11/12 (Wed) Enoteca Italiana

今朝は朝飯を食べずにそのまま中央市場へ。
まだ8時すぎということもあって、市場前の露店商もまだ
店を開ける準備をしていると言ったところ。

ホテルを出る時には雨が降っていなかったが、市場に着く頃には 強い雨が降りだしてきたので、あわてて市場に駆けこむ。 また誰も傘を持ってきていない。勉強しない私たち。

しかし一旦市場に入ってしまえば、屋根があるので のーぷろぶれむいっつおーけー。それに市場の中は 食材のワンダーランドだからいくらでも時間は潰せる。(^^;;

石田さんは某店から白トリュフ買ってこいと言われたそうで 探している。しましまはカラスミ(ボッタルガ)が欲しいなー とか言って探している。私は高級食材を買って帰っても 勿体なくて手付かずになりそうなのでとりあえず様子見。 (2年前に買ったのがまだあったりする)

2年前に来た時には兎の糞のような小さい白トリュフしか なかったのだが、今年はそこそこ大きいのが揃っている。 直径2cmぐらいから大きいのでは7cmぐらいはありそうだ。 もっとも、すげーでかいのがあっても高くて手がでないのだが。

今年は 2,000-3,000リラ/g ぐらいだったか、 このグラムいくらつーのが 100g じゃなくてただのグラムつーのが なんともあれだったりするのだが。

大体1階を見終わって2階の野菜売り場へ上がる。 いきなりポルチーニがどっさり。 時期的にもうないかなと思っていたが、まだあるようだ。 でも他の茸類は種類も量も少なかったような気がする。 この点では後のフランスの方がセップにジロールやらトランペット、 果てはモリーユまであって豊富なようだった。

一旦降りて腹ごしらえ。トリッパスタンドで朝飯。 トリッパの煮込みのスライス3枚ほどをパンに挟んだものが3500リラ。 飲み物が欲しいので赤ワインを頼むと5500リラ。

店の脇のテーブル席に座ると、日本語で、たくさんの野菜で 煮込んだランプレドットがどうたらこうたら、おいしいですよと ポスターが貼ってある。

うーん…まわりは労働者風のおっちゃんとよくわからない派手な おばちゃんとそのツバメ(すでに死語か)風のにいちゃんぐらいしか おらへんがな、日本人観光客はおれらぐらいやんけ、 と思いつつなんとか食べる。パンがでかくてけっこう量が多い。 普通の女性観光客とかがこれ食ったらもうなんも食えなくなっちゃうよ。

結局石田さんは白トリュフ、しましまはカラスミその他、 私は平野邸宴会のおみやげ用に帰るまで持つかな…と不安に なりながら小さい白トリュフをしましまと折半、その 保存用というわけではないが米を500gほど買う。

石田さんがトリュフを買った店では真空パックしてくれたが、 私が買った店ではしてくれなかった…すぐに米に入れて しまえばおっけーかしら…やっぱりフィレンツェだと米は あまりポピュラーじゃないのかなあ… アルボリオがほしかったのだが見なかった。そのかわり長粒種の タイ米が2,3種あってそっちのほうがポピュラーみたいだった。

前回来た時にみつけた豚フィレ肉のバゲット包みのローストの 名前を聞こうと思って探したが、単なるフィレ肉のロースト用の 下ごしらえしたやつしか見つからなかった。 どうしたんだろう、前回は結構見たのになあ…

市場を出てすぐの露店商でしましまが折り畳み傘を買っている。 10,000リラで昨日の怪しげな黒人から買うのと変わらない。 露店商の並びにはトリッパスタンドが出ていて、ここにも日本語で 宣伝文句が書いてある。うーん…日本人観光客ってやっぱりそんなに 多いのかなあ。

Hertzで車を借り出す。Fiat Bravo の 1.4L だった。 ちょっと乗ってみると、パワーステアリングのアシストが多すぎて 接地感に乏しい、低速トルクが全然ない、サスペンションがふにゃふにゃ、と 出来の悪い日本車みたいに全く良いところの無い車。

しょうがないのでガンガン回すしかないのだが、一度 気付かずにリミッターに当ててしまったっすしくしく。

とりあえずホテルの前に車を駐めてチェックアウト。 おっちゃんは、どこでこのホテルを知ったんだ?と聞くから インターネットだ、と答えると、AltaVista か Yahooか、と聞くので AltaVista と答えると、ほらみろとフロント脇にいたカップルとなにやら 話している。実際はイタリアのホテルのリストのwebページで 安くてメールが届くホテルを探したらここに最初に当たった というだけなんだが。何を話していたんだろう。

