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残った規約をざっと眺めておきたい。
第27条、第28条がインターネットに関する規約である。これがアナウンスに書 かれていた「インターネットの普及などの変化に対応する」ことらしい。内容と しては、ニフティは回線を提供するだけで、その内容は関知しない。接続先のルー ルを守ってくれ。これはごく「あたりまえ」のものだと思うので、その点は特に 考察すべきこともない。
ただし、運用については、NIFTY-Serve会員規約と接続先のルールが矛盾する場 合にどうすればよいか、という問題が残っている。
では、ここでクイズを。NIFTY-Serve内では営業活動は禁止されている。インター ネットのtnnというニュースグループは営利目的の投稿が承認されている。tnnに はNIFTY-Serveから書くことができる。さて、NIFTY-Serve会員は、NIFTY-Serveか らtnnに営利目的の投稿を行うことができるか?
*第35条の2が、その営業活動に関する規約となっている。
> 第35条(営業活動の禁止) > 1. 会員は、ニフティが承認した場合を除き、 NIFTY-Serveを使用して営業 > 活動、営利を目的とした利用及びその準備を目的とした利用をすること > ができません。営業活動だけでなく、その準備を目的とした利用ができないのだが、営業活動 の準備というのは一体何のことだろうか? これだけではよくわからない。ただ、 この条については、RULES内の「ニフティからのお知らせ」に、具体的な例が列挙 されているので、それを参考にすると分かりやすい。
> 1.会員規約第35条 1項の「営業活動、営利を目的とした利用、及びその準備 > を目的とした利用」とは次のような利用を言います。このような利用は35 > 条 1項により禁止されていますのでご注意ください。 > ○次の各号に該当する利用、または、その準備を目的とした利用 > 1)営利を目的として動産、不動産、有価証券、サービス等を販売するこ > と、およびそのための宣伝、広告、告知等を行うこと > 2)営利を目的としてにサービス、企画、イベント等への参加を勧誘する > ること > 3)求人活動を行うこと > 4)その他ニフティが営業行為と認めるもの例えば「当社の新製品カタログ」を掲示するのは宣伝そのものだからNGだろう。 そのカタログの文章を書くワープロをバージョンアップしたら動かなくなったの で理由を質問する、というのはどうなのか。「または、その準備を目的にした利 用」に該当しそうな気がするが…。
シェアウェアの配布は1)に該当するのだろうか? もっとも、これは現に容認さ れている行為なので、問題なさそうだが。
「営利を目的としてに」の意味が分からない? 「目的として」と「目的に」の 意味を合計して2で割っておけばいいんじゃないか。無視してもよかったのだが、 黙っていると「フッロピー」みたいに行き着く所までそのまま掲示されそうなの で、一応チェックしたのである。なお、この手の誤記はNIFTY-Serveの場合、結構 どころか、すごくある。一般会員の皆さんが指摘してみると多分丁寧な返信が来 るのではないかと思うので、暇な時にGO CENTER(無料)でメールを送ってみてはど うだろうか。
*「フッロピー」って何のこと? という人も多いと思うので、余談として紹介し ておこう。1996年3月まで、GO RULESには次の掲示があった。私の記憶が正しけれ ば1992年頃にはこれが既に掲示されていたはずだから、数年の間、そのままずっ と修正されずに残っていたことになる。
> また、フリーソフトウェアの中には作者によって複製権が放棄され、フッロピ > ーによる複製、他ネットヘの転載が自由にできる旨、宣言されているものがあ > ります。 (GO RULES(会員規約とお願い)/5. 著作物に関する権利関係/ 1. 基本的考え方/6. ソフトウェアに関する著作権 より引用。 但し現在は構成変更のため参照不可能)1996年4月に、GO RULESの内容がほぼ全面的にリライトされ、この表現は消滅し た。リライトとはいえ、本質的な内容の変更はない。例えで説明すれば、Windows 3.1がWindows95になったようなものだ。
この誤記(これは流石に間違いなく間違いだろう)は、私は割と早い時期に気付 いたのだが、誰か他の人が突っ込んで修正されて終わりだと思ったし、黙ってい ればいつまで掲示されているか興味もあったので、黙っていたら、とうとう全面 リライト時点までそのままだったのである。誰もこんな所を読んでいないのか、 それとも読んでも気付かないのか、気付いても指摘しないのか。
「だったらおまえが連絡しろ」という声はありそうだが。最初のうちは、確か にこの種の指摘をよくやった。ところが、実は私が問い合わせてもだんだん反映 されなくなって来たのである。現に、最近もちょっと変な個所があって、それが 他の人の誤解を誘発しているようだったので、流石に指摘してみたのだが、見事 に無視されてそのまま掲示されたままだ。こうなると、他にやることもいろいろ あるし、別に「フロッピー」が「フッロピー」になっていても、致命的な誤解の 原因になるとは思えないわけで、わざわざ面倒なことをする気にならない。指摘 する意欲が消滅しているのである。もちろん、重大な誤記なら、いくら何でも黙 ってはいないし、無視されようがされまいが、指摘すべきことは指摘する。
