混沌の廃墟にて -125-

異常体験

1990-06-19 (最終更新: 1996-05-14)

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「メディア・セックス」という本に関する発言があったが、コメントを付ける タイミングを逃してしまった。この本は昨年読んだと思うのだが、心理学方面の 知識に詳しい人の談によると、いまいち説得力がないそうである。

生体が刺激を認識するためには、刺激のレベルが一定以上なければならない。 このレベルを下回る刺激をサブリミナル刺激(subliminal stimulus)と呼ぶ。定 義から、このような刺激に対して生体は反応できないはずだが、実際に測定して みると、サブリミナル刺激に対して生体が反応することが観測されている。この 時の近くはサブリミナル刺激と呼ばれ、意図的にこのような刺激を与えることに より、行動をコントロールすることを、サブリミナル・コントロールと呼ぶ。

刑事コロンボの作品に、これを応用したものがあった。映画のフィルムの一コ マに、犯行現場写真を混ぜておき、これを見た犯人がなぜか気になって犯行現場 に戻ってきてしまう、というものだったと思う。よく覚えていない。この場合、 視覚による認識の常識では、一定の時間対象を見つめなければならないのだが、 フィルムの一コマという短時間の刺激で犯人が行動してしまう所がミソである。

テレビCMでこのような事が可能だろうか。少し無理がある。ブラウン管は残 光現象があるため、認識以前の問題で、物理的に画像が表示されるだろうか、と いう疑問である。ただ、理論的に検証したわけではないので、本当の所、意味の ある画像を1フレームで表現できるかどうか、わからない。あくまで想像だが、 CRT 上に意味のある画像を本当に表示する程度の時間があれば、サブリミナルで はなく、実際に認識できる程度の刺激レベルになるのではないか、と思う。

ソフトウェアにサブリミナル知覚を応用できるだろうか。最近、ちょっと気に なるソフトがあったので、script を使ってログを作成してみたら、一瞬表示され るメッセージがあることを発見した。これは別にサブリミナルを狙ったのではな く、偶然表示の書き換えが早すぎて、表示が読めない状態になったにすぎない。 これが意図的に行われると、どうなるだろうか。

例えば、フリーソフトウェアの起動メッセージを表示する時に、一瞬「GO FPRG」 と表示させ、ただちに「−BPL 処理開始−」と上書きすると、FPRG の参加率は増 加するのだろうか。「なぜ私は FPRG にいるのでしょうか?」「知らないうちに FPRG をアクセスしてしまいました。」という発言が殺到すると恐いので、こうい う事はやらない。:-)

    *
何で読んだのか覚えていないが、現代のヤングが買いたいと思っているアイテ ムのベスト3が、ブックパソコン、LDプレーヤー、コードレス電話とのことだ。 私がヤングかどうかは、さておき、

FPRG におけるブックパソコンの普及率は高い(と思う)。運営スタッフの半数 以上がブックパソコンを利用している。と書くと多数で運営しているように見え るが、3名のうち2名が持っているというわけで、これは有意差とは言えない。 しかし、発言者を見ているとわかるように、アクティブユーザーの数名が明らか にブックパソコン利用者である。

なぜブックパソコンが流行しているのか。「1990 プレジデント6月号別冊、電 子文房具スペシャル、やさしく書いたノートブックパソコン大研究」という本に (長い名前だな〜)によれば、

(p.18)

とのことだ。「持っていると格好いい」というのは…そういうものかな〜、と 疑問がないわけでもないが、「ブーム」で片付けてしまうというのは? 何を隠 そう、私もこれには全く同感だ。とにかく、ブームである。ブームを甘く見ては いけない。

ちなみに、同書は「ノートブックパソコン」という表現を使っている。したた かである。私は自称 DynaBooker だから、「ブックパソコン」と書いているが、 98Note ユーザー(何か洒落た言い方ありますか?)は、当然「ノートパソコン」 と言う。EPSON のユーザーは今困っているかもしれない。ま、中身さえ違いない なら、表現などどうでもいいのですが。

98Note で思いだしたが、98NS という 386SX 搭載タイプが発表された。 定価 298,000 円。驚いているのは、98NS は不要と主張する人がいることだ。主 な理由は、液晶表示のブック(ノート?)パソコンは表示が遅いので CPU パワー はいらない、という意味のものが多い。

