混沌の廃墟にて -172-

RCM-PC98購入顛末記(2)

1992-04-24 (最終更新: 1996-06-13)

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「捜しなさい、そうすれば見つかります」

当り前だが、流石にマニュアルには終了の方法が書いてあった。これでまずは めでたい、と書きたい所だが、そう簡単には事は運ばなかった。終了の方法がわ からない時にどうするか? その人の過去の経験、性格にも左右されるのだが、 とりあえずやってみたのは、ESC を押すということである。何も変化はなさそう だ。ESC には機能が割り当てられているのだが、終了には関係なかったのである。 次がよくなかった。STOP を押したのである。

処理が戻ってこない。

どれかのキーを押しても駄目である。(*1) ということは、リセットするしかな い。これで RAM ディスクの内容が全滅してしまった。

こうなっては、とてもやってられないので、とりあえずお茶を飲んだり、うる 星やつらを見て現実逃避する。(*2)

    *
結局マニュアルを全部読む。くどいが、終了の方法が書いてある。当り前だ。 さて、マニュアルには索引が付いている。ここにも終了という項目があるはずだ。 見るとあった。これは不思議なことなのだが、最初に捜した時には見つからなか ったのだ。見落としたのだろう。

さて、終了の方法さえわかれば、こっちのものだ。

…なわけがない。

終わる方法だけでは全然使えないではないか。そこで、まず何か入力してみる、 という手もあるし、実際ちょこちょこと入力してみたが、よくわからないので、 FMIDIDAT から手に入れたデータを読み込むことにした。読み込んだのは、オフコー スの「さよなら」という曲で、これは私が学生の頃のヒット曲だから、今のヤン グは知らないだろう。打ち込んだのは、ちぇりいさんという方で、うる星やつら とは無関係だとは思うが、とりあえず FMIDIDAT では結構アクティブな会員でい らっしゃいます。(*3)

なるほど、やはり例があるとわかりやすいじゃないか。サンプルのソースを見 て腕を磨くというのは、プログラマー風の作法のようでもあるが、実はありとあ らゆる職人というものは、先達の技を盗んで腕を磨くものなのだ。やはりプログ ラマーというのも職人の一種ということか。でも今は別にプログラムを作ってい る訳ではないのだった。

話が飛ぶが、最近パソコン通信で MIDI のデータをやりとりするのが大流行ら しく、その手の雑誌を見ると特集だらけだ。「パソコン通信」という雑誌の5月 号にも特集があって、p.107 あたり、MIDI フォーラムへのアクセス、という画面 例まで載っているのだが、よくみると…。(^^;) ありゃまー。(*4)

ちなみに、「早春詩」という曲ですが、RCM-PC98 で書いたオリジナル曲の中で は、一番最初に発表した曲で、ピアノが弾けないくせにピアノ曲です。「早春詩」 は、「これはいい」と評してくれた方もいたので、よかった。FMIDIDAT のオリジ ナル音楽というのは、ちょっと凄い。素人とは思えないのである。だから私の場 合、素人っぽさが変に受けたのかもしれない。「こういう時に、どう表現するか」 がわかっていない、ということ。自己流なのである。「これは」と付く理由は、 その前にアップした曲がちょっと、何といいますか…。(/^^;)

話を戻して、さて、こんな感じでやればいいのか、と分かった所で(実はまだ 全然分かっていないのだが)、再度の挑戦だが、はっきり書いてしまうと、第一 印象は、

こんなのが使えるのだろうか?

