YNGWIE MALMSTEEN 〜暴走伝説〜.
*覚醒
(1983 〜 1984)
まずはイングヴェイ・マルムスティーンという御方の紹介から入らさせていただきます。
さあ皆様!どうぞ こちらを御覧ください! → *
どうだグズ共!いかにインギ様が素晴らしいお方か分かったかハッハー!
天才はすべからく人間的にクソであるという、実に美しいお話が骨身にしみたところで、
彼がこれまでに築き上げた その素晴らしい功績について時系列に語らせていただきます。
お暇な方はしばしおつき合いの程を。
というわけで、インギ様はスウェーデンはストックホルムで御生誕されました。
いわゆるクラシック畑から音楽に目覚め、その後リッチー・ブラックモアというホンモノ(のキチガイ)の
総大将みたいな方にインスパイアされてロックにハマったという彼の青春時代は寝ても醒めてもギターギター、
とにかくギターを弾きまくりだったそうですが、非常に残念ながらこれは本人談なので極めて当てにならない
お話ということですね。
どこまでも救いがない感じですが、唯一救いがある点としてはインギ様がたまたま本当に天才としての素質を
もっていたという部分でして、逆に言うならば周囲にとっては迷惑きわまりない話でもあるということですね、
誰だこんなにウザい奴を掘り出しやがった元凶はよう!
そンな負の十字架を無理やり背負わされてしまった可哀想な方がロック界のやっさんことグラハム・ボネットさん
でして、このオッサンはどうも不幸に好かれるタイプみたいで、恐怖の天上天下唯我独尊男リッチー・ブラックモアに
見い出されてしまった時点で既に人生 間違ったという感が否めないンですが、まあ周囲の予想通り脚光を浴びかけた
途端にあっさりとレインボーをクビ。たぶん理由はリッチーの「俺より目立つヤツはブッコロス」とかそンな感じ
だったんじゃないかなと。うわあ悲惨。
で、失望のどん底にあるところを今度は単なる精神分裂病患者のマイケル・シェンカーさんに拾い上げられ、
アルバムを一枚だしたはいいものの、マイケルのそのあまりにもあんまりな狂人っぷりにブチ切れてステージ上
でちんぽこ振り回してマイケルばーかばーか!と叫びながら逃げるようにしてMSGをバックれたのは有名な話…
なのか?
後日補足:本人が語った理由を某B誌風にしてみました。
「ギグまでに時間がなくてさ、そもそも歌詞を覚えてなかったんだ。だからステージ下にカンペ貼っといたら
観客がわっと押し寄せてきて紙がビリビリになっちまったもんで、パニックになっちゃってさ。で、ふとズボン
みたらチャックが全開になって、俺の大事なアレがなんと外気に晒されているじゃないか!慌ててチャック閉め
たらもろに挟んじまったって寸法さ。つまりあの時の俺にはステージから裸足で逃げ出す以外の選択肢が残され
ていなかったというわけなんだよ」
そンな超苦労人のボネットさんが当事のロサンゼルスでたまたま発掘したのが、その頃スティーラーというバンドに
在籍していた若きインギ様だったというわけです。UFOのフィル・モグや、DIOのロニー・ジェイムス・ディオ
なども彼に目をつけていたらしいので、当事からその才能には光る何かがあったようです。
ちなみにスティーラーのヴォーカリストだったロン・キールさんが残した一言。
「俺はこれ以上イングヴェイと一緒にやることがなくて幸せだよ」
当事から、その光る才能とともにダメ人間性もいかんなく発揮していたようで。
そンなことを知る由もないボネットさん。
ようやく自分のバンドが持てると、その人の良さそうな顔をニコニコさせながらアルバム製作に取り組みはじめます。
身中にトンでもない爆弾を抱えたとも知らずに。
1983年:NO PAROLE FROM ROCK
N ROLL / ALCATRAZZ リリース。
個性の強いもの同士が組むと、もの凄い傑作に仕上がるか、地獄のようにクソな作品が出来上がるかのどっちかと相場が
決まっているものですが、このアルバムはたまたま運がよく前者のケースにハマったようで、何をどう間違ったンだか
死ぬほど出来が良い代物に仕上がっちゃいまして、あれよあれよというまに全米チャートを急上昇。グラハム御一行と
アルカトラスは一躍スポットライトを浴びることになります。またこの頃のインギ様のヴィジュアルが実にカッコいいん
ですよねコレが。もう現在の姿と比較するとマジで涙がでてくるほど。
で、このアルバムの何が凄いかって、インギ様が奏でる鬼神のようなギターソロに負けじとボネットさんが吠えに吠えた
あまりにも濃すぎる楽曲群の中において、ほとんどの曲がリフ・メロディともにカッコよさ抜群であり、捨て曲がまるで
見当たらないってところにあります。ホントにもうハードロックの良さ満載って感じで。
神速のギター・ソロ"JET TO
JET"、メロディ秀逸の"KREE NAKOORIE"、高い完成度の"TOO
YOUNG TO DIE"、
哀愁と叙情感たっぷりの"HIROSHIMA
MON AMOUR"・"SUFFER ME"などなど、すべての曲においてHR/HMの格好
良さが滲みでているといっても誉め過ぎではないほど。というわけでまだ聴いてない人はパシリのごとくCD屋へ走って
ください。
1 :ISLAND IN THE SUN
2 :GENERAL HOSPITAL
3 :JET TO JET
4 :HIROSHIMA MON AMOUR
5 :KREE NAKOORIE
6 :INCUBUS
7 :TOO YOUNG TO DIE, TOO DRUNK TO LIVE
8 :BIG FOOT
9 :STARCARR LANE
10:SUFFER ME
1984年:LIVE SENTENCE
/ ALCATRAZZ リリース。
84年1月 来日時のライヴ公演の模様を収めたアルバム。
初っぱなの曲からいきなしボネットさんの声がカスれ&息切れ気味で、お前昨日飲みすぎであんましやる気ねえだろとか、
インギ柄にもなく緊張しまくって本来のプレイ出来てねえンじゃねえかとか、まあ色々と言いたいことはあれど、
ボネット・ソロ時代の名曲"NIGHT
GAMES"やレインボー時代の"SINCE YOU,VE BEEN GONE"・"ALL NIGHT LONG"
が聞けたりするし、"KREE NAKOORIE"・"EVIL EYE"で魅せてくれるインギのソロ・パートは流石と言えば流石に凄い
ので、相殺効果で50点とかそンな感じのアルバムです。
で、この後インギ様はあっさりとアルカトラスを脱退。(なんか凄まじい出ていき方をしたみたい)
ちなみにコイツはアルカトラス在籍時から自らのソロ・プランを錬っていたようで、まあソコが自分勝手大王のインギ様
らしいと言えば確かにそうなのでファン的にはアリな感じなのですが、さあこれから!という時にメイン・ギタリストに
逃げられたボネットさんにしてみれば、正直たまったもんじゃありませんよね。嗚呼 哀れなり、合掌…
と思いきや、このオッサンはオッサンでインギの次にスティーブ・ヴァイというこれまた超絶ギタリストを発掘して
再浮上を図ることになるのですが、それはまた別の物語。今はインギ様の軌跡を追うことにいたしましょう。
1 :TOO YOUNG TO DIE, TOO DRUNK TO LIVE
2 :HIROSHIMA MON AMOUR GENERAL HOSPITAL
3 :NIGHT GAMES
4 :ISLAND IN THE SUN
5 :KREE NAKOORIE
6 :COMING BACH
7 :SINCE YOU,VE BEEN GONE
8 :EVIL EYE
9 :ALL NIGHT LONG
*飛翔
(1984 〜 1986)
1984年:RISING FORCE / YNGWIE J MALMSTEEN,S RISING FORCE リリース。
アルカトラス在籍中から、ちゃっかり自分のバンド立ち上げ準備をしていたインギ様。
母国スウェーデンから旧知のキーボード奏者ヤンス・ヨハンソンを呼び寄せ、ドラマーにバリモア・バーロウを据え、
