混沌の廃墟にて -134-

まだまだ使えるDynaBook

1990-10-22 (最終更新: 1996-08-15)

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Vz Editor をアップデートして version 1.55 にした。今までは v1.53 で使っ ていたのである。買った時には v1.50 だったが、その後知人のものをコピーさせ てもらったので v1.53 になった。Vz Editor は、購入者の間でコピーしてバージ ョンアップしても構わないという契約なのである。これは合理的なアイデアであ る。

また、バージョンアップのための差分情報が、BBS などに転載されているため、 これを使って手持ちの Vz を新しい版にすることができる。これこそオンライン ・コミュニケーションの特徴を生かした面白い使い方だ。

v1.53 で困っていたのは、タイミングによって文字が化けてしまうという障害 である。これは以前「混沌の廃墟にて」でも書いたと思うが、使い方を考えなけ れば実用に耐えないほどの障害だった。文字を入力する時には、必ず行の最後に いるように注意していれば、殆ど問題ない。うっかり文章の途中に挿入しようと すると、たまにひどい目にあうことになる。

ところが、v1.55 では、この障害が直っていると聞いたので、これはバージョ ンアップしなければなるまい、と決心したのである。そこで、早速差分情報を手 に入れようとしたのだが、それが登録されているライブラリからダウンロードす るためには、ZMODEM が必要なことに気付いた。ZMODEM は手元のフリーソフトウ ェアのコレクションの中にある筈。ある筈なのだが、フロッピー何枚というよう に分散しているので、なかなか見つからない。しらみつぶしに捜して、ようやく 見つかった。

そこで、早速差分情報を手に入れようとしたのだが、何とこれが ISH 形式のフ ァイルで登録されていたのだ。ISH 形式は、今さら説明の必要はないと思うが、 要するにバイナリのファイルをテキストに変換した形式で登録されていたわけだ。 つまり、無手順でダウンロードできるのである。

でも、ZMODEM が役に立たなかったわけでもない。差分ファイル用いてプログラ ムを更新するプログラム、bupdate が、バイナリ形式で登録されていたからであ る。これを ZMODEM を使ってダウンロードした。

手にいれた差分情報を、ish で展開しようとしたら、何と展開できない。新し いバージョンの ish を使うようにというメッセージが出ている。ish の形式にも、 いくつかバージョンがあって、私の使っていた ish が古かったらしい。そこで、 新しい ish を手にいれることになった。

ようやくこれで、必要なものが揃ったのである。v1.53 から v1.54 にバージョ ンアップしようとした。まず、Vz v1.53 を作業用のディレクトリにコピーして、 bupdate を実行する。すると、v1.54 が作成される。これは pc98 版だが、これ から J3100 版に変化させる差分があって、もう一度 bupdate を実行すると J3100 版の v1.54 ができあがる、という訳だ。そこで試しに実行してみたら、何とディ スクエラーが出てしまった。

なかなかゴールには到達しないものだ。(^_^;)

この作業はフロッピー上で行っていたのである。最近、たまにディスクエラー が出ることがある。原因はよくわからない。使い方がよくないのか、ドライブに 原因があるのか、それとも2年もたつと磁気が弱くなってくるのだろうか…。憶 測しても仕方がないので、他のフロッピーにコピーして、再度作業した。

こうして、最終的に v1.55 にバージョンアップできたのである。ようやく DynaBook で特に気を使わずに作業できる環境になり、ほっとした。これで完璧な 作業環境である。

    *
DynaBook はこんな感じで快調である。CPU が 8086 で遅いだろう、という声も ある。確かに 80286 よりは遅い。あたりまえだが。最近、Oh! Dyna という雑誌 の付録のソフトがあったので、新型の DynaBook で走らせてみた。こちらは 80286 である。何といっても画面は明るいし、atok の変換が早いので気分がいい。SS001 だと、候補文字列を表示するまでに、一瞬のタイムラグがあって、これがやや気 になるのだが、286 だとそのような事はないようだ。

話がそれるが、WXP というフリーソフトウェアの日本語 FEP も手にいれてみた。 残念ながら、今はハードラム(DynaBook では電源バックアップされたメモリをデ ィスクとして使えるように設定でき、ハードラムと呼んでいる)の空き容量が少 ないのでインストールすることができない。そのうちファイルを整理して、イン ストールしてみたい。

atok7 は、しばらく使っていると突然学習情報が消滅してしまうのが、極めて 大きな欠点だと思う。もちろん、希に使用不能状態になるのは、もっと気になる が。実はこの文章を書いている途中にも、一度、変換しようとすると「エラー」 と表示され、全く変換不能になってしまった。

