Last Autumn's Dream & Masterplan.


2007年6月13日: 渋谷クワトロ>

メロスピの創始者「HELLOWEEN」ドロップ組のユニット「MASTERPLAN」と、昨年復活を遂げた
「Fair Warning」エスケープ組のプロジェクト「LAST AUTUMN'S DREAM」が、Wヘッドライナー
構成で来日すると言うんでふと触手を伸ばしかけてたところへ、このイベントの看板になってる
「Melodic Power Metal Night」の文字が妙に気になって、じゃあ過去どんなバンド呼んでたん?
と、少し調べてみましたら、

 ・Vol.01 (2004年5月):Labyrinth / Dreamaker / Ark Storm
 ・Vol.02 (不明:情報求む)
 ・Vol.03 (2004年7月):Edguy / Galneryus
 ・Vol.04 (2005年2月):Dream Evil / Metaliun
 ・Vol.05 (2005年4月):Kamelot / Silent Force
 ・Vol.06 (2005年6月):Masterplan / Galneryus (掲示板にてKAINさんより情報頂きました)
 ・Vol.07 (2006年3月):Edguy / Savage Circus
 ・Vol.08 (2007年4月):Riot / Vicious Rumors
 ・Vol.09 (2007年6月):Last Autumn's Dream / Masterplan ←今ここ
 ・Vol.10 (2007年9月):Harem Scarem / Silent Force

とこうなってまして、よくよく見れば「HELLOWEEN」とか「Angra」ほど大手でもないけれど、
でも「Edguy」とか「Riot」とか、その地味さだけは否めないものの長年に渡って良質なパワメロを
作り続けてる渋めのバンドとか呼んでくれてるんスねふーん、とすっかりこの「地味」&「渋め」
コンセプトが気に入ってしまったもので、まずは試しとばかり、お馴染みの渋谷はクワトロまで
行ってまいりました。


LAST AUTUMN'S DREAM

で、まず最初に登場してきたのは「LAST AUTUMN'S DREAM」。
出だしから"After Tomorrow's Gone"・"Page"とその素晴らしさにかけてはかねてから定評の
あるメロ心抜群の曲調に、それと絶妙な感じで絡むミカエルの甘ったるさ満点な美声でもって
グイグイと場内のテンションを牽引。ある程度温まったところでミカエル1人だけ残ってキーボード
独奏でプレイした"Echoes From The Past"における、70年代のフレディを彷彿とさせるような
メランコリック臭漂う雰囲気も実に心地良かったです。

その後、ミカエル&アンディというバンドを支える主役の二人がステージから退いちゃって、
お手伝いメンバーな筈の残りの二人がベース&ドラムソロを始めたときは正直どうしようかと
思ったんですが、これが意外や意外、超絶技巧を絡めつつパガニーニを弾き倒すハゲにグラサン
のジョーサトもどきといい、両腕をわざと交差させつつ左右のハイハットを同時に叩くなどの
スティック回しで場を沸かせていたトミーリーもどきといい、こいつら存外にやりおるわけですよ。
流石はかつてインギ様の元でさんざ下積んだ末、その20年後、思い出したように叛旗を翻した
恐怖の訴訟男マルセルさんと、タリスマンにおけるその盟友ジェイミーさんですね。下手すっと
主役の二人を食いかねない勢いで場内の盛り上げに一役かっていました。

終盤のハイライトは、アルバムよりかなり速めにプレイされた"It's Alright"における、これぞ
パワメロ的な疾走感から迸るヴァイブと、LAD流アンセムといってもいい"Rock'N Roll Is…"
にてどこからともなく沸き起こった「ナーナナナナナー」の大合唱かなと。それら各楽曲に対する
反応の良さが今日は本当に「LAD」好きな連中が集まったんだなあということを如実に実感させる
とともに、それらグルーヴの種がそこらに散らばって場内に一体感という名の花を見事に咲かせて
ましたね。ミカエルとかその光景見て感動のあまり思わずウルウルきちゃってたっぽいし。
一番楽しみにしていたアンディのギターはいまいち目立ってなかった上に音も若干小さめだった
んですが、でも要所要所で入る「FAIR WARNING」初期の頃のような、なめらかかつまろやかでいて
伸びやかなトーンはもはや職人芸の域だとも思いましたね。ただ体型が一番酷い頃のインギ様みたい
になってたんで、そこだけは少し頂けなかったかなと。

で、総評としては、ダブルヘッドライナーとうたっていたわりにほぼ前座扱いだったこともあり、
集客的にはかなり厳しいものがあったんですが、内容そのものは後述するメインのマスプラよりも
声援やフィストバング多かったような気がするし、全体的な盛り上がりも上だったんじゃないかな
と感じました。いや実際これだけ良質なメロディを量産できるバンドが、ヘヴィネス重視の米市場
ならともかく、これなんでもっと日本でウケないかなーって。せめて単独来日が可能になるくらい
にゃ売れてほしいですねー

 01:For The Young And The Wild
 02:After Tomorrow's Gone
 03:Pages
 04:Heat Of Emotion(FAIR WARNING/ZENO)
 05:Echoes From The Past
 06:Love To Go
 07:〜 Bass&Drum Special 〜
 08:It's Alright
 09:Rock 'N Roll Is Saving My Soul
 10:Winter In Paradise
 11:Again And Again


<突然だけど、なぜなにメタルマン>
 このコーナーも随分久々だなと思ってちょっと確認してみたら、アングラ&ブラガ来日時に 
 バード講座やって以来でした。ピンポイントすぎ。そら需要あまりないわー、というわけで
 今回は多少なりとも需要がありそうなプチネタを紹介。今回のテーマは「キャパ」、東京及び
 その周辺の主だったライブ会場の収容人数を下記にまとめてみました。
 □印が座席ありで、■印がスタンディング・オンリーね。

