混沌の廃墟にて -167-

5時間以内の人

1992-02-04 (最終更新: 1996-03-15)

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1月はこれまた散々なアクセス状況で、体調も散々、法事や急な来客でもなけ れば滅多に取らない有給休暇を風邪のために取ってしまった。まるでついていな い。2月からは心機一転、体制を立て直して裏でもごそごそ動きまくるつもりで 気合いを入れてアクセスする。
 >  *C NIF

 >  COM
 >   Enter Connection-ID  --->SVC
 >   Enter User-ID  --->SDI00344
 >   User-ID Error
 >   Enter User-ID  --->SDI00344
 >   User-ID Error
 >   Enter User-ID  --->SDI00344
 >   User-ID Error

 >  Clear PAD
 >  Host requested clearing the call

 >  HOST NAME?
 >  *C NIF

 >  COM

 >   Enter Connection-ID  --->SVC
 >   Enter User-ID  --->SDI00344
 >  −保守作業の為しばらくの間御利用頂けません−

 >  Clear PAD
 >  Host requested clearing the call

 >  HOST NAME?
 >  *
入れてもらえない。(;_;)

なお、試しに別のIDでアクセスすると問題なく入れる。これでいきなり体調も 風邪っぽくなり、元気がなくなってしまう。これでは手もちぶさたなので、今大 騒ぎのアスキーネットを見に行ったりする。

    *
どうして騒いでいるのかというと、今年の4月から3つに分離されていたサー ビスを合体し、ついでに現在の料金上限を撤廃するという爆弾宣言があったから だ。現在の利用料金は、3つのサービスごとに異なっているが、例えばアスキー ネットPCSの場合、ミニマムチャージとして 2000 円。アスキーカード会員はどん なに使っても 2000 円ポッキリ明朗会計、そうでない人は 8000 円が上限の、3 分20円の従量課金制度となっていた。これが共に上限なしになると、ヘビーユー ザーには大変なことになる。

何と言っても日本の「パソコン通信」(あえてこう書こう)界の草分けだった アスキーネットである。かつて NIFTY-Serve 会員が1万人に満たない頃、実態は ともかく、アスキーネットの方が公表会員数が多かった。現在は NIFTY-Serve 会 員30万人に比べてアスキーネット会員は7万5千人と公表されている。いつの 間にか逆転。なぜこんな差がついたのだろうか。

この世界の黎明期に、アスキーネットは無料の実験時代があった。これが有料 化された時に、確か月額 2000 円だったと思う。そして、その後最初の値上げが あった時に、今回と同じように会員が大騒ぎしたことがあった。この時に、ユー ザー代表がアスキー代表と話し合いをしている。これには西和彦氏も出席してい て、内容のレポートは、まだアスキーネットに残っている。

計算すれば、ミニマムチャージは 2000 円は、5時間の利用に相当する。つま り、5時間以内の利用なら、従来と変わらないのだ。では、5時間という枠はど う解釈すればよいか。これについて、アスキーからのコメントがあった。会員の 7割は5時間以内の利用であるというのである。

この解釈は難しい。「今、会員の7割は5時間以内の利用だが、今後はもっと 増えるだろう、だからミニマムチャージを5時間相当に設定した」と解釈できる か? 意味不明である。7割とわざわざ言う意味がないからだ。だいいち、値上 げ反対というユーザーを前に説明しているのである。「今後もっと費用がかかり ます」ではなくて、「今まで通りで済みます」という意味での発言と解釈するの が妥当だろう。従って「今、会員の7割は5時間以内の利用だから、ミニマムチ ャージの5時間の枠内に入り、実質現状通りの支払いで済む」という意味にしか 解釈しようがない。要するに、今回の値上げは多くの方には影響がない、という ことなのだ。

これを読んだ時に、これでは駄目かもしれない、と思った。

あれから何年かたった今、会員数だけではなく、フォーラムの数、データの量、 多くのことについて、NIFTY-Serve はアスキーネットを大きく上回った。もちろ ん、数が多ければいいというものではないことは留意しておこう。とにかく、い くつかの点で NIFTY-Serve に追い抜かれた、その原因は、「7割は5時間」とい う発想に全て集約されていると思う。それにしても、先見の明に長けているはず の西氏が、オンライン・コミュニケーションをライフスタイルの一部として使い 始めれば、一ヶ月に5時間ではとても足りないことに、なぜ気付かなかったのだ ろうか。いや、あるいは気付いていたのだと思いたいのだが…。

あの時すべきことは、利用時間が5時間以内の人が多いから、実質影響はあり ません、というのではなくて、5時間未満しか使っていない人がなぜ7割もいる のか原因を調べ、その人達が10時間も20時間も使うようになるには、どうすれば よいのかを考えることではなかっただろうか。そう考えていたなら「7割の人は 5時間以内」なんて発言は到底出てくるはずはないのである。

