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サソリ沼の迷路:スティーブ・ジャクソン



これまでに君は賢明にも、歩きにくい小道が縦横に交差する、
恐るべきサソリ沼に踏み込むのを避けていた。
そこに住みつく生きものは、悪夢のような伝説を産みだしてきた。
だが、サソリ沼の財宝と栄光はいまや君をさし招くのだ。

3人の魔法使いのだれに仕えるかで、3とおりの任務が与えられる。
君はこの挑戦を無視できるか!


久々にS・ジャクソン登場。
冒険の世界も、ここのところ3作連続だったアランシアの地から、暗黒大陸クールへと移されます。
そのクールの北西に位置するサソリ沼と呼ばれる湿地帯が今回の冒険の舞台となります。

今回の目的は、「善・中立・悪のどの魔法使いに仕えるかを選び、その魔法使いの依頼を果すこと」です。
ちなみにそれぞれの魔法使い達の依頼内容はこンなんです。
 ・善の魔法使い:アンセリカという貴重な植物の実を持ち帰ること
 ・中立の魔法使い:沼地を北へ向かって通り抜け、ウィロウベンドへと至る道を発見し、その地図をつくること
 ・悪の魔法使い:沼のあるじたちの持つ護符を少なくとも3つ手にいれ、彼のもとへ届けること

どの魔法使いを選ぶかによって、使える魔法の種類も異なってくるし、接する相手の態度も違ってきます。
そのあたりのかけひきが今回の冒険の面白さとも言えるでしょう。
加えて、善・中立・悪のそれぞれの冒険を1冊の本で楽しめるのもおいしいかぎり。

さらに、もう一つの特徴として、今冒険では今まで通過してきた道筋を戻ることが可能になっています。
数々の選択肢はあれど決して同じ場所に戻る事はできなかったゲームブック特有の1本道ストーリーからの
脱却を図ったところからも、ジャクソンのこの本に対するチャレンジ意欲が伺えます。

色々な実験的要素がとにかくたくさん盛り込まれた作品。そういう意味では異色中の異色かも。




ギャラリー



空地に足を踏み入れると、飛んできた1本の矢が頭をかすめる。
3人の汚らしい沼オークが弓を構えている。


キミのその間抜けツラに乾杯。
もうギャグにしかならない。




まわりには見なれない木が何本か立っている、
色は深緑で、かなり小さく、曲がりくねった枝がついている。
ふち気づくと、枝は剣を握りしめ、動いているではないか!
恐ろしい剣の木が襲いかかってくるのだ!

恐ろしいか? 
いや、ある意味 恐ろしいかも。こンなのが剣もってこっちに走ってきたらそりゃ堪らないかも。
もはやギャグにもならない。




空き地の真ん中に豪華な天幕がもうけてある。全体が湿っぽい地面の上に浮かんでいるらしい。
天幕は銀灰色をしていて、クモの糸で紡いだ絹のような光沢を放っている。
天幕の中に、大男が腰掛けている。濃いあご髭と白い眉、天幕と同じ色をしたローブ。
首にかけている、銀でできたクモの護符。この男はクモのあるじなのだ。


うわあ、すげえ威厳バリバリのおっさん。
なンか見るからにムカつくので、こう↓したった。



「悪いやつには悪の魔法を使うのが一番だ!」と君は考え、クモのあるじに<呪い>の術をかける。
彼は悲鳴をあげ、身もだえして地面に転がり落ちる。動きまわって姿かたちを変え、身を起こす。
<呪い>の術は彼を配下の生きものに‥‥人間の顔を持つ、巨大な灰色のクモに変えたのだ!

・・・いや、悪いけど、あんま変わってないっス。




君は凄まじい悪臭を無視して、塔の探索を続ける。
楽しげに鼻歌を口ずさみながら、本や金の彫像をザックに詰める。
とつぜん、なにかがこすれるような音が聞こえる。すばやく振り向くと黒い巨大な影が目に入る。
ふたつの細長い光る目が、暗闇のなかから君を見つめている。

「ありがとう、人間よ」 かすれた低い声が響く。

「わたしは長いこと彼の魂を求めていた。いまや、これはわたしのものだ」

影がグリムズレイドの死体におおいかぶさるのを見て、君は恐ろしさのあまり、逃げようとする。
だが、もはや手遅れだ。君が扉まで行きつかないうちに、硫黄の臭いは耐えがたいほどになる。
そして、塔は赤い炎をあげて爆発する。君の冒険は終わった。

悪の魔法使いをブッ倒してもグズグズしてるとこうなる。
いつだって生き残るコツは「臆病さ」だ。



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