[MySelf]


3月31日

<先端プレイ、その4>

誰から命じられたわけでもないのに精子が卵子を目指す本能のごとく、
地図上の尖った場所へただただ行ってみたいという根源的欲求に、今後とも忠実で
あり続けようと思っているミー。結局のところ旅立つ理由付けをしたいだけのような
気もしてきましたがそれはそれで由!、というわけで今回の先端行はこちら、
三重県は志摩半島を中心に回ってきました。



まあ縮尺大き目の地図上だと、単なる出っ張りにしか見えないんですけれども、
でも志摩半島部分のところを拡大してみると…?



ほらメッチャ尖ってるポイントがこんなにも。
てなわけでまずは最初の先端地点に至る道程の途中、ここ志摩半島内においては最も
有名なビューポイントとされる鳥羽展望台を目指すことに。



てことで「鳥羽展望台」に早速到着。大平洋が一望できすぎる〜
とはいえ、一面真っ青な海だけってのも眺望的にはなんか味気ないなーと思っていたら、
駐車場から少し離れた丘の上にも別の展望台があるのを発見。んでそこへ行ってみたら…



あ、まず南を見れば、これから通る予定の湾岸道路「パールロード」が海岸線沿いに
うねりながら伸びていくのが一望できて…



次に北東側を望めば、なんか遠方に島らしき影が点々と見えますな。



説明碑によると、左手前に見えているのが「さあ、その火を飛び越して来い!」の
一節で有名な三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台になった「神島」で、右奥が愛知県を
代表する2大半島の片翼たる「渥美半島」だとか。
うん、駐車場近くの展望ポイントよりも、こっちの方が景色的には全然面白いかも。
ただこの場所、海風が異常に強い上に12月中旬という季節柄もあり、とにかく寒くて
たまらない… というわけで展望もそこそこに、駐車場近くのレストハウスへと退避。



したら寒風吹きすさぶ中をやせ我慢して眺めてた先程の景色と同じものが、この中でも
余裕で見えやがるのな。しかも当然暖かくて快適ときたもん先程までの忍耐は一体?
なのでここ鳥羽展望台へ冬に行くという方におかれては、最初からレストハウスを目指すが吉、
ということを伝えておきたいと思います。



んで、さっきまで眺めていたパールロードを南下して次に向かったのが、
ここ志摩半島の特徴たる複雑怪奇な海岸線を持つ「的矢湾」の北口に当たる先端地、
菅崎は「春雨展望台」。



で、その景観はこんな感じ。
うーん、かなり逆光がきついけど、地球の丸さがよく分かる光景すな。
遠方にちょいと出っ張って見えるのは、これから向かう予定の安乗埼灯台、の筈。



ちなみにここはガダルカナルやソロモン海戦において活躍した駆逐艦「春雨」が嵐に
巻き込まれて座礁、乗組員64名中44名が亡くなるという大惨事があった場所でも
あるそうで、近くにはその供養碑がありました。



さて次は、ということで、今度は的矢湾の南口玄関に当たる先端地「安乗埼灯台」へ。
灯台的には珍しい四角柱型なこと、映画「喜びも悲しみも幾星霜」の舞台となったことで
一部マニアに知られ、日本の灯台50選にも選ばれているとか。



そしてこの灯台は実際にその内部に入っての展望プレイが可能、ということで、
早速入口を… て、施錠されてる?強風につき、本日は拝観中止? なんてこった…!



しばしの放心後、なんとか気を取り直して灯台近くの崖から展望開始。
なる程、ここはさっきまでいた春雨展望台とは180度逆視点の眺望になるわけすな。
そしてこちらからは逆光じゃないので、菅崎及び展望台がかなりクリアに見えますな。
しかしあの展望台、あんな崖の上にあったんだ。道理で辿り着くのに難儀したわけだわ。



視点を崖下の方に移せば、防波堤の一番先に灯台らしき別の塔が?
湾へ一直線に伸びる防波堤の長さも手伝って、海原にポツンとある孤島ならぬ孤塔感が
半端ないことに。時間的余裕があればこの塔の近くにも行ってみたかったんですが既に
日が暮れかけていることもあって今回は断念。



さて、本日のラストは先程見た的矢湾と並んで複雑なリアス海岸を有する「英虞湾」の
全景を、賢島近くの横山山頂にある「横山展望台」から眺めることに。視点は上図参照。
前方に高い樹木などの障害物がない上、かなり中空へ張り出して設置されている展望台
だったもんで、それなりに期待してはいたんですけど…



