川村