今年になってからWWWでPhinlodaのホームページを公開した。参照数は2月が600 カウントだった(うーむ)。その後なぜか急増したが、3月に3000カウント位である。 現在、RIMNET東京のTOP300からも転落しているという状況である。それでも「こ こは違うのでは?」というメールを送ってくださる方がいるので、とても助かる。 ネットというのは気軽にコミュニケーションできる場だということが再認識でき るのだ。
NIFTY-Serveは会員数150万人のネットだったはず。私だけしか気付かないなん てことがあるわけがない。大勢が指摘しているにもかかわらず、ニフティが無視 して修正しない、などということは多分あり得ないと思うのである。ということ は、大勢が気付いているのに、誰も指摘しないということだろう。NIFTY-Serveが、 なぜそのようなすさんだ状況になってしまったのか考えてみるべきではないか。 もちろん私はその「指摘しない」人の一人なのだから、その理由の一つは知って いることになるが、…今回のテーマとは無関係すぎるので、そろそろ話を戻そう。
*この条は続きがある。新規約で追加されたのである。
> 2. 不特定多数の会員に対して電子メールを送りそれを読むこと或はアンケ > ートに答えること等を強要する行為は、送信者に営利の目的があると否 > とを問わず、これを営業行為とみなし、禁止します。さて、FPROGでは、会員全員にフォーラム近況報告を送付するというサービスを 不定期に実施しているのだが、4月以降はこれは禁止されてしまうと大変だ。実は、 これに関してはニフティに問い合わせた結果、フォーラムの近況を伝えてアクセ スを促すものについては、これを適用する考えはない、という回答をいただいた。 FPROGの近況報告メールは4月に行う予定である。
会議室の発言数999化や、データライブラリの構成変更(かなり前の話だが)、イ エローフラッグ制度導入など、会員へ直接連絡したいことがたくさんあるので、 メールが出せるとありがたい。
2.の文章で分からないのは「読むことを強要する行為」が禁止されている、と いうことである。強要しなければいいわけだ。というより、何をどうすれば強要 するのかがわからない。「必ず読んでくれ」と書くとダメなのだろうか。それと も、単に表現上並列になっているだけなのだろうか。つまり、禁止されているの は不特定多数の会員に電子メールを送ることなのだろうか? だったらNIFTY-Serve に入会した時に送
会員規約変更の目的に、「翻訳調で読みづらかった文言を読みやすいものにす ること」というアナウンスだったが、それ以前の問題として、原則として、意味 が分かる文言にして欲しいと思う。もっとも、場合によっては、わざと曖昧に書 いておいて、解釈に含みを持たせるという方法もある。これもそうなのかもしれ ないが。
蛇足だか、これはあくまでNIFTY-Serve会員規約である。インターネット経由で 非会員が送るメールに関して適用されないことは言うまでもない。ちなみに、私 の場合は、インターネット経由の宣伝メールは2回受け取った経験がある。
*
> 第44条 (退 会)会員規約第38条により、NIFTY-Serveの内容に関する完全性、正確性、その他い かなる保証も行わないということになっているし、完璧でないと嫌というのがコ ンピュータの世界においていかに無意味であるかは個人的に熟知している。
しかし、この
> 「退 会」というのは何なのだろう。
「たい かい」と読むのだろうか。
他にも条文に()付きのタイトルが付記されているものがいくつかある。
> 第5条(会員) > 第18条(準用) > 第28条(準用) > 第32条(決済)見て分かる通り、間に空白があるのは第44条だけなのだ。ということは、何か 意図があったのだと思うのだが、それが分からない。ま、意味としては「退会」 であることが明白なので、別にどうでもいいというわけで。面白いと思ったのは 以降である。
> 2. NIFTY-Serve の会員資格は一身専属性のものとします。ニフティは当該 > 会員の死亡を知り得た時点を以って前項届出があったものとして取り扱 > います。「知った時点」ではなく、「知り得た時点」なのである。これはどのようなこ とを想定しているのだろうか? 例えば、ある時点で明らかにニフティがそれを知 り得たとする。例えば縁起でもないが私が死んだことが各紙一面トップで報道さ れたような場合か。この時点でニフティは「知り得る」わけだから、これで何も しなくても退会届出があったことになる。その後、誰かが私のIDを勝手に使って、 またニフティがそれにたまたま気付かなかったとしても、それはIDの取り消し処 理をしなかったニフティの責任となるのだろうか?
