Nov. 15 (Mon)

Imperia - Savona - Alba


今日はリグーリアを去って再びピエモンテに戻る日である。午後にピエモンテの
とあるワイナリー訪問の予約をしていたので朝イチで出発しなければいけないのだが、
気候温暖なリグーリアを去りがたく、体調が悪いと嘘をついてキャンセルしてしまう。
ごめんなさい>某ワイナリーの方々
だがもう少しここでリゾート気分でのんびりできるというわけだ。

朝起きて今日も散歩。今朝もいい天気。
生シューのバールは今朝も閉まっているので別のバールで朝食を取る。
ホテルでもらった地図によると、ホテルの近くの広場で月曜に市場が立つとのことなので、
そこへ行こうということになる。

地図の通りに歩いて広場へ行ってみるが市は立っていない。
ビニール袋をぶら下げて歩いている買物帰り風のおばちゃんもいるので、
どっかでやっているのだろうとうろうろ歩きまわってみるがみつからなかった。

広場には子供連れや老人がたむろしていて、ぽかぽかと陽があたってのどかな雰囲気である。
ここから伸びる道沿いに小さなスーパーを発見したので入ってみる。
スーパーといっても田舎のコンビニのような感じで、これは!というのもはなかったが、
ガリ版かせいぜいプリントゴッコでラベルを印刷した風ないかにも
地オリーブオイルというようなオイルが並んでいたので買ってみる。
緑が濃いというよりどちらかというと黄色がかった色合いで濁っていた。
このへんの濁り具合がなんとなく期待させられる。

よく知らなかったがインペリアはオリーブオイルの名産地らしい。
じっさい家で使ってみると、こぼれた油や水分でラベルが滲んでしまったところが
またご愛敬である。(^^;;

広場から下って常設市場のある通りへ行き、狭い市場を覗いてみる。
計り売りの松の実があったので200gほど買う。松の実は日本で中華食材として
売られているものより一回り大きかった。風味はあんまかわらんかった。
値段も300-400円/100gぐらいでそれほど安いというわけではない。
ま、リグーリアのオリーブオイルと松の実でリグーリアのジェノバペースト
ができるっちうわけやね。そんな甘いもんでわないか。

今日も海岸まで行ってみるが、昨日と違って全然人がいない。
すっかり寂しくなってしまって、昨日のあの人たちはどこからやってきたのだろうとさえ
思えてしまう。去り難い気持ちをおさえつつ昼前に荷物をまとめて出発。

海を右手に見ながら下道を東のジェノヴァ方面に走る。切りたった断崖の上を通ったり、
ここは茅ヶ崎かといったような風情のどことなくさびしげなオフシーズンのビーチリゾートを
通り抜けたりしながら東へ進む。しばらうすると少し内陸に入ってしまうが、
サヴォナの手前でまた海に近付く。

ピエモンテへ行くには、インペリアとジェノヴァの間にあるサヴォナという町で
南北に走る高速10?号線に乗るのが一番早そうである。海岸沿いも高速を使えばもっと早いが、
海沿いをのんびりドライブしたいし、別に時間も気にしなくて良いし、
とりあえずそこまでは下道で行こう。

サヴォナの手前にピエモンテ方面はこちら←の高速入口の看板があるが無視して市内へ進む。
サヴォナは思っていたよりも大きな町で、港はヨットハーバーが中心の
インペリアとは違って、タンカーの姿がみえるなど大規模な港を持ち、工業都市つーか
港湾都市という雰囲気だった。市街のはずれに古い城塞と駐車場があり、
そこに車を止めて市内へレストランを探しに歩き出す。

大通り沿いにカフェはあるが、レストランは見つからない。中心付近の広場の近くに
にぎわっているピッツェリア/トラットリアがあった。
時間は1時すぎで満員、我々の前にも数人おり、座れるまでしばらく待たされる。
ピッツァのお持ち帰りもできるらしく、客が箱を持って店を出る度に少し
焦げたようないい匂いが漂う。

10〜15分ぐらい待ってようやく席に通される。客は近くのビジネスマン風な人たちが多い。
席同士の感覚も狭くきつきつであった。

入口近くには前菜各種が大皿にのって並べられており、連れはいたく興味をひかれた様子で
前菜をあれこれ品定めしている。
そういえばこの手のいかにもイタリア風な前菜のディスプレイを見たのはここが初めてか。
結局好みのを盛ってもらった前菜盛り合わせとハム、サラミを頼む。

リグーリア、せっかくジェノヴァの近くに来たのだからというわけで
Spaghetti al pesto と、Spaghetti al vongole を頼んだ。
結構おいしかったが、うぉぉぉぉ、これが本場の
ジェノヴァペーストかあああ、と感動まではしなかった(^^;;
セコンドもワインも頼まず軽く止めておく。

店を出たのは3時前でまだ商店は開いていない。大通り沿いにこじゃれた雑貨屋があったが
結局ウィンドウショッピングだけでサヴォナを去る。城塞から親子連れが出てきたので
観光できるのかと思ったが立ち寄らず。

インペリア方向に少し戻って高速に乗る。ピエモンテに向かって最初の峠を越えると
それまで晴れていた空はとたんに曇りだし、リグーリアに来たときとは逆に、
だんだん気持ちが沈んでいくのを感じた。交通量はほとんどないが、所々工事で
片側一車線になっており、トラックにしばしば前を塞がれたのもまたそれに輪をかける。

高速の途中で霧もかかってあたりはまっくらになり、降りるとすぐに
雨がしとしとと降り出してきた。アルバへ向かう道は夕方ということもあって
交通量がかなり多く渋滞気味。
どうにかこうにかアルバに着いて同じホテルにチェックイン。アルバを出るときに
部屋と一緒に駐車場も予約したので今度はインターフォンで駐車場の門も開けてもらえる。

アルバの街を何度目かのブラブラ歩きして、ホテル前のショッピングセンターでワインと
生ハムだのパンだのつまみだのを買い込んで部屋で食べることにする。
また結局レストランを探して歩きまわるであろうことに嫌気がさしたのか、
どんよりと沈んだピエモンテの天気のせいかどうかはよくわからない。

ワイン屋を覗くが、これは! というのが見当たらず、結局 Sito Rey 1994 Gaja が
目につく所では一番古かっただけという理由でそれにした。

ベッドにつまみを広げて、ホテル備えつけのコップで Gaja を飲む。
しかしマントヴァからこっち Gaja を安酒のようにがぶがぶ飲んでいる(^^;;

実際にはがぶがぶ飲めるほど軽くはないし、ちょっとしたバローロや
バルバレスコと同じぐらいの値段ではあるが、これだけ目のあたりにした上に
日本での値段との格差を考えると心理的にはもうすっかり安酒である(^^;;

雑誌を読んで最近(96/97)のヴィンテージの日本の価格が、現地の倍、いや3倍近いのを知って、
もっと飲んでおくべきだったぁぁぁぁと連れは悔しがっていた(^^;;


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Text and photo: nigel@st.rim.or.jp