混沌の廃墟にて -92-

RAMカードより電脳カーペット

1989-12-03 (最終更新: 1996-06-04)

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 最近、いくつか買い物をした。電子カーペットと、布団と、掃除機である。全 部合計すると、ちょうどDynaBook の1MB RAM カードと同じ程の値段になる。1MB の RAM カードと「電子カーペット+布団+掃除機」のどちらを買うべきかで悩ん だ人間は世界でも珍しいのではないか。

 電子カーペットは、2畳相当のものだが、最近はこの種の電化製品にさえマイ コンが入っているものがある。温度処理にマイコンを使うと思われる。マイコン が入っているものと、入っていないものの価格差は1万円程度。電脳カーペット と呼ぶべきだろうか。私の買ったのは、マイコン内蔵ではないタイプで、なぜな らマイコンが入っていると、やはりバグが恐ろしいからだ。:-)

 扇風機の中には 1/f 雑音を応用して、心地よい風を発生するとアピールしてい るものがあるが、これを真似して 1/f 雑音のリズムで暖房するカーペットを作る のは無理である。では、電子カーペットにはマイコンをがんがん使うことはでき ないか、そうでもない、一つ思いついた。大抵、カーペットの上にごろりと横に なっている時は、ごろりの下が暖かくて、周辺はそれ程暖かくなくてもよいわけ である。ならば、感圧センサーを至る所に内蔵しておき、ニューロの技術を駆使 して人がいる上に熱を集中させるカーペットというのはどうだろう。

 しかし、カーペットの目的は床暖房だから、トータルの熱量が結局問題である。 このアイデアは企画倒れになりそうだ。

 掃除機、これは相当電脳化できそうだ。もしかすると既にあるかもしれない。 例えば、吸い込みの時の風量を測定すれば、吸い込んでいる時と空回りの時とは 区別できそうだから、アイドル状態はパワーを落として節電する掃除機はどうだ。

 節電に関連すると言えば、やはり DynaBook のバックライトが一定時間キーに 触らないと自動的に消えるように設定できるというのは、高く評価されてもいい かもしれない。と書いてから、たちまち反対の意見を書くのも変だが、ソフトウ ェアで制御するような方法を公開しておいてくれるともっとありがたかった。(*1)

    *
 先日の RT は、もちろん DynaBook で参加。この時は、部屋の照明を暗くして 異様な雰囲気にしておく。こうすると、バックライトが文字を引き立てるので会 話が盛り上がる。(*2)

 さて、モデムは部屋の端の方に置いてある。電子カーペットは部屋の片方によ せて敷いてある。DynaBook とモデムを接続するケーブルは案外短い。となると、 電子カーペットの上に座って Chat ができない。寒い。これには参ったので、な んとかケーブルをぎりぎり延ばして、カーペットの上から DynaBook を使えるよ うな配置にした。

 モデム〜電話を接続するモジュラケーブルは、これまた非常に長いので、 DynaBook の内蔵モデムが手に入れば、一応部屋のどこからでもアクセスできそう だ。アクセスするのに移動する意義があるのかと言われそうだが、電子カーペッ トの上で横になってアクセスしたいという要望は強いものがあるし、テレビを見 ながら chat というパターンも捨てがたい。

 そういえば、NIFTY-Serve に初めてアクセスした頃は、PC-8801 だったし、ス トーブがなかったから、こたつの中にキーボードだけ入れて chat したものだ。 これを「コタツタイプ」と名付けたのは多分私が初めてだろう。しかし、DynaBook だとこたつの中に入れることができない。キーボードとディスプレイが一体にな っている思わぬ弊害(?)である。

 その PC-8801 も、ついに先日捨ててしまったのである。掃除機を置く場所がな かったのだ。その場所を作るために、PC-8801 を捨てたのだ。名残りは惜しいが、 もう1年以上も使っていなかったので、多分これからも使わないだろうと判断し たのだ。2D の FD を、はさみで切り込みを入れながら捨てた。わざわざ切り込む 必要はなかったかもしれないが、区切りを付けたかったのである。(*3)

    *
 それにしても、DynaBook の増設 RAM カードは高い。10 月末から 11 月にかけ ては、メモリ LSI が若干値下がりし、例えば 1Mbit DRAM が 1580〜1650 円程度 だったという。仮に 1M の RAM カードが8万円ということは、仮に 1Mbit が 2000 円だとしても単純計算で1バイトあたり 40 ビット相当である。相当パリティチ ェックが厳重であるらしい。:-)

 という筈はいくらなんでもないだろうから、例えば RAM カードに使う LSI は ものすごく高いとか、外装に数万円のコストがかかるとか、コネクタの製造が困 難だとか、何か別の要因があるのだろう。しかし、RAM カードでないにしても、 1Mbit 2000 円なら2MBのメモリ増設は4万円程度でできるような気がする のに、ユーザーが通常のパソコンの 2MB の RAM ボードを買おうとすると7〜8万 円程度になるのはなぜか。

PC98N の予約は好調らしい。これは、RAM が一見 DynaBook より多いようだが、 辞書などを置くと DynaBook より自由に使える領域は実際やや少なくなる可能性 があるマシンである(単純計算ではそうなる)。しかし、PC98N の場合は 1M の RAM カードというのはなく、いきなり 2M の 140,000 円の RAM カードを買わな ければメモリは増設できない。定価合計 388,000 円のマシンというのは結構なも のである。RAM カードが量産して安くなるものだったら、98N でも DynaBook で もいいからどんどん売れて、RAM カードの需要も増え、定価が下がるのを祈るし かない。現実はどうか。16M の RAM が量産されるあおりで定価が下がるのを期待 した方がよいのかもしれない。技術の進歩は早い。(*4)


補足

(*1) 最近は節電機能はあたり前のようになったようだ。

(*2) もう一つの理由は、J3100-SS001のバックライトが暗いために、あまり明る い所だと字が読めないからである。なお、RTはNIFTY-Serve用語でリアルタイム 会議のこと。フォーラムの中にあるchat機能。

(*3) 初代DynaBookも、今は捨ててしまった。

(*4) 1996年6月初旬の秋葉原のSIMM価格は、16MBパリティなしで13,000円程度で ある。価格が一か月で激変する状態なので、価格情報を公開しているページを WWWでチェックするというのも面白い。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -92-
    1989-12-03, NIFTY-Serve FPROG mes(4)-392
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1989, 1996