混沌の廃墟にて -29-

chatのすすめ

1988-12-27 (最終更新: 1996-08-02)

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以前、“NIFTY-Serve のメッセージ表記に「:」と「:」が混在しているので通 信ソフトを作成しようとしているのだが余計な処理が必要だ、なぜ統一しないのか …”という発言を書いた。偶然別の人が「:」のように全角になっている箇所があ ることを知らずにオートパイロットさせようとして失敗したらしいことを知った ので、しかるべき所で質問してみると恐るべき事実(?)が判明したのである。

つまり、「:」を使っているのは、メッセージ表示中に2バイト文字が現われた 時に偶数バウンダリに必ず位置するように調整するためらしい。「:」だと1バイト 後がずれて都合が悪いというのだ。そのため「: 」のように後に空白を入れてつ じつまを合わせているメッセージもあるというので、一応納得した。これはプロ グラマーであればこそ気がつきそうなものであるから、迂闊だったと言えよう。

ちなみに、2バイト文字が必ず偶数バウンダリにくることを保証しているわけで はない。実際、ニフティが掲示した文章を見ると、この規則が守られていないも のはいくつもあるし、場合によっては JIS に定義されていない文字が入っている ことさえある。

さらに疑問があったのは、なぜ偶数バウンダリの調整が必要かという点である。 一部のワープロで1バイト文字が混在した時に表示が乱れることは知っていたが、 2バイト文字が奇数バウンダリに現われた時に空白がパッドされる程度ですむだろ うと思っていたので、さして気にしていなかった。あちこちフォーラムを旅して この種の問題がどうなっているか調査してみたが、ひとまず1バイト文字が偶数バ ウンダリに来るように調整して作文する(実際は簡単なプログラムを作って処理 することになるだろう)必要はなさそうだ。

    *
クリスマスイブのリアルタイム会議は、年に一度あるかないかのハプニングも あったがだいたい予想通りの経過となった。話題を決め、議長を決めてから会議 を始めればいくらかまとまった会議の進行にすることもできるが、「リアルタイ ム会議」という名に似合わず内容は雑談である。

一年前の頃はアクセスするとすぐ chat に走ったのだが、最近はとにかくメッ セージを作成する時間をとられるので chat する暇がなくなってきた。おかげで 電話代がやや減ったという副作用もあるが。chat の面白さとは何か、と考えてみ るとこれは難しい。

例えば、1分10円(*1)の料金を払ってchat すると、一時間に600円である。これ が高いか安いかはchatする人のふるまいにかかっていると思う。喫茶店に行って 友人と話し込む時間などと比較すれば、一時間600円の娯楽が目茶苦茶高いという 感じもしない。

日本全国の人と一堂に会することなしに、同時に雑談できるという点がchatの 大きな利点である。近くの人なら会って話をした方が早いかもしれないが、距離 が離れるとそうもいかない。このあたりの雰囲気はアマチュア無線に似ているの かもしれない。雑談して何が面白いと言われるかもしれないが、要するに面白い のである。

しかし、同時といってもキーボードからの入力に若干delayがあるため、特有の 現象が起きることがある。例えばAさんとBさんが同時に質問をしようとしたら、 こうなる。

A「ところで、Bさんは…ですか」
B「あの〜、Aさんは…について、ご存じですか」

次にどっちが返事をするかわからないが、とりあえず二人とも返事をしようと する。

A「あ、あの話は知っています」
B「はい、そうです、よくわかりましたねー」

返事をされたから、後を続けようとする。

A「うんうん、そうじゃないかと思ったんですよ」
B「それで、その件ですが、最近これこれなんだそうです」

という感じで、話が並列処理されるのである。パイプラインのchatである。経 験によると、二人だけで対話している時に、このようになることが一番多いよう な気がする。人数が多いと、かえって話題の処理が複雑になりすぎて、短時間で 終結する話題が多くなり、並列処理にはならないのかもしれない。二人だとお互 いに何か言わないといけないと意識して、無理に話題を作ろうとするからこうな るのかもしれない。

普通の速度でキーボードが打てる人ならchatするのは簡単である。chatを始め るコマンドと終了するコマンド(たいていexitかquitのような連想できるコマンド である…ただし発言と区別するためにNIFTY-Serveの場合は先頭に/を付けて、/exit と入力しなければならない)さえわかれば何とかなる。あとは、途中から参加する 時には「こんにちは」とか「はろ」(*2)と挨拶し、出るときには「そろそろ失礼 します」と言えばよいだけである。

電話代が高くつくことはchatをする人の共通の認識なので、極端に早くないか ぎり途中でchatから抜けることを不思議に思われることはないようである。入っ てきた途端に「急用ができました」といって出ていく人もいるが、これも電話が かかってきたり来客だったりすることがよくあるので、別に不思議に思われるこ ともないはずである。

現在chatで最も気になっているのは、一人が長い間回線を占有してしまうとい うことである。NIFTY-Serveの現状だとピークタイム付近でリアルタイム会議をす るのは若干気がかりである。気がかりにならない回線数が確保されていればよい のだが、現状では回線が足りないような気がする。

回線がどの程度あればよいか意見が分れそうだが、私の考えでは少なくとも5回 リダイアルすればいつでも接続できる程度の回線は確保して欲しいと思っている (*3)。これは回線数の問題だけではなく、システムのインターフェイスや通信ソ フトにも大いに責任があることは以前書いた通りである。


補足

(*1) 当時、NIFTY-Serveは1分10円の料金だった。今は8円。

(*2) 最近は「はろ」は見かけない。死語かもしれない。

(*3) 5回と書いたが、今だと3回かなと思ったりする。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -29-
    1988-12-27, NIFTY-Serve FPROG mes(?)-114
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1988, 1996