オーディションでヴォーカルにジェフ・スコット・ソートを見い出し、ベースは自ら担当。
自分が王様の役割を演じれるイングヴェイ・チームとしての体裁を整えて、バンド名をライジング・フォースとして、
(スウェーデン時代の自らのバンド名と同じだそうで)遂に念願のソロ・アルバムを発表します。
<第1期ライジング・フォース:メンバー>
・イングヴェイ・マルムスティーン(G/B)
・ヤンス・ヨハンソン(Key)
・バリモア・バーロウ(Ds)
・ジェフ・スコット・ソート(Vo)
クラシック的メロディという基盤をキャンパス上に据え、その上に叙情感と荘厳さという色を神速ギターという筆で
肉付けすることに成功したこの作品は、当事のHR/HM界のみならず音楽シーン全体に衝撃を与えました。
静かに、それでいて力強く表現された至高のメロディ"BLASK STAR"と、それを対を為す動の情感を叩きつけるように
弾きまくる"FAR BEYOND
THE SUN"。この2曲はギター史に残る究極のインスト・ナンバーといっても過言ではないです。
さらにこのアルバムにはこれらの曲の上をいくインスト・ナンバー"ICARUS DREAM SUITE OPUS 4"が入ってまして、
これがもう凄い凄い、メロディの甘美さ・美しさともにサイキョー。たゆたう叙情感をかきむしるように切り裂く最後の
リフの下りなんてホント鳥肌もん。哀愁という点においてこの曲と双璧をなしている"LITTLE SAVAGE"の旋律も文句
のつけようがない出来。とにもかくにも恐るべき完成度を誇るアルバムです。故にまだ聴いてない人は首吊ってとっとと
死んでください。
1 :BLACK STAR
2 :FAR BEYOND THE SUN
3 :NOW YOUR SHIPS ARE BURNED
4 :EVIL EYE
5 :ICARUS DREAM SUITE OPUS 4
6 :AS ABOVE SO BELOW
7 :LITTLE SAVAGE
8 :FAREWELL
1985年:MARCHING OUT / YNGWIE J MALMSTEEN,S RISING FORCE リリース。
前作の大成功によりますます勢いにのったインギ様は「少年時代の夢よもう一度」とばかり、スウェーデン時代に
組んでいたメンバーをアメリカに呼び寄せてスウェーデン色でバンドを固め、感覚的にも自分がやりやすい環境を
構築して、さらなる飛躍を目指そうとします。
<第2期ライジング・フォース:メンバー>
・イングヴェイ・マルムスティーン(G)
・ヤンス・ヨハンソン(Key)
・アンダース・ヨハンソン(Ds)
・マルセル・ジャコブ(B)
・ジェフ・スコット・ソート(Vo)
で、この新生ライジング・フォースとしてはデビューアルバムにあたる、この「MARCHING OUT」を発表します。
ちまたではネオ・クラシカルの代表作とか言われてるこのアルバムですが、私はこの「ネオクラ」という言葉の
意味自体に矛盾を感じざるをえません。だって考えてみ?ネオとクラシカルだぜ?相反だぜ?バカじゃン?
つまりそンなことはどうでもいいわけで、音がこもり気味で非常に聴きがたいということを除けば、インギ様の
ヴォーカル入りアルバムとしては頂点の出来に近い作品なンじゃないかと思います。
メロディがとにもかくにもカッコいい"DON,T
LET IT END"とか、リフが秀逸の"CAUGHT IN THE MIDDLE"とか、
全体的にベタすぎるくらいベタな方向で楽曲の出来がいいですコレ。
加えて前作の流れを踏襲したインギ様お得意の荘厳&叙情系インスト曲もちゃんと入ってるし。
"OVERTURE 1383"とか"MARCHING OUT"とか、こういうクラシック色全開のナンバーはホント上手いわこの人。
おさえるべきところをきっちりとおさえて、前作のギター一辺倒からバンドとしての色を前面に押し出した一作。
前作が気に入った人は必ずおさえとけ、とかそンな感じで。
1 :PRELUDE
2 :I,LL SEE THE LIGHT, TONIGHT
3 :DON,T LET IT END
4 :DISCIPLES OF HELL
5 :I AM A VIKING
6 :OVERTURE 1383
7 :ANGUISH AND FEAR
8 :ON THE RUN AGAIN
9 :SOLDIER WITHOUT FAITH
10:CAUGHT IN THE MIDDLE
11:MARCHING OUT
1986年:TRILOGY / YNGWIE J MALMSTEEN リリース。
前作でせっかく再結成した新生ライジング・フォースの名前を消して、インギ個人名義で発表したアルバム。
早くもなンかあったかオイ?とか思いきや、KeyとDsのヨハンソン兄弟は残っているものの、ジェフ(Vo)の首が
あっさり飛んで、マーク・ボールズ(Vo)とウォーリー・ヴォス(B)が新規加入してます。
(マルセル(B)はツアー中に逃亡)
<第3期ライジング・フォース:メンバー>
・イングヴェイ・マルムスティーン(G)
・ヤンス・ヨハンソン(Key)
・アンダース・ヨハンソン(Ds)
・ウォーリー・ヴォス(B)
・マーク・ボールズ(Vo)
うわあ、いきなし内部問題勃発(インギ様のご機嫌が悪いときに近くにいたメンバーがクビになること)ですか?
こンなんじゃたぶん出来ワルいだろうなあと思いきや、むしろ出来が良すぎて当事のシーンを語るときに必ず
引き合いに出されるくらいの代物に仕上がっちゃいました。で、このアルバムの特徴として、非常にキャッチーな
方向で楽曲の出来がいいことがあげられます。特に最初の3曲は全部シングルカットできそうな勢い。これはむしろ
インギ自身よりもプロデュースが上手かった? 私としてはインギ様にはマーケットを意識した小賢しい曲づくり
などしてほしくなかったというのが本音で、わりとこのアルバムはどうでもいい感じなんですが、何故かインギ様は
コレを一番のお気に入りの御様子。やっぱ金か?人間やっぱ金なのか、ええ?まあ叙情性豊かなインギ様昔ながらの曲、
"CRYING"と"TRILOGY SUITE OP5"が聴けるだけでもまあ良しとしときますわ。
確かにマークのヴォーカル上手いしね、ギターソロも"FIRE"とか"MAGIC MIRROR"とか相変わらずドラマチック
だしね、いいンじゃないとは思うけどやっぱ個人的にはむ〜とかそンな位置づけなンですわプシュウ。
でもこのアルバムが自分の中で受け入れられないと、これ以降の全てのアルバムを聴けなくなっちゃうンだよねえ。
ゆえにまあまあ、ということで納得しときます。
1 :YOU DON,T REMEMBER, I,LL NEVER FORGET
2 :LIAR
3 :QUEEN IN LOVE
4 :CRYING
5 :FURY
6 :FIRE
7 :MAGIC MIRROR
8 :DARK AGES
9 :TRILOGY SUITE OP5
*受難
(1987 〜 1992)
インギ様のその輝かしい功績を代表する作品に仕上がった前作「TRILOGY」のセールス的大成功。
あまりにも順風満帆なインギ様に対して、こンな性根の腐った人間が成功していいわけがないと、
神様がさっそく罰をお与えになります。
”インギ様、自動車事故で大ケガ”
少しはまともになりやがれという神の啓示であると思ったのはおそらく私だけではないと思います。
そして移り変わりの早いHR/HMシーンの中において、誰もがインギ様の存在を忘れかけていた頃、
衝撃のニュ−スが音楽業界に伝わってきます。
”元レインボーのジョー・リン・ターナがイングヴェイ率いるライジング・フォースに参加!?”
人間的にクソなミュージシャンとして有名なリッチー・ブラックモアとレインボーで長年寝食をともにしたジョーが、
今度はもっと人間的クソなミュージシャンとして有名なインギ様と組む? 何?ジョーはマゾなの?変態なの?
