混沌の廃墟にて -5-

石の上にも3秒

1988-09-22 (最終更新: 1996-02-19)

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メモリの高値は頭打ちになったのだろうか。ハードディスクはまだまだ安くな りそうだ。40MB で定価が 12 万円台のものが販売されている。(*1) こうなると普通の パソコンユーザーには手のとどく範囲内なのだと思うが、私にはまだまだ「高値」 の花なのである。電話代を何とかすれば買えるはずなのだが、電話代は食費と同 列(あるいは上)に位置しているので、簡単に削れなかったりする。

ハードディスクもラムディスクもないのだから、当然辞書はフロッピーディス クの上にあることになる。つまり、入力を漢字に変換するたびにフロッピーのド ライブをアクセスするランプがチカチカする。PC-286U のドライブは恐ろしく静 かである。私は深夜にごそごそドキュメントを作ることが多いので、音が静かな のは大いに結構である。

フロッピーをアクセスするということは、少し変換に待たされることになる。 この時間が気になるかと言うと、全く気にならない。どちらかと言えば、 カナ漢字変換機能 に対するヒューマン・マシン・インターフェイスの設計の方に文句でも言いたい。

ただ、私は PC-8801 というマシンを長い間愛用してきたので、フロッピーベー スと言えども PC-286U は「ものすごく速いマシン」に思えてしまうのである。と にかく漢字を表示するのが速いのはよい。 8801 の世界では漢字が表示できること自体が スゴかったのだから、まるで雰囲気がちがう。

    *
すでに何度も書いたが、EPSON MS-DOS 3.1 付属の EgBridge という FEP を使 っている。(*2) はっきり言って使いにくい FEP ではないが、時たま暴走するという欠 点がすべての長所をだいなしにした上でさらに致命的である。しかし他に FEP を 持っていないし、ドキュメントを漢字コードで入力する勇気はないので、これを 使っている。

ドキュメントは MIFES 4.0 で作成している。ちなみに、Turbo-C 1.5 (MSA) と 合わせて3つのソフトで、何とか毎日しのいでいる。OS とエディタとコンパイラ があれば、もい何もいらない…という発想が自慢であるが、あまり自慢できるプ ログラムを作成できていないのが悩みの種ではある。

それでも通信ソフトは一応アップロードの時のエコーバックが送信した文字列 と異なっていれば再送した上で警告を出すし、オートパイロットも可能である。 オートパイロットのマクロはCで書くことができる(ただし毎回コンパイル・リ ンクしなければならない)。(*3) XMODEM の送信ができる(が、受信はできない)。

PDS でお世話になっているのが fin.exe である。これは作者(本人は作者では ないと主張していたが…?)の片割れである某氏がチャットの度に「使ってね使 ってね使ってね使ってね(以下省略)」と言うので、ためしに使わせていただい たら、なかな良くできているので、そのまま延々と今日に至っているものだ(あ りがとうございます)。(*4) 以上、あわせて5本のソフトの使用率が、PC-286U の C PU タイムの大部分を占めている。

    *
さて、ドキュメントを作る時に、まず MIFES を起動するのだが、これに少し時 間がかかる。フロッピーから読み込むのだから当然のことだが、数秒は必要だ。 もちろん何十秒もかかるわけではない。せいぜい数秒だ。

仕事では EWS を使うのだが、スタッフから「エディタの起動が遅い」という指 摘がよくある。ためしに測定したことがあるが、だいたい早い時で3秒、遅い時 でも10秒程度で立ち上がる。エディタというのはファイルを編集するためのア プリケーションだから、そんなに頻繁に付けたり消したりするものではない。1 時間かけてドキュメントを作るのに1秒早くエディタが早く起動しても、あまり 影響はないと思うのだが。例えばディレクトリを確認するコマンドや、データ検 索のコマンドで頻繁に使うコマンドは一秒でも早く起動して欲しいと思うことが 多い。

しかし、コマンドを入力して長くて2〜3秒の時間でも、遅いという文句が出 る。これは能率ではなく心理的な問題である。コマンドは即座に実行されること を要求しているのである。もちろん早ければその方がよいわけだが、確か3秒と いうのは特に待つように表示しなくて平静に待つことのできる時間だと言われて いるから、3秒で待てないというのはカルシウムが足りないのかもしれない(カ ルシウムが足りないとイライラするそうだ)。

私はどうかと言うと、家では起動に10秒程度というエディタを使っている上 に、NIFTY-Serve のような反応の遅いシステムで毎日修業をしているので、数秒 のコマンド待ちなどまるで苦痛にならない。誤解を受けると大変だから注釈して おくと、何も NIFTY-Serve は遅いからどうだと言いたいのではない。電話回線で 1200 bps で接続しているのも問題だし、大人数が同時にアクセスしてこの程度 のスピードと思えばたいしたものである。かえっていつもより反応が速いと、「 アクセスしている人数が少なくなったかな」と余計な心配をするのである。

それはともかく、夜にアクセスする時に何十回もリダイアルしなければならな いが、メールの返事を急ぎで出したい時には少し情緒不安定になる。せめて SYS OP には ISDN の回線と端末を料金システム持ちで貸し出す時代が来て欲しいもの だと、贅沢なことを夢みてみたりする。(*5)


補足

(*1) 当時はこれが安かったのだ。今、40MBのハードディスクなんて探しても買えない。しかし、考えてみると当時は、今では想像できないような貧乏していたような気がするぞ。

(*2) FEPって何? EGBridgeのことらしい。

(*3) こういうのもマクロというのか?

(*4) もう使っていない。現在使っているのはfpfという自作の折り返しプログラムである。なぜ使わなくなったかというと、finが英単語の途中でも構わず折り返してくれるからである。

(*5) とりあえず、ROAD2ならいつでも繋がる自体になった。高速回線はちょっと混んでいるが、ピークタイムでなければ何とかなる。


    COMPUTING AT CHAOS RUINS -5-
    1988-09-22, NIFTY-Serve FPROG mes(?)-243
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1988, 1996