混沌の廃墟にて -225-

ニュースグループのひみつ (3)

1994-10-23 (最終更新: 1996-07-12)

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 勢いに乗って「恨ミシュラン」の一巻も買って読破した。この本をNIFTY-Serve のSYSOP必読書に指定して、どのあたりの表現までがメディアとして許されるかと いう判断基準にしたら、きっと世界が変わる。

 さて、NIFTY-Serveからインターネットのニュースグループが読み書きできるよ うになって十日ほど経過したが、いかがだろうか。全然新しい世界に見えないぞ、 フォーラムと何処が違うのだ、と感じた方もいれば、全く違う世界に見える人も いるだろう。人それぞれである。

 残念なことに、ニフティの書いた「1. ご案内/利用方法」は、具体的に何をど うすればよいかというアドバイスが殆ど省略〜無視されている。しかも当たり障 りのないことしか書かれていない。いや、それどころか、この通りやったら当た るんじゃないかという箇所もある。

 そこで、私の独断と偏見によるアドバイスを列挙したい。

 一つ疑問を感じる。NIFTY-Serveにはニュースグループについて私よりも遥かに 詳しそうな人も大勢いるだろうに。なぜそのような人達のアドバイスを受けずに こんな中途半端な「利用方法」を掲示したのだろうか。アドバイスを受けなかっ たというのは証拠があるわけではなく私の想像に過ぎないが、経験者のアドバイ スがあればこのような内容になるはずがないから、まず間違いないだろう。既に インターネットは実験時代を終えてビジネスのメインストリートになりつつある。 このような時代に、とりあえずやった→インターネットの大顰蹙として有名ネッ トになる→あわてて訂正、という手順をたどろうというのは、一体何を考えてい るんだか分からん。(*1)

 さて、以下、ニュースグループをNGと略記する。くどいが、あくまで独断と偏 見である。fjの合意事項ではない。私が書く時にはこの程度頭に入れておくだろ う、ということである。仮にこの通りにしたのに駄目だった場合にも当方は一切 責任を取りかねるので、その点は御了承いただきたい。ポイントだけ先にまとめ ておく。

    *
 「テストしてはいけない

 テスト用のNGでテストする分は構わないと思う。fjにはfj.testというNGがある。 しかし、fj.testに投稿する時にも、それがおそらく全世界へ出て行くということ を頭に入れておくこと。(*3)

 信じられないことに、テスト用以外のNGに、「これはテストです」とだけ書い たような記事を投稿する人がいる。随分昔から今に至るまで変わりない事実だ。 超ド顰蹙である。私は個人的にはそういう人とは一生コミュニケーションしたく ないから、該当者のメモを作って机の前の壁に貼ろうかと思っている位である。 NIFTY-Serveにはビギナーズコーナーがある。テストするのならそこでやればいい。 誰の迷惑にもならない。

 なお、NGを読み書きするためのオートパイロットがうまく処理されているかど うかテストしたい、という場合がある。そのような時は、ちゃんとした記事を書 いて投稿すればよろしい。見た目にはいきなり本番だが、本人はテストも兼ねて いることになる。

    *
 「引用する時には元記事のMessage-IDを付けること

 NIFTY-ServeのINETNEWSは、電子会議と同じ操作で投稿することができる。しか し、それは見掛けだけで、電子会議の習慣をそのまま踏襲できない場合があるこ とに注意しなければならない。

 NIFTY-Serve上で電子会議の他者の発言を引用する時には、発言番号で示すのが 通例である。INETNEWSの記事にも発言番号(記事番号と言いたいところだが、ニフ ティが発言番号と表現しているからそれに従う)が付く。ここで表示されている発 言番号というのは、NIFTY-Serveの上だけで見えているものだ。従って、外の世界 では通用しない。

 ところで、NIFTY-Serveから投稿した記事のMessage-IDはNIFTY-Serveから読む 場合には表示されない。ということは、NIFTY-Serveから投稿された記事を引用す ることができない。これはちょっと困る。まさかMessage-IDをわざと表示しない 仕様にする訳は何一つないので、これは仕様の欠陥ではなく単なるバグだろう。 保証はしかねるが、そのうち直ると思う。(*4)

 なお、外から見ると、NIFTY-Serveから投稿した記事には、

INETNEWS-x-y-z.nnnnn@niftyserve.or.jp
 という形式のMessage-IDが付いている。x,y,zは、GO INETNEWSのサービスから 該当NGに入る時のメニュー番号で、nnnnnは発言番号。
    *
 「必要な引用を惜しむな

 ネットニュースは新聞と同じで、配られたら終わりというのが原則である。 「何月何日の記事によれば…」と言われても、そんな前の新聞捨ててしまってい るから分からない。いつでも過去のデータを読める電子会議とは違うのである。 もちろん、不要な引用はいけない。