という噂が飛び交ったかどうかはともかくとして、とりあえずジョーに同情する声は極めて多かったようです。
私としてはジョーにこう伝えたかった。「目を醒ませ!」
手遅れだけどな。
そンな周囲の雑音を完全黙殺して、インギ様は以下のラインナップで3年ぶりにニューアルバムをリリースします。
<第4期ライジング・フォース:メンバー>
・イングヴェイ・マルムスティーン(G/B)
・ヤンス・ヨハンソン(Key)
・アンダース・ヨハンソン(Ds)
・ジョー・リン・ターナ(Vo)
1988年:ODYSSEY / YNGWIE J MALMSTEEN,S RISING FORCE リリース。
流石に「これレインボーじゃん」とか思われるのはイヤだったみたいで、全体のノリを多少はっちゃけ気味にして
違いを表現なさろうとした努力のあとが伺えるアルバムです。
でも元々インギの音楽の魅力は「湿ってる」部分にあるので(まあ叙情性だわな)、極端に居直ってまんまレインボー
にしたほうが結果的によかったかも知んない。ジョーの声も陰湿系だしね。
"HEAVEN TONIGHT"あたりはデイヴ・リー・ロスあたりに歌わせるとたぶんバカハマリする曲なんだろうけど、
ジョー・リンがやっちゃあ単なるミスマッチ。基本的にあか抜けてる歌はインギとジョーリンには合わないって。
ちなみにジョーリンとインギの組み合わせで一番ハマってると思える曲は"CRYSTAL BALL"。この曲は完成度が
高いです。バラードの"DREAMING"もインギとジョーの互いにいいところが組み合わさった1曲と言えるでしょう。
後はまあ、"RISING FORCE"辺りで全盛期とまではいかないけど、なんとか頑張って弾いているインギ様の健気さ
とか、リフの出来が秀逸な"NOW
IS THE TIME"・"RIOT THE DUNGEONS"とか、その辺りを聴いたり感じたり
してるうちにわりと悪くないじゃンとかいう感想に変わってくる不思議な一枚なのです。ついでにこれがスキになって
くると前作の「TRILOGY」もなンか受け入れられるような気分になってきたり。
演奏者としてのインギ様じゃなく、バンド・リーダーとしての幅を開拓しはじめたきっかけのアルバムとも言えるかも。
1 :RISING FORCE
2 :HOLD ON
3 :HEAVEN TONIGHT
4 :DREAMING
5 :BITE THE BULET
6 :RIOT IN THE DUNGEONS
7 :DEJA VU
8 :CRYSTAL BALL
9 :NOW IS THE TIME
10:FASTER THAN THE SPEED OF LIGHT
11:KRAKATAU
12:MEMORIES
1989年:TRIAL BY FIRE / YNGWIE MALMSTEEN リリース。
1 :LIAR
2 :QUEEN IN LOVE
3 :DEJA VU
4 :FAR BEYOND THE SUN
5 :HEAVEN TONIGHT
6 :DREAMING
7 :YOU DON,T REMEMBER, I,LL NEVER FORGET
8 :GUITAR SOLO(TRILOGY SUITE OP5 / SPASEBO BLUES)
9 :CRYSTAL BALL
10:BLACK STAR
11:SPANISH CASTLE MAGIC
12:MEMORIES
ジョー・リン・ターナを擁してワールド・ツアーを行った時の、旧ソ連はレニングラードで収録された
ライヴ・アルバム。
ソビエト国内で稼いだお金は国外に持ち出せないという法律があるにもかかわらず、インギ様は始めっから
ソ連内でつくる気満々だったそうですが、この理由の裏には「俺がはじめてソビエトでライヴをやった男なんだぜ!」
みたいな虚栄心の臭いがプンプンしてくるので、あまり深く突っ込まないことにします。ちなみにそンなインギ様の
いじましい努力にもかかわらず、世間ではソ連で初ライヴを行ったミュージシャンはボン・ジョビということで認知
されてしまい、それを知ったインギ様は「レコード会社の謀略だ!クソ!****!」とバイアグラを与えられた猿
のごとく発狂なさったそうですが、そンなことはますますどうでもいいですね、ハイ続けます。
で、このライヴ・アルバムの聴きどころというか面白い点としては、各曲の出だしをインギらしくクラシックで
弄ってるところにあるンじゃないかなと。例えば"FAR
BEYOND THE SUN"・"DREAMING"の出だしとか、
"YOU DON,T REMEMBER"のソロからクラシックに転調する流れとか、即席にしては非常に全体の雰囲気にマッチ
していて、非常にいい感じです。(まあ、"YOU
DON,T REMEMBER"は曲自体がナンパすぎるんであんまスキでは
ないんですが)
"TRILOGY SUITE OP5"を中心としたソロでは、ちょっと編成が悪いのも手伝って、インギの単なるスーパーテク
自慢大会に成り下がってますが(ショーレベルの完成度じゃない)、よく考えたらインギ様を見にきてる客なんて全体
の調和とかそんなのどうでも良くて、もともと彼の天上天下唯我独尊の狂いっぷりのみを目当てにしてるのだから、
この方向性は極めて正しいとも言えます。
だけどジミヘンのカヴァーの"SPANISH
CASTLE MAGIC"はやりすぎだったかも。これはインギには合わない、
ホント無理。だってアレはメロディじゃないもの、ソウルだもの。己を知れ己を!
このツアーの後、当然のごとくジョー・リン脱退。まあ始めっから分かっていたことだったので誰も驚かなかったけど。
そンな哀れな彼の華麗なる捨てゼリフを一部抜粋。御存分にお楽しみください。
「彼が”僕が曲を作った”と言ってるのは気に入らないね。
単にリフがたくさんあっただけで、そこから僕が曲を作ったんだ。彼が傲慢なときは本当に嫌いだね。
嘘を言うなよ、と言いたいね。」
さて、オデッセイ・ツアーでやりたい放題だったインギ様。
そのストレスがバンド内にたまりにたまったあげく、ジョー御大のみならず、ヤンス&アンダースのヨハンソン兄弟にも
三くだり半を叩きつけられちゃいます。(しかもヤンス、ディオにいきやがるのな。もう大笑い)
で、みんなに逃げられちゃって少しは反省するかと思いきや、そこは流石のインギ様。
反省どころか常人とは180度 逆の方向に突っ走りはじめます。題して「オレ以外はみんな雑魚」システム。
”自分のいうことを聞きそうなヤツだけと組む”という、人間としてあるまじき発想を全開にしてオラオラオラ。
つくづく天才の考える事は度し難い。コイツ絶対トモダチいねえぜ賭けてもいい。
で、何も知らない小羊のようなメンツを掻き集めて”インギ様に絶対服従バンド”を結成します。
<第1期 俺様以外はみんなクソだぜバンド>
・イングヴェイ・マルムスティーン(G)
・マッツ・オラウソン(Key)
・マイケル・フォン・ノリング(Ds)
・スヴァンテ・ヘンリソン(B)
・ヨラン・エドマン(Vo)
北朝鮮もどうかという絶対君主制がひかれたこのバンドでしたが、これが予想外に大当たり。
ヨラン・エドマンの線の細い感じの切ない声がインギのネ(オ)クラワールドをよく活かし、マッツのキーボードは
前任者のヤンスに勝るとも劣らないくらいによく疾り、ドラムのマイケルはインギ様にただかしづく、とかそンな感じ
の編成でこの「エクリプス」はつくられました。あ、ベースのスヴァンテはインギ様いわく単なるテング野郎だった
そうです。
1990年:ECLIPSE / YNGWIE MALMSTEEN リリース。
で、このアルバムの出来なんですが、正直1・2曲目を聞いた時点で、そのあまりな出来にCDブチ割ろう
と思いました。だってコレ普通のポップ・バンドのサウンドじゃん?誰がインギにそんなもの期待するよ!
みたいな感じで憤慨しつつも聞き進めてみたら、あら、わりとよろしいンじゃないかしら奥様?となりまして、
どうもよく掴めない感じの評価に。
つまりインギ様らしいかというと極めて疑問符はつきますが、曲自体の完成度は「オデッセイ」より上です。
つか売れ線の曲が多いです。"SAVE
OUR LOVE"とか"MOTHERLESS CHILD"とか"JUDAS"とか。
これら3曲が表すように全体的にメローウな感じ。「トリロジー」ほどドラマドラマしてないところもマル。
速弾きばかりが注目されるインギ様だけど、もっとメロディラインの美しさが認められてもいいんじゃない?
