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漢字は字そのものが意味を表現している。これは、英語に比べると大きなメリ ットである。例えば、次のようなアイコンがあれば、エディタかもしれない、と 想像できるはずだ。このための表示スペースは、最低で 16×16 ドットあれば何 とかなるのだ。
+--+ |編| +--+さて、これではあまり面白くないので、若干くだらないが、私が思いついたア イデアを述べてみる。
漢字1文字で処理の内容を表現する場合、すぐに限界を感じることになる。 例えば、上のア イコンだと、図形を編集するためのプログラムが起動するのか、 文章を編集するのかわか らない。次のようにすればよいと考える人もいるだろう。
+--+ +--+ |図| |文| +--+ +--+これも確かにアイデアである。だが、今度は「図」が図形編集を意味するのか、 それとも図面表示が行われるのか混乱するかもしれない。もちろんウインドウシ ステムごとに一意に漢字を割り当てれば、そのシステム内では混乱しないと思う が、工夫としては、いまいちである。
*さて、日本語には4文字の漢字でかなりの意味を表現できるという特徴がある。 そこで、上のように単独の漢字ではなく、4文字熟語で意味を表現することであ る。既に「図形編集」「文章編集」「図面表示」などの言葉を使っている。「図 面表示」という熟語は辞書には載っていない。しかし、この言葉を誰が見ても 「図面を表示することだな」と連想することができる。「図面を表示すること」 という9文字を4文字まで圧縮できるのだから、日本語は圧縮率の高い言語だと 言ってもよいかもしれない。
なぜ4文字なのか、理論的にも考えてみよう。まず、2文字の漢字による単語 の数は非常に多い。 組み合わせの数が爆発的に増えるから1文字より2文字の単語が多くなるのは 当たり前のようだが、では3文字の単語は もっと多いかというと、2文字の方が多い。2文字でかなりの意味が表現し尽く されたような所があるのかもしれない。
そこで、4文字の漢字を使うことにより、2文字+2文字による組み合わせが 実現できる。一方が動作の対象で、他方が動作そのものを表現するような組み合 わせにすると、行動そのものが4文字に凝縮できる。例えば先手必勝という単語 は、先手が必勝する(必勝である)という意味に解釈できよう。この手のオブジ ェクト+アクションの表現は、非常に簡単に構築できる。例えば「一発変換」 「取消可能」「全文置換」「支払延期」「入荷未定」のように。
ここで、いきなり余談になるが、DynaBook のモデムを予約したのが 11 月の中 旬だった。これが災いして、昨年中にモデムが入荷しないことがわかった。実は、 予約した時には、12 月に入荷すると言われたので、時期をみて受け取りに行った のだが、まだ入荷していなかった。そこで「来週あたりに入る」と言われたから、 次の週に行ってみると、入荷した数が少ないので、予約順の関係でまだ駄目です と言われる。次は 12/25 日頃に入荷するので、多分その時には大丈夫と言われた。 近くの店でも入荷未定と言われたので、諦めて帰ったのだが、何と 12/25 にも駄 目と言われてしまった。
これでは正月にモデムを内蔵して帰省できないので、ここは BBS の強みという もの、前日にボードから仕入れた情報で、秋葉原に行けば即納の店がある、ただ し値引きは少ないというのを信じて、秋葉原まで久しぶりに出かけたのである。 これでモデムが手に入ったので、今年は SYSOP は 1/1、1/2 と、しっかり発言し ている。
こういう事なら、7/7 に本体を予約した時点でモデムも予約しておけばよかっ たのだ。ちなみに、1/5 頃にモデムを予約しておいた店から入荷の連絡があった が、ちょっと遅かったようだ。
こういうのを、先手必勝というわけだ。
*話を戻そう。4文字の漢字を使って画面に表示するには、安易な発想だが、次 のようにするのは自然である。
+----+ +----+ +----+ |文章| |週間| |怨霊| |作成| |予定| |退散| +----+ +----+ +----+しかし、これでは全然面白くも何ともない。 そこで、私の発想とは何かということになるが、 何と歴史をさかのぼるのである。 西暦で言えば、708 年、和製コインが始まった所まで。古銭 というのは、確か、次のように4文字熟語を配置していたような気がしたのを、ふと思 いだしたのだ。
/銭\ 次 平 \形/…ちょっと古銭でないような気もするが、それはさておき、2段目の並びは右 から左だっけ? とにかくこれを現代風にするならば、左から右に流した方がよ さそうだから、次のようにしてみよう。フォントの都合で丸く見えないが、実際 はちゃんと円形の枠にしたい。
/文\ /週\ /怨\ 作 成 予 定 退 散 \章/ \間/ \霊/このようなマークをウインドウに表示する。この上をポインティング・デバイ スを用いて操作すればアプリケーションが起動する。アイコンというのは、通常 は画像イメージによるデザインなので、インスピレーションにうまく感じさせる ようにできればよいが、失敗すると機能が連想できない。その点、漢字4字の熟 語は、4字で表現できないような意味合いの アプリケーションでない限り、機能そのものを表現す るので勘違いが少なくなると思う。
このような、古銭にみたてたボタンのことを、1個のコイン(a coin)にちな んで、アコイン(acoin)と呼ぶことにした。
アコインの特徴的な機能は、アコインの領域が9つに分割できることに関連す る。
+--+--+--+ |A|B|A| +--+--+--+ |B|C|B| +--+--+--+ |A|B|A| +--+--+--+いずれの部分をクリックしても、アプリケーションはただちに起動する。ドラ ッグの場合には、場所によって動作が異なる。Aの部分をドラッグすると、アコ インの大きさが変形し、ただちにその大きさのウインドウを用いてアプリケーシ ョンが起動する。BまたはCの部分をドラッグすると、ウインドウ上でアコイン の位置が移動する。
何か勘違いしているような気もするが、こういう渋い画面デザインも、たまに はよいだろう。アコインを使ったユーザーインターフェース設計は、古銭的イン ターフェースとでも呼ぼうか。残る問題は、これを誰がインプリメントするか、 なのだが…。
COMPUTING AT CHAOS RUINS -101- 1990-01-21, NIFTY-Serve FPROG mes(5)-065 FPROG SYSOP / SDI00344 フィンローダ (C) Phinloda 1990, 1996