 ■下北沢SHELTER:250
 ■原宿アストロホール:400
 ■代官山UNIT:600
 ■渋谷CLUB QUATTRO:600
 ■恵比寿LIQUIDROON:900
 ■渋谷duo Music Exchange:1100
 ■渋谷O-EAST:1300
 ■川崎CLUB CITTA':1300
 ■横浜BLITZ:1700
 ■渋谷AX:1800
 □新宿東京厚生年金会館:2000
 □渋谷公会堂:2000
 □中野サンプラザ:2200
 ■Zepp Tokyo:2700
 ■新木場スタジオコースト:3000
 □渋谷NHKホール:3700
 □東京国際フォーラム:5000
 □パシフィコ横浜:5000
 □国立代々木競技場・第一体育館:13000
 □日本武道館:15000
 □横浜アリーナ:17000
 ■幕張メッセ・イベントホール:10000〜20000
 □さいたまスーパーアリーナ:23000
 □横浜スタジアム:30000
 □千葉マリンスタジアム:30000
 □東京ドーム:55000

 #覚えておくと、そのバンドの日本市場における「格」とかがなんとなく分かって色々便利かも。



MASTERPLAN

30分弱という思ったより長いセットチェンジをおいて、ようやくトリの「MASTERPLAN」登場。
さすらいのボーカル仕事人ことヨルン・ランデさんの予定調和的離脱を皮切りに、作曲から演奏
までなんでもござれのマルチドラマー、ウリ・カッシュさんもいなくなってしまったけれど、
でもグラポウさんがいるならば…グラポウさんならきっと何とかしてくれる…!的な心待ちで
もって迎えた彼等のステージだったわけですが、北欧パワメロ勢特有の勇壮なクサメロでもって
場を強引に引っ張った出だしの"Take Me Over"・"Heroes"までは良かったものの、その後の
矢が続かず、といった感じは否めず、中盤辺りからかなりグダグダな雰囲気に。

いや、バック陣の演奏自体はそんなに悪くなかったんですよ?
特に「HELLOWEEN」時代の曲や"Smoke On The Water"などの名曲を間にちょくちょく挟みつつ、
手を耳に当てての煽りポーズやギターを目の前に突き出したりのパフォーマンスで常に場を
沸かせながら弾き倒しまくってくれたグラポウさんのソロタイムなんかはかなり楽しめたし。
でも肝心の新Vo:ディメオさんの声にどうも難ありというか、原曲レベルの再現性がなさすぎる
とでもいうか、時折響くハイトーンにゃ「おおっ」と思わされる瞬間もあるものの、全体を通し
ての平均声量があまりに出ていなさすぎたせいで、パワメロの醍醐味たる美メロの魅力を随分と
損なわさせちゃってましたね。ミドルテンポの曲が連続して続くセットリスト自体のメリハリの
無さも、この掴みどころのない展開に拍車をかけていたように思います。

そんな中、1人気を吐いていたのが、先ほど登場したマルセルさん同様に元インギ様の同僚で
「お前ただのドラム」呼ばわりされた上、「曲に合わせて大人しくビート取ってろ」「曲より
ドラムソロの方が大事て(笑)」「なに?その奇妙なアティテュード?」等、彼に極めて個性的
な罵声を浴びせられたことによりその名を博した「怒れるモヒカン」ことマイク・テラーナさん。
ただでさえそのルックスが赤モヒカン&マッチョな上に、のっけからパンツ一枚で登場という
反則技満載なところへもってきて、使用するドラムセットまでもがシンバル&ハイハット位置
メチャ高(ほぼ天井スレスレ)という特注モード、それをスティック回し&ジャグリングやり
まくりながらのフルボッコですからね。そりゃ見てるだけで自然と顔もほころぶってもんですよ。
流石、本人いわく「I'm sexy Drummer」。本隊の不出来を補ってあまりあるその弾けっぷりにゃ
脱帽するしか。正直これ見れただけで十分もと取れたわ、ぐらい思わされました。

 01:Spirit Never Die
 02:Enlighten Me
 03:Take Me Over
 04:Heroes
 05:Lost And Gone
 06:〜 Roland:Guitar Solo 〜
 07:Crystal Night
 08:Soulburn
 09:〜 Ds Solo 〜
 10:Keeps Me Burning
 11:Back For My Life
 12:Kind Hearted Light

そんなこんなで「Melodic Power Metal Night」を堪能してきた夜だったわけですが、
総括すると、セットチェンジ長すぎ(30分超え)、Wヘッドライナー構成をうたっているわりに
両バンドの演奏時間がアンバランス等ところどころ不満もありはしたものの、メロスパーのツボを
地味目に突いてるバンド選択に良心的なチケ代設定と、その存在が目立たないわりに良質なイベント
だったと思います。もちろん次回の「Harem Scarem / Silent Force」にも期待!


<今日の一枚>

 「Saturn Skyline」 / LAST AUTUMN'S DREAM

叙情性・泣きメロともにリミットを振り切った前作と比べれば多少落ち着いた部分があるも、
その分、曲の深みが増して円熟味が出てきたことにより、バンドとして地に足がついた感のような
ものをひしひしと感じたり。そのセンスが多少クラシックかつもろにクサメロ系であることは否めない
事実だけれども、でもそういうのに嫌悪感を抱かないメタラーには是非とも試してみてほしい一枚。


<今日の無駄T>



#欲しかったLADのTシャツはもとから売ってない上に、唯一の商品であるマスプラのTも
 長袖オンリーって。マーチャンダイズ戦略できてなさすぎだろー(それでも買うけど)


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