混沌の廃墟にて -1-

混沌の廃墟にて

1988-09-16 (最終更新: 1996-03-15)

[↑一覧] [新着] [ホームページ]


恐ろしいことにこのフォーラムも(「も」とはどういう意味だろう)廃墟にな りつつある。廃墟の「墟」はおそらく JIS 第二水準だが、「廃きょ」と書くとど うにもしまらないのであえて漢字で書いてみた。

もともと計画性のないフォーラムだから、ある程度の予想はあったが、最近の 入会希望者のペースを考えるとどうも不思議である。入会者のペースは想像以上 のものだが、書き込みがまるでない。これは SYSOP の目には不気味である。

とは言っても、廃墟を放置すると乗っ取り(*1)もあり得るので何でもよいから書い ておこうと思い立ったのが本シリーズで、単なる雑記だからあまり深いものはな いが、とりあえず本フォーラムの大目標「情報量が同じならアクセス時間を減ら す」に矛盾すると思った人は遠慮なくスキップしてほしい。

    *
世の中にはいろんな人がいるもので、新聞記事のスクラップが趣味という人が いる。私の場合新聞ではなくパソコン通信で集めた発言のスクラップが趣味なの だろうか。スクラップと言っても実際はフロッピーの中に情報があるのでいまい ち感覚がつかめないが、検索する時に grep が使えるので助かる。

本当は新聞も NIFTY-Serve のように電子情報のままで記事が入手できるのだか ら、電子情報のままスクラップにしておけば本当に検索する時には強力だと思う。 できれば会社でそのようなシステムを作っておいてほしいのだが、会社で一般の 新聞記事を回し読みするのは例の著作権あーだこうだがあるので難しいのかもし れない。一日の新聞の情報量がどれ位かは忘れてしまったが、CD-ROM のようなメ ディアでどの程度の記事が入るのだろうか。

たまに人間とは思えないほど何でも覚えている人がいて、記憶力には限りがな いと思ったりするのだが、私の場合は記憶容量がどうも足りない。こういう人間 がスクラップブックを作ろうとすると、どこにスクラップしたかわからなくなる ので役に立たない。電子記事を検索できると、この「どこにスクラップした」を 覚えなくてよいので楽だ。

しかし、会社でも最近は何が何でも電子メールである。パソコン通信は言うま でもない。こうなると、たまに手紙を書こうとすると、漢字が思い出せない。書 けないことはないのだが、どうも自信がもてなくて「この熟語はこうで良いのだ ろうか」と悩みながら辞書のお世話になっている。ワープロで下書きして、手書 きで清書すればよいのはわかっているのだが、どうも白々しくて適当にやってし まう。また、字が下手になったような気がしてしょうがない。ワープロなんてご く最近のアイテムなのだが、この始末である。

では、自動記事検索機能のついたスクラップブックを手にすると、何が起こる だろうか。記事をどこにスクラップしたか覚えなくてもよいのが発展して、「ど こに」ということを覚えなくならないだろうか。どこに何があるかを覚えること は日常生活において基本的な行為なのだが、これが不手際になると恐ろしい。も ちろん、何がどこにあるかな…と思った途端にそれがどこにあるか教えてくれる ようなロボットがつきっきりでいれば、それもよいのだが、まだまだ夢だと思う。


補足

(*1)乗っ取り:当時、NIFTY-Serve全体が混沌とした状況であった。フォーラムの大半は、草の根ネットの仲間の会話から情報提供型サービス中心にシフトしてゆく。SYSOPがついて行けなかったり、フォーラムから離れてしまった時に、新たなアクティブユーザーが糾弾してSYSOPになってしまうという下克上の世界である。最も派手な例の一つがFWS(現FUNIX)である。
    COMPUTING AT CHAOS RUINS -1-
    1988-09-16, NIFTY-Serve FPROG mes(?)-223
    FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
    (C) Phinloda 1988, 1996