混沌の廃墟にて -82-

もう誰にも止められない

1989-10-08 (最終更新: 1996-05-16)

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先週、かなり厳しいスケジュールの毎日がたたったのか、完全に週末に潰れて しまった。週初めは風邪が直ったかどうかという状態で、非常に体調不良。その まま朝早く起きる日が続いて、金曜日の夜、なんとかリアルタイム会議までは持 ちこたえていたが、30分位頑張った所で、かなり気分が悪くなる。しばらく横 になったりして我慢していたが、どうも良くないので早退させていただきました。 前代未聞の SYSOP 早退である。(*1)

精神的には完全に×だ。とにかく、仕事は残業に決まっているから帰ってくる とちょうど NIFTY-Serve がセンターダウンしている時間帯である。一日何もしな いわけにはいかないと思い、なんとかアクセスしようとすると夜は更けていく。 早朝を選択した方がかなり有利だったと思う。朝もアクセスすることはするが、 先週は起きるとあわてて出社するパターンが多かったので、あまり朝にアクセス できなかったのである。最近は朝も BUSY でなかなか回線がつながらない。

センターダウンが発生し始めたのは、ちょうど FPRG の全員メールを送った直 後からだ。全員メールで若干といえどもアクセス率が上がるのではないかと甘い 期待を持ったのは、本当に甘かった。それでも、何とか 40% 程度のアクセス率に なっていたが、ここ最近のアクセス率は 30% 程度である。最近のような状況でア クセスしてくださる方がいるという事の方がありがたい位だ。

    *
ログファイルはフォーラムやサービス毎にファイル名を付けて、後で集計する ことにしている。例えば、FPRG のログは、FPRG.930 のように名付ける。これは 9/30 のログである。10 月に入ると、FPRG.1001 としたい所だが、MS-DOS が許し てくれない。このような時には UNIX のありがたさが身にしみる。しかし、実は FPRG.A01 のような名付け方をするので、特に問題もなくうまくいっている。つま り、
    FPRG.930
    FPRG.A01
    FPRG.A02
のようにファイルがあると、
    SX FPRG.*
というコマンドを実行しただけで、ちゃんと日付の順にファイルを整理してく れるという意味だ。ascii の文字の順序が 9 より A が大きく割り当てられてい るのがポイントだ。

フォーラムのログは、フォーラム名をそのまま使うので、FIBM.A03 とか FHELP .812 のような名称になる。大抵、GO コマンドに合わせると間違いが減るので、 BFREE.A04 のようなファイルも出来る。最近非常に面白いと思っているのが BFREE。(*2) 昔、電子会議というのがあった頃は(*3)、CCS がこれと同じ位面白 かった。今は、何か議論したい時に general の会議がないので BFREE に集まっ ているようだ。ところが、掲示板はとうてい電子会議になるには機能が足りない ので、誰が誰にコメントしているのか錯乱し、事態が混乱してゆく。

今、最も感情をむき出しで対決できるのは BFREE かもしれない。気の弱い人は 見ない方がいいと思う。もし見るにしても、黙っている方がよいと思う。

BFREE も、完全に常連と傍観者に別れてしまったような感じで、たまに新人が 自己紹介を書き込んでいる。常連となると、数十のメッセージを掲示したままに なっている。以前、NIF(*4)から掲示があったのだが、ある一定の数を越えるとメ ッセージが掲示できなくなるので、削除期間を越えないものでも古い方から削除 していくことがあるらしい。この限界がおよそ 500 程度のオーダーである。

会員数がそろそろ7万人と言われているサービスに対して、500 の発言しか掲 示できないのである。このような所に数十のメッセージを掲示するというのは、 私にはとても恐ろしくて出来ない。私は数回 BFREE に発言しているが、そのうち 数度は翌日に削除している。現在は発言ごとにアクセス回数が表示されるのでよ くわかるが、その日・次の日に読まれる回数は次の日以降読まれる回数に比べて 圧倒的に多い。日が経てば、ほとんどアクセス回数は増えない。こうなると、容 量限界のあるボードに発言を残しておくことがどうもうしろめたい。

もちろん、これは容量制限する方にも責任があると思う。容量の見積りが甘い のである。BBS の発言を見渡すと、およそ 50 行程度でかなりの発言が収まって いるのがわかる。100 行にすれば、ほぼ全てである。1発言の限界を 100 行にし て、1500 発言まで格納できるようにはできないか。

皮肉な話だが、一人あたり 10 発言までしかできないシステムにするだけでも、 現在の状況なら大きな効果があると思う。BBS の場合、自分の発言がいつでも削 除できるので、10 発言というのは特に問題なさそうな数だ。11 個目の発言をし たい時には、最初の発言を消せばよいのだ。システムが自動的に消してもよいだ ろう。皮肉と書いたのは、これを実行すると BBS の書き込みの数が非常に低下す るような気がするからだ。

