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FHELPという初心者案内のフォーラムにFPRGの宣伝を書いてきた。FBEGINとい う名称でもよいらしいが、どうも最近Pascalを使わないし、何かとHELPと入力す ることは多いせいかFHELPとタイプしてしまう(*1)。プログラミングの本職でもネ ットワーカー初心者ということは十分ありそうなので、効果があるかもしれない。
FPRGの正式名称は「プログラマー・フォーラム」である(*2)。表記にこだわる つもりは全くないのだが、契約がこの名称になっていたのにフォーラムのタイト ルに「・」がなかったのでNIFに質問するとずいぶん恐縮されてしまった。私はこ だわらないタイプなのだが、人によってはかなりこだわるのかもしれない。「・」 がないと「プログラマーフォーラム」となるし、「プログラマフォーラム」の方 がよいだろうか。
ASAhIパソコン5号p.52に、外来語・外国語の(ASAhIパソコンの)表記規準が 載っている。語尾長音「ー」については、次のようなルールがあるそうだ。
すると、FPRGの場合を考えてみると何と「プログラマー・フォーラム」となっ て、NIFと契約したフォーラム名称とぴったり一致する。これは単なる偶然以外 の何ものでもないが、「・」はないのが一般的だとか「プログラマ」という表記 がよいと言われることが多かったので、若干自信を取り戻した。
ちなみに、文章の中ではNIFTY-Serveという表記とNIFという表記を厳密に使い 分けている(*3)。要するにNIFという会社が運営しているネットワークサービスが NIFTY-Serveだと理解している。正式にはNIFと書かずにエヌ・アイ・エフと書く はずだが、NIFという表記も一般に使われているようなので、英字で書いている。 NIFTY-Serveの表記は大文字、小文字をこのように書く。話が飛ぶが、「ASAhIパ ソコン」は記事の中に「ASAHIパソコン」と書いてよい」と書いてあったので、気 分次第でどちらを使うか決めている。
名称にこだわると言えば、やはりモジュール名、手続き(関数)名、変数名な どである。プログラムをわかりやすくコーディングする作業は、プログラマーに とっては非常に重要なのでよく理解しておかなければならない筈であるが、ファ イル名をわかりやすくすることも同じ位重要であると思う。
「プログラムをわかりやすく書きましょう」と主張する人がモジュールに
AIR-0029のような名前を付けていると驚くしかない。もちろんこの種の名前のモジュー ルには先頭にコメントが付いているし、そこで処理の内容が説明してあるのは当 然である。なぜかと言うと、そうしなければプログラムの作者自身も何をするモ ジュールかわからなくなるからで、読みやすさを狙っているわけでは決してない。 :-)
試しに身近にいるプログラマーをつかまえて、「AIR-0029」というモジュール は何をするかわかるか尋ねてみればどの程度この名前が常識的かわかるだろう。 また、「rs_input_char」というモジュールは何をするモジュールかも尋ねてみれ ば差がどの程度かもわかるかもしれない。
ここで大きな壁となるのが、CP/MやMS-DOSのようなパソコンで使われるOSに許 されているファイル名の長さがあまりにも短いことである(*4)。その意味で上記 の例に出した訳のわからないファイル名も正当化できる。しかし、UNIXであって もディレクトリ表示の時に画面がスクロールするのが嫌なので極端に長い名前は 付けない人は多い。
*エスケープ・シーケンスで画面に彩りを付けるのは、詩歌への新たなる挑戦で ある。ヴィジュアルな表現は何も新しいものではない。啄木の短歌のインデント は明らかに視覚的な効果を狙っている。
余談を一つ。「啄木」という字は画面にどう表示されているだろうか? (*5)
中学生の頃、漢字の書き取りで「琢」という字に「丶」が入っている・いない で先生と口論したことがあった。「丶」は確かに打ったのだが、少し薄かったの で先生は打たなかったと思って×の採点としたのだ。しかし本人は明らかに打っ たつもりだからただちに抗議しに行った。確かに打った理由があったので、その 説明をして、採点を訂正してもらった。