という最悪のものだった。ミュージ郎の場合、その点は偉大で、第一印象は、 割と簡単に使える感じがした。ところが、RCM-PC98 の場合、操作がかなり面倒で、 しかもコマンドを覚えないとボリュームの設定すらできないのだ。

というか、実は未だに CM-64のマスターボリュームを使って fade out する方 法がわからないのである。ミュージ郎だと、ものすごく簡単にできることなのだ から、RCM-PC98 でもできると信じているのだが、どうすればいいのか誰か教えて くれ〜、というよりは、やはりユーザーサポートに電話をかけてみた方が面白い だろうか。暇があればそうしてみよう。(*5)

ただ、これもユーザーサポートのよくある姿なのだが、個人ユーザーの場合、 無職または自由業など、相当時間の都合が自由でなければ、なかなかユーザーサ ポートに電話をすることは難しい。なにしろ、平日の日中、すなわち普段なら勤 務中の時間にしか受け付けていないのである。実は RCM-PC98 の発売元の COME ON MUSIC は、PC-VAN ではサポートを受け付けているらしい。残念ながら私は PC- VAN には入っていないので、これは使えない。もう一つの方法は FAX による質問 だが、私は FAX を持っていないので、これも使えない…かと思ったら、NIFTY- Serve から FAX を送ればいいのか。結構手段を捜せば、いろいろやり方はあるみ たいである。

さて、こんなのが使えるのか…などと激辛の評になったが、こういう印象を持 った極めつけの原因は何かというと、キーの先行入力がバッファにたまってしま うのである。これはびっくりした。昔、PC8801 を使っていた頃に、この種のソフ トはいくつか使った覚えがあるが、まだこのようなソフトがあったとは。

説明しよう。ある音データに対して、もう少し大きくしたいと思ったとする。 RCM-PC98 の場合、直接数値を入力することができる。だが、少し大きく、という 場合には、カーソルキーを使って操作する方が便利である。つまり、該当の音デー タの音量が表示されている上にカーソルを移動して、ここで、ROLL UP、ROLL DOWN キーを押すと、音の大きさが、1刻みで増減する。

2大きくしたいなら、ROLL UP を2回押す。3大きくしたいなら、3回押せばよい。 4大きくしたいなら…。という感じだが、音の大きさは 0〜127 の範囲で指定する のである。1、2大きくしたりという場合はまずなく、例えば、80という音を112 にしたい、というような場合が圧倒的に多い。この時には、ROLL UPを 32 回押せ ばいい。必殺北斗神拳、ぅわたたたた…。とキーを押す人は誰もいなくて、実際 は ROLL UP を押したままにして、キーをリピートさせるのである。

すると数値がどんどん増加するので、112 あたりで離すと、というのが普通の 発想だ。ところがだ、それは甘いのだ。車は急に止まれないがごとく、キーを離 しても、数値はしばらくの間どんどん増加するのである。リピートしたキーのデー タがバッファにたまっているのだ。

とりあえず呆然としていても仕方がないので、うる星やつらの劇場版LDを見て 現実逃避する。(*6)

    *
という感じで悪戦苦闘したが、今では RCM-PC98 がとても快適なので、もはや ミュージ郎には戻る気は全くない。
U「ちょっとまて。」

ふ「おお、久しぶりだな、とうとう NIFTY ではメガウォーズが始まってしまった
    ぞ、宇宙貿易はどうなっとるのだ。」

U「それはどうでもいいのですが、最初と話が違うではないですか(^^;)。こんな
    のが使えるだろうか、という酷評はどこへ行ったのだ。」

ふ「あ、そうだっけ。でも慣れたからいいじゃないですか。」

U「慣れればいいって問題?」

ふ「そう、そういう問題。vi にしろ emacs にしろ、初心者が見たら何だこんな
    モノ使えるか、って思うのだろうけど、要するにコマンドを知らないからで
    しょ。RCM-PC98 も、コマンドを知らないと全然使えないけど、コマンドを覚
    えてしまえば、こっちのものだよ。」

U「むむむ、何か釈然としないのだが、そういうものなのか?」

ふ「だから、始めた段階で挫折したら悲惨かもしれない。最初は使い易いが、応
    用するのは難しいという場合と、最初は使えないが、慣れれば高機能、とい
    う場合が多いでしょう。RCM-PC98 は後者の典型的なものでないかな。ただ、
    キーリピートがバッファにたまるのだけは勘弁して欲しいと思うけど。」