そうだろうか。V30 と 386SX の差は歴然としている。アプリケーションは表示 以外の処理にも CPU を使う。処理が早いということは、広い意味でのユーザーイ ンターフェースが改善されたことになる。ここで注目すべき点は、この改善に対 して支払うべき予算が5万円である、という所にある。98N は 248,000 円、98NS は 298,000 円なのだ。

そこで、私の結論だが、この程度の差なら、98NS を買うだけの価値はある(も ちろん、いずれにせよ私には手の届かない価格だ)。何をどうしても「あと5万 円」が絞り出せないという場合でなければ、少し無理してでも 98NS を選択する のがよいと思う。もちろん、98N か 98NS のどちらかを絶対に選ばなければなら ない、という条件があればのことだが。

というのは、もし資金的な問題があるなら、30 万円+α出して 98NS を買うよ りは、20 万円の予算で DynaBook を買えば、10 万円以上の節約になるのである。 この差が、CPU と階調表示以外にはスペックの差となっていない点を強調したい。 むしろ、10 万円安い DynaBook の方が優れた所もあるのだ。

いい点ばかり書いても(普段は障害報告ばかり書いているが)説得力に欠ける ので、最近 DynaBook を使っていて不審に思うことも少し書く。まず、非常に希 であるが、仮名漢字変換を行っていると、突然「辞書ファイルが違います」とい う表示が出て、まったく変換できなくなることがある。また、この時は学習機能 がいつの間にか OFF になっている。これはメモリを増設する前にも数度経験した ことがある。原因は不明。

もう一つはメモリ増設後に起きているのだが、バッテリがフル充電の状態で、 電源アダプタ利用時にもかかわらず、突然 Batt. ランプが消えてしまう。この時 には、充電状態になるらしく、バッテリを触ってみるとかなり発熱している。こ の状態に気付いたら、とりあえず電源アダプタを切り放して、放電させてから使 うことにしている。

    *
実はLDプレーヤーは持っている。服がなくてもLDプレーヤーがあるというのが、 暗い。:-) で、先日LDを見ようと思ってLD…メディアの方だ…をセットしたら、 回転と同時にものすごい音がした。LDが反っていたのだ。しかも、OPEN のスイッ チを押してもすぐに出てこないので、かなり慌てたが、少し回したり止めたりし ているうちに、いい方向になったらしく、なんとか出てきた。

これはいかんな〜、と思ったので、LDプレーヤーの取扱い説明書を見る。LDが 反ったらガラス板にはさんで日光に当てるとよいと書いてある。そう言えば、LP レコードが反った時に、同じようなことをすればよいという話があったと思った が、この手がLDでも使える手らしい。

ガラス板を手に入れるのが結構大変だったが、とりあえず 30×30 センチの 0.8mm 厚の板ガラスを2枚手に入れた。意外と高かったが、LDを買い直すよりは 安い。これに挟んだ状態で放置しておくと、日光に当てるまでもなく、平になっ た。

ちなみに、コードレス電話は、狭い部屋では何の意味もないので、欲しいと思 ったことがない。

    *
昔、ミュージ郎を使って作った曲を最近聞き直してみたら、コード進行が全く わからなかった。これは誰が作ったのかと悩んだ。もっとも、コード進行がない ような曲ではあるが…。

原因を考えてみたが、多分、ミュージ郎を前にして、マウスを手にとった瞬間、 何か得体の知れないものが私の精神に乗り移って、それが曲を書かせるのではな いか、と思うのである。

このような霊媒現象は、体験した人も多いのではないか。例えば、「あれっ、 こんなプログラム、書いたっけ、変だな」と思ったことはないだろうか。プログ ラミングに熱中していると、興奮状態になり、普段なら表面に現れないような人 格が精神を支配している、というモデルで、これが説明できる。酒を飲むと人が 変わる、というのと類似の状況である。

もちろん、プログラミングと、酒を飲むことは、同じではない。:-)


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -125-
    1990-06-19, NIFTY-Serve FPROG mes(5)-427
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1993, 1996