混沌の廃墟にて -156-

Beautiful Dream

1991-09-24 (最終更新: 1996-11-20)

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あまり寝られない毎日が続くと、夢を見る機会が多くなる。熟睡すると夢を見 ないというが、寝不足だと熟睡するからかえって夢を見なくなりそうなものだが、 熟睡できる位なら寝不足にならないはずだから、結局寝不足だと夢をよく見るの だ。もう一つの理由は、寝る時間を削っていると、夢の途中で無理矢理起きなけ ればならないことが多くなる。概して夢というものは、寝始めにオープンして途 中の処理が行なわれ、最後に目覚める前にクローズの処理を行ってのち目が覚め るように出来ているのに、途中で目が覚めるものだから、クローズの処理が抜け てしまい、一時バッファに作業中のデータがたまったままになるのである。

概して夢の世界というものは妙にリアルなものであるが、なおかつ不条理で分 析できないのが夢である。昨日見たのが恐ろしくリアルだったので紹介すると、 その夢に出てきた家の間取りが、極めてリアルなのだ。ところが、私はこの間取 りの家を現実世界で見た記憶がないのである。放置しておけばそのまま忘れてし まいそうなものだが、今のうち書いておけば忘れても記録が残っているので参考 になるかもしれない。

今までに、この家が出てきた夢が確か三度ある。そのうち、一回は、中学生時 代の昔の友人が出てきたのでよく覚えているのだ。この友人とはもう十何年も手 紙すらないのであるが。不思議なことに、私は高校生時代の夢は殆ど見たことが なく、はっと思う程よく覚えているのは必ず中学生の頃のメンバーが出てくるの である。

三度ある、と書いたのだが、そのような気がするのである。しかし、昨日が一 回として、もう一回は全く思い出せないのだ。しかし、三度ではないように思う のである。それはそれとして、面白いのは、私はそこへ入る時に、門からではな く、塀を乗り越えて入ろうとしたということだ。

昨日はその時に犬を散歩に連れ出そうとしている誰かに出会ってしまい、ただ の通行人のふりをして、その前を一旦通り過ぎた。この時、後で出てくるこの家 のお嬢さんの兄貴だな、と思ったのである。全く根拠がないが、所詮夢なのであ る。その後、いなくなったのを見計らって、どうしたかというと、やはり門から ではなく塀を乗り越えて中に入ってしまうのである。後の展開を考えると、その 理由がわかる、この家の主人が私を非常に嫌っているので、玄関から入りたくな いのだろう。しかし、大概主人はここにはいないのだ。最初に夢に見た時は、家 の中にさえ、窓から入って窓から出て行ったのだが、昨日はどうやって家の中に 入ったかは覚えていない。いつの間にか入っているのである。

この家は二階建てで、リビングルームのような部屋に階段が付いている。上り 途中で左に曲がるような階段だ。

その中にはお嬢様とその母親がいるのだが、また面白いのは、このお嬢様(年 齢は十八位だと思う)と私とは恋人同士である。随分都合がいいじゃないか、当 り前だ、自分の夢なのだから。だが、なんということか、私にはその人の容貌に 心当たりが全くないのである。強いて言えば、どこかで見たような気がするのだ が、どこで見たか記憶にないわけだ。理想なのかもしれないけど。

さて、部屋の中に入って、何をしたかというと、これまた面白いことに、この 女性と何をしたのか全く記憶に残っていないのである。相手が終始にこにこして いたような気もするのだが。

では何を覚えているかというと、芝生が非常にきれいなグリーンだったこと、 家の壁の白さと対比して印象的だった。さらに非常によく覚えているのは、この 部屋は一階にあり、庭に向かって全面窓なので自由に出入りできるのだが、これ を雨戸のようなもので(見たことがない仕組みだった)戸締まりしながら、ここ は女性二人しかいないのだから、ちゃんと戸締まりしないと危ない、といった内 容のことを、私が母親の方に向かって言ったのである。

戸締まりをしたのに部屋の中は昼間のように明るいのだが、いつの間にか主人 がいるのである。前にも書いたように、この人は私に敵意を抱いているようだ。 娘の恋人に対しては当然の感情なのかもしれない。

一体何の話なのか、と不信に思った方もいらっしゃるでしょう。このあたりか ら、舞台はプログラマー流の異様なアナザーワールドに引き込まれてゆく。期待 した人には申し訳ないが、このお嬢様には手も触れなかったようでる。私として も次回に期待したいような気もするのだが、何しろこの夢は異様にリアルなので、 そう簡単に思い通りになるとはとても思えない。

その部屋には電話機が置いてあって、電話がかかってくるとランプが付くので あるが、どうも家のコンピュータと外部が接続してあって、主人は外からアクセ スしているという設定になっているらしい。そこで、私はこの男に向かって、こ この電話回線はハッキングされているようだ、と主張するのである。もちろん男 はばかばかしいと言ってまともに取り上げないのだが、そこに都合よく電話がか かってきてしまうのだ。流石に夢の中である。男はここにいるのだから、外から 誰かがアクセスしているのを見ると私の意見に同意せざるを得ない。

それで、困ったことになった、どうすればよいだろうと私に相談してくるのだ が、私は「偽のデータを流すようにして、様子を見てはどうだろうか」とアドバ イスするのである。そこで、私はシステムをいじり、データの一部を家に送信す るため、FAX で図面のようなものを送ることにした。ここが肝心なのだが、信じ られないかも知れないが、私は FAX という代物は殆ど使ったことがないし、実世 界では使い方が分からないのである。仕事で FAX を送る必要のある時には、NIFTY- Serve の FAX サービスを使うから問題ないのである。

さて、それで一体どうしたか、というと、これは実際に夢に見たことをそのま ま書いたのだから、オチも何もないのであり、目が覚めればハイそれまで、とい うことになる。そして、本当にここで目が覚めてしまったため、私自身何が何だ か訳がわからないのである。とりあえずは、この女性が一体どこの誰かというこ と、この家がどこにあるのかということを知りたいのだが、誰かに尋ねる訳にい かないので、ちょっと難しいし、かと言って夢の続きを見るというのも至難の技 ではないか。夢に理屈を求めること自体が邪道か。

もう一つ面白いことは、この夢が非常によく記憶に残っていたので、忘れない うちに図面を書いておこうと思ったことである。で、実際に図面を書いた。とい う筈なのだが、それがないのだ。つまり、この夢から覚めて、図面を書いた、と いう夢を見ているのである。夢がネストしたのか、一旦目が覚めてから実世界に 戻った続きの夢を見たのか、定かではない。

体のためには悪いかもしれないが、こういう日々が続けば寝不足に病みつきに なってしまう。文字通り。


        COMPUTING AT CHAOS RUINS -156-
        1991-09-24, NIFTY-Serve FPROG mes(12)-247
        FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
        (C) Phinloda 1991, 1996