U「例えば、全部キーで操作できるのが RCM-PC98 のよい所、という人もいます
    が。」

ふ「それはメリットだと思う。だからといってマウスが使えなくても構わない理
    由にはならない。ただ、ミュージ郎の付属ソフトは、一応マウスで使えると
    言っても、操作があまりにも最適化されていません。例えば、音符の高さを
    1つ間違えて張り付けたとする。こを修正するには、一度削除して、もう一度
    張り付け直さないといけない。(*7) ドラッグして高さを1つずらすことがで
    きれば、圧倒的に使い易くなるでしょう。こういう所はこなれてませんね。
    最近バージョンアップしたらしいけど、もしかして改善されたのかな。」

U「他に比較して、RCM-PC98 の方がよかったという所は?」

ふ「何といっても、いきなり無反応にならないことでしょう。STOP 押した時は、
    がくっときましたが。ミュージ郎の付属ソフトは、試しに音を出すと、そこ
    でいきなりハングアップして、作った曲データが全滅、ということが何度も
    あった。もちろん、直前にセーブしてあったので被害が少なかった時もあり
    ましたが。

    音を出す前にセーブすればよいと思うかもしれませんが、試しに音を出す、
    という操作は、ものすごく頻繁に行ないますから、その都度セーブするとい
    うのは不可能です。この障害は、かなり致命的な障害だと思うのですが、ユー
    ザー登録していても何の連絡もありません。RCM-PC98 は、タイミングがよか
    ったのかもしれないが、買って1か月程で、たまたまバージョンアップのデ
    ィスクが送られてきました。ただ、オリジナルディスクに書き込むのに抵抗
    があったりして、実はまだアップデートしていない。

    もう一つの大きな差は、処理速度。ミュージ郎だと、場合によってはデータ
    の複製に、相当長い時間待たされます。例えば最初の10小節を後の方にコピ
    ーする場合に、1分も待たされたりする。この間、処理が何%終わったか、グ
    ラフが出ているのですが、グラフを出すという発想は評価したい。そんな手
    間をかけるより、処理を速くすべきだという人もいると思うが、何も表示が
    ないと、相当心配になるものです。でも、同じことを RCM-PC98 でやると、一
    瞬で終了します。これは有り難い。」

U「ミュージ郎の場合、楽譜のデータは別に持っているようだから、その分の処
    理が余計にかかるのではないかな。」

ふ「あと、RCM-PC98 は、細かいデータの処理を直接行なえるのもいいですね。こ
    れは例えれば、アセンブラと BASIC の違いのようなものだと思う。ミュージ
    郎の方が BASIC です。BASIC の方が、ちょっとした事は簡単に使えるかもし
    れない。また、アセンブラを書く人というのは少なくなる。どうしても職人
    芸になりますから。でも、細かいことをやろうとすると、やはりアセンブラ
    には勝てない所が出てくるでしょう。」

U「もう一つ面白いと思ったのは、RCM-PC98 だと書けない曲があるって FMIDIUSR
    に書いていましたが?」

ふ「あれは、実は自分でもよくわからない。マウスでぺたぺた音符を貼ってゆく
    過程で、ミュージ郎ですが、結構いいかげん感覚でやってしまった曲なんか
    は、RCM-PC98 だとかえって作りにくいのかな、と思ったのです。ツールに曲
    が左右されてしまう、というのも変かもしれないのですが。」


補足

(*1) 「どれかのキーを押してください」というのは、日本語MS-DOSの珍表現とし て有名。ところで、もしかするとずーっと待っていたら戻ってくるのかもしれな い。

(*2) 「うる星やつら」のLDを見ている。

(*3) 今はどうか分からない。会員の変遷も激しいのだ。

(*4) これ何だっけ? 早春詩、が載っていたのだろう、多分。

(*5) 結局、CM-64に直接コマンドを送る命令を使えばできることがわかった。

(*6) 関係ないけど、最近ならEvaでしょうね、きっと。

(*7) 当時の話。今はどうか知らない。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -172-
    1992-04-24, NIFTY-Serve FPROG mes(3)-099
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1992, 1996