混沌の廃墟にて -187-

カルトA

1992-09-21 (最終更新: 1996-02-12)

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一般論として、SYSOP、SigOp と一般会員のトラブルで問題になることは決まっ ている。「発言削除」と「会員資格剥奪」である。どこのネットへ行っても、こ れが2大原因である。

あまり知られていないが、私は、「この発言は問題かな」と思った時には割と あっさり削除する。

削除した発言に何の問題もなかった場合、再度掲示して陳謝するしかない。も っとも、問題があるかなと思わせるような発言は、それ自体問題があるか、そう でなければ SYSOP に判断力がないかのいずれかだ。しかし、いずれにせよ、ログ があれば再度掲示することは簡単である。何も永久発言資格停止処分にするので はないのだ。このことは、あまり強調されないようであるが、問題がないことが 確認できた時点で発言者が再度掲示すれば、殆ど問題は残らないのである。

これに対し、問題がある発言を放置してしまったら、取り返しが付かないこと になりかねない。これは大変なことである。

やり直しのきく方法で対応した方がずっとよいと思うので、迷ったら、できる だけ読者の少ないうちに削除するのがよいと思うのだが。

ところで、発言者が削除に不服ならば、再度発言する権利がある。それをまた SYSOP が削除したら、多分戦争になるだろう。こうなるとネットゲリラがわらわ らと集まってきて収拾不可能になるのだが(ネットゲリラとは何だ?)。発言者 の立場から対策を考えてみると、他のフォーラムや BFREE でアピールしながら、 親しい SYSOP やニフティにセンター宛メールで問い合わせるような戦術に走るし かないだろう。

だが、FPROGには、削除すべきような発言がそもそも滅多にないので、SYSOP削 除という切り札を出す機会がない。だから、もし最近の発言で SYSOP 削除になっ ているものあったら、まず考えられるケースは、発言を移動したなれの果てであ る。保守機能を使って、発言を会議室間で移動すると、発言の複写+元発言の削 除、という処理になるため、元の発言には SYSOP 削除と表示されてしまうのだ。

もう一つは、発言者から依頼があった時である。最近あった面白いケースとし ては、「ROM墓場からの声」で発言者から「どちらか消してくれ」という依頼 のあった発言である。いずれも、タイトルに「SYSOP削除」と書いてあって、どち らが本当に SYSOP 削除なのか、という joke なのである。ところが、プログラマー ズフォーラムには「発言者から削除の依頼があった場合、その理由に関らず削除 する」というローカルルールがあるので、とりあえず削除するしかない。:-)

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フォーラム内の権利の話になると、編集著作権の議論も尽きないようだ。この 件に関しては過去にも議論したことがある。私は電子会議の生の発言に対しては、 何一つ編集した覚えはないので、「フォーラム内の発言には SYSOP の編集著作権 があります」と言われても、「なにそれ?」としか言いようがない。

データライブラリへ発言を移動する時に、テーマ別に発言を切り分けることは ある。こちらは実際に「編集」しているから、解釈は微妙かもしれない。微妙だ って? 編集したのだから、明らかではないの? そうでもない。なぜか。著作 権という権利は「著作物」に対して発生するからだ。

「著作物」とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法第2条) と定義されている。創作性が必要なのだ。例えば、誰でも書いても必然的に同じ 文章になるようなものは、著作物とは言わないのである(偶然なら言うかもしれ ない!)。すると、テーマ別に切り分けるという作業の創作性がポイントとなる はずだ。もし、あるテーマに添って発言を選択した時、それが誰が処理しても同 じ結果になるのであれば、創作性はないはずである。それとも、全員同じ結果に なるような創作行為、というのもアリか?

ところで、GO RULES を見てもわかる通り、ニフティは、見解として、フォーラ ムに対してはニフティと SYSOP に編集著作権があると主張している。SYSOP は基 本的にニフティの指導に従うのが大原則だから、個人的な解釈とは別に公式見解 を求められたら、私としても「SYSOP はフォーラムに対する編集著作権を持って いますので」と説明するだろう。詳細はニフティに問い合わせてくれ、という逃 げになるだろう。

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ただし、FPROG が始まってから4年半経つが、そもそもこんな権利を主張すべ き機会がまるでない。

編集著作権を盾にする場合というのは何だろう。伝説によれば、会議室を全部 そのまま草の根ネットに無断で転載されたような時に対処するためだと言われて いる。しかし、私自身はこのような例はまだ見たことがない。見たことがないだ けなのだろうか。実際に見たという方がいらっしゃいましたら、秘密は厳守いた しますので、ぜひご一報を。

個人的には、会議室全部を転載する場合も発言者全員の承諾があれば SYSOP や ニフティに許可を求める必要はないと考えている。メディアスペースの発想に基 づけば、これは自明である。「ホテルの会議室で議論した結果の議事録の著作権 をホテルが主張するようなものだ」と以前書いた考えは今も変わっていない。し かし、ニフティはそう考えていないようだ。発言者全員が承諾しても、転載でき ないと考えているようである。以前も指摘したが、これは電子会議の首を絞める ようなものではないか、と再度疑問を投げかけておきたい。そのような制限が、 どれほど人離れの原因になるか理解すべきである。

