混沌の廃墟にて -249-

RULES (2)

1996-04-05 (最終更新: 1996-04-11)

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 さて、第40条の2は、SYSOPという立場にとっては最も画期的な変更の一つであ る。第15条の2と第40条の2を組み合わせると、SYSOPが発言者に無断で発言削除で きる条件が書かれていることになるからだ。先に旧規約の条文を見ておこう。

 >  第18条(フォーラム、掲示板、その他NIFTY-Serveへの登録内容の削除)

 >  フォーラム、掲示板、その他NIFTY-Serveの利用に関し、登録された文章な
 >  どの内容が、ニフティまたはNIFTY-Serveのフォーラムのシステムオペレー
 >  ターにより下記に該当する、またはその恐れがあると判断された場合、会員
 >  へ事前に通知することなく、削除されることがあります。

 >  (1)公序良俗に反する場合
 >  (2)犯罪的行為に結びつく場合
 >  (3)他の会員または第三者の著作権を侵害する場合
 >  (4)他の会員または第三者の財産、プライバシーを侵害する場合
 >  (5)その他、法律に反する場合
 >  (6)他の会員、または第三者に不利益を与える場合
 >  (7)他の会員、または第三者を誹謗中傷している場合
 >  (8)選挙の事前運動、選挙運動またはこれらに類似する場合、および公職
 >        選挙法に抵触する場合
 >  (9)NIFTY-Serveの運営を妨げる場合
 >(10)その他、ニフティまたはNIFTY-Serveのフォーラムのシステムオペレー
 >        ターにより不適当と判断された場合
    (旧会員規約より)
 これを見れば、以前から、発言削除の条件として「SYSOPが恐れる」という場合 が想定されていたことが分かる…というのはもうどうでもよくって(興味のある方 はVOPもご覧ください)、変化をまとめると以下のようになる。
  (1)〜(5)  変更がない。
  (6)       削除
  (7)       (6)。表現の一部が変更されたが、内容は同様。
  (8)       (7)。表現の一部が変更されたが、内容は同様。
  (9)       (8)。「ニフティの信頼を毀損するような行為」が追加された。
  (10)      削除
 さて、どこが画期的かというと、実は、今までの規約では、これらの行為は禁 止されていなかったのである。

 つまり、会員はこれらの行為をしても、会員規約としては違反したことになら なかったのだ。まさか? いや、文面上はそうなのだ。旧18条を正確に読んでもら いたい。ここに書かれているのは「こういうことを書いたら勝手に削除するかも しれませんよ」ということである。書いてはいけないとはどこにも書かれていな い。

 つまり、この規約は、ニフティとSYSOPが「できること」について述べたのであ り、会員が「してはいけないこと」について述べているのではないのである。

 書いてはいけないというのなら、「書いてはいけない」と書けばよい。実際、 旧規約においても、電子メールに関しては同様の行為を「ご使用できません」と、 はっきり書いてある。ということは、わざわざそう書いてないのは、理由がある と考えざるを得ないではないか。

 これに関して、ニフティに問い合わせたことがある。ニフティの回答は「勝手 に削除する可能性があるということは、してはいけない、ということと同意義だ」 という内容だった。あくまで私見としてだが、論理が無茶苦茶だと思う。もし裁 判になった時に、こんな言い分が通るのだろうか? もっとも、ニフティの論理は 昔からこの種の強引なものが多かったので、特に驚いたという訳ではないのだが。

 ともかく、この論理が世間に通用する自信がなかったので、個人的には、この 回答は見なかったことにして、会員規約に従って行動してきた。…と言いたい所 だが、実はFPROGというのはSYSOP削除の発言を見るのは極めて難しい、希にしか 削除されることがないフォーラムなのである。つまり、実力行使することは全く なかったのである。FPROGで希に発言削除されることがあるが、これは殆どが発言 者本人から「消してくれ」と言ってきた場合で、これはフォーラムのローカルルー ルによって、理由に係わらず消すことになっているから、消す。それだけである。 残りの希なケースは、明白な会議室間違いの発言で、これは適切な会議室にコピー して元を削除するわけで、単なる削除とは少し意味が違う。