と、まあそんなことを如実に感じた一枚でした。まあ、日本人は(というか私が)好きだからなあ。こーゆう
ベタっとした叙情的なノリがさあ。インギ様らしさも"SEE YOU IN HELL"の中盤ソロとか、"ECLIPSE"の
出だしのリフとかで垣間見えるしね。
1 :MAKING LOVE
2 :BEDROOM EYES
3 :SAVE OUR LOVE
4 :MOTHERLESS CHILD
5 :DEVIL IN DISGUISE
6 :JUDAS
7 :WHAT DO YOU WANT
8 :DEMON DRIVER
9 :FAULTLINE
10:SEE YOU IN HELL
11:ECLIPSE
1991年:THE YNGWIE MALMSTEEN COLLECTION /
YNGWIE MALMSTEEN リリース。
「ライジング・フォース」から「エクリプス」までの6枚のアルバムから選曲されたベスト盤。
インギ様の音楽性はアルバム毎にかなり色が違うので、そういう部分に着目して聴くと面白いです。
ただ、インギ様を聴いたことがない方がコレを入門的に聴くのはオススメしません。
クラシック傾倒しまくりの重厚な前半とメロディよりの軟派な後半のコンストラストに混乱すること間違いなし。
というわけで、そういう意味での入門編なら、男は黙って「ライジング・フォース」。
ホントこれだけは聴いてほしいですね(ヴォーカルほとんどないけどね)
1 :BLACK STAR
2 :FAR BEYOND THE SUN
3 :I,LL SEE THE LIGHT, TONIGHT
4 :YOU DON,T REMEMBER, I,LL NEVER FORGET
5 :LIAR
6 :QUEEN IN LOVE
7 :HOLD ON
8 :HEAVEN TONIGHT
9 :DEJA VU
10:GUITAR SOLO
11:SPANISH CASTLE MAGIC
12:JUDAS
13:MAKING LOVE
14:ECLIPSE
1992年:FIRE & ICE / YNGWIE MALMSTEEN リリース。
音楽の才能のみに限って言えば自他ともに天才と認められるインギ様が頑張って頑張って頑張って、
あれほど頑張ってつくったのに「エクリプス」は全然売れませんでした。何故だ!どこが悪かったンだ?
インギ様:レコード会社が悪い
はい、3秒で移籍決定。
流石です。微塵も自分を疑わないところが凄すぎます。
やっぱ天才はこうでなくちゃね。ボクは凡才で良かったナァと心の底から思う今日この頃です。
そンなわけでポリグラムからエレクトラにレコード会社を移籍して、ついでにドラマーのマイケルが体調を
壊したので軽々とクビにして、新規にボー・ワーナーという若干23才の何も知らない生け贄を補充。
(コイツはインギ様に「この世の中で一番のバカ」扱いされるという、ある意味凄まじくおいしい立ち位置
をゲットすることに) そんな充実した環境の中で(もちろん皮肉です)このアルバムは作成されました。
このアルバムについてのインギ様のコメントを聞いてみましょう。
「今まで、自分らしいといわれてきたエッセンスをすべて集結し、まとめあげてみた。
100%イングヴェイ・マルムスティーンと言える内容さ!(親指をグッと立てる)」
え〜と、このアルバム 100%クソと言える内容なんですけど。
コイツぐらい自分をわかってない人間が果してこの世に存在するのでしょうか?
基本的にこれまで必ずどこかしらで感じた旋律の美しさと、それを聞いた時に体から沸き起こる戦慄が
このアルバムではほとんど感じられません。つか基本的に無駄な曲が多過ぎるンですこのアルバムは。
加えて半分くらいの曲のソロがたんなる早弾き自己満足になっちゃってます。メロディ・ラインの美しさが
あるからこその光る早弾きであって、それなくしてはただのインペリテリだ!(つうのは流石に失礼か)。
いや、実はいいのもあるンですよ?
"PERPETUAL"の中盤ソロとか"HOW MANY MILES TO BABYLON"の出だしとか、
"FIRE AND ICE"から"FOREVER IS A LONG TIME"に繋がる激しい流れとかね。
でも、そういういい部分をその他たくさんのクズ曲が殺してしまっているンですね、このアルバムは。
で、私このアルバムを名盤にする方法を発見しました。
2・3曲めと7・8曲めと14・15曲めをバッサリ刈っちゃってください。そしたらマジ聴けるようになるから。
イヤこれホントだって。
1 :PERPETUAL
2 :DRAGON FLY
3 :CEASER
4 :HOW MANY MILES TO BABYLON
5 :CRY NO MORE
6 :NO MERCY
7 :CEST LA VIE
8 :LEVIATBAN
9 :FIRE AND ICE
10:FOREVER IS A LONG TIME
11:I,M MY OWN ENEMY
12:ALL I WANT IS EVERYTHING
13:GOLDEN DAWN
14:FINAL CURTAIN
15:BLOKEN GLASS
ちなみにこのアルバムをもってヨラン・エドマンさんはクビになるわけですが、そンな可哀想な彼が残した一言がコレ。
「イングヴェイに欠けているのは、そうだなあ… 僕が思うに… 謙虚な……… 心?」
合掌。
*復活
(1993 〜 1997)
1993年:THE SEVENTH SIGN / YNGWIE MALMSTEEN リリース。
ライヴ・パフォーマンスが日光に巣食うサル以下という、ある意味ヴォーカリストにとっては死刑にも近い
宣告をあっさりヨラン・エドマンに下して軽々とクビを切りトバし、マッツ(Key)以外のメンバーもこの際
だからついでにキッちまえとかやってるうちに、ハッと気づいたらインギ様はまたもや独りきりになってました。
何時になったら学習するンでしょうか、この男は?
で、ニューアルバム作成前のいつも通りの作業として、インギ様はメンバー集めに奔走することになります。
とりあえずドラマーはトニー・マカパインとプレイしていたというマイク・テラーノをキープすることが
出来たンですが問題はヴォーカル。
ロニー・ジェイムス・ディオやドン・ドッケン、イアン・ギランなどの超一流どころに当たったはいいものの、
みんながみんなジョー・リン・ターナみたいに抜けてるわけじゃないので当然のごとく断られ、さんざ四方八方を
捜しまわってようやく見つけたのがマイク・ヴェセーラでした。
このマイク・ヴェセーラがまたまた大当たり。若手ギタリストの発掘名人がオジー・オズボーンだとするならば、
それのヴォーカル版はもしかしたらインギ様かも知れません。本人のまったく知る由のない部分で。
そンなこんなで何とか掻き集めた以下のメンバー構成でインギ様はニューアルバム作成にとりかかります。
<第2期 俺様だけをたたえろバンド>
・イングヴェイ・マルムスティーン(G/B)
・マッツ・オラウソン(Key)
・マイク・テラーノ(Ds)
・マイク・ヴェセーラ(Vo)
前作「ファイヤー&アイス」ではあまりにも楽曲にムラがありすぎたことをインギ様自身が反省するという、
ハレー彗星が地球にぶつかるのと同じくらいの確率の奇跡的出来事がもとになり、今作ではかなり曲づくりに
時間が割かれたみたいです。それが功を奏したのでしょうか?各楽曲の出来がこれまでのアルバムで1・2を
あらそうぐらいのナイスな仕上がりになってます。
このアルバムの特徴は一言で言うなら「キャッチー&メロディアス」。
メロディ・ラインが秀逸かつ荘厳な"NEVER
DIE"・"FOREVER ONE"のみならず、轟音をあげて疾走するような
ドライヴ感とスピード感が素晴らしい"SEVENTH
SIGN"や、甘美なメロディ・ラインがマイクのハリある高音に
のせて奏でられる"PRISONER
OF YOUR LOVE"など、とにかく聴きどころが満載です。
そンな中でも特に際だっているのが"BROTHERS"で、これはもう文句なく名曲。日本人の心に響くワビサビの味。
たぶんこういうのがインギの真骨頂なのかも知れません。この辺りのフィールにはどこかマイケル・シェンカーと
同じような部分を感じるナァ、そらスキになるっつうの。
願わくばバラード系インストの"SORROW"でこのアルバムは終わってほしかった… 日本版ボーナス曲である
ラストの"ANGEL IN HEAT"が全てをブチ壊しにしてくれています。なんなンスか、この安っぽさが目立ちまくる
