaven's Door
09:You Could Be Mine
10:〜 Dizzy Reed's Piano Solo 〜
11:The Blues
12:〜 Richard Fortus & Robin Finck's Guitar Solo 〜
13:Out To Get Me
14:November Rain
15:I.R.S.
16:〜 Bumblefoot(Ron Thal)'s Guitar Solo 〜
17:Don't Cry
18:My Michelle
19:Liquor And Whores(Special Guest Mr.Bubbles)
20:Used To Love Her
21:Patience
22:Nightrain

23:Madagascar
24:Paradise City


[ MenuNext ]