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Q1:この文章は、いつから掲示されているか?
解答。確か 1992/7/1 である。つい最近まで、この掲示はなかったことになる。 私はこの掲示が追加されたことにも気が付かなかった。実はニフティに問い合わ せて教えてもらったのだ。

FBUNGAKU の SYSOP さんは、よくこの掲示をご存知で、流石です。と言いたい 所だが、一つだけ釈然としないことがあるのだ。

SYSOPは雑誌の編集者のように,編集作業の一環として,発言などを登録した 方に事前通知することなくフォーラム内でその発言などの編集,移動(電子会 議からデータライブラリへの移動も含む)を行うことがあります。
(GO FORUM「フォーラムの楽しみ方」の「(2【Hop】SYSOPって何をする人?」よ り引用)

この文章は、「SYSOP は何をする人なのか」を説明したものである。無理をす れば、こういうものだぞ、恐れ入ったか、と読めなくもないが、会員に対して了 承を求める文章には見えないと思うのだ。NIFTY-Serveでは、発言の著作権は発言 者(著作者)が持つとされているから (GO RULES参照のこと)、発言の複製という 著作権に関係する行為については、著作者の承諾を得ることが原則である。そこ で、非常に屈折した曲解をすれば「SYSOP の中には著作権の侵害行為をする悪い 人もいます」と解釈する人がいるかもしれない。というのは冗談。ただ、承諾も なしに、SYSOP は勝手に複製することがあるぞ、では無礼ではないか、と言われ ればどうか。

従って、個人的には、「【Hop】SYSOPって何をする人?」を根拠に事前通知な く複製できるとする解釈には無理があると思うのである。これに対し、昔の GO FORUM のメッセージは、少なくとも SYSOP がどんな人かという説明の文章ではな い。むしろ、各サービスのエントリに掲示される注意事項と同レベルのものと思 われる。

という2つのルールを並べたものと解釈すべきである。意味合いが違う。

もし「【Hop】SYSOPって何をする人?」の説明では事前通知なき複製を行なえ る根拠にならないとすれば、事前に通知しなければいけないのか、というとそう でもない。実は次のような文章がある。

(GO FORUM:フォーラムの楽しみ方)

9 【Jump】著作権について

また,フォーラム内では SYSOP,SUBSYSOPだけは日常の編集作業,管理作業 の一環として,発言などを登録した方に事前通知することなくフォーラム内 でその発言などの移動(電子会議からデータライブラリへの移動も含む), 編集,削除等を行うことがありますので,この点はあらかじめご了承くださ い。

※このメッセージも 1992/7/1 から追加掲示された。

こちらは明らかに会員に対し了承を求める表現である。

従って、フォーラムを利用する会員がこの掲示を見て了承しているという前提 の元で SYSOP は作業することができる。ただし、会員が上のメッセージを1度も 見たことがない場合、どうすればよいかという問題は残るかもしれない(残念な ことだが、あなたは今このメッセージを見てしまった!)。また、了承できない 場合にも問題なのかもしれないが…。

もし発言の選択に創作性があるのなら、気が向いた人が誰でも選択できるとい うのが面白いと思う。「あの人の選択したものならダウンロードしておこう」と いうような選択のプロがうまれるかもしれない。選択者になるには簡単だが、一 つだけ重大な問題がある。上で紹介したように、発言を通知なく移動できるのは SYSOP または SUBSYSOP に限られるからだ。これは何とかクリアしたい問題であ る。

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中には発言を移動されたくない人もいるだろう。一つのアドバイスとしては、 発言者の立場から、事前通知なき発言移動、編集、削除を了承できない場合は、 その旨を発言の最後にでも、その都度記述するのがよいと思う。それは了承して いないという意志表示になり、万一争うことになった場合に有利だし、SYSOP も 駄目とあらかじめ指示されている発言をわざわざ勝手に移動しない人が多いはず である。わざわざ面倒に巻き込まれる必然性はないのだ。

なお、私は当然そのような発言は移動しない。ただし、削除に関しては会員規 約14条の7という別の根拠があるから、必要があると判断すれば、最初に書い たように、通知なく削除する。その後が勝負である。

個人的には、発言を移動する時には、その都度会員に連絡したいと思う。これ はマナーというより、むしろ足の遠のいた発言者を引き戻すためである。しかし、 発言を一気にデータライブラリに移動する場合に、全員に連絡するのは大変であ る。そのためのプログラムを現在開発している。折角の特技なので何とか完成さ せたいと思う。

釈然としないと書いた。私なら、会員に根拠を提示するのなら、この「ご了承 ください」という文章を指摘するだろう。では、FBUNGAKU の SYSOP さんは、な ぜこちらの文章ではなく、「SYSOP って何をする人」の文章を根拠としたのだろ うか? これがわからない。何か文学的意図があるのかもしれないと思っている のだが。

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Q2:以前は、GO FORUM を実行すると、あるメッセージが自動的に表示され ていました。その文章の内容は、いつまで掲示されていましたか?
解答。1991/7/31 までだと思う。

ということは…、あっ、もうこんな時間なので、今回はこれでおしまい。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -187-
    1992-09-21, NIFTY-Serve FPROG mes(6)-171
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1992, 1996