チェックアウトしてシエナへ向かう。石畳の道が雨に濡れているので 滑りそうで怖い。ドゥオモ方面へ向かったが、工事で思わぬ方向に 誘導されてしまう。前回はドゥオモのまわりをぐるっと回って 川沿いの道へ出たのだが、そこへはいけなかった。

一方通行が多く、同じところを何度もぐるぐる回ってしまったので 一旦駅に戻り、サンタトリニタ方向へ向かうとあっさりと川を渡れた。 ここまで来てしまえば一度ならず走った道なのでもうこっちのもの。

迷うこともなくシエナへ向かう高速国道へ乗れた。 あたりを見回してみると木々はみな黄色く色づいていて大変きれいな 風景だ。赤く色づく木は少なく、黄色のほうが多いので日本とはちょっと 違った感じがした。

しばらく走ると両側に葡萄畑が広がる。 葡萄の葉も黄色く色づいて畑が一面黄色でなかなかいい景色だ。 天気がよければ、色がもっと鮮やかで良かっただろうに残念。

少し空が明るくなったかと思うとすぐ暗くなったりであまり天気は 良くならない。小一時間ほどでシエナについた。町外れの有料駐車場に 車を駐めて市内中心へ。

壁にでかでかと白トリュフのポスターが貼ってある。白トリュフの 見本市のようなイベントがあるようだ。11/8,9,15,16 と週末だけらしく、 残念ながら見られないが、こんなイベントもあることだし、 ちょうど今が旬の時期なのかしら。

ぷらぷら歩いてカンポ広場へ。さきほどまで雨が降っていたようで、 本来ならば広場のまわりのカフェやリストランテが広場にオープンな 席を出しているのだが、片付けられていて客は誰もいなかった。 地元の学生なども広場に座っていたりするはずなのだが、 観光客がぶらぶらしているだけだった。

2年前に昼飯に白トリュフのパスタを食べた IL CAMPO という店が 広場のまわりにあったので、覗いてみたがどうも潰れてしまったかの ようで閑散としていた。立地条件は最高だし飯もまずくなかったし、 何があったのだろうか。

すでにお昼を少し過ぎているので、ウィンドウショッピングしながら ドゥオモ方面へ向かい、昼食を食べる店をチェックするが、 どうもいま一つぱっとしない。

とりあえず近くにあった適当な店に入ってみる。 12:30ぐらいだったのだが他に客はまだ誰もいなかった。 ここでもいつもの通り、肉を食べ始める頃になって店が混みだしてくる という日本人昼飯の時間が早すぎるの法則。

最近開店したか、内装を最近新しくしたようで、外からでは わからなかったが馬に乗った騎士をモチーフにしたモダンな内装だった。

オーダーは、ハム、サラミ類の前菜に、ラビオリのトリュフと エストラゴンだかチャービルだか(セージではなく)風味のソースと、 牛のメダイヨンにアスパラガスとゴルゴンゾーラのソースというのを 頼んでみた。

モダンな内装にこういった凝った繊細な料理からみて、 ここもどうやらちょっとおしゃれっぽい店のようではある。 とはいえトータルで129,000リラとまあまあ安い方だった。

しかし、前菜にクロスティーニやブルスケッタを頼んで前菜の 時点で腹一杯になるのを怖がって、ハム、サラミ類ばかりだし、 プリモもセコンドも中途半端にメニューが読めるものだから、 今回は全くもって弱々なメニューばっかりだな。>おれ

で、他のプリモは…なんだっけ。ピンチ(ピチ)だっけか。 セコンドは石田さんがほろほろ鳥のフリットだったかな…

ワインは1Lカラフェがないというので1/2を2つ。 妙にかわいいカラフェで出てきたのだが、これがなんだか ピノノワールのような感じの香りと味で一同びっくりしつつ ほっとする者約一名。

つい先だって飲んだ dom. de l'Aarlot の Bourgogne rouge '94 にそっくりというか若くて軽くてとてもおいしいワインだった。 どう考えてもここ数日飲み続けてるサンジョヴェーゼの類では ないよねえ、ピノノワール(ピノネーロか)だよねえ、と ぐびぐび飲んで結局1/2をもう一つ。

ラビオリは白トリュフの香りがむんむん、というわけではなく 黒トリュフの微塵切りがぱらぱら程度(値段見りゃわかるってば)、 ハーブの香りもそれほどしなくて肩透かしを食った感じ。 中味はリコッタがメインで全体的にはあっさりしたクリーム系のソース。

肉は、アスパラガスのピュレとゴルゴンゾーラでクリーム系の ソースかな、と勝手に思っていたのだが、薄く丸く形を 整えた牛肉の上に小口切りというよりはかなり細かく切った アスパラガスとゴルゴンゾーラのソースなのだが、ゴルゴンゾーラの 香りが余りしない。その周りにスーゴディカルネ系の褐色のソース。 妙にアスパラがしょっぱいだけでこれもいま一つ。 却って凝ったものを頼んで外してしまった。

