混沌の廃墟にて -24-

XMODEM vs MNP (2)

1988-11-27 (最終更新: 1996-06-20)

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いまさら改まって紹介するのも変だが、P&Fという雑誌がある。この本の巻頭に 毎回妙なエッセイが掲載されるので、楽しみにしている。「妙」などという表現 を使うと怒られるかもしれないが、創刊号のそのコラムの内容が、「デートする 時には三脚を持ち歩きなさい」という内容だったので、私には妙な感じだった。 いくらデザインがよくても、デートに三脚を持ち歩く勇気はない。誤解を招くと 悪いので釘をさしておくが、「妙なエッセイで面白い」とほめているのである。

さて、P&F Vol.3 の例のエッセイは、それに比べると内容が常識的すぎて、あ まり面白くなかった。常識的なエッセイを書く人は数多いので、見栄えがしなか ったのかもしれない(もちろん、私見ではあるが)。内容は「NTTが電話でキャッ チホンのセールスを行なうというのは、何か変だ」というもので、それについて は私も同感である。同感だと面白くない、というとますます妙だが、最近刺激が 足りないのかもしれない。

普段ほとんど家にはいないので、キャッチホンのセールスの経験がなかった。 外出中にも通信ソフトを接続したままにしてあるので、留守の間に電話がかかっ てくると、RING というメッセージが画面に残っている。あまり電話をもらう心当 りがないので、ひょっとしたらこれが例のセールスだろうか、と想像するのであ るが、経験から予想すると間違い電話である確率が非常に高い。

ところが、ついにキャッチホンのセールス電話がかかってきたのである。P&F Vol.3 をあらかじめ読んでいたから、あれこれネチネチと非難&嫌味でも言って やろうと待ち構えていた矢先である。パソコン通信とキャッチホンは相性がよく ない事は周知の事実だし、キャッチセールス(?)に乗る気は全くない。

    「こちら、代々木電話局ですがぁ、…」
若い女性の声である。

ちょっと話が違う。と言うのは、P&Fには「聞こえてきたのは年配の女性の声 だった」と書いてあった。確かにキャッチホンのセールスを一人で全国受け持っ ているわけがないので、いろんな相手に遭遇する可能性があるだろう。とにかく 最近若い女性から電話をかけてもらうことがなかったので…へらへら。

結局、「申し訳ありませんが、今の所予定がありませんから…」とか言って断 ってしまったが、何が申し訳ないんだろうか。なぜか卑屈になってしまったが、 特に不愉快ではなかった。人間って怖い。

    *
XMODEM は今回はパスして、何となくMNP の class 5にこだわってみた。OMRON のMD2400F のマニュアル p.120 一番下の行を読むと、次のように書いてある。
>   クラス5のMNPで接続された場合、実効伝送速度は約4800bpsとなります
よく読んでみるが、やはり「最大4800bps」とはどこにも書いていない。実効と 最大では全く意味が違う。「人間は5m/sで走ることができる」と書いてあったら、 瞬間的にはもっと速度が出るかもしれないが、とりあえず「走る」という場合に その程度の速度を持続できる、と考えるのが自然だろう。同様に、実効伝送速度 が約4800bps というのは、平均的な速度が4800bpsと読むのが妥当だろう。もちろ ん特殊なデータをやりとりする場合は別に考えなければならない。

そこで、ためしに非MNPで接続して大量のデータを読みだしてみた。

        not MNP, 2400bps, download
------- 88/11/27    12:27:22 - 12:53:44     356057 bytes    (1801 bps)
もちろん(「もちろん」などと言いたくはないのだが…)、MNPを使わないため文 字化けが発生している。しかし、前回のMNP class 5よりも速い結果が出ているの はどういう訳なのだろうか。ちよっと不思議なので同一データをMNP、非MNPで読 みだして結果を比較してみた。対象は SYSOP 作業用にデータライブラリに保存し てある VOP(1) の発言である。生のテキストファイルで、ISH&ARC のテキス トのように圧縮されていないので、データ圧縮の効果を期待したい。
        not MNP, 2400bps, download
257-320 88/11/27    13:00:25 - 13:05:26      65536 bytes    (1742 bps)
        MNP class5, 2400bps (MODEM-HOST 4800bps), download
257-320 88/11/27    13:07:20 - 13:12:16      65536 bytes    (1771 bps)

    (おまけ)

        MNP class 5, 2400bps (MODEM-HOST 4800bps), download
------- 88/11/26    15:39:40 - 15:45:10      70625 bytes    (1712 bps)
------- 88/11/26    17:24:06 - 17:38:35      60813 bytes    (1809 bps)
結果の解釈は特に慎重に行ないたい。伝送速度が1800bps付近になっているのは なぜか。こちらの通信ソフトの限界なのだろうか。非MNPとMNP class 5で、ごく 普通のテキストファイルの伝送速度がほとんど差がないのはなぜか。何の雑誌か 忘れたが、class 5で実際に4000bps程度の実効値を得たという結果を見たので、 どうにも不思議である。(*1)

ただし、SYSOPが作業すべき内容を考えると、文字化けがないことは捨て難いの で、この点は高く評価したい。NIFTY-Serve は(私の入っている)他のネットに 比べると桁ちがいに文字化けが多いが、MNP でエラーコレクトをした結果が MNP なしの場合と同じ速度ということは、実に気分がいい…と、断言したいのではあ るが、いま一つ釈然としないのも事実なのである。


補足

(*1) NIFTY-Serveのセンターとモデム間が2400bpsで接続されているため、と後日判明した。しかし、1800bpsしか出ない理由は分からない。最近だと、2000bpsは出る。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -24-
    1988-11-27, NIFTY-Serve FPROG mes(?)-475
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1988, 1996