混沌の廃墟にて -273-

Windows 95を再起動します

1999-05-17 (最終更新: 1999-05-21)

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 VAIO PCG-505RXを使い始めて困ったのは、WZ Editorの挙動である。ファイラー を使って選択すると、指定したファイルをウィンドウで開くのだが、その新しく 開いたウィンドウが前に出てこないのである。いくら何でもこれはFAQだろうと 思ったので、

WZ EDITOR 3.0

 から調べてみると、やはり、トップページの最後の所にWindows 98で何か仕様 変更になったのが原因らしいと書いてあった。このような仕様変更をする理由が さっぱりわからない。既存のWindows 95用アプリケーションが困ることは分かり 切っているはずだから、まさか、マイクロソフトの嫌がらせ…というようなこと はないと思うので、もしかするとWindows 98を使うのならWindows 98用のソフト を買え、ということなのかもしれない。

 とりあえず、そのページに紹介されていたリンクをたどって、マイクロソフト のページに行って対応方法を調べる。

W98 :メッセージボックスがデスクトップの背後に隠れる

 というページである。ちなみに、このページに関する情報は、マイクロソフト がわざわざ書いてくれているからありがたい。

  最終更新日: 98/08/26
  文書番号: J044951

 というものである。

 さて、ここに書いてある対策を施せばよいのだが、これがまた無茶苦茶難しか ったのだ。Windows 98が何本売れたか知らないが、多分1万人のユーザーがいた ら、その中で実行できるのは1人いるかいないか、というような難解極まる作業 だったので、とっても面白いので、その詳細をメモしておいたのである。顛末は 次の通り。


 (1) レジストリ エディタ (REGEDIT.EXE) を起動する。まあこれはいいでしょ う。スタートメニューから名前を指定して実行するのだ。pcに慣れていればいい ですけど、本来はここでビビるというのが正しいリアクションのはずである。素 人がいじるととんでもないことになのがREGEDITなのだ。


 (2) マイクロソフトの次の指示は何だ。

  HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop を選択しろ

 という趣旨のことなのだ。選択するのも簡単だと思うだろ。私はここで挫折し かけた。なぜなら、Control Panelの下には

  desktop

 は存在するのだが、

  Desktop

 などという項目はないのである。ないものを選択するというのは並大抵の作業 ではないのだ。しかし泣き言はいってられない。強引にマインドコントロールを 自分にかけて、これは小文字、小文字、小文字、ほら小文字だ。という感じで解 決。

 多分1万人中、5000人がここで脱落するはずだ。


(3) 次の指令は? メニューから [編集] - [新規作成] - [バイナリ] をクリ ック。だそうだ。これも難しいぞ。なぜなら[編集]メニューには[新規]という項 目はあるが、[新規作成]なんて項目はないのだ。

 何を細かいことを、と言われるかもしれないが、[新規作成]と[新規]が同じで ある保証はどこにもないのである。ましてやコンピュータの世界の話だ。Dとdが 違う文字であることは自明でしょう。文字数まで違うというのは全く違う存在と いうのも当たり前。

 だから、もう一度マインドコントロールだ。作成って書いてあるだろ、あるだ ろ、あるだろ、ほらあるじゃないか。というわけで、[新規作成]をクリックする。

 ここで残りのうち2000人脱落とみた。


(4) さて、マイクロソフトから与えられた次の指令だ。ForegroundLockTimeout という名前のバイナリ値のレジストリを新規作成して、値を「00 00 00 00」に しろ、という内容である。

 値の設定というのはどうするんだろうか。名前を入力したのはいいが、値が0 のままである。表示されているデータのところをクリックしてもダブルクリック しても無反応。実はそのままメニューの[変更]を指定すればよい、ということが 判明。値が既に0 0 0 0となっているように見えるのだが、さて、これって00 00 00 00 と違うんか? 同じなのか? こういう時には入力してみるに限る。実は この0 0 0 0 というのはアドレスか何かだったようだ。0と入力したらその右に 何やら入力されて、確かに00 00 00 00 という感じにできた。よっしゃ。