 引用箇所があまりに長い場合には、(deleted)のように一部を省略して引用され ることもある。

 引用時に順序を変えたり、一部の文章だけ使ったりすると、「文脈を無視した 悪質な引用」と非難されるかもしれないので、くれぐれも注意。かといって全文 引用したら「引用の範囲を超えており著作権の侵害」と言われるかもしれない。 どーしろというのだと言われても困る。

    *
 「引用には ">"を使え

 引用文には、文の左に">"を付けるのが伝統である。ただし、全 員そうしているわけでもない。NIFTY-Serveではなぜか">"以外の記 号が多いが、fjでは">"が多い。次に多いのが"|"である 。ルールで決められているのではないから、個人の好みで他の記号を使っても構 わないが、誤解を避けるためには大勢に合わせるのが原則、というだけの話だ。 「嫌だ、私は%がいいのだ」というなら勝手にやっても当然構わない。誰も文句 は言わないと思う。

 ただし、これはいかんというのがある。まず、"#"である。これは別 の意味に使われることがあるので、引用の意味では使わない方がい。もう一つは ">>"である。単なる引用文にこれを付けると、引用文中の引用 文と区別ができない。また、タブを使って引用文とそうでない文を区別する方法 は嫌われる。タブが引用箇所でそうでない所が本文なのか、あるいはその逆のつ もりなのか、分かりにくくなるからだと思う。

    *
 「伏せ字を使うな

 N*Cとか**電器とかいう伏せ字である。無意味である。どこのNGか忘れた が、以前、「****の製品が動かないのですが、どうすればよいか」のような質問 を書いた人がいて、「何処のメーカーか分からんのに答えられるか」と、バキ バキに叩きまくられていた(*5)。こんな破綻した人は例外にしても、伏せ字 を使う人が割と目立つ。そして、叩かれる。伏せた所が何かわからないという反 応も付き、後から記事を追加するという無駄が重なるのが嫌われるのだろう。

 とにかく理屈ではない。納得できなければ、安易に伏せ字を使うと叩かれるか ら使わない方がいい、という程度の理解で構わない。どうしても伏せないといけ ない時には、誰にも分からないように徹底的に伏せればよい。理由を書いて完璧 な伏せ字にすれば、叩かれることもない。

 なお、UN*Xという書き方があるが、これは伏せ字ではなくワイルドカードのニ ュアンスで書く人もいるようである。(*6)

    *
 「マルチポストするな

 複数のNGに同じ記事を別々に投稿するなということだ。NIFTY-Serveでいえば、 複数の会議室に同じ発言を書くなということである。両方のNGに目を通している 人は、二度読むことになってしまう。さらに、世界中の計算機に同じ内容のニュー スがいくつも配送されることになり、無駄が甚だしい。よほど明確な理由がなけ れば、マルチポストは避けた方がいい。

 これに対して、複数のNGに同時に一つの記事を投稿することを、クロスポスト という。この場合、記事は物理的には一つのオブジェクトとして処理されるが、 UNIXだとリンク(*7) を使うなどして内部で処理されるので、複数のNGから読める 。ニュースリーダー(記事を読むためのソフトウェア)によっては、あるNGで読ん だ記事は、他のNGを読む時に既読として扱うので、同じ記事を何度も読まずに済 む。便利だ。クロスポストは遠慮しなくてもい。とはいえ、何十ものNGにクロス ポストするのはあまり好まれないかもしれないが。

 なお、NIFTY-Serveからはクロスポストできないようである。クロスポストでき ないからといって、マルチポストする、というのは言語道断。あるまじきことで ある。自分の都合で世界中に迷惑をかけてはいけない。どうしても複数のNGに投 稿したければ、クロスポストできる他の場所から投稿するのが筋である。

    *
 「Followup-To: には、従うこと

 クロスポストされた記事で困るのは、フォローをどこのNGにしてよいかである。 これを指定するのがFollowup-To:の示す内容である。無視してはいけないという ルールはないが、特に理由がないなら素直に従っているのが無難である。無視す ると、最初の投稿者に読まれない可能性もあるのだし、場合によってはわがまま な人だとレッテルを貼られることになる。

 だんだん話題がNGの本来の趣旨から外れてきた時にも、Followup-Toを使って、 他のNGに議論の場を移すことがある。

    *
 「Subject:をやたら変えないこと

Subject:が全く同一であるということは、読む人にとっては大きな意味を持つ。 だから、同一スレッドで関連する話題を、Subject:を変えて行うのはよくない。

 既に"Re: "が付いているのにさらに"RE:"を頭に追加する というのは、Subject:が変化するという意味ではよくない。NIFTY-Serveから投稿 する時には勝手にRE:という文字列を追加されることがあるので、

    SUB:Re: about NIFTY-Serve
 のように、タイトルを指定して投稿するのがよい。この時、"RE:"で はなく、"Re: "とするのがよい。(*8)
    *
 「自分の投稿の著作権(複製権、頒布権等)は放棄したと思うこと