とはいえ、ほろほろ鳥のフリットが大当りで、火の通し加減が これ以上でもこれ以下でもないというほど絶妙。ちょうど火が 通ったばかり、切るとほんのりとピンク色で肉汁がじわーっと しみ出してくる、という感じ。切り口の断面の様子だけは今でも 鮮明に思い出せるのがなんともあれだというか…

デザートは何があるの?と聞いて私は白トリュフ(tartufo bianco) しましまがクレームキャラメルか何かを頼んでいた。 白トリュフってなんだろうと思いつついざ来てみると、チョコレートの ジェラートのまわりをメレンゲ?で包んで丸くして凍らせたもので これがなかなかおいしかった。

前回行かなかった国立のエノテカ(Enoteca Nazionale)に行くべく かわいい店員のねーちゃんに、メディチ家の要塞はどっち?と聞くと ここまっすぐ行って500mぐらい行って左だよんと教わり、 さらに飲んだくれ状態に拍車をかけるべく要塞へ。

だがしかしここで今回の旅行での最大の失態が待っているのであった。

シエナの目抜き通りをぶらぶらウィンドウショッピングしながら エノテカへと向かう。途中でしましまがネクタイをおみやげに 買っていた。

要塞の前の通りではつい先ほど前まで市場が立っていたようで、 最後の何軒かが片付けを終えようとしているところだった。 あたりに散らかったゴミと落葉が雨に濡れてぐしょぐしょで汚い。

国立のエノテカ(Enoteca Italiana だったす)は すぐに見つかったのだが、中の様子がわからないので 恐る恐る入ってみる。正面にワインやスピリッツ類が沢山並んだ カウンターがあり、その前に数席テーブルがあり、何組か客がいる。

その手前を左に進んで行くと広い部屋があってそこにもテーブル席が あるのだが、こちらには誰もいなかった。逆に右側には階段があって 地下に降りられるようになっている。

とりあえず地下に降りてみると、イタリア全土のワインが 広いスペースに展示されている。日本でも見たことがあるものも 結構沢山あるが、なにせ数が多いので見ているうちに飽きてしまった。

さらに奥にはセラーがあって、たくさんのワインが眠っているようだ。 扉のすぐ向こうには Biondi-Santi のブルネッロが何本もあった。 良く見てみると私と石田さんのバースデイビンテージな '64 もある。 うーん、これいくらだろう。買えるのかな。

地下のセラーも飽きたので上がって試飲しようということになる。 システムがよくわからないのでまだおっかなびっくり。 おにーちゃんをつかまえて、座ってもいいか?と聞くと その辺に適当に座っていいよということなんで座る。

隣は日本人の女性が一人で、分厚いリストを眺めながら、右手に ペンを持ってノートか何か開いて難しい顔をしながらワインを飲んでいる。 なんだか良くわからないが業界の人がリサーチでもしてるのかしら。 向かいの席はアメリカ人?が3人ほどであれこれ一人3杯〜5杯ほど 試飲していて、空になったグラスがテーブルに林立している。

ワインリストをもらう。グラスで試飲できるものがイタリア各州 それぞれいくつずつかあり、全部で40-50??ぐらい。 ボトルで試飲またはお持ち帰りできるものは多分数百〜千以上あって 見ているだけで時間がたってしまいそうだ。

石田さんが Vino Nobile di Montepulciano reserva '94?、 しましまは甘いのを飲みたかったそうだが、グラスのリストには 甘いのの項目が無かったので、ひょっとして甘いかもということで、 ピエモンテの Dolcetto の DOC 、私は見たことがなかったので、 Valle d'Aosta のなんちゃら DOC。 しかし後から本を見ると、ドルチェットには甘いのないんだよね(^^;;

ものによって異なるが、大体一杯4,000-6,000リラ程度。 グラスはINAOなんかで使うテイスティンググラス。

石田さんの Vino Nobile 以外は抜栓していなかったので、 テーブルで開けてくれる。アオスタの DOC はこれも先ほど飲んだワインと 同じような感じで軽くて若飲みタイプ。おいしい。葡萄はなんだろう。

Vino Nobile はタンニンが強く、まだかなと待っている間に ちょっとだけ開いてすぐに駄目になってしまったそうだ。 Dolcetto はその中間的な感じだったかな。

などと話をしていると突然、どちらからいらしたんですか?と 隣の女性が声をかけてきた。 おお、よくみたら観月ありさみたいですげーかわいいぢゃないか。*^^* 東京都世田谷区在住井上亜紀子さん26歳OL159cm49kg82-59-83(推定) といったところか。

話を聞いていると、彼女は友達と一緒にローマからフィレンツェへと 旅行してきたそうで、フィレンツェが最後の都市らしい。 買い物に走る友達を見捨てて一人でシエナまで来たのだそうだ。

あれこれ話していたのだが、結局彼女はワインを2本ばかり買って、 フィレンツェ行きのバスの時間があるからということで去って行った。

しかし写真もないし名前も住所も知らない… これじゃ桂きん枝も探してくれない…(今なら桂小枝か?)