また、会員が行方不明になった場合は、IDはどのような扱いになるだろう。
以前は、退会の手続きは、退会しようとする日の1ヵ月前までに届け出るという ことになっていた。今回の規約改正で、これが消えているのだ。では、いつ届け 出たら受理されるのだろうか。
*第45条、これは前と同じようだ。
> 第45条( NIFTY-Serveの提供の中止) > 1. ニフティは3ヶ月の予告期間を以って会員に通知の上、 NIFTY-Serveの提 > 供を中止することができます。今、NIFTY-Serveがいきなり終了するということを想像している人は、もしかし たら世界中探しても一人もいないだろう。しかし、仮にこの予告が出てしまった ら、皆さんは一体どうするだろうか。
それをイメージしてみてはどうか。ある人は、別にたいしたことではないと思 うだろう。ものすごく大変なことだという人もいるかもしれない。NIFTY-Serveが 生活の中であまりにも重要になってしまったら、こういう場合には困るのだと思 う。
*最後に。いくつかのフォーラムでも話題になった第9条である。
「別途定める一定期間に会員がパスワードの変更を行なった形跡が認められな い」と判断した場合にID使用停止にすることがある、という内容だ。まず、この 規約自体は、個人的には別に悪くないと思う。休眠会員がパスワードを盗まれる 事件が発生しているらしいので、このような事件を防ぐ効果はある。つまり、休 眠している会員はIDが止まってしまうので、パスワードが盗まれるのは非休眠会 員になるはずだ。…いまいち解決になっていない気もするが、効果はありそうだ。
ただ、この「別途定める」という内容が、どこを探しても見つからないのであ る。定められていないのだ。これでは困るので、ニフティに問い合わせたら、別 会議室に掲示したように、
「会員規約第 9条の「別途定める一定期間」は、セキュリティの観点から敢え て会員の方には公表しない」という回答だった。定めるけど教えない、というのだ。(*1)
その会議室では現状はどう考えても「一定期間が定められていない」状態とし か思えないと書いたが、要するに現在のNIFTY-Serveは3秒以内にパスワードを変 えなければIDを停止することに会員は合意している、と言われても何の抗議もで きない状態なのだ。何か変な気がする。
それはともかく、問題は、なぜ公表しないことが「セキュリティの観点」にな るかである。これについては一つだけ合理的な説明が可能だと思うのだが、もし それが当たっていたら、まさにセキュリティの問題になるので、ここでは書かな い。FPROGの会員の皆さんなら、簡単に思い付くことかもしれないが、思い付いて も書かない方がよいと思う。
とりあえず、一定期間内にと言われても、期間が分からなかったら変更しよう がないので大変困ったことになりかねない。ただし、原稿の締め切り間際にいき なりIDを止められたりしたら…NIFTY-Serveのせいにできてラッキー。:-) とこ ろが実は編集も負けてはいない。最近はRIMNET宛てに連絡してくる。編集恐るべ し。
ただ、運用としては、他のシステムから想像して、ログイン時に「あと何日以 内に変更しないとIDが停止します」と表示するとか、メールで連絡が来るとか、 そのような配慮をしてくれないと困る。いきなりSYSOP-IDが停止したら洒落にな らない。
*さてしかし、私の関心は別の所にある。多分、NIFTY-Serveの会員の数割は、パ スワードの変更の方法を知らないと思うのだ。また、そのさらに数割は、教えて もパスワードの変更方法を理解できないだろう。そして、パスワードを変更した ら次からログインできなくなった、というトラブルは急増するだろう。
誰が対応するのか知らないが、他人事ながら、担当者も大変だろうなと思う。
COMPUTING AT CHAOS RUINS -250- 1996-04-06, NIFTY-Serve FPROG mes(6)-140 FPROG SYSOP / SDI00344 フィンローダ (C) Phinloda 1996