混沌の廃墟にて -132-

グループメディア

1990-09-16 (最終更新: 1996-06-11)

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直前の3回の「著作権シリーズ」で相当精神力を消耗してしまったので、グロ ッキーである。脳がパーになっている。

右脳と左脳の機能が異なっていることは有名だ。日本人と欧米人を比較すると、 右脳・左脳の使い方が異なっているという報告も、結構有名だと思う。(*1)

例えば、虫や鳥の声を、日本人は言語として解釈し、欧米人は音として認識し ている、という結論である。だから、「虫の音」ではなくて、「虫の声」なのだ… と書こうとしたが、よく考えてみれば「虫の音(ね)」とも言わないわけではな い。困った。ただし、「鳴き声」とは言うが、「鳴き音」とはあまり言わないか ら、やはり声にこだわりたい気分はある。

仮に、日本人が虫の鳴き声を、大脳の言語を処理する部位で処理しているとす れば、次の2通りの解釈ができる。

処理の対象が「音」か「言語」かの違いである。圧倒的に後者の発想が面白い。 古来、「わび」とか「さび」を自然から学びとろうと努力してきた日本人の生活 形態が、このような生理学的結果を生みだした、とこじつけると、なお面白い。

と、ここまで書いて、大脳生理学に詳しい人に実際のところどうなんだ、と尋 ねてみた。驚いたことに、日本人の右脳・左脳の使い分けが欧米人と異なってい るという学説は、追試されていないそうである。

これは主観的な学説で、数値的なデータが示されたわけでもないし、説得力は ないと言うのである。そう言われてみると、日本人と欧米人との右脳・左脳の使 い分けに関する調査データという数値は見た事がないような気がする。専門家に は尋ねてみるべきだ、という教訓であった。

ついでに、右脳・左脳という分類だが、例えば言語を処理する部野は、誰でも 同じなのか、学習課程などにより、異なった箇所で処理していることはないかと 尋ねてみると、あまりそのような差はないと言っていた。ただし、希に心臓が左 右逆の位置にある人がいるのと同様に、左脳と右脳が対称的に入れ替わっている ことはあるそうである。左ききの人は脳も左右入れ替わっているのだろうか? これは質問するのを忘れてしまった。

    *
先日「プログラマー・フォーラム企画会議」というのに出席した。何のことは ない、オフラインミーティングであるが…。基本的に私はオフラインが嫌いなの で(着ていく服がないから)、あらゆるオフラインを避けているのだが、希に出 席することもある。今回は服があったのだが、しっかり「アセロラサワー」をひ っくり返してズボンがべとべとになったので、次回からのオフラインの参加が危 ぶまれている。

アセロラサワーとか、あんずサワーとか、この手の飲物の色が好きなのだ。味 わう舌は持っていないので、味はどうでもいいのである。

今回は、3名初対面の方にお会いできた。オフラインミーティングは、よく 「初対面のような気がしない」と言われるが、その通りである。なぜなら、電子 会議にしろ、リアルタイム会議にしろ、面と向かって会っているわけではないが、 メディアを通じて実際に会っている訳だし、「会う」というのは、顔を見るのが 第一目的ではないし(たまにはそういう事もあるかもしれない)、コミュニケー ションするためだと思えば、ますますネットワークを通じて日常行っていること だから。

だから、考え方によっては、オンライン・コミュニケーションというのは、オ ンラインで人に会うためのメディアなのである。このようなメディアには複数人 数が参加することが大前提になるから、私はこのようなメディアを「グループメ ディア」と呼ぶことにしている。

    *
DynaBook のバックライトは、じわじわと暗くなってきた。忍者は苗木を植えて それを飛び越える修行をして、ついには大木を飛び越える技を身に付けるという が、この様子だと、数年たてばバックライトのない画面が平気で読めるようにな るかもしれない。

いつの間にか、DynaBook で使えるソフトウェアが5万本という宣伝をしている ようだ。私がこれを買った頃、J-3100 のソフト数千本がそのまま使えます、と いうことだったと思うのだが、随分増えたではないか。:-) 疑問は3つある。ま ず、5万本のソフトの内訳。全部買うといくらですか。もう一つは、5 万本のソ フトの中で、実用になるものは何本ですか。最後は、論外と言われるかもしれな いが、AXパソコンで使えるソフトは何本程度ありますか? (*2)

DynaBook を買った時に、市販のソフトを買わないという約束でしたが、完全に これを破ってしまいました。情けないものです。買ったのは、Turbo-C++。もっと も、あまり使っていないのだが。もう一つは、ゲームソフト。具体的には内緒。 ただし、SimCity ではない。(*3)

私は 5 万本もソフトは買わないので、自分が使えるようなソフトが何本かあれ ば、それで十分である。大部分の人が同様だと思う。しかし、残念ながら、よく わかっていない人は、5 万本もソフトがあれば、その中に自分の欲しいものが含 まれているに違いないと誤解して、本体を先に買ってしまうかもしれない。そし て、5 万本の中に、実は自分の希望しているソフトがないことを知って、呆然と するかもしれない。(ちなみに、私の欲しいソフトは Habitat である)。(*4)

メーカーに本当に自信があれば、「これさえあれば大丈夫」というソフトを数 種類付けて、独自ハードウェア+独自OSを売り出しても、成功すると思う。た だし、本当に、それさえあれば大丈夫、でなければならないし、安くなければい けない。この2つの条件を満たすのは難しいし、両方満たさないことが多い。


補足

(*1) 左右というよりも、脳のどの部位で何が処理されているか、という話であ れば有名な話になる。単に左右に割りふろうとすると無理が生じてカルト宗教的 な発想になりかねないのではないか。

(*2) AXパソコンってどうなったの?

(*3) 確か「麻雀悟空」だったと思う。

(*4) もちろんDynaBook用のHabitatは、なかった。今はどうなんだろう。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -132-
    1990-09-16, NIFTY-Serve FPROG mes(3)-174
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1990, 1996