 インターネットはバケツリレーでどんどんデータをコピーすることにより成立 しているのである。複製禁止というのはナンセンス以外の何物でもない。複製が 嫌なら、最初から記事を流さなければいい。記事は投稿した途端に全世界に複製 されてばらまかれると心得るべし。

 NGの記事をCD-ROMに焼いて販売しているサービスがある。また、雑誌の付録に 付いて来ることもある。このように配布されるのが嫌なら、NGではなく、NIFTY- Serveのフォーラムで発言すればよいのだ。

 ただし、他の人の投稿に関しては、著作権は放棄されていないと考えるのがデ フォルトである。そう考える人もいるので、勝手に使うと訴えられるかもしれな い。

    *
 「半角カナは使うな

 これは理屈ではなく、そうした方が無難だというだけのことである。どうして も使いたければ自分の責任で使ってくれ。どうなっても私は知らない。なお「半 角カナって何だ」という突っ込みは他所でやるように。私に突っ込むと「なんだ カナ?」ととぼけるだけである。

    *
 「現状では、Subjectは、英語かローマ字で書く方がいい」(*9)

 漢字は使わない方がよい。使ったら罰せられるわけではないし、漢字を使える ようにしようという動きがちょうど盛り上がろうとしている所だ。ただ、無難と いうことでは、英語かローマ字で書いた方がいい。今時ローマ字でタイトルを書 かないといけないのか…と思われるかもしれないが、そう、その通りだ。今時ロー マ字というのがfjの文化なのである。

    *
 「電話やメールで済むことをNGに投稿するな

 記事が全世界に配送されていることを自覚するべし。電話でできることは電話 で、あるいは電子メールを使えばいい。NIFTY-Serveでも、あまり誉められたこと ではないともしれないが「明日ひま?」「うん、暇。」「じゃあ、品川でオフや ろうか」「やろうやろう、あ、でも残業があるから5時まで駄目だ」「どこが暇 なんだよ」「わりーわりー」のような会話を 会議室で やるというのは、一体何を考えているのかよく分からん。日本全国76万人:-)に 読んでもらいたいのだろうか(*10)。自分勝手な奴等だと思われるのがオチであ る。

 オフラインミーティングの打ち合わせをするなというのではない、早合点して はいけない。発言を見た誰でも参加できるという意味では、パブリックな場に書 くことが有益であり得る。それがどの程度の相手にとって有益かを考えて、ふさ わしい場所を選べば良い。

 なお、会議室やNGで対話するなと言っているのではない。多くの読者に とって無益な対話を表でするな、ということである。多くの読者に意味のあるこ とは構わない。例えばパペポTVという番組がある(*11)。あれは対話だが、見てい て面白いから番組として成立するのである。

 ところが“多くの”の判断が難しいのである。ごく一部の人にでも有益であれ ばいいという考え方もある。結局、自分の責任で判断し、行動するしかないわけ だ。

(つづく)


補足

(*1) これは杞憂だったようだ。実際、NIFTY-Serveからnetnewsに投稿する人は殆 どいないから。フォーラムやステーションの方が情報量が多いのである。netnews で質問したら「それはNIFTY-Serveにあります」という回答が付くことがよくある が、逆は滅多に見かけない。

(*2) 「fjには合意事項などない」という合意事項があるという説もある。

(*3) 全世界に情報発信するテスト? その後間もなく、NIFTY-Serveからはfj.test にテスト投稿ができなくなった。その結果、他のnewsgroupでテストする人が現れ て…

(*4) ところが恐るべきことに、仕様らしいのだ。つまり、NIFTY-Serveから投稿 した場合、Message-IDが分からないのである。これを他の人がReferenceで指定し ても判断できない。

(*5) ギャグにしても面白過ぎると思うのだが、この人、本気で質問していたのだ ろうか? 見ていたらメールください。

(*6) つまり、UNIXだけではなく、いわゆるUNIX系のOSをすべて含めてUN*Xという らしい。

(*7) ここでいうリンクとは、UNIXのlnコマンドで作成できるもののこと。仕組み としては、あるサイトから他のサイトへ記事が配送される場合、本文は一つだけ で、サイトに到着してから複数のNGで見えるように処理される。

(*8) もちろん、こんな面倒なことはやってられない。他から投稿した方がよほど 簡単である。

(*9) Subjectを日本語で書こう、という動きもあるようである。最近は「英語か ローマ字」という制限は時代後れかもしれない。

(*10) 当時のNIFTY-Serve会員が76万人だったらしい。

(*11) ここ半年以上テレビを見ていないので分からないのだが、まだ放映してい るのだろうか。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -225-
    1994-10-23, NIFTY-Serve FPROG mes(6)-036
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1994, 1996