いやあ超ブラボー。今まで結構な数の展望台に昇ってきましたが、多島美ということで
いうなら、広島はしまなみ海道の因島にある因島公園かここかってくらいのベスト眺望。
ついでに今旅はせっかくだから面白いところに泊まろうってことで、両日ともこの湾内に
浮かぶ島の宿をとっておいたんですが、その宿がある横山島と間埼島が一望出来る辺りも
実に嬉しいところ。それにしても英虞湾なにこれ? いくら何でも入り組みすぎしょ? 
もし海賊ホイホイというものがあったなら、たぶんこんな感じなんじゃないかと。



はい、てことで本日の観光メニューも無事終了したので、今夜の宿である石山荘の方に
賢島の桟橋まで自家用車ならぬ自家用船で迎えにきてもらって早速「横山島」へとゴー。
ちなみにこの島、周囲1キロちょいしかない小島で、この旅館以外には養殖用の小屋が
あるくらい、島の住人も宿のスタッフのみだそうで。



それにしても英虞湾に沈みゆく夕陽を眺めながらビールで一杯とかマジ最高すぎ。
夕飯も地魚とサザエの刺身に車海老の揚げ物、更には魚介鍋とか量が半端なさすぎて
ものの見事に満腹&満足、初日は海鮮尽くしできっちり仕上げられました。


<二日目>



中日の初っ端は観光の王道たる遊覧船プレイにて、英虞湾をクルージングすることに。
そしてその船がこれまた長崎ハウステンボスのワンピース船ばりに立派ときたもんで、
すっかり気分がアガってきた勢いまんま、船首部分に仁王だってルフィを気取ってみましたが、
これがもう寒いこと寒いこと。無理、5分と持ちませんでした。12月の志摩の寒さ、
マジぱないすな。



昨日の横山展望台から見たイメージから考えるに、さぞかし湾内の景観は入り組んで
いるんだろうなと思いきや、なんかわりと広々感。そして湾の左右を半島に囲まれて
いるのがよく分かるビューでした。上写真の左が先志摩半島、右が大島半島だそう。



図で見るとこんな感じ。これから訪れる予定の先志摩半島が一望できて、その尖ってる
度合が肉眼で確認できたのは地形マニア的にかなり収穫。



そして船は180度ターンして出航場所の賢島へと。視界先には昨日にその山頂で
展望プレイを楽しんだ横山が。あと湾内、養殖用筏の存在がやたら目立ってました。
これ、似たような形でもそれぞれ用途が違うそうで、ざっとカキ、真珠、青海苔、ハマチ、
タイ用のそれがあるんだとか。



んで次。先志摩半島へ向かう途中にて「大王埼灯台」に寄り道。
地形上の尖り度合はちょい微妙だけど、一応ここも先端地ってことで。



前日の安乗埼灯台同様、この灯台も中に入れるってことなので早速イン&クライム、
その塔頂22メートルからの眺めはこんな感じ。あ、まあ海岸線美はなかなか。



ふと下を見下ろせば… ん、なるほど。海の110兼119は118番なんすね、
また一つ利口になりました。豆知識ついでにもう一つ、隣接の資料館によると全国に
登れる灯台は15あるとか。参考までにそのリストを北から南順に羅列。

 ・塩野崎灯台(福島)
 ・入道埼灯台(秋田)
 ・犬吠埼灯台(千葉)
 ・野島埼灯台(千葉)
 ・観音崎灯台(神奈川)
 ・御前崎灯台(静岡)
 ・初島灯台(静岡)
 ・安乗埼灯台(三重)
 ・大王埼灯台(三重)
 ・潮岬灯台(和歌山)
 ・日御埼灯台(島根)
 ・角島灯台(山口)
 ・都井岬灯台(宮崎)
 ・残波岬灯台(沖縄)
 ・平安崎灯台(宮古島)

現在、日本にある灯台の数は3300弱と言われているから思ったより少ないですね。
だけどこの程度の数ならコンプも夢ではないなあ。また一つ、趣味が増えちゃいそう。



さて、次はいよいよメインディッシュ、ここ志摩で最も尖った場所と思われる
「先志摩半島」、そこの先端周辺にある目ぼしい観光ポイントを巡ってみることに。
まずはかの空海こと弘法大師が布教活動で訪れた際、近くの岩に自らの爪を使って
不動明王の御像を刻み、それを本尊にして建立したとされている「爪切不動尊」へ。
ここ数年、全国を旅行し始めるようになって気づいた事なんですけど、この空海さん、
離島を除いたどんな地域のどんな場所にもその足跡を残していらっしゃるんですよね。
しかも交通手段がほぼオール徒歩だった平安時代に?どれだけ超人なんだって話です。



