WD1010

ウィンチェスター型のハードディスクドライブがパーソナルコンピュータのレベルにまで採用されるようになった頃、つまりハードディスクドライブ1台で数MByteから80 MByteくらいが普通の時代ですが、ハードディスクドライブのインターフェースの主流がSMDインターフェースだったりST-506インターフェースと呼ばれるものでした。このST-506インターフェースというのは、別名フロッピーディスクライクインターフェースと呼ばれるもので、ハードディスクのヘッドが読み書きするパルス列がそのまま入出力されているような、メカニズム側にきわめて近いインターフェースです。
現在なら、SCSIにしろIDEにしろ、高度なプロトコルでバイト単位になったデータを転送するだけの制御回路がハードディスク側に集積されていますが、それと比べると当時は裸のままのドライブがあるだけです。そこで、フレキシブルディスクドライブのインターフェースと同じように複雑な制御回路が必要とされます。ただし、FDCより高速のパルス列を扱わなければならないし、エラー訂正なども高度なものが要求されました。大型コンピュータやミニコンピュータにハードディスクを接続するためになら、集積度の低い汎用ICやビットスライスマイクロプロセッサを応用した部品数の多い高価なインターフェースを利用できるでしょう。しかし、主要部品がLSI化されシステム全体がコストダウンした結果として普及したパーソナルコンピュータにハードディスクを接続するにも同じことをしてはつりあいません。結局、ハードディスクインターフェースもできるだけLSI化したものが採用されることによって低価格化して初めてハードディスクが普及しました。
初期のハードディスクコントローラには、NEC製のuPD7261なんてのもあったのですが、Western Digital社が開発した初期のHDCのひとつがWD1010でした。IBM PC/XTの頃のハードディスクインターフェースなんかに使われていたと思います。

WD1010

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