Nov. 14 (Sun)
Imperia
明け方までには雨はあがったがまだ雲が多い。
連れのリクエストで昨日生シューを食べたバールに朝食を食べに行くが閉まっている。
外からウィンドウに置いてあるお菓子は見えるのに…
しょうがないので別のバールで朝食をとる。ここの店は甘いパンではなく
惣菜パンみたいなものが多かった。直径12cmぐらいの日本のピッツァパン
みたいなパンを2種類ほど頼むと暖めて出してくれた。
どこにいくともあてのないまま坂を登る。途中の家ではじいさん3人組が
ガレージからアルフェッタセダンを出して洗っていた。
今日は3人で車の整備であろうか。
ぱっと見はシャッターつきの車庫保管でずいぶんきれいであるが、海のそばなので
実はぐさぐさかもしれない(^^;;
古い(というほど古くはないのだが)車を丁寧に乗り続けているようでほほえましい光景だった。
雲はだんだんなくなってきれいな青空が見える。
丘の上まで登って地中海の眺めを楽しんだ後、海岸まで降りた。
海岸沿いの遊歩道を歩いて港の脇のビーチまでいくころにはすっかり晴れわたっていた。
日曜ということもあって海岸には散歩する家族連れなどが大挙してやってきていた。
断崖と港に挟まれたわずかなビーチで日光浴する人たちや、11月というのに
海パンいっちょでサッカーやラケットボール?に興じる人たちだけでなく、
泳ぐおばちゃんまでいたのにはちょっとびっくり。
突堤の先まで歩いて戻ると釣りをしている人がいた。突堤の上から通行人が、
何が釣れてるの?(Che cos'e?)と声をかけたので、おっちゃんが魚を披露している。
ちょっと遠いが、オコゼのようだ。それを見た連れであるところの駄洒落大王が、
けこぜ〜?オコゼ〜!!!ぎゃっはっはっは〜!!!
…本人はいまだに気にいっているようで、これだけはちゃんと書けとうるさい(-_-;;
登ったり下ったりしている間にお昼近くになったので腹が減った。
港の近くのトラットリアで昼食を取ることにする。気軽に済ませたい気分。
店の前にテントが張ってあり30席ぐらいのテーブル席になっている。
ノリ的には海の家に近いのかも(^^;;
テントではアングロサクソンな男性二人連れがピッツァを食べていた。
我々の後に観光客らしき一団が8人ぐらいでやってきてなにやらわいわいと食事を始めていた。
法事帰りの親戚御一行様という感じだが、ウェイトレスのねーちゃん(けばい)と
顔馴染み風でもなく、どことなく観光客っぽさがうかがえるが、
どのへんから来ている人達なのかは掴めず。
プリモはルーコラと小海老のトルテリーニと漁師風リゾット。
どっちもそれなり。トルテリーニのソースはだいぶオイリーだった。
詰めものは何だろうと気にしてみたが肉のようだった。
リゾットはアルデンテという風ではなくなんとなく雑炊っぽかった。
悪くいえば日本のファミレスで出そうなというか。
セコンドはこれが食べたかったんだよねーとフリットミスト。
カラフェの白ワインでばくばくと食べてしまう。
よく考えたら今回では初めてラベルのないワイン。
人が変わっちゃったのね…と言われそうである(^^;;
インペリアは川によって我々の泊まっているホテルのあるポルトマウリツィオとオネーリアの
二地区に別れている。一休みしてからオネーリアにあったオリーブ博物館を見にいこうと
海岸通りを歩き出す。昨夜の店の前ではおやじが掃除をしていたので通りの反対側から
会釈して通り過ぎる。
両地区をつなぐ海岸通りは道幅は広いが周りには店などなく、
今は廃墟になった工場があったりしてがらんとして寂しい。
途中の海側にはスポーツクラブというかテニスコートやグラウンドがあってプレイしている
人達がいるのが見える。
へらーりで通り過ぎる人を見たりして、金持ちリゾートであるということを実感。
しかしどことなく淋しい感じはまぎらわせず、ライネリのオリーブオイル工場は
この先300m→などという看板を見て期待してみても
それらしき工場は見当たらず、気分的に多少疲れつつ隣町へ。
国鉄駅裏を回ってオリーブ博物館は…クローズであった。
町全体も日曜日の昼過ぎのせいかかなり寂しげである。
帰る途中に覗こうと思った一本裏の通りのスーパーもすでに午前中で閉店していた。
無駄足食ってすっかり疲れたのでホテルに戻って昼寝する。
晩飯をどうしようかひとしきり悩んで結局昨夜の店に。
あのリストを見てしまった以上今日は赤を飲みたいぞという邪悪な欲望がふつふつと
沸いてきて、あの店は魚屋なんだぞーという天使の声に勝ってしまった(^^;;
日曜の夜とあって店内はガラガラで客は最初は我々だけだった。
シーズンオフのせいか昨夜も今夜もフロアはおやじとハリー・ディーン・スタントンというか
ヴォルク・ハンから筋肉を取ったようなどことなくよれたあか抜けないおやじカメリエーレ
の二人でやっている。ヴォルク・ハンが、また来たね、昨夜は全部で日本人客が
三組もいたんだよ、などとよれよれの声で言いながら注文を取りに来た。
ハンにお薦めの前菜を尋ねると、Bottarga con pomodori e spumante というので迷わずそれにした。
角切りしたトマトの上にカラスミ(何の卵かは聞くの忘れたがたぶん鮪か)のスライスが
乗っている前菜とグラススプマンテのセット。
カラスミはどうやらシェフのお手製らしく、譲ってもらう得意客もいるようだ(雑誌情報による)。
メニューを決めながらちびちびとやるのにはちょうどよろしい。
肉類を頼もうかどうしようか悩んで結局今日は前菜にパスタだけ。
伊勢海老のリングイネッテとスカンピのクアドルッチ
(四角い手打ちパスタ、小振りのラザーニャみたいなもん)と高級食材で攻める。
なんたって高級リストランテで高級食材なのだ、高いのである。
アラゴスタ(伊勢海老)の皿なんか80,000リラとか書いてある。(@_@)
もちろん連れの持ってるメニューには値段など書いてない(はずだ)(^^;;
赤を飲むぞ!と決心してやってきた割には優柔不断でなかなかワインを決められない。
分厚いリストを広げながらワインをどれにしようか悩んでいるとハンがやってくる。
おすすめは、と聞くとうちは魚屋だしこれがうめーんだよとイタリアの若いぴちぴちな白ワインを持ってくる。
そらそーだけどよー、それがおすすめだっつーのは痛いほどわかるんだけど、
おれはこのリストのすんげー赤を一本でいいから飲みてえんだよおー、
白なら白でもうちょっとなんかひねったの薦めてくれよぉぉぉぉと思いつつも
ひよって結局ワインは Pinero 1987(弱い、あまりにも弱い、飲みたいんなら
恥も外聞もなく Barbaresco 1985 でも DRC でもなんでも飲め)
ワインが余ってしまったのでチーズを頼んで赤を片付ける。
うーむ。これでええのんか、いや、Pinero はそれなりにうまかったのだが、
ほんまにそれでよかったんかと、中途半端なもやもやを抱えながらホテルに戻ったのであった。
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Text and photo: nigel@st.rim.or.jp