ベタベッタなクソ曲は? しかもよりによって歌ってるのがインギ様 本人。またコイツのヴォーカルの下手さ加減
がホント尋常じゃないレベル、台無しとはこのことだと思いましたマル。
1 :NEVER DIE
2 :I DON,T KNOW
3 :MEANT TO BE
4 :FOREVER ONE
5 :HAIR TRIGGER
6 :BROTHERS
7 :SEVENTH SIGN
8 :BAD BLOOD
9 :PRISONER OF YOUR LOVE
10:PYRAMID OF CHEOPS
11:CRASH AND BURN
12:SORROW
13:ANGEL IN HEAT
1994年:I CAN,T WAIT / YNGWIE MALMSTEEN リリース。
「セヴンス・サイン」の時のボツ曲らしきものを無理やり新曲に仕立て上げたうえに、
日本公演時のライヴ・テイクとプロレスラー高田のテーマを加えた、極めて蛇足的なミニ・アルバム。
まあ、私は高田自体が好きだったので 当然それ目当てに購入しましたが、むしろ「おおっ!」と思ったのは
おまけの筈の"RISING FORCE"のライヴ・バージョンでして、これが実に素晴らしい出来なので、これだけを
聴く為に購入してもアリかなと思ったり思わなかったり。
1 :I CAN,T WAIT
2 :AFTERMATH
3 :RISING FORCE
4 :FAR BEYOND THE SUN
5 :POWER AND GLORY
1995年:MAGNUM OPUS / YNGWIE MALMSTEEN リリース。
前作「セヴンズ・サイン」で市場の評価をある程度取り戻したインギ様。
じゃあプレスの評価はどうなったのかな?と思いきや、94年のワースト・ランキング部門にて
「イングヴェィ・マルムスティーン」という名前が堂々とランキング入りしていたらしく、自分の置かれた
現状はまったく変わっていなかったという泥沼のように救いがないお話をしたところで、話しを先に進めます。
実際この2年間インギ様が何をしていたのかといいますと、バンドのメンバーをまたまた趣味で首にしたり、
ツアーに出たり(このツアー中にマイク・ヴェセーラとの関係をすっかり悪化させた模様)、上記のように
プロレスラー高田延彦のテーマ曲をつくったり それを含めたミニアルバムを作成したりと色々精力的に動いて
いたみたいで、その怒濤の勢いにのって意欲的に作成されたのがこの一枚というわけです。
<第2期改:俺様だけのいうことをバカみてえに聞いてろバンド>
・イングヴェイ・マルムスティーン(G)
・マッツ・オラウソン(Key)
・シェイン・ガラース(Ds)
・バリー・スパークス(B)
・マイク・ヴェセーラ(Vo)
で、その出来なんですが、インギ様の一番分かりやすい持ち味であるハイスピード&ハイロールなフィールが
1曲目の"VENGEANCE"からいきなし爆発。"I,D DIE WITHOUT YOU"から"OVERTURE1622"に続く
荘厳かつ美しい雰囲気も良し。ラスト近くの"FIRE
IN THE SKY"なんて今までの彼の曲の中でも一番スキかも。
ホントこれだけ聴くために買っても損しないと思います。ザクザク刻みまくるベースにのって、ギターがもう鬼
のようにうなる!うなる!うなる! マジにトリップとかそンな感じ。
やっぱね、インギはベタ。これが一番良し。ダセエとか言われても突っ走っちゃえばいいんだよ。
ほんとHR/HMダサっ!とか聴きもしないで抜かしてるヤツらは全員海に沈めたい。というわけで「華麗」という
言葉が相応しいこのアルバムは私自身かなり好きなのですが、市場では「前作と比べて新鮮さがない」という評価
に落ち着いてしまったみたいで、非常に残念だナァと思います。
1 :VENGEANCE
2 :NO LOVE LOST
3 :TOMORROW,S GONE
4 :THE ONLY ONE
5 :I,D DIE WITHOUT YOU
6 :OVERTURE 1622
7 :VOODOO
8 :CROSS THE LINE
9 :TIME WILL TELL
10:FIRE IN THE SKY
11:AMBERDAWN
12:CANTABILE
1996年:INSPIRATION / YNGWIE MALMSTEEN リリース。
ジェフ・スコット・ソート、マーク・ボールズ、ジョー・リン・ターナーという、過去に自分が逃げられたか、
もしくはクビを切ってきた歴代ヴォーカリスト達を集めてつくったカヴァー・アルバム、つうか皆ホント良く
集まったなあって素で思いますよ、全員が全員インギ様にヒドイ目にあわされてきたというのに。
自分自身の身を犠牲にしてでもインギ様の才能の生け贄になりたかったのか、もしくはただのバカだったのか、
ハード・ゲイだったのか生っ粋のドMなのか、その辺りが非常に気になるところですね。
ちなみに前ヴォーカリストのマイク・ヴェセーラは、インギ様の女房とヤッチまった関係でハブンチョの目に。
(マイク自身は「神に誓ってそんなことしてない!」とか言ってますが、正直あやしいもんです)
前々ヴォーカリストのヨラン・エドマンは、インギ様との金銭問題による訴訟の関連で、本人いわく
「マイアミにのこのこツラだしたらブン殴られるかと思って行かなかったのさ(ボクって賢明だろ!)」だって。
どこまで腰抜けなんでしょうかコイツは。
で、選曲を見てみると、レインボー/パープル絡みの2・3・6・8・10に、ジミヘンからの4・11と
えらく偏った感じになっていて、インギ様が誰をマンセーしてるのかが3秒でわかってしまうような底の浅い
アルバムになっているかと思いきや、プログレ畑のスーパーグループ:UKからの"IN THE END OF NIGHT"とか、
カナダの国民的英雄バンド:ラッシュからの"ANTHEM"とか、意外な選曲が随所に垣間見えている上に、これが
また妙にインギ様ワールドにハマってて、蓋を開ければなかなかに聴きごたえのある内容に仕上がっています。
特に凄まじいのは、スコーピオンズからのナンバーで原曲においてもウリのギタープレイがホントどうかしてた
"THE SAILS OF CHARON"と、パープルからの馴染みの曲" CHILD IN TIME"で、これはホント凄いなあと思い
つつ、よくよく考えてみたらこれ、インギ様の偉大さというよりリッチーとウリの素晴らしさが再評価されてる
だけなんじゃね?と感じる部分がないでもなかったので、リッチーの偉大さをもう一度体感するために買うが吉
とかそンな感じでひとつ。
参照までにこのアルバムをリリースした時のインギ様のコメントを下記に抜粋。
インタビュアー:「今回はカヴァー集だよね。オリジナリティを追求する貴方らしくないとう声もあるが?」
インギ様:「これはカヴァーじゃない!インスピレーション・アルバムだ!」
マジこいつ無敵。神。
1 :CARRY ON WAYWARD SON
2 :PICTURES OF HOME
3 :GATES OF BABYLON
4 :MANIC DEPRESSION
5 :IN THE END OF NIGHT
6 :MISTREATED
7 :THE SAILS OF CHARON
8 :DEMONS EYE
9 :ANTHEM
10:CHILD IN TIME
11:SPANISH CASTLE MAGIC
1997年:FACING THE ANIMAL / YNGWIE MALMSTEEN リリース。
前作「インスピレーション」でリフレッシュを図り、再びニューアルバム作成にとりかかったインギ様。
VOのマイク・ヴェセーラに関しては珍しく不満も少なかったらしいのですが、よりにもよって女房を軽々と寝取られる
というインギ様のプライドを根底から覆すような事件が起こり、当然のごとく凄まじい憤怒とともにマイクはクビ。
で、その怒りを気合いにかえてのメンバー探しで、コージーパウエルという本来ならインギ様より1枚も2枚も格上の
方をゲットすることに成功します。よほど嬉しかったンでしょう。彼、またまたやっちゃいました。
「俺のバンドにいたどのドラマーにも、俺はいつも「こう叩くべきだ」と指示してきたけど、コージーの場合は違った。
たまに彼が押さえ気味に叩いていると「おい、もっとやってくれよ! 」と言ったけどね(笑)
いつもの彼みたいな音を求めていたんだ。そうすると「OK! 」って言って彼はやってくれたよ。
だから、彼は楽しんでやっていたと思うよ。「おい! 昔みたいに思いっきり叩けるんだ! 」って思ったんじゃないかな」