ほいでもってこちらが空海さん本人がその爪で掘ったとされる岩石群。
流石にホンモノならここまで無造作に置かれているわけないと思うので、ハク付けの為
後日設置されたものだとは思うけど、それでも何かありがたいオーラを感じ…ないだと?
(後で調べたら、ここの梵字が掘られている石は空海本人が掘ったかはともかくとして、
全て室町時代作の歴史的価値が高いものだそうです。そんなものをこんなにも無造作に?
ここの神社、自然体すぎるというか懐深いわー)



お、神社の裏手にちょっとした池をハケーン。
鯉用の餌も無人販売されていたので、早速フィーディング・プレイ開始。
てか佇まい的に地味目な池なのに、そこに棲む錦鯉ズ達はえらく立派ですな。
外見は地味でも中身は雅なところに侘びテイストを(勝手に)感じてしまったので、
ここのお鯉様には多めの二袋を献上しておきました。



次は爪切不動尊のすぐ近くにある「金比羅山」に登ってお馴染みの展望台プレイを。
海抜110mなだけあって、10分ちょい緩めの坂を登る程度のイージーモードでした。



高さがそんなにない分、前日の横山と比べると少々浅めな眺望でしたけど、
それでも大河のように左右へと伸びている英虞湾の奥景色は存分に堪能できました。
湾の手前に茂る樹木の密集度を見るに、紅葉時期に見たらさぞかし趣深いだろうなと。



さて、次はいよいよここ先志摩半島の最深部、御座地区へ。
そして東海地方でも有数の遠浅ビーチとされる「御座白浜海水浴場」越しにその
先端部分を…確認! 事前情報によるとその先端にある御座岬灯台からの眺望は
あまり良くないということでそこはカット。しっかしここの海、透明度バリ高いわー



先っぽまで行ったついでに、腰下の病に効果があると言われる港近くの「前立地蔵」に
お参りして、最近の小便の切れの悪さ改善を祈願。
この場所、奥まった港の先という立地場所も手伝って、パワースポット的な雰囲気が
かなり強いので、神社仏閣スキーな属性の方には一推しておきます。



中日の最後は、英虞湾の海岸線美を昨日の横山からとは別の角度で見てみよう
ってことで、先志摩半島の根本付近にある「ともやま公園」の登茂山展望台へと。



登茂山とネーミングされてるだけあって一応ここは山頂なんですがその標高は
48mという丘陵レベルであり、残念ながらその眺望もいまいち角度浅めのものに。
とはいえ、本日宿泊予定の間埼島の姿がはっきりと見えたのは良かったかな。



はい、本日も無事日が暮れましたー、てことで昨日とまったく同じ場所である
賢島の桟橋から、これまた昨日とまったく同じシチュの自家用船送迎でもって、
一路…じゃなくて海路を「間埼島」へとゴー。「民宿旅館・美城」へ。



そしてこれまた昨日同様、海鮮地獄がお待ちかね。
その量こそ少し減ったものの、旬の刺身&海鮮鍋に加えて、イセエビ丸々一匹の
刺身とアワビのステーキ付という、質においてはよもやのグレードアップ。
英虞湾の島宿、マジ最高〜


<三日目>



志摩ならびに島の朝は早い…、てことで宿のウッドデッキから湾をしばし眺めた後、
そのまま早朝からここ間埼島を散策することに。そしたら開始5分でお犬様に遭遇。
よもやの野犬…?と思いきや、どうやら飼い主は近くにいらっしゃった模様。
東京圏じゃリードを付けないでも散歩可能な環境ってあまり目にしないだけに実は
新鮮な光景だったのかも。



引き続き島西部の海岸へと向かう一本道を歩いていたら、今度は小学校の跡地らしき
広場に「間埼いきいきセンター」なる建物を発見。そのネーミングと周囲の閑散とした
雰囲気とのギャップたるや。てかあまりいきいきしてなくね?



そのまま道を突きあたり、間崎小公園エリアまで歩いたところでビーチを発見。
ヤシの木が点在する海岸前の広場といい、堤防まで伸びるトンボロ状の砂浜といい、
これはかなり良さげなビーチ…! 島民いわく何もないとされるこの島に、
夏になると大勢の海水浴客が押し寄せるその理由がなんとなく分かったような気が。



そのビーチ近くにて「天真名井神社」という神社を見つけたので、ちょいとお参り。
入口近くに何か曰くありそげな祀られ岩を見つけましたが、由来の説明とか特にナシ。
スサノオノミコトなど12柱神を祀っている神社らしいけど、何か関係あるのかな?



