MARTY FRIEDMAN.


2007年5月12日: 恵比寿リキッドルーム>

メガデスの黄金期を支えた敏腕ギタリストにして、何故か大の日本フリーク。
ソロ転向後「ヘビメタさん」「ROCK FUJIYAMA」等のTV出演を経て、すっかり「ヘンな外人」
のポジションを獲得した感のあるマーティが実に久々の単独ツアーを行うというので、その
締めくくりである最終公演を見に恵比寿はリキッドルームまで行ってまいりました。

で、懐かしの1stより"Namida"でいきなりコブシたっぷりにチョーキング引っ張りまくったか
と思いきや、そこから最新作の"Elixer"へとつなげて、メタルらしい重厚さに爽快感溢れる
軽快さという、本来なら相反する筈のパラメーターを融合させての相乗美をけれん味たっぷり
に展開。このスムーズな立ち上がりから"Gimme a Dose"・"Street Demons"という、マーティ
らしい「歌心を感じさせる美メロ・ナンバー」を連続で披露。この時点で自分内ボルテージは
早くも最高潮に。やっぱしメロディラインが抜群すぎます、この人の作る曲は。

途中、メガデスTを来た外人が目の前に割り込んできてなおかつ連れの女を肩車しようと
するなどの無体極まるアクシデントが勃発したせいで、多少なりとも下降線を辿り始めて
しまったテンションを再び上昇気流へとのっけてくれたのが中盤の哀愁パート。
「女の子の為に作ったよ」と一言添えてから始めた"Lust For Life"にてシェンカーばりの
叙情メロ聴かされて再び心の琴線かき鳴らされたのを皮切りに、究極の癒しアルバムとして
一部マニア層に名高い「Scenes」から"Tibet""Angel"とたて続けに珠玉のメロウナンバーを
プレイされたら、そら女子でなくともよろめかざるをえないってもんですよ。

そんなハイライト目白押しな内容の中にあえてこれ!というポイントを一つ選ぶとするなら、
J-POP・ミーツ・メタルという新しい切り口(こんなアホなことマーティしかやらないと思う
けど)を見せてくれる筈が打ち込みシンセなしのせいで単なる普通のメタル曲と化してしまっ
ていた"Cheer Girl Rampage"に苦笑しつつ迎えた本編フィナーレでの"Thunder March"が
やはり頭一つ抜けていたかなと。いわゆる「クサメロ化」を嫌ってソロでメロディを弾くこと
を避ける昨今の流行にあって、ここまでもろに、それもよりドラマチックに掻き鳴らしてくれた
日にゃ、ここ最近リフ重視のハードコア系にすっかり慣らされてた耳にはむしろ斬新かつ新鮮
だったり。

また普段TV等で見せてる「いいジャン!」「アリエナーイ」等の茶目っ気たっぷりな日本語
トークを完全封印して、MCは英語オンリーで、しかも抑え目にして、ほぼ演奏面のみで場を
盛り上げようとしていたそのストイックさにも好感が持てましたね。そんな普段のおちゃらけ
っぷりとはうって変わったマジモード全開のマーティに一部客(ヘビメタさん以降のファン?)
は多少なりとも戸惑っていたようだったけど、どっちかっていうとこちらが本来の彼の姿なん
じゃないかと。

あと、脇を固めるサポートメンバーが、これまたかなりの当たり具合。
まず、上半身これ刺青だらけなドラムの兄さん繰り出すストロークがパワフルさとしなやかさ
に満ち溢れていてトミー・リーばりに映えていたのを筆頭に、もろピザデブでーすといった風貌
なベースの人のその巨体に似合わぬ軽快なフットワークを駆使した客煽りは常に場の盛り上げ
に一役買っていたりと、本人達は決して前に出すぎたりしていないにもかかわらず、時には
主役のマーティ以上に目立っちゃったりしていましたからね。(隠れた凄腕と噂だったギター
のロンさんはサイドワークに専念していてほとんど目立たずでしたけど)
このあたりの「バンドとしての完成度の高さ」が、ただでさえ良質なその内容に、一本芯を
ビシっと通していたように思えました。あ、ラストに披露したマーティのド下手にも程がある
ボーカルについてはご愛嬌ってことでぎりぎりアリだったかな?(ないわー)


<今日の一枚>

 SCENES / Marty Friedman

あのシンセ仙人「喜多郎」をプロデューサーに迎えてのソロ2作目。
かねてから売りのメロディアスかつエモーショナルなギターライン上にオリエンタルかつ
アンビエンツな癒しのテイストをデコレートした、いわばイージーリスニング風の一枚。
ちょっと疲れ気味な時などに、ふと取り出して聞いてみるとバカはまりしたりするかも。


<今日の無駄T>



#シンプルすぎて一見手抜きに見えなくもないけど、そのスッキリさ故、
 少なくとも他のメタルTよりはまだ使用用途が見つかりそうな一枚かと。



<セット・リスト>

01:Namida 〜 Elixer
02:Anvils
03:Gimme a Dose
04:Street Demons
05:It's the Unreal Thing
06:Fuel Injection Stingray
07:Stigmata Addiction
08:Lust For Life
09:Devil Take Tomorrow
10:Salt In The Wound
11:Tibet
12:Angel
13:Paradise Express
14:Ripped
15:Cheer Girl Rampage
16:Thunder March

17:Ballad Of the Barbie Bandits
18:Dragon Mistress
19:Hound Dog


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