混沌の廃墟にて -50-

まだまだ名前にこだわってみる

1989-04-09 (最終更新: 1996-03-31)

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BUSINESS コンピューニュース4月3日号のコラム、北斗七星に、386(TM)という 商標についての意見があった。これを書いた人は386(TM)には否定的な意見で、早 い話がユーザーにとってはどうでもよいじゃないか、的な議論だったと私は解釈 した。それに対して思うことがいくつかあるが、一つだけ述べることにすると、 (TM) にこだわる姿勢というのは最近インテル対日電の争いでインテルが敗訴した 件が、かなりインテル側を神経質にさせたことの副作用ではないか、と個人的に は想像している。このコラムを書いた人はこの点について一言も述べていない。

私に言わせれば、このような事件があってこそインテルが(TM)にこだわるよう になったのだとすれば、当然の帰結として特にあれこれ言うほどのこともないと 思う。それこそユーザーにとってはどうでもよいのである。コラムには386(TM) とは書いてなかった(TM という表記なし)。商標について意見する割には「商標」 の把握の仕方がいまいちである。

最もボロが出ていると感じたのは、MS-DOSはマイクロソフトの商標、UNIXは AT&Tの商標といった感じで、安易にUNIXをAT&Tの商標に決め付けてしまった点で ある。この程度の認識の方の意見という意味では、かえって安心して読めるコラ ムになっているような気がした。

何が言いたいかはっきりさせよう。UNIXは日本マランツの登録商標である。(*1)

これは確か訴訟になった(?)ので、有名な話だから皆さんもご存じだと思う。結 局和解したという話も聞いたことがあるが、実は私は結末がどうなったか確かな ことは知らない。しかし、検証するにはやはり広告を見るのが手っ取り早い。上 のコラムを書いた人は日頃どのように広告の商標を読んでいたのか知る術もない が、とりあえず手元にある雑誌からUNIXについてどのように記載されているか調 べよう。

いうまでもないが念のために書いておく。普通、広告などには次のように商標 について明記されている。(*2)

    ※MS-DOS TMは、米国マイクロ社の登録商標です。
…の登録商標です、これが決まり文句だ。ところでマイクロ社とは何ごとだと 思った方はとりあえず上のセリフはFMTOWNSのカタログからそのまま引用したとい うことでご容赦いただきたい。 IV1222-1989年2月T と最後の頁の右下に明記され ているカタログの、やはり最後の頁のFMTOWNSソフトウェア一覧という表の下の注 記から引用させていただいた。

では、UNIXはどうかと言うと、だいたい以下のような雰囲気。

結構困ってしまった様子が目に浮かぶようで面白い。「UNIXはAT&Tベル研 究所で開発されたOSです」と言われても、だからどうなんだと聞き返してみたく なりませんか(鏡返しの術)?(*3) なにか「○○はお菓子の王様です」と言われた ようで唐突な話題に不安になってしまう。


補足

(*1) 1996年現在は違うらしい。

(*2) 最近は「製品名は各社の登録商標です」というマクロで片づけているもの が多い。実は「製品名」という名前の製品が「各社」という会社の登録商標にな っていたらすごいかもしれない。

(*3) "UNIX is developed and licenced by AT&T" の後に、 "AT&T is a modem TEST command"のように突っ込みを入れた人がいる。 ナイスフォローである(なにがだ?)。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -50-
    1989-04-09, NIFTY-Serve FPROG mes(?)-005
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1989, 1996