The WiLDHEARTS.


2007年2月19日: 代官山UNIT

風呂嫌いなあまり、友人とチキチキどちらが長く風呂に入らずにいられるか選手権を開催。
食器棚に八つ当たりして腕を骨折する程の気が短さをほこる。
ホテルの窓からテレビを放り投げるという70年代的狂行を敢行した末、機動隊出動騒ぎに。
・ライブ中、膝を脱臼したメンバーの関節をその場ではめて、なおかつそのままライブ続行。
・所属レコード会社と、新譜のプロモーションを巡って大ゲンカ。
 いっそバンドがなけりゃ手はだせまいと、あまりに本末転倒すぎる解散騒ぎを巻き起こす。
・とあるライブ中、最前の女の子に気を使って「今日はクラウドサーフはやめとけ」みたいな
 ことをMCするもまるで聴く耳をかさなかった一人の巨バカをギターでぶん殴って流血騒ぎ

とにかく蛮行ネタには事欠かない上に、そのルックスもピカレスクかつパンキッシュ。
なのに作る曲は極めてメロディックかつ優しげでキャッチーという、そのアンビバレントな
ギャップが最高に魅力的なドレッド番長、ジンジャー率いる「ザ・ワイルドハーツ」のライブ
を見に、代官山はUNITまで行ってきました。

で、ほぼ開演時間ぴったしに登場してきたメンバー達の面を見て、あれ、ジンジャー以外は
いつのまにかオールチェンジになったの?と首傾げつつ、クールな風貌で一部ギャルに人気を
博したあのCJの後任がとてつもなくファットなデブだったことにショック受けつつ、漫然と
ステージを眺めていたら、今度は演る曲ほぼ全てが知らないものばかりというその事実に首を
捻る羽目に。しかもその楽曲群が今までの方向性に輪をかけてよりライトかつポップときたもんで、
いまいちワイハらしい荒々しさと骨太さに欠けるんではと思いつつ、それでも曲間に時折入る
正中線を貫かれるようなリフと、巨デブとツインで掻き鳴らされる流麗ソロにあわせて頭ブンブン
ふってたらいつのまにノリノリのアゲアゲになってた自分をそこに再発見してしまったという
次第でありまして、周囲の盛り上がりが今一つだったことにもつけこんでそのまま最前でクルクル
舞ってたら至極あっさり燃え尽きてました。正味一時間に足りないくらいの短めライブだった上に
結局知ってる曲は一つもなかったけど、でもまあ楽しかったんで許す!と出口に向かってきびす
を返しかけたその最中、どうやら本編はこれからであるらしいということをつい知ってしまった
僕はその場に呆然と立ち尽くすこととなりました。

えー?、ってことはさっきのあれはジンジャーのソロバンド? あー、道理で。納得納得!
というわけで前座レベルで気力・体力の全てを使い果たしてしまっていたミーは、本編が
始まり"TV Tan"の出だしのクサメロが流れ、フロア前方が阿鼻叫喚のるつぼと化し始めた
にもかかわらず、さっきとは比べ物にならないほどの後方で単なる置物と成り果てる羽目に。
わ、"Vanilla Radio"のサビ、めちゃ盛り上がってるやん、僕もあの中に混じって皆と一緒に
「Where's my Elvis!where's my Elvis!」ってやりたーい! が、動けず…!未だ動けず…!
(福本調)。そんな疲労という名のパラライズがようやく解けてきたのは"Nita Nitro"辺り。
ザクザク刻む派手なリフに思わず一歩、それとは裏腹な哀愁溢れるサビメロの良さにまた一歩
と足を踏み出したところで、"Greetings From Shitsville"のサビが醸しだす爽涼感、それ
に合わせて行われた一斉フィストバングにもはや我慢出来なくなってしまったミーは再び前方
へと進軍開始することに。

それにしてもサウンド全体から感じる、この尋常ならざる清清しさは一体何事でしょうか?
甘くて軽くて優しげなポップ・テイストの中に本来ならそれと同居する筈のない強靭なリフが
織り交ざることで生み出される極めて独自性の高いハーモニー、「ビートルズ・ミーツ・メタリカ」
とは本当よく言ったものだと思います。なのに人気の方がイマイチってな、これまたどうしてなん
でしょうかね?結局メタル的にはライトすぎるし、かといってポップ層にゃルックスがアンマッチ
すぎるしでプロモしにくかったのもあるんでしょうか?ならいっそパンクで売れば良かったのに。
そんなことを本気で思わせるくらいにラフで弾けたグルーヴが実にパンク的だった"My Baby Is
A Headfuck
"から、パンチあるリフとフックの利いたメロで疾走しまくる"Suckerpunch"へと
繋げた流れが本日一番のハイライト。ワイハのライブじゃタブーとなってる筈のダイブまで自然と
飛び出すほどの圧倒的盛り上がり、あまりに楽しすぎて確実に死ねた時間帯でした。

そんな本編の出来の良さに反して、アンコール以降は若干まったりしすぎたかも。本来なら全開で
ブッ飛ばしてほしかった"29×The Pain"を弾き語りでプレイまではともかく、ステージ上で自分
のガキ遊び回らせてなおかつそれ見てデレデレしてるようじゃ流石に駄目だよなーと後ろ指を差したく
なるような気持ちに、指じゃなくてむしろこっちが水を差されるほどジンジャーの息子が可愛すぎて
本気で困りましたというお話で締め。ありゃ反則だよなー


<今日の一枚>

 Tokyo Suits Me / The WiLDHEARTS

1998年、日本で行われた解散(3回目?)直前の模様を収めたライブ・アルバム。
ブラガの「LIVE!」と並んで抜群の臨場感と極上の高揚感を誇る内容な上に、選曲自体
もほぼベスト構成。なによりも最高なのはこのザラついたグルーヴ感。それを生みだす
原動力となっている熱狂的ファン達のリアクションにこそ着目して聴いてみてほしいと
思う一枚。その楽しさを垣間見てみたいワイハ初心者はここからどうぞ。


<今日の無駄T>



#人を小バカにしたようなデザインと、派手極まりないレッドな配色が気に入りすぎて、
 ついつい購入してしまった一枚。帰宅後、また着れないゴミTが増えた〜と後悔すること
 になるのは分かっている筈なのに、どうしてメタラーはわざわざ駄目な方、無駄な方へと
 傾いていってしまうのでしょうか?



<セット・リスト>

01:TV Tan
02:Caffeine Bomb
03:Vanilla Radio
04:Sick Of Drugs
05:Nita Nitro
06:Greetings From Shitsville
07:O.C.D.
08:Everlone
09:My Baby Is A Headfuck
10:Suckerpunch
11:Caprice

12:Geordie In Wonderland(acrostic)
13:29× The Pain(acrostic)
14:Zen Requiem
15:Love U Til I Don't
16:I Wanna Go Where The People Go


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