とにかく、学習情報消滅は、いきなり発生するから、ものすごい不快感がある。 また、DynaBook 付属の MSDOS に付いてくるツールだけでは、細かい品詞の指定 ができない。名詞・サ変名詞程度は指定できるが、動詞や形容詞を指定すること ができない。これもいまいちである。ただ、そこまで気にする人はあまりいない のでは、と言われたこともあるので、人によってはこれで満足しているのだろう。

サ変名詞というのは、「〜する」という使い方のできる名詞のこと。先日、リ アルタイム会議で「贔屓」という言葉が変換できるか、という妙な質問をした。 これは T-CODE 派の某氏を「漢字で書けないだろ〜」と言っていじめるための質 問だったが、何と atok も変換できないので(*1)、墓穴を掘ってしまったわけで ある。もっとも、日常は「ひいき」と仮名書きで使って別に不便はないと思うが、 口語では割とよく使う割に、漢字が難しいという単語は、いくつかあるものだ。

「贔屓」の「贔」という字だが、貝が3つである。これは 16 ドットのフォン トでは正確に表示できない。日本語を正確に表示するには、24 ドットが最低必要 な限度と言われている。DynaBook では、上に乗っかっている「貝」の棒が一本欠 けている。もし、「贔屓」という漢字を知らない人が、パソコンの表示した文字 フォントをそのまま信じてしまったら、誤った文字を覚えるという危険もありそ うだ。(*2)

    *
先日のリアルタイム会議では、「DynaBook はまだ売れているのか」という疑問 が提示された。実は、まだ売れているし、何とこれから買おうという人がいる。 SS001 である。これが、実売価格が 12〜13 万円程度になってきたので、ちょっ と買ってみようかな、というのである。安い店なら 12 万円を割っているし、特 売セールだと先日 9 万いくらという広告を見たこともあった。この値段になって くると、新たなスペックが追加されたようなものである。新たな購買層が生まれ てくるのだ。

もう一人の知人は、最近出た 286 モデルを買おうかどうか迷っているようだ。 イメージとしては、こちらの方が格好いいらしい。鈴木亜久里も鈴鹿 F1 で3位 入賞したし、確かにイメージはよいような思い込みがある(*3)。私は 286 モデル も捨てがたいが、来年になると 386、486 モデルが、やはり 198,000 円で出てき そうな気もするので、もうちょっと様子を見てみたい心境だ。もし 98,000 円な ら迷わず買うと思うが。

SS001 を持っている人は、+98,000 円でリプレースできる、というような戦略 も考えて欲しいと思う(*4)。Mac のように。

    *
慶応大学藤沢キャンパスでは、学生全員に DynaBook を導入するようだ。これ により、少なくとも 1250 台の DynaBook が、これから売れるのである。:-) 学 校のコンピュータと接続して、レポートの提出などをオンラインで行う予定らし い。また、電子掲示板が用意されれば、連絡には便利になるかもしれない。

レポートをオンラインで提出できる、という可能性に大いに関心がある。私の 知る限りでは、いまだにレポートは手書きでなければならない(ワープロは不可) という教科があるはずである。ワープロだと、コピーしたものを提出されてしま うから困るというのである。手書きでも、代理人に書かせたら、分からないよう な気がするが…というのは脱線しすぎだが、早い話が、レポートの内容が全く同 じかどうか、読んで分からないというのなら、採点する側の真剣さにも何となく 問題があるような気がするのは私だけだろうか。

また、オンラインでフリートークの掲示板などがあれば、かなり面白いことに なると思うのだが、そこまで実現されるかどうかは、報道記事からは判断できな かった。ともあれ、コミュニケーション新人類が多く卒業することを期待したい。


補足

(*1) J3100-SS001に付属のatokの話。

(*2) というよりも、覚えられないというのが現実的解釈だろう。

(*3) 当時DynaBookのテレビCMに出ていた。

(*4) 結局、そのような戦略は、なかったのだろうか。一度だけ、ユーザーへの 特別価格販売という葉書が来たことがあったが、すぐに取り消しの葉書が来て何 もできなかった。あれは何だったのだろう。とにかく、安価リプレースという選 択がないことも影響して、現在私はDynaBookから離れてThinkPADを持ち歩く毎日 であるという事実のみ紹介しておく。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -134-
    1990-10-22, NIFTY-Serve FPROG mes(3)-236
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1990, 1996