まあ生きていればどこかの飲み屋で会えるだろう。(よりによって飲み屋か) 旅の思い出は美しいほうがいいのさ。(負け惜しみ)

大失態にうちひしがれつつシエナを出てモンタルチーノへと向かう。 前回はモンタルチーノへ向かう国道へのつながりがよくわからず 迷いまくった末に、シエナ北、西、南とあるどこかのインターを 降りたらすぐ表示があったように記憶していたので、 一つフィレンツェ方向に戻ってみるが、どうも違うようだ。

3つのインターの間をぐるぐる走り回ってみるが、どうも前見た 光景にぶちあたらない。そうこうするうち、また雨が降りだし、 段々暗くなってくる。地図を読んでいるしましまが、SS2に乗れば いいはずだからこれでおっけーなはずっす、と言うのだが、 標識にはMontalcinoという案内が出ていない。

おかしいなあ、前はすぐに Montalcino って出たと思ったんだけどなあ、 と思いつつガソリンスタンドでおっちゃんに道を聞くと、 このままあと35kmでおっけー、とのこと。

少し走ってしましまにステアリングを渡す。 フランスに行く前に少し練習したいらしい。(^^;;

ここからは迷うこともなく1時間ほどでモンタルチーノに到着。 要塞の前にある地図でホテルの場所を確認するが、 この町も一方通行が多く、ホテルの前までの行き方がわからない。 しょうがないので近くに車を止めてホテルへ。

ホテルは1階がリストランテになっており、おかあちゃんがシェフで 息子がフロント、昼間は警察官のおとうちゃんが夜はサービスを するという家族的経営だそうだ。(FIGARO japon 調べ)

部屋についたら、ホテルのオリジナルラベルの VdT が一本 ウェルカムドリンクで置いてあった。 後で夜中に飲んだが、まずくはないんだけど、 味も香りもすかすかだったような気が。

荷物を開いて一休みして20:00ぐらい、そろそろ夕食を食べようと いうことになったが、雨も降っているから外に行くのは面倒だし 下で食べようということになる。

この日は何を食べたか全く覚えていない。 兎を食べたような気がする。でも次の日の昼だったかな… まあ料理に強い印象がなかったといえばそれまでだったのだが。 雑誌によればおばちゃんは元リストランテのシェフだったそうで、 少しは期待するものがあっただけにちょっと残念。

ワインは Rosso di Montalcino を都合 2本頼んだ。 作り手、年号などは失念。

最初のワインは良くできたサンジョヴェーゼの若いワインという感じ。 軽くて、華やか、タンニンは少なく、甘い香り。 次はそれよりは少し沈んだ感じで、ボディがしっかりしているという 感じだったが、私は最初の方が好きかな。

泊まり客らしい客が二組あとからやってきて食事をしている。 食事だけの客はいないってことはやっぱりあれなのかしら。 面倒臭がっちゃダメっすね(^^;;

隣の客はブルネッロを頼んだようで、おやじがワインのサービスを している。ワインでグラスを洗ったりするところが、単なる田舎の おやじに見えて実は侮り難しつーか。(ほんとか)

しかし家族経営とはいえ、イタリアにありがちな 太ったおばちゃんおっちゃんを中心に陽気にがっはっは という感じではなく静かなホテルだった。

まあ、眼鏡をかけてカメラをぶら下げてるのが日本人、 ていうのと同じぐらいステレオタイプな思い込みではあるのだが。

部屋に戻って少したってから、車に駐禁切られてないかなと 気になって見に行ってみる。駐車スペースが空いたので そちらへ移動して帰ろうとしたら、しましまが来たので夜のお散歩。

この頃には雨はようやく上がっていた。 23時近くなので店も終ってほとんど人気もなくなっている。 食事が終ったらしい人達が数人車に乗り込んで帰っていった。

ぶらぶらと街のまわりを一周歩く。 片付けをしているトラットリアのおっちゃんが何か奇異なものでも 見るかのような目つきでこちらを見ている。

明日は Biondi-Santi のワイナリーを見学して、 後はモンタルチーノ近辺をぶらぶらする予定。

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text and photo: nigel@st.rim.or.jp