人の名前であるから「たかが丶」などと言うわけにはいかず、それだけでも十 分人を馬鹿にした行為になる。このような文字セットを標準にしたコンピュータ が教育に使われると一騒動ありそうで面白いのだが。
啄木もよいが、私が詩歌で好きなのは中原中也と、宮沢賢治である。宮沢賢治 というと、「雨ニモマケズ」や「永訣の朝」のようなあたり前のような(?)詩と、 いくつかの童話を書いた人だ、などと思ってはいけない。私が賢治の詩で一番好 きなのは「真空溶媒」である。これを初めて読んだ時にはかなりぶっ飛んでしま い茫然としたのだが、いまだに茫然としたままである。視覚的な箇所を一部紹介 する。
おれのかくしに手を入れるのは なにがいつたい保安掛りだ 必要がない どなつてやらうか どなつてやらうか どなつてやらうか どなつ…… 水が落ちてゐる実際の表記は縦書きである。この詩はやたら長いので、ここだけでは全く何の ことか理解できないはずだが、今回は詩の内容には触れないし、そのための FPRG でもない。
ちくま文庫から「宮沢賢治全集」という文庫本が出ていて、1巻にこれが収録 されている。それはどうでもよいが、後記の「本文について」で少し考えること があった。p.701 の (4) 詩集印刷用原稿から引用させていただく。
> 「春と修羅」初版本の印刷のために作者によって六百字詰原稿用紙にペンで > 清書された原稿で、花巻空襲の際に十枚前後(「序」から「恋と病熱」までと > 「目次」の一部)が焼失、現存するのは「目次」「正誤表」原稿も含めて百 > 五十一枚。…(以下略)…何も不思議な所はない。そこで完結するのが普通の反応だが、仮に「混沌の廃 墟にて」が私の死後出版される図を想像してみると、とても恐ろしい。
「混沌の廃墟にて」初出発言(NIFTY-Serve にアップロード)のために作者 によって 3.5 インチフロッピーディスクに EPSON MS-DOS 付属の EgBridge を FEP として MIFES 4.0 によって清書された MS-DOS フォーマットのシフト JIS 原稿で、ウーロン茶をひっくり返した際に 10 トラック前後(track 35 から 42 までと残り track の一部の sector)が Read Error となっている、 現存するのはRT.ARC、VOP.ARC を含めて ***K bytes(圧縮されている)。パソコン・ワープロの普及は詩集の巻末解説まで一変させてしまうだろうか。
(*2) 現在は「プログラマーズフォーラム」である。FPROGというGOコマンドに変更になった時に、同時に変更した。
(*3) 当時、ニフティ株式会社はエヌ・アイ・エフ株式会社であり、nifと表記することがあった。
(*4) 解決にはWindows95のロングファイルネームを待たねばならない。しかし、Win95が流行しつつあるのに、状況はあまり変わっていないような気がする。DOSとの互換のために、わざとロングファイルネームを自粛する人がいるのだ。
(*5) いやこれがびっくりというか、我が目を疑ったのだが、「啄」には、ちゃんと点が付いているのだ。驚いたな〜。JIS規格では点がないはずなのである。確か当時はEPSONのPC-286UかPC-386Mのどちらかを使っていたはずだが、その時は点がなかったのかもしれない。今使っているのはPC-DOS/V6.3Jである。しかも恐ろしいことに、「琢」には点が付いていない。どういうことだ。ちなみに、人名漢字の中には「琢」が入っていて、それには点が付いている。JISだと付いていない。本当に、コレ、日本人が決めたの?
漢字の点を省略すると、画数が変化するから、漢字事典を作ったり、画数辞書でかな漢字変換する時に困ると思うのだが。
COMPUTING AT CHAOS RUINS -27- 1988-12-18, NIFTY-Serve FPROG mes(?)-087 FPROG SYSOP / SDI00344 フィンローダ (C) Phinloda 1988, 1996