    *
NIFMES.A06 というファイルがある。NIFMES というファイルが最近かなり増え ている。これはセンター接続時に強制表示されるメッセージである。A06 という のは、ついにエヌ・アイ・エフ代表取締役の飯冨氏の名前で掲示されたメッセー ジだ。一部引用させていただく。
>     NIFTY-Serve の規模は1年前に比較致しますと約3倍となっております。
>   先月末から、将来の規模を想定して、センターシステムの方式変更を実施し
>   ております。テストにテストを重ねて実施致しましたが、処理異常が発生し、
>   会員の皆様に大変ご迷惑をおかけ致しましたこと、誠に申し訳なく、深くお
>   詫び申し上げる次第です。
まず、規模的な話は某雑誌のインタビューで NIFTY-Serve は10万人のネット ワークを目標にしているそうだから、私としては当然「それに対応できるシステ ムに能力を改善する」という意味に勝手に解釈している。

ところで、普通の人なら上の文章で不満があるとしても納得せざるを得ない所 かもしれないが、わざわざ FPRG に発言するのだから、専門的な所でかなり気に なっていることを一つ書いておこう。

それは、ネットワーキングに対してのシステム設計についてである。特に、ビ ジネス向けのCUG、電子メールサービスを実用的に利用するためには2つ重要なポ イントがあると思う。一つは、常に接続できる状態であること。これは回線数・ ホストの能力を会員数に見合うものにすることを意味する。

もう一つがさらに重要だと思う。FTS という言葉は FPRG の中では説明するま でもないだろう。最近では、富士銀行で大規模なマシンダウンが発生して、ほぼ 一日オンラインが停止する事故があったが、フォールトトレラントの設計である はずのマシンが落ちた理由が、丁度マシンの切り替えのタイミングの処理に障害 があったということだそうで、これは大変。

銀行というのは「今日はセンターが不調で動きません」という言い訳が許され ない場であるから、仮に現在の NIFTY-Serve のような状況だったら倒産だと思う。 私が疑問に思っていることは、NIFTY-Serve のホストの設計思想は FTS なのかと いう点である。会員10万人、24 時間体制のホストにするというのは非常にたのも しいが、センターダウン皆無という状況は計画に入っているだろうか。不定期に センターダウンするよりは、定時にマシンを止めてでも点検する方がビジネスユー スにとっては非常にありがたいと思うのだ。(*5)

最後に核心になるが、仮に FTS の設計のセンターが現状のように頻繁にダウン するとしたら、これは非常に大事ではないか。例えばデュアルホストが両方ダウ ンしてしまうような事態である。「全社一丸となって、安定稼働に邁進する」と のことだが、大変なのは現場のSEとプログラマーであって、他者はどうできる ものでもないような気がする。保守要員を増強するような手段は、もっと上層か ら何とかできるかもしれないが。

    *
私がオンライン・コミュニケーションと言っているのは、今から十年後に会員 が数百万人以上になっているような状況を想定している。(*6) SF の世界のよう だが、電話機の数に比べれば、まだまだという感じもする。このようなオーダー になると現在より分散処理は重要になるだろう。例えばフォーラム毎にホストマ シンを割り当ててネットワーク接続すると面白いと思う。すると、大規模なフォ ーラムにはそれなりのマシンを与え、小さいフォーラムはしばらくパソコンで我 慢してくれ、という感じで FPRG にとっては厳しい未来になるかもしれない。(*7)


補足

(*1) その後、JRが遅れて渋谷駅で終電の接続に間に合わず立往生して公衆電話からアクセス中にバッテリーが切れるとか、完全にすっぽかすとか、いろいろあった。

(*2) フリートークの掲示板。なぜか廃止された。その結果、そこに集まっていたトンデモ発言はあちこちに分散する。

(*3) フォーラムとは独立した「電子会議」というニフティ直轄メニューがあった。批判的な意見が多かったが、なぜか廃止された。その結果、そこに集まっていた批判的意見は他のネットに分散する。

(*4) 当時、ニフティはN.I.F.という会社名だった。

(*5) 最近、アスキーネットがこれをやっている。毎日4:30から一定時間、アクセスできないのだ。 ただし、点検かどうかは知らない。公表ではバックアップということである。

(*6) 1996年4月現在、約150万人。1999年に数百万人という見積りは、割と的確だったかも。

(*7) フォーラム毎に独立ではないが、既にここに書いたのと似たような分散システムになっているらしい。というわけで、どこかのフォーラムがコケている時は、一連のいくつかのフォーラムが一斉にコケている。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -82-
    1989-10-08, NIFTY-Serve FPROG mes(4)-226
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1989, 1996