Eにっぱち講座

第5回   「燃費が悪くなったときのチェックポイント」

講師は、E28ライフ名誉教授 ヘラルドさんです。
ご感想、ファンメールは   ヘラルドさん(munich_e28_520@yahoo.co.jp)へ是非どうぞ。

目次
はじめに
1. O2センサー 2. エンジン水温センサー 3.燃圧レギュレータの配管
4.サーモスタット


はじめに

写真屋さんの書き込みに「燃費が悪くなりました」というのがありましたが、このような症状のときにエアクリーナー、プラグなどの一般的な部分以外に原因としてよくあるものについてちょっと説明してみました。

ただし、以下の説明は正規輸入車の520i・‘87年以降の528e(吸気マニホールドに始動用のインジェクタがついていないタイプ)について書いてありますので、その他の車(特にBIG6)では部品の位置やチェックする線が若干違う事がありますが、基本的な原理は同じです。



1. O2センサー

正規輸入車だとエンジンルーム内に「02センサーは80000kmごとに交換」と書いてある、あの部品です。排気マニホールドから排気管につながってすぐのところにねじ込んであり、配線がつながっています。これは排気と大気中の酸素濃度差により電位差を発生する一種の電池で、これが不良になるとコンピュータが常に混合気が薄いと判断するため、燃料噴射量が増えて燃費が悪くなります。

O2センサーの機能は次のようにしてチェックすることができます。エンジンを掛けて10分程度車を走らせ、エンジン、排気管を十分に暖めます。いったんエンジンを止め、

上の写真に示したコネクターを分離します。その状態でエンジンを掛け、センサー側のコネクターの2番ピン(黒いリード線がつながっている)とバッテリーのマイナス(エンジンのカムカバーでOK)の間の電圧をテスターで測ると、数100mVの電位差があるはずです。また、この状態でカムカバーのオイル注入口のフタをあけるとここから空気を吸って空燃比が変化するので、電位差が変化します。電位差がなかったり、全く変化しないようですとセンサーが不良になっているので、交換する必要があります。




2.エンジン水温センサー

エンジン水温センサーはエンジンが冷えている間は燃料噴射量を増量して、冷間の走行性が損なわれないように制御をしています。センサーは温度により抵抗値が変化しますが、これが断線していると実際にはエンジンが温まっても冷えていると判断してしまうため、常時燃料噴射量が多くなって燃費が悪くなります。逆にショートしているとエンジンが冷えていても暖まっていると判断してしまうため、冷間の始動性、走行性が悪くなります。

このセンサーのチェックは次のように行います。

まずエンジンが冷えている状態で上の写真に示すコネクターを外します。コネクターの横に細い針金のクリップがかかっていて、これでコネクターがロックされていますから、マイナスドライバーか何かでクリップをこじって外します。(下に落とさないように注意!)外れたら、コネクターをまっすぐに引きぬいて、センサーの2つの端子の間の抵抗を測ります。

つぎに、コネクターを仮にはめてエンジンを掛け、水温が十分上がるまで待って同じように測定します。センサーの抵抗値は下に示したようになりますから、エンジンが冷えているときは数千Ωの抵抗があり、暖まっているときは数百Ωに下がっているはずです。
 

表1  水温センサー抵抗値
車種((正規輸入車の場合)
温度
抵抗値
520I,528e(87以降)、535I
-10℃

20℃

80℃

8200〜10500Ω

2200〜2700Ω

300〜360Ω

533I、528e(86年まで)
-10℃

20℃

80℃

7000〜11600Ω

2100〜2900Ω

270〜400Ω

    • 518I、M5、アルピナ、並行輸入車などは設定が違うかも知れません。
  上記の値から著しく外れている場合、あるいは抵抗が0だったり無限大だったりする場合はセンサーが壊れていますので、交換する必要があります。


3.燃圧レギュレータの配管

燃圧レギュレータは、吸気マニホールドの負圧の大きさ(≒アクセルの開度≒エンジン負荷)に応じてインジェクタに来る燃料の圧力を調整し、噴射量を変化させます。吸気マニホールドとレギュレータをつないでいるゴムホースが劣化して空気を吸っているとレギュレータに負圧がかからず、燃圧が高くなるため噴射量が増えて燃費が悪くなります。燃圧レギュレータは写真に示した部分についていますので、ここにつながる負圧のホースを外してみて、堅くなってひび割れしていないか、あるいは差込の部分がゆるくなっていないか確認します。




4.サーモスタット

サーモスタットは冷却水をラジエターに送る経路の開閉を、エンジンの水温に応じて調整します。サーモスタットが壊れると、開いたままになった場合はエンジンが温まっていなくても絶えず冷却水がラジエターにも回るため、エンジンが冷え気味になり、燃料噴射量が増えて燃費が悪くなります。また、寒い時期だとエンジンが通常の動作温度にならないため、潤滑不良や異常磨耗が発生するおそれもあります。逆に閉じたままになった場合、エンジンがオーバーヒートします。

サーモスタットの動作は、本来取外して熱湯につけて開閉するかどうかを確認するのですが、取外すには冷却水を全部抜かなければならないので、簡易的に次のようにチェックできます。

ボンネットをあけておいて、エンジンが冷えている状態でエンジンを掛けます。2.に書いたエンジン水温センサーがついている部分と、ラジエターの上の部分(ゴムホースが入ってきているあたりがよいでしょう)を手で触って、温度のあがり具合をチェックします。正常なら、水温センサーの部分がちょっと熱いな、というくらいの温度になってはじめてラジエターの方が暖かくなってくるはずです。水温センサーの部分とラジエターでほぼ同時に温度が上がってくるようなら、サーモスタットが開きっぱなしになっている可能性があります。閉じたままの場合は逆にいつまでたってもラジエターの方が暖かくなりません。(それ以前に、暖かい時期にオーバーヒートするのですぐわかりますね) 疑わしい場合は分解してチェックしましょう。



「第5回   燃費が悪くなった時のチェックポイント」終り
2001.01.28