という態度がデカイにも程がある発言で早速大いなる勘違いを露呈しちゃいましたが、まあこれに関してはコージーが
大人だったようで何事もなく終わっています。よかったよかった。で、ヴォーカリストに、自国スウェーデンから発掘
してきたマッツ・レヴィンを据えてバンドとしての体裁を整えます。
<第3期:俺だけを目立たせろ!でもコージーだけには敬意を示すぜ バンド>
・イングヴェイ・マルムスティーン(G)
・マッツ・オラウソン(Key)
・コージー・パウエル(Ds)
・バリー・ダナウェイ(B)
・マッツ・レヴィン(Vo)
コージーに続いて、新規発掘のマッツ・レヴィンに対するインギ様の評価はかなり高いようでして、
「俺はマッツ(Vo)のことが好きだ。彼は素晴らしい。本当にうまいよ。
俺は確かな耳があるから、音程が合っているかどうか、ヴィブラートは良いかどうか、それが俺には判断できるんだ」
などと最大級の賛辞を送ってますが、騙されちゃいけませんよマッツさん。インギ様は最初は誰にでも賛辞を送るのです。
それを証明するためにも時間の経過とともに移りかわるインギ様の歴代ヴォーカリスト達に対するコメントを抜粋して
みました。
<2代目:マーク・ボールズ>
使用前:「俺に言わせれば、この世の中に存在するヴォーカリストの中でも最高の実力者だよ!」
使用後:「彼は変な行動が多かったね。変わっていたよ。手に負えなかったね。クレイジーだったよ」
<3代目:ジョー・リン・ターナ>
使用前:「僕らはソウル・メイトさ!」
使用後:「あんな奴、一緒にツアーするのも苦痛だった。ソウル・メイトがきいてあきれるよ!」
<4代目:ヨラン・エドマン>
使用前:「ヨランは何でも歌える。ヨランがベストだよ。彼の歌は素晴らしいし、本当によい人間だ」
使用後:「あいつは性格がひねくれていたからね。変わっていたよ。ステージに上がりたがらなくてさ」
<5代目:マイク・ヴェセーラ>
使用前:「俺が今までに一緒にやったシンガーの中で断然ベストだ。あいつは最高のシンガーだし凄くいい奴だ」
使用後:「俺はあいつに歌わせようなんて全く考えなかった。第一「INSPIRATION」の時だってあいつことなんて考えなかった」
1代目のジェフ・スコット・ソートに至っては、
「彼はとても若くて、自分の方向性やスタイルっていうものを持っていなかったから、俺の思いどおりのヴォーカリストに
育てることが出来たんだ。ディオっぽいことをやれとか、そこは高音を出せとか、ヴィヴラートしろとかね。
あれは本来の彼の歌い方じゃないんだ。彼が歌いたいと思う声の出し方じゃなかった。でも俺はやらせたよ(笑)」
と まるで普通にご飯を食べたいところを無理矢理 地面に顔だけ出した状態で埋められ、ひたすらマズい飯を詰め込まされた
挙句、腹かっさばかれ〜の肝臓ひきだされてギィヨオオオオオオオと悲鳴をあげるダチョウのような扱いをうけるという
有り様。もう奴隷どころかアリ以下の扱い。
こんな彼が言います。「俺はマッツ(Vo)のことが好きだ。彼は素晴らしい。本当にうまいよ」
誰が信じると?
まあ、その後マッツ・レヴィンにふりかかる不幸についてはまた後で語るとして、とりあえずはこの新作について
語るわけですが、ぶっちゃけメロディがいまいち印象に残らないアルバムです。
"BRAVE HEART"とか"LIKE AN AGEL"とか決して悪くない曲はあるのにどこか退屈な感じがするし、
コージーのドラムもいまいち目立たないし、肝心かなめのインギのギターですらどこか上の空といった感じでどうも…
う〜ん、確かにスピーディな感じはあるけど、メロディがなあ。これは!ってものがないというか。
佳作揃いな感じで いつものインギみたいに突き詰めていないような気がするンですよ、なんか乾き気味っつうか。
やっぱインギ様の良さは「じめっとした雰囲気の中で感覚に訴えかけるメロディセンスの良さ」にあると思うので、
ドライな感じの方向をやっちゃうと駄目ぽ。
あえて聴きどころをあげるとするならば、激しい流れの"POISON IN YOUR VEINS"から、静の"AIR
ON A THEME"へ
移りかわっていくところぐらいかなあ。というわけであンま好きくないアルバムです、これ。
1 :BRAVE HEART
2 :FACING THE ANIMAL
3 :ENEMIY
4 :SACRIFICE
5 :LIKE AN ANGEL
6 :MY RESURRECTION
7 :ANOTHER TIME
8 :HEATHENS FROM THE NORTH
9 :ALONE IN PARADAISE
10:END OF MY ROPE
11:ONLY THE STRONG
12:POISON IN YOUR VEINS
13:AIR ON A THEME
*挑戦
(1998 〜 2002)
1998年:
CONCERTO SUITE FOR ELECTRIC
GUITAR AND ORCHESTRA IN E FLAT MINOR OP.1
/ YNGWIE JOHANN MALMSTEEN (新世紀)リリース。
「フェイシング・ジ・アニマル」リリース後、インギ様は 長年にわたり構想をあたためてきた
「エレクトリック・ギターを独奏楽器とした本格的クラシック作品」の作成に動きはじめます。
今回インギ様が狙ったのは、ロックとクラシックの融合的作品という従来の枠組に納まりがちな
路線から脱却して、純粋なクラシック音楽としての領域に入りこむことでした。
ゆえにロックを構成する重要パートであるリズム隊(ドラム&ベース)はこの作品の中には登場しません。
この辺りがオーケストラ楽団との単なる競演アルバムではないことを明確に示唆しています。
実際には、オーケストラとの競奏アルバムを出したメタリカと同一視されるのが単に嫌だっただけかも
知れませんが、まあ、それはそれでインギ様らしくてよろしいンじゃないかな、と。
しっかしまあ、只の勘違い君になっちゃうのがやる前からある程度予想できたであろうこの企画、
普通のアーティストなら絶対やらないところを、あえて(いや本人はいたって本気か?)やっちゃう
インギ様はその勘違い度までもが常識破りの、どこまでもスケールのでかい男ですナァ。
というわけで、やる気度フルゲージのインギ様は、まずは自ら保有するスタジオ内でマッツ・オラウソン
とともに作曲作業を長時間にわたって繰り返し、約3ヶ月程で組曲の全体構想を完成させます。
それからプラハに渡りチェコ・フィルハーモニー管弦楽団とともにオーケストラ総勢135人とエレギとの
協奏レコーディング作業を完了させます。
それがこの「エレクトリック・ギターとオーケストラのための協奏組曲 変ホ短調:新世紀」などという、
舌を噛みそうな邦題が付いたアルバムというわけです。
で、その出来なンですが、聴いていると心が落ちついてくるようなオーケストラ本来の持ち味がエレギの
かしましさで消えてしまっている部分はまあ仕方がないとして、そのぶん別の魅力が引き出されている部分
も確かにあるように思います。名曲"BROTHER"のフレーズを転用している"FUGUE"と勇壮きわまりないと
いう表現がぴったりな"VIVACE"の中には特にそれを感じました。
まあ正直、ところどころアラはあるものの”何か新しいことをやってやるンだ!”みたいなインギ様の
姿勢自体にとても好感が持てる作品であることは確か。こういうのはケナしちゃいけないと思うンですよね、
今後の芽を詰まない為にも。
1 :ICARUS DREAM FANFARE
2 :CAVALLINO RAMPANTE
3 :FUGUE
4 :PRELUDE TO APRIL
5 :TOCCATA
6 :ANDANTE
7 :SARABANDE
8 :ALLEGRO
9 :ADAGIO
10:VIVACE
11:PRESTO VIVACE
12:FINALE
1998年:LIVE!! / YNGWIE MALMSTEEN リリース。
98年初頭に行われたブラジル公演の様子を収めたライヴ・アルバム。
インギ様のライヴ・アルバムとしては89年の「TRIAL
BY FIRE」に続く、2枚目となりました。
「フェイシング・ジ・アニマル」中心の選曲となっていて、あのアルバムがあまり好きくない私としては
「なんだよーッ」って感じだったのですが、こうして聴いてみるとわりと悪くないです。どういうことだ?
あれか? 結局のところ「フェイシング…」は捨て曲という冗長性がありすぎた故の駄作だったのか?