 「してはいけない」のならどうしてそう書かないのか。この種の条文は、他ネ ットの規約なら「次の行為を禁止する」のように書かれている場合が多いのだ。 ところが、規約が変更されると、あっさり「してはいけない」になるわけである。 考えたのが無駄だった。あれは何だったのだろうか。

    *
 「ニフティの信頼を毀損するような行為」というのは名文だと思う。この文章 は「ニフティが持っている信頼に対して、第三者がそれを毀損するような行為」 という解釈と、「ニフティが行う、第三者がニフティに対して持っている信頼を 毀損するような行為」の両方に取れるところが面白い。

 とりあえず前者の解釈と仮定する。「棄損」という言葉でよく使われるケース としては「名誉棄損」という表現がある。さて、では、信頼を棄損する行為とい うのはどういうことなのだろうか。

 なんだかよく分からない(^^;)。

 ちなみに、後者の解釈でよければ、「定期メンテナンスは午前2:00〜午前8:00 です」と掲示したにもかかわらず、午前9:00にまだ保守していた、というような 行為は信頼を棄損する行為であることに間違いない。会員規約が改正されると、 ニフティはこのようなことはできなくなるのかもしれない。

 なお、「信頼を毀損」ではなく、「信用を毀損」であれば、刑法第二百三十三 条が【信用毀損及び業務妨害】となっていて、会員規約どころか刑法違反となる おそれがあるのだから注意が必要である。

 >  虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務
 >  を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 もっとも、「虚偽の風説」が問題になるのだから、「4月になってから、ROAD5 につなごうとした場合に、ピークタイムには30分リダイアルしてつながらないこ とがあるようになった」というような事実を書くことは差し支えないはずである。 (*1)
    *
 第22条に関して。
 >  第22条(ニフティによる閲覧)
 >  1. ニフティは自己が必要であると判断した場合、当該パティオの関係者の
 >     承諾を得ずしてこれを閲覧することができるものとします。
 パティオの内容は、ニフティが勝手に見ることがあるぞ、というのである。こ れまで、この内容はパティオの規約に書かれていた。会員規約に明記されるよう になったわけだが、内容が変化したわけではない。さて、わざわざこのように書 かれている理由は、ニフティが閲覧できないサービスがあるからだ。それに注目 していただきたい。一つは電子メールである。これは言うまでもない。

 もう一つがホームパーティである。実は、このサービスは私信扱いになってい るから、ニフティは内容を勝手に見ることができないはずだ。内容に関知しない、 といった方がよいかもしれない。

 言うまでもないが、フォーラムや掲示板の内容はニフティが勝手に見ることが ある。

 >  2. 前項閲覧により、当該パティオ内で犯罪行為またはその恐れのある行為が
 どうでもいいですけど、ニフティは「恐れ」という表現が大変お好きなようだ。 それはさておき、犯罪行為がパティオ内で行われる、というのは、具体的にはど のようなことを意味するのだろうか? 例えば、違法な物品の販売? パティオの 中で販売は不可能である。金銭のやりとりができないからだ。取り引きは可能か もしれない。名誉毀損の類ならあるかもしれない。

fj.net.providersで、ALLESNET上で同ネットに対して批判的な内容を掲示した ら、ホームページを停止されてしまった、という投稿があった。しかし、批判を 抑圧するというのは、割とありがちなことかもしれないが、自分の首を締めるよ うなものである。批判に対しては反論するなり、もっともだと思うのなら矯正す るなり、それが筋だと思うのだが。既に、臭い物にフタをしてもどんどん世界中 に出ていく時代になっているのだ。問題点を隠すのではなく、やはり、反論、弁 明である。

(つづく)


補足

(*1) ピークタイムでなければそんなにひどくない。数分でつながる。いきなり混 雑したのは、高速料金を払っている場合に、最初の180分は回線の種類にかかわら ず10円/分となったからだという説がある。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -249-
    1996-04-05, NIFTY-Serve FPROG mes(6)-139
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1996