CONVERGE.


2007年3月14日: 渋谷クワトロ

体制側に対するアンチテーゼとしてのパンクをより攻撃的な方向へと進化させた「ハードコア」。
ただでさえそんなエッジ極まりないジャンル上にて、更なる「極」を突き詰めようと日々求道し
続けている「カオティック・ハードコア」の雄「コンヴァージ」。以前、何曲か聞いて若干興味を
そそられていたところへ最新作の煽り文句見て、もう完全に気に入ってしまいました。

 
現代は英雄達よりも臆病者が数で勝る時代だ
 物乞いするように精神が身を粉にして真摯に働く者を凌駕している。
 人生においても芸術においても、吐き気がするような熱意の欠如と不快を覚える
 利己的な強欲がはびこっている。
 本作は落ちぶれた世の中への芸術的アンチテーゼである。
 畜生どものわき腹にささったトゲである。
 これは、山を動かそうと日々努力するものたちへ、
 そして本当の意味で犠牲をはらって来た者達へ捧げる作品だ。
 落ちぶれた世の中への芸術的アンチテーゼ。アメリカ/ボストンが誇る
 世界最強のハード・コア・バンド「コンヴァージ」!


か…カッケー
ただでさえ音自体が過激なところへもってきて、実際のライブはその上をいく頭の悪さっぷり
(主に客が)らしく、(下記例参照)
 ・2分半過ぎでケンカ勃発
 ・その後、場内入り乱れての殴り合いに発展
 ・客はみんなこんなのばっか
他ジャンルより3割増しで激しめなモッシュ・ダイブの雨あられはもちろんのこと、ハードコア系
ライブの風物詩ウインドミルにテコンドーキックがお約束通りところ狭しと吹き荒れたかと思えば、
時折ステージ上をも巻きこんでのリアルファイトや、更には踊り狂いつつ体中を掻き毟って傷つける
のが趣味なホンマモンのゴア野郎も出現なさるとのことで、こら後学の為にも一度は体感しとかねば!
と渋谷はクワトロまで行ってきたわけですが。

いや、もう出だしの"Plagles"における掴みが抜群すぎでしたね。おもむろにギターの人だけ
が1人ポツンと出てきたかと思いきや、唐突にジョジョの背景擬音っぽい「ドドドド…」って
頭の芯にもろ響きやがる重厚リフをまず刻み始めるという。その焦らし効果により、それ聞い
てるこちらの体内に「まだか…」「まァだか!?」みたいな爆発寸前のエナジーがもう溜まる
溜まる。でもって自分の中の「暴虐」という名の獣をいよいよ体内に繋ぎとめられなくなって
きた、そのドンピシャのタイミングでVoのジェイコブが飛び出してくるやいなや、その特異
極まりない寄生虫声による貫通シャウトを挨拶がわりにまず一発。

と同時に瞬速バーサークし狂喜乱舞し始める筋金入りのモッシャーども。そしてあっという間に
単なるピンボールの玉状態と化すミーの体。右から左どころか上を下へのちょっと通常では考え
られない翻弄されっぷりをあますことなくフル体感しまくったその10分後には本当に眼鏡はず
しといて良かったなあ〜という項目以外の何かを考えることをほぼ完全放棄させられる羽目に。
と、自らを白痴化することを選択せざるをえない程の理不尽極まるモッシュを前にして、本気で
生命の危険を感じ始めたミーは、とりあえず最前の右端スペース、俗に言う「淀み」地帯へと
一時避難することにしたのでありました。(実は最後方を除けばもっとも安全と言える場所)

それにしてもこれほどまでに終始「ファーック!」と叫んでるようにしか聞こえない、脳みそ
辺りのスクレイピー感が大気圏突破レベルな音楽、始めて聴きました。なのに音の中核を成すリフ
そのものはとってもインテレクチュアル(知的)かつ、その上ふんだんにスポンテニアス(独創性)
(※Burrn発のオモシロ・ワードにゃ、できるだけ訳をつけることにしました)というね。
加えて変拍子だわ、音の出し入れも巧みだわと、インテリっぽさも全開なわけですよ。
なんなんスかね、この頭悪い度マックスと僕秀才ですモアベターな両極点を強引に掛け合わせた
かのごとき絶対的カオス感は。ハードコア的にプログレを解釈したらこんな風になるのかな?
でも、ハードコアがそうである為の二つのA、アグレッシブ&アグレッションなテイストは決して
失っていないどころか、むしろ全面に出まくってるわけですよ。いや、理解可能かどうかは別に
して、この音が飛びぬけた革新度合いを持っていることだけは確かだと思わされた1時間でした。

ちなみに僕的ハイライトは、最新作「NO HERO」の曲順通り、まず"Heartache"で圧倒的な混沌感
を味わせついでに脳みそを思う存分ゆすっておいてから、次曲の"Hellbound"にてその上をいく
阿鼻と叫喚の交錯地獄へ叩きこんでくれた強烈無比コンボと、それからアンコール1曲目に演った
"Homewrecker"におけるエクストリミティ極まった絶対的突貫度。そのパワーたるや触れただけ
で壊れるじゃね?と思うほど華奢かつその上服装キャミ&ミニな今風の小娘をして自ら狂乱モッシュの
最中に特攻させしめ、なお竜巻旋風脚もどきを放たせるほど(自らダイブした末、とんでもなく逆さま
になってました)。そんなシーン見せられて奮い立たないメタルもんはいねえとばかり「俺だって!
俺だって!」と絶叫しながらザクに立ち向かっていったカイのごとき半泣きツラしつつ、再度の前線
復帰を果たしてみたら、結果として、今、天井を見れないぐらい首の辺りが大変なことになりました。
やっぱ人間、無理しちゃいかんですたい。


<今日の一枚>

 Jane Doe / Converge

つかみどころのない混沌的煽動、そしてずば抜けた破壊的衝動を有していながら、しかし同時に
確かなるインテリジェンスをも感じさせるというこの矛盾。向き不向きを論じる前に「一線を画す」
という言葉をそのまま具現化したかのようなこのサウンドを一度は体感しておく必要あり。
全身かきむしりつつ床上を痙攣しながらどこまでも転がりまくりたい、そんな自傷的衝動にかられて
しまった夜のお供としても超絶オススメ


<今日の無駄T>



#ろくに見もせず、勢いだけで一番酷そうなデザインの奴、選んだんですが、
 意味不明な地図かと思いきやよくよく見たら「顔」なんですね、これ。
 写真で見て始めて気づいたこの事実、それを知ったからといって普段着れないことに
 変わりはまったくないんですが。



<セット・リスト>

01:Plagles
02:No Heroes
03:Eagles Become Vultures
04:Broken Vow
05:Drop Out
06:Hope Street
07:Bitter And Then Some
08:Last Light
09:Locust Reign
10:Forsaken
11:Vengence
12:Versus
13:Black Cloud
14:Heartache
15:Hellbound

16:Homewrecker
17:Concubine


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