そンな迷いを私に抱かせる程、インギ様はのびのびと「フェイシング…」からの曲をやりまくり、む〜ん。
まあ、マッツの張りのある声が、この雰囲気づくりに一役買ってる部分も多少あるかなあ。
他で目立った聴きどころとしては、やっぱ抜群に"RISING
FORCE"がカッコいいなあ、と。
で、そこからピリピリピピリかき鳴らしまくったあとの"BEDROOM EYES"。この流れはメチャいいです。
まあ、この曲は出だしのパフォーマンスも含めて、もろジミヘン風なので、パクりキラい!とか公言してる
インギ様としてその辺りはどうお考えなのかなあ、といった感じも否めませんが。
あとは1・2・3・4!の凄まじくベタな出だしから始まる"SEVENTH SIGN"で盛りあがりまくったあとの
俺が!俺が!俺が!俺が!俺だけが!みたいなギターソロとかも聴きどころ満載です。
ちなみに私は最近(2002・12)インギ様の生ライヴを見に行く機会に恵まれましたが、このギターソロの
流れ(TRILOGY SUITE OP5〜ジミヘンの何か:しかもヴォーカルは自分)は、このライヴ版とほとんど同じ
でした。ところどころにあるミスらしきフレーズをその凄まじい速さで誤魔化しつつ、ギターをぐるんぐるんと
回転させまくりーの、ピックをこれでもかとばかりに投げまくるインギ様は、やっぱ最高にカッコ良かったです。
1 :MY RESURRECTION
2 :FACING THE ANIMAL
3 :RISING FORCE
4 :BEDROOM EYES
5 :FAR BEYOND THE SUN
6 :LIKE AN ANGEL
7 :BRAVEHEART
8 :SEVENTH SIGN
9 :GUITAR SOLO (Trilogy Suite, Red house, Badinere and Battle)
10:GATES OF BABYLON
11:ALONE IN PARADISE
12:PICTURES OF HOME
13:NEVER DIE
14:BLACK STAR
1999年:ALCHEMY /
YNGWIE J MALMSTEEN,S RISING FORCE リリース。
正式なオリジナル・アルバムとしては「フェイシング・ジ・アニマル」以来2年ぶりとなるこのアルバム。
周囲が予想した通り、そのクレジットにマッツ・レヴィンの名前はありませんでした。あれえ?
ここは早速、例の使用前・使用後方式で彼がどうなったのかをご紹介しましょう。
<6代目:マッツ・レヴィン>
使用前:
「俺はマッツのことが好きだ。彼は素晴らしい。本当にうまいよ」
使用後:
「彼はスタジオでは大丈夫だったけど、残念ながらツアーでは駄目だったね。
ああいうツアーをやったことがなかったんだ。
あんな風に大規模に日本や南アメリカを廻ったりして、大きな会場で歌ったことがなかったんだな。
その前までは電話ボックスでしか歌ったことがなくてね。(笑)
だから、あまりにも圧倒されて「俺はスターだ! 」っていう錯覚に陥ったみたいなんだ。
勘違いしちゃあいけないよね 」
って、どの口でこういうことをホザきやがりますかコイツは。この口かア?この口かアアアアアアア!
いいかよく聞け! 勘違いしてるのはァ! お!ま!え!
ん?じゃあ今回のボーカルは誰なンだ?と思いきや、こともあろうに かつてハゲよばわりされたあげく、
「自分のことを世界で一番のスターだと思いこんでるクレイジーな男」扱いで生クビ晒された
マーク・ボールズ君でした。わ〜パチパチチパチパチ! つうか学習しろよマークよう。
ちなみに再復帰に際してインギ様が彼にかけた言葉は「ヘイ!ナンバーワン・シンガー!」(しかも連発)
たぶんホントに頭が不自由な人なんだと思います。まあ今回はそれに輪をかけてマークが大バカ者だったと
いうことで綺麗にオチがついたところで、新生ライジング・フォースのメンバーはこちら。
<新生(第5期)ライジング・フォース:メンバー>
・イングヴェイ・マルムスティーン(G)
・マッツ・オラウソン(Key)
・ジョン・マカルーソ(Ds)
・バリー・ダナウェイ(B)
・マーク・ボールズ(Vo)
で、今回のアルバムの感想は一言で言うと「鬼」。ホント鬼神と化して弾きまくり。
出だしの"BRITZKRIEG"からもう弾く弾く弾く弾く、それでも足らずにこれでもかこれでもかとばかりに
弾く!弾く!弾く!弾く!弾く!弾く!弾くゥ! 舞踏会みたいなバロック調の雰囲気を思いっきり早回しに
弾きまくり。で、聴いてるコッチはヒキまくりというわけ。どうすンすかコレ?
そンなこちらのテンションに構うことなく2曲目の"LEONARDO"でもベタベタのネオクラ路線やりまくり。
で、3曲目でようやく一息つけるかと思いきや”胃液をブチまけやがれェゴミ共ォ!」みたいな勢いの稲妻
リフが体をビリビリ痙攣させまくり。これぞインギ地獄。マジ死ぬる。ゆえに今回のアルバムは私的に最高
ということですね。なんか初期の頃に回帰したような雰囲気が嬉しいッス
特にオススメの聴きどころは1〜5曲目までのライトニング・アローに脳みそが揺らされまくった後の"BLUE"。
ブルージーな雰囲気の中に静と動が同居するこの曲はマジ最高。いや漂う雰囲気はスローなんですよ、でもリズム
そのものは凄まじくハイというね。こういうの大好きです。
ちなみに11〜13までの"ASYLUM組曲"はインギ様をして「うん、俺様でもちょっと難しい」と言わしめる
程のスーパーテク満載の曲らしいのですが、ギター弾かない私みたいな素人には凄さが伝わりにくいうえに、
メロディがあんまし好みでないというところもあって、ただの自己満足としか感じなかったです、むう。
(あ、でも"SKY EUPHORIA"はちょっとイイかも)
1 :BRITZKRIEG
2 :LEONARDO
3 :PLAYING WITH FIRE
4 :STAND
5 :WIELD MY SWORD
6 :BLUE
7 :LEGION OG THE DAMNED
8 :DEAMON DANCE
9 :HANGAR 18, AREA 51
10:VOODOO NIGHT
11:ASYLUM 1
12:ASYLUM 2 〜SKY EUPHORIA〜
13:ASYLUM 3 〜QUANTUM LEAP〜
14:GOD IS GOD
2000年:WAR TO END ALL WARS / YNGWIE J MALMSTEEN,S
RISING FORCE リリース。
このアルバム製作前にもやっぱしおなじみのメンバー解雇イベントは発生したようでして、
インギ様いわく”おおいなる親切でプレイさせてやっていた”らしいベースのバリー・ダナウェイが
「ウチのカミさんがさあ…」などと若年性アルツハイマーくらったニートばりの発言を繰り返すようになって
しまった末、「ボク、インギ様とのツアー嫌〜」とあからさまにインギ様を拒否しだした為、やむなくクビに。
そして10年来の付き合いでもあるキーボードのマッツ・オラウソンですら今回はこんな面白いセリフとともに
軽々とクビを飛ばされることに。
「M・オラウソンがプレイしたもので、俺の気に入らないところがあったから、そこを直してくれと言ったら、
「俺はミスなんか犯していない」ってあいつは言い張ったんだ。そんなの、まるっきり間違っているんだけどね。
結局、彼はプロ精神に欠けてたんだな」
もうね、流石に言い飽きたけど、もう1回だけ言わせて? プロ精神の欠片もないのはお前だろ!
と思いきや、流石に彼を切ったらアルバムそのものが製作不能になることが、オバカなインギ様にも
分かったようでして、ソッコーでマッツ復帰。その際のオモシロ・セリフがコレ。
「一時はクビにしたけどね。この前、フランクフルトにちょっとした仕事で行った時、マッツにも来て貰ったんだ。
ビールを飲みながら話をして、とってもクールだったよ。俺の問題だったんだよね。
あの時は、俺がちょっと頭にきていたんだ。あいつに「地獄に堕ちろ!」なんてことを言ってね(笑)
あまりスマートな行動ではなかったと思っているよ」
…マッツ、いいから刺しちゃいなさいって。コイツ死ななきゃ直らないって。
という状況下の元、作成された今アルバムなんですが、イントロとかリフとか随所に”ああインギだなあ”
と感じるフレーズはあれど、その爽快さが継続しないという非常に中途半端な作りになってしまっています。
もう少し具体的に言うならば”メロディは退屈なのにギターだけ疾っている”とか、そんな感じ?
