Eにっぱち講座

第7回   「トランクのガソリン臭と満タン時のガソリン漏れ対策

講師は、E28ライフ名誉教授 ヘラルドさんです。
ご感想、ファンメールは   ヘラルドさん(munich_e28_520@yahoo.co.jp)へ是非どうぞ。


目次
原因 用意する物と注意事項 作業方法

原因

E28でよくあるトラブルの一つに、燃料を満タンにしたときに、トランクの中や車内が妙にガソリン臭くなったり、あるいは給油口の下からぽたぽたガソリンがしたたったりす るというのがあります。この原因は、ほとんどの場合燃料タンクからトランク内を経由してエンジンルームに伸びている配管の途中のゴムホースの劣化によるものです。放置する と、最後にはホースが破れて、満タン時に右リアフェンダーのところからガソリンがじゃーじゃーこぼれる状態になることがあります。(σ^^ 経験者。)

燃料タンクではガソリンの蒸発ガスが発生しますが、これをそのまま外に放出すると公害 の原因となります。このため、E28では燃料タンクとエンジンルームを配管でつなぎ、 エンジンルーム内のチャコールキャニスターに蒸発ガスを吸着させています。タンクとキ ャニスターを直接配管で結んでしまうと、タンク内の液面変動などでタンク内の空気が出 入りする場合に絶えずキャニスターに空気が出入りしてしまうため、途中に小さなタンク を設けてキャニスター側に流れる空気を最小限に抑える構造になっています。このタンク (エキスパンションタンク)はトランクの中にあり、3本のゴムホースで燃料タンクとつ ながっています。

満タンの時に右リアフェンダーのところからガソリンがもれていたら、給油口のフラップ を開けて、中のゴムのカバーをめくってみてください。ゴムホースが3本見えます(写真 1)。ここからのもれがもっとも多く見られるケースです。また、もれていなくても満タン にしたときにトランクの中がガソリン臭くなるのも多くはこのホースが劣化によるもので す。

用意する物と注意事項

 対策としては、ホースを交換するしかありません。必要なものは、

 ・内径6mmのガソリン用ホース 1.5m
 ・10〜15mmのホース用のホースバンド 7個

 いずれもBMW純正部品がありますが、ホースは自動車部品商(オートバックスとかイエ ローハットではなく、整備工場向けに部品を販売しているところ)で安く買えますし、ホ ースバンドはホームセンターで売っているもので十分です。

作業中は当然ながら火気厳禁、冬の時期は静電気の発生しやすい化繊の服などで作業する のも避けてください。
 

作業方法

まず、古いホースを外します。始める前に周囲に堆積した汚れを落とします。そのままで 作業すると、タンクにゴミが入ってトラブルの原因になります。また、燃料タンクが満タ ンだと外したときにガソリンがこぼれることがあるので、中身が少ないときに作業するの が無難です。それから、作業に夢中になって給油口のフラップを手でごりごり押さないよ うに。車体側と擦れて塗装がはげてしまいます。フラップがあたるところにガムテープか なにかを貼って保護しておくと安心です。

燃料タンク側は写真1のようにゴムのカバーをめくってホースを固定しているクランプ (ネジ式)を外し、ホースを抜きます。
クランプのネジを回す時は、頭の六角の部分にソ ケットを掛けて回した方が確実です。ドライバーでも回せますが、堅くてなめてしまった り、周りを傷つける恐れがあります。ホースはたいてい固着していて引っ張っても取れま せんし、手を入れる空間がほとんどないので、よく切れるカッターで燃料タンク側のパイ プにかぶっている部分を切開してとるのが簡単です。

次に、トランクの内張りを写真2のようにめくって、ホースをトランク側に引き抜きます。 3本のホースがどの口につながっているか確認して、新しいホースをつけるときに迷わな いようにしてください。また、車体の穴にゴムのグロメットがはまっているので、紛失し ないように注意してください。作業しやすくするため、エキスパンションタンクを車体に 固定しているボルトを外して手前に引き出し、タンク上部につながっているホースをまず 外します。

ホースを固定しているクランプ(かしめになっている)をペンチなどでちぎっ て外し、ホースを抜きます(写真3)。こちら側は慎重に引っ張って抜いてください。無理 に抜くと樹脂製のタンク側の口が折れることがあります。ホースをカッターで切開するの もタンク側の口を傷つける可能性があるのであまり好ましくありません。次に、燃料タン ク側から来る3本のホースを外します。

  写真4は一番上が新しいホース、ほかの3本が古いホースです。古い方は布巻なので見た 目では状態のよしあしがわかりませんが、中のゴムの部分は堅くなって亀裂が入っていま した。

新しいホースを古いホースに長さを合わせて切断し、まずエキスパンションタンク側にさ して新しいホースバンドで固定します。ホースをさすときはタンクの口の方にラバーグリ スかエンジンオイルを少し塗ると簡単に入ります。ホースを車体の穴にもとのように通し、 エキスパンションタンクを元通り固定します。ホースを通すとき、グロメットがきちんと 収まっているのを確認するのをお忘れなく。
 燃料タンク側のホースにまずホースバンドを通しておき、燃料タンクから出ている口に下 から順番にさします。新しいホースバンドで固定して、ゴムのカバー、トランクの内張り を下に戻せば作業終了。 これで安心してすりきり一杯まで満タンにできます。 (^^)v
写真1
写真2
写真3
写真4

「第7回  トランクのガソリン臭と満タン時のガソリン漏れ対策」終り
2003.07.07


同様にエンジンルーム側の燃料ホースや燃料タンクキャップのパッキンもチェックしておきましょう(^_^)