最後に間埼漁港付近から、昨日観光した対岸の先志摩半島一帯を望み見てみたり。
こうやって実際の肉眼で見る地形が事前に確認した地図上イメージと何となくリンク
する瞬間って、こういう眺望の醍醐味だと思います。
養殖用筏の向こう側に見えるアーチ橋は半島の入口に当たる志摩パールブリッジかな。
ちな、ここ間埼島の地図とか旅館とか商店とかもろもろ情報が掲載されているサイトを
後日見つけたので、参考までに貼っておきます



そして英虞湾の浅瀬付近にて拝める多島美を眺めつつ、間埼島よ、さようなら。
宿の御主人に賢島の港まで送ってもらったところで、志摩半島巡りはほぼコンプかな。


<おまけ>



この後、折からのドン雨降りしきる中を強引に「伊勢神宮」参りしてきたので、
その写真を何枚か。まずは古くからの慣わし通り、衣食住を司る豊受大御神を祀る
「外宮」から参拝することに。



まずこちらの左は風雨などの天候を司る豊作物の守護神を祀っている「風の宮」。
右側はここ外宮一帯の鎮守の神として祀られていた地主神が鎮座する「土の宮」。
…そーなんですよね、出雲大社に行った時も思ったんですけど、神社系ってその
佇まいが大手でもわりかし地味めなんですよね。



で、石段を登った先にあったこちらが本尊たる豊受大御神の荒御霊が祀られている
「多賀宮」。あ、こちらはちょい金ピカ入ってて一番見映え利いてるかも。



そんでもってこちらがここ外宮の終点にして一番の見所、豊受大御神自身が鎮座
ましましている場所とされる「正宮」… なんだけどこの手の神社のお約束通り、
門内は撮影禁止なんでその外からパシャリ。しかも鎮座場所の正殿自体は幾つもの
御垣に囲まれた更にその奥なのでほぼ見えず仕舞い。うーん、なんだかなあ。



まあ、こんな雨の日の参拝ってのも、そういう時にしか味わえない雰囲気って
ものを楽しもうと思えばそんなに悪くないんじゃない?みたいな事をまだこの時は
思っていたんですけどね。



さて、次に向かうは日本人の総氏神にしてパズドラのさいかわ神こと天照大御神を
祀る「内宮」。その門構えはというと…おお、大鳥居の側に屹立する大木の荘厳さも
手伝って、流石に貫録といった感ありですな。



そのまま鳥居の先にある宇治橋を渡って内宮の中へと。
ちなみにこの橋、ここ20年で一億人が渡るらしく、その間に檜ばりの敷板は
5センチ弱も擦り減るとか。



この時点で靴の中がグズグズになるレベルで雨が強くなってきていたので、
色々すっ飛ばしていきなり「正宮」へと。もちろん外宮のそれ同様、近辺は撮影規制
かかりまくりなので、とりま門近くの階段下から一枚。加えてアマテラスちゃんがおわす
正殿の方も外宮と同じく幾重もの垣根に守られていて、こちらはチラ見すらほぼ不可能。
出雲大社の本殿は裏から回ればその後ろ姿は眺められるだけに、伊勢神宮にも似たような
配慮を望みたいところですが… まあ格式的に無理っぽい?



正宮からの帰り道、アマテラスちゃんの荒御霊を祀っている「荒祭宮」に寄り道。
しっかしこんだけ雨が降ってるにもかかわらず、この人出というのは単純に凄いなあと。
全体的に地味めな佇まいのわりに人気ありすぎだろ伊勢神宮。



その後、鶏さんの雨宿りに少々癒されるも、更に勢いを増した雨を前に、外宮の時みたく
その時ならではの雰囲気を楽しむ余裕も完全に失って、速やかな撤退を余儀なくされた次第。
はい、そんなこんなで今回の志摩半島巡り、無事終了〜。

今回の先端行においてはその眺望を上回ってとにかく飯、それも海鮮系が最高すぎたという
印象が強かったです。多少、食に重きをおいた旅ではあったけれども、何処で何を食っても
全部うまかったもんなあ。というわけでここ志摩は魚介系推し、それも英虞湾付近の島宿で
食される事を強くオススメしておきます。やっぱり志摩だけに島!(…老いを如実に実感中)


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