(特に"MASQUERADE"とか) その上、音が異常にこもり気味。
まあ、そうは言っても、なかなかナイスな部分も幾つかはあるわけでして、"MOLTO ARPEGGIOSA"での速い
テンポから、マークの高音が綺麗にハマってる"MIRACLE
OF LIFE"に繋がる流れとか、インギらしい弄り方
してる"THE WIZARD"から"WILD ONE"に繋がるノリの良さとか、その辺りはかなり聴けます。
で、結局のところ「ファイヤー&アイス」と同じ傾向にあるような。まあ、あそこまでアレではないけどね。
1 :PROPHET OF DOOM
2 :CRUCIFY
3 :BAD REPUTATION
4 :CATCH 22
5 :MASQUERADE
6 :MOLTO ARPEGGIOSA
7 :MIRACLE OF LIFE
8 :THE WIZARD
9 :PRELUDIUM
10:WILD ONE
11:TAROT
12:INSTRU -MENTAL INSTITUTION-
13:WAR TO END ALL WARS
14:TREASURE FROM THE EAST
15:REQUIEM
2002年:
CONCERTO SUITE FOR ELECTRIC
GUITAR AND ORCHESTRA IN E FLAT MINOR LIVE
With The New Japan Philharmonic / YNGWIE JOHANN MALMSTEEN リリース。
前作の評判がイマイチだったにもかかわらず、この頃のインギ様はもうノリノリだったようでして、
その勢いに乗じて”オーケストラとエレギとの協奏組曲”というテーマについて、アルバムを一枚
(新世紀)つくっただけでは飽き足らず、遂には新日本フィルハーモニー交響楽団までをも巻き込んで、
リアルタイムでのコンチェルト・ライヴを実現させちまいました。
流石、世界レベルの勘違いクンはスケールまでもが常識外です。マジ行動力が半端ねえ。
バカも普通を通り越してここまで やらかしてくれちゃうと、そら惜しみない称賛の拍手ってヤツを
送りたくもなりますわ。やっぱインギ最高!
で、肝心の出来なんですが、オーケストラなのに(協奏なんだぜ?)ギターだけ疾りまくってプカプカ
浮いちゃってる"TRILOGY SUITE
OP5"とか、いや普通にいいんだけどそれオーケストラでやった意味ある?
と突っ込みいれたくなるような"BROTHERS"とか、ところどころにちょっと可哀想すぎて目頭が熱くなる
シーンもあるものの、なかなかのハマリ具合に仕上がっている"ICARUS DREAM"(コレはライヴで聴けるだけ
でも涙ものだろ)とか、ところどころ間違えてるっぽいフレーズをインギ様らしく誤魔化してる"VIVACE"とか、
うおうコレは!と思わせる部分もかなりあります。
(ちなみにインギ様のライヴでは、お前それ間違えたろっつう部分をむりやり速弾きで誤魔化しているように
しか聞こえないシーンがかなり登場しますが、これは本人いわくインプロヴァイズという高等テクニック
でして、間違えたわけじゃなく、その場で新しいフレーズを産みだしているのです、ってウソつけ!)
そしてライヴ終盤の頃には、盛り上がりまくる観客につられて、インギ様の頭の中味もすっかり盛り上がって
しまったようでして"BLITZKRIEG"・"FAR BEYOND SUN"では修羅のごとく弾きまくり。マジ素晴らしいです。
もうね、嬉しくて気持ちよくて仕方ないんだろうなあ‥とまあ、そんな弾きっぷり。い〜い感じだァ!
ただ非常に残念なことを一つあげるとするならば、協奏してる筈のオーケストラ楽団の存在は、この時点の
彼の脳みそ内には存在していなかったと思われ(すっかり忘却の彼方に)。加えて言うならばオケとの
協奏という目的そのものまでもが、この時点ですっかり吹き飛んでしまっているものと思われ。
本末転倒っぽいぜ、流石だインギ様!これぞインギ様!(誉めてるのよ?)
1 :BLACK STAR OVERTUNE
2 :TRILOGY SUITE OP5, The First Movement
3 :BROTHERS
4 :ICARUS DREAM Fanfare
5 :CAVALLIANO RAMPANTE
6 :FUGUE
7 :PRELUDE TO APRIL
8 :TOCCATA
9 :ANDANTE
10:SARABANDE
11:ALLEGRO
12:ADAGIO
13:VIVACE
14:PRESTO VIVACE
15:FINALE
16:BLITZKRIEG
17:FAR BEYOND THE SUN
*And Now
(2002 〜 )
2002年:ATTACK!! / YNGWIE J MALMSTEEN,S RISING FORCE リリース。
01年に行われた「WAR TO END ALL WARS」ヨーロッパ・ツアーにおいての各メンバーのパフォーマンスに
いたく御満悦だったインギ様。
「今のバンドには満足している!次のアルバムもたぶんこのメンバーでつくるよ!」などと言っておきながら
蓋を開けてみれば、今回の参加メンバーはこんなんなってました。
<第6期 ライジング・フォース:メンバー>
・イングヴェイ・マルムスティーン(G/B)
・デレク・ジュニアン(Key)
・パトリック・ヨハンソン(Ds)
・ドゥギー・ホワイト(Vo)
…え? マッツ・オラウソンとマーク・ボールズは??? と、普通なら大騒ぎになる筈なのですが、
非常に残念ながら今回の新規参加メンバーが予想外に大物だった為、彼等のクビが話題にされることは一切
ありませんでした、合掌。
というわけで元レインボーのドゥギー・ホワイトと、元ドリーム・シアターのデレク・ジュニアンという非常に
豪華なメンバーを集めて作成された今回のアルバム。一言で言ってしまうなら「当たり」の部類に入ります。
元々リッチー・ブラックモアの世界観をパクり…じゃなくて踏襲しているインギ・ワールドに、元レインボーの
ドゥギーの声がハマるのはまあ予想がついたにしても、この楽曲の出来の良さはむしろ予想外。
出だしのリフが抜群の疾走感を演出している"SHIPS
OF FOOLS"や、"IN THE NAME OF GOD"・"VALHALLA"
などのテンション上がりまくりの曲に加えて、このアルバムにおける楽曲の良さを顕著に示す"BAROQUE & ROLL"
(別名:ドラクエのラダトームのお城のテーマのパクりング)や、痛烈にメロウな泣きが入る"MAJESTIC BLUE"
などの2曲インスト曲の存在が、全体の完成度の高さを伺わせてくれます。
ちなみに今回のやっちゃった曲 → "FREEDOM
ISN,T FREE"だから、いい加減ジミヘンの真似はやめろって。
絶対かなわないンだから。あとおまえは歌ァ下手なンだから歌うな。
1 :RAZOR EATER
2 :RISE UP
3 :VALLEY OG KINGS
4 :SHIPS OF FOOLS
5 :ATTACK!!
6 :BAROQUE & ROLL
7 :STRONGHOLD
8 :MAD DOG
9 :IN THE NAME OF GOD
10:FREEDOM ISN,T FREE
11:MAJESTIC BLUE
12:VALHALLA
13:TOUCH IN THE SKY
14:IRON CLAD
15:AIR
16:NOBODY,S FOOL
2002年:THE GENESIS / YNGWIE J MALMSTEEN リリース。
インギ様スウェーデン時代に制作された若き日のデモ音源のオリジナルをリマスタリングした企画もの。
1980年のインギ様素人時代の音源だけあって音はモヘモヘしてるわ、曲としての様相を成してないわで
正直こんなの売るなよ!という感じの代物なんですが、曲のところどころにインギ様おなじみ曲のリフが
("RISING FORCE"とか"I,LL SEE THE LIGHT"とか)入っていたりして、「あの曲の原型はこんなんだった
んだななあ」と浸り入るノスタルジックな楽しみ方も出来なくもないので、インギ様大ファンの人はとりあえず
抑えとけ、とかそンな感じのアルバムです。
1 :BIRTH OF THE SUN
2 :PLAGUE IN LUCIFER,S MIND
3 :DYING MAN
4 :BLACK MAGIC SUITE OP3
5 :MERLIN,S CASTLE
6 :VOODOO NIGHTS
7 :なんかインギ様がホザいてる
8 :VOODOO CHILD
9 :ON A SERIOUS NOTE