平均的なオンラインコミュニケーションの私のイメージを。朝5分かけてメー ルのチェックとニュースの確認。夜に5分かけて、一番お気に入りのフォーラム の探索。週末に、その他のフォーラムの探索や、売ります・買いますの掲示を見 たり、時にはCBもやってみて、1時間。すると、週あたり1時間半、これは一 ヶ月6時間半。必要最低限のアクセス時間をこう見積もる。アクティブとまでは 至らなくても、発言し始めると、その電子会議にはちょっと時間がかかって、週 あたりさらに30分かかるだろう、とすれば、毎月約8時間半。ちなみに、これ は NIFTY-Serve の課金にすると、ニュースのサーチャージを除いて約5000円強に なる。

毎月5時間未満のアクセスで何ができるのか、皆さんも考えてみてください。 中には既に毎月5時間(NIFTY-Serve では3000円)未満の課金の方もいらっしゃ るだろう。そのような方は、現状を振り返って、オンライン・コミュニケーショ ンがライフスタイルの一部になっていると言えるかどうか、考えてみてほしい。

あの当時のアスキーネット、もう一つ失敗したかもしれないのは、アクティブ ユーザーが何人か去って行ってしまった、ということである。特に活発に発言す る人達が。ネットは人である、というのが私の持論である。どんなに使いやすい インターフェースがあっても、魅力がある人がいる所にはかなわない。もちろん 使いやすければ人も集まりやすい、というメリットはある。

当時の値上げ騒ぎと今回を比べて、大きな違いが一つあるとすれば、今回の騒 ぎでは、アスキーネットをやめて NIFTY-Serve に移ろうか、という人がいるとい うことである。あの頃は NIFTY-Serve へ移動しようという人は、ほとんどいなか ったような気がする。

さて、こんな所でアスキーネットの話をあまり書くわけにもいかないので(書 いてるではないか)、後は FASCII にでも行って様子を見てください。なお、私 は FASCII は退会したので何が書いてあるのかは知らない。山勘である。平成の 無責任男ともいう。

まあ他所のことをそう書いてばかりはいられないので、じゃあ NIFTY-Serve は 大丈夫なのかといいますと、冒頭に書いたように、システムの調子からして全然 よくないのだ。おおむね安定しているようではあるが。また、他所は他所の話、 で関係ないさ、と思うわけにいかないのは、NIFTY-Serve においても、5時間も 使っていない人がかなり多いと思われるから。え、なぜそんなことが分かるかっ て? そりゃあ、

        2000回線 × 24時間 × 30.5日 ÷ 300000人 = 4.88
となるから、たとえ回線をフルに使っても全員が毎月5時間も使えるわけがな いのだ。だから 2000 回線なんて数を公表するなと言っているのに…。「5時間 しか使っていない」は、ひとごとではないのですよ。我々には少し危機感が不足 しているのではないか。
    *
電子メールというものは、結構使いがいがあるようだ。特に、仕事の相手先と の連絡によく使われているようである。私は電子メールは、年間に、多分数百通 は出している。もちろん、プログラマーズフォーラムの近況報告メールは別で、 これも数に入れると、数万通は出している。その中で、昨年は、「絶対にその日 に送らないと何が何でもやばい」という大急ぎのメールというのは、たった1通 しかなかったのだが、

ところが、それを送る時に限ってセンターがダウンしていた。

こういう有り得ないようなことが絶対に起こるというのがマーフィーの法則と 呼ばれているもので、マーフィーのゴーストに呪われ始めると始末におえない。

さて、このように、私の場合期日ぎりぎりというメールは滅多にない。余裕し ゃくしゃくか、遅れすぎ、という方が圧倒的である(自慢してどうする)。とい うことで、先月末、1/31 に、その日までにという約束のメールを送ろうとした。 この日が勝負、という体験がなぜか電子メール生活で2度目になるのだが、なん とこのような時に限って!

またもやセンターがダウンしているようだ…

朝の10時頃の話である。幸いすぐ復旧したようだが、私はこの時間を逃すと、 出社してしまうので、極めてメールが送りにくくなるのだ。10 時に送れないとい うことは、その日に送れない、というのと殆ど同じ意味を持つ。もちろん必殺の DynaBook と ISDN公衆電話、という手があるので、何とかなることは、何とかな るのだが。しかし、受け皿が安定してくれないことには、その上で踊る人達はた まったものじゃあないのだ。

通算成績が1勝2敗。それにしても、まだ今年は始まったばかりだというのに、 つくづくついていない。初詣のおみくじは大吉だったはずなのだが…。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -167-
    1992-02-04, NIFTY-Serve FPROG mes(12)-360
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1992, 1996