 まあここまででさらに2000人脱落して、残るは1000人ってとこか。


(5) さあ、最後の難関であります。マイクロソフトのページに書かれている次 の指示は、

 「レジストリ エディタを終了し、レジストリの内容を反映させるため、

    Windows 95

  を再起動します。」

 なのである。原文のまま。

 すなわち、何とWindows 98でWindows 95互換の機能を使うためには、Windows 95を起動しなければいけなかったのだ。そりゃ互換になるだろ。確実だし。しか しPCG-505RXに、Windows 95をインストールしなくてはいけないのか。世間はそ こまでするのか。いやまさか、ここで残りの999人は挫折するだろうと思います、 はい。私も挫折します。ではみなさん、さようなら。


 ま、くだらない話ではありますが、要するに誤記だらけだってことだ。Windows 98を再起動すれば一応期待通りの仕様になりましたので、念の為。

 本質的には、Windows 95とWindows 98で、システムコールが戻す値が変わった、 というのがどうもよく分からないが、それは別の話。ユーザーサポートのための ページが誤記だらけというのは、利用者をナメているとしか思えない。これが赤 字でひーひー言っているメーカーならまだ情状酌量の余地はあるかもしれないが、 マイクロソフトであります。トップが世界有数の大金持ちになれるほどの利益が 出ている企業なのであります。どうしてそんなに金が集まるのか不思議だと思っ ていたが、ユーザーサポートのページを見なおす人件費まで削って経営している わけだから、そりゃ儲かるわけだ。

 もう一つおかしい話がある。WZ Editorも結構ユーザーの多いソフトのはずだ。 ベストセラーと言ってもよいと思う。Windows 98でWZ Editorを使っているのが 私だけ、というのならともかく、実際かなり多数のユーザーがいる筈ではなかろ うか。ということは、同じ問題に悩んだ人が大勢いて、このページを見た人も結 構いるんじゃないか、という所まで推測可能である。

 Windows 95を再起動しろ、なんていうどうしようもないtypoを、マイクロソフ トに連絡した人が一人もいないのだろうか、あるいは連絡しているのにマイクロ ソフトのWeb担当者が直さないのか? そこまで人件費を削るか??

 え、私ですか、連絡しませんよ。サポートに電話かけるとお金を取られるんじ ゃなかったっけ。ユーザーがサポートする時はお金くれるのならあるいは…。だ いたいこんな誤記は広報部とかWeb担当が給料もらって直す仕事だろ。なんでユー ザーが金を払って直さないといかんの?

 以上。


 という原稿を書いたのが、ファイルのタイムスタンプを見ると、1998-12-15 となっている。いきなり「使い始めて」と書いてあるのはそのためだ。いまいち 面白くなかったので没にしたのである。

 この原稿が出てきて、「いとなつかし」と思ったので、そういえばどうなった のかな、と思ってもう一度問題のページを確かめてみた。表示はまだ Windows 95 のままである。Last Updated は 99/01/12 だから、これを書いた後に何か修正 があったらしい。

 昔、ニフティサーブのページ内に「beginers」という綴りがあって、いつ修正 されるか(beginners が正しい)というのを会議室「ROM墓場からの声」で賭けた のだが、1999年になってもそのまま、というのは意外だった。1999年5月17日現 在、まだそうなっている。もしかしたら、誤記を承知で最初の版のまま残すとい う方針なのかもしれない。それならそれで正誤表のページを別に作ればよさそう なものだが。

 こういうのは検索エンジンで「beginers」でサーチすると一発で出てくるから 発見しやすい。しかし、Windows 98とすべき所がWindows 95になっていたら、発 見困難かもしれない、と今ごろになって思ったりする。

 なお、実際に「beginers」というキーで検索したら300件弱出てくるかもしれ ないけど、その時は「ニフティ」で絞ってみればよく絞れますから、お試しあれ。 もっとも、ニフティの担当者がこれを読んで速攻で修正してしまったら終了なの で、その場合はご容赦いただければ幸いである。なにが。

 いきなりとんでもないネタなのもアレだが、最近ちょっとスランプなので、思 い切って「廃墟にて」の再開を飾ってみることにした。


        COMPUTING AT CHAOS RUINS -273-
        1999-05-17 NIFTY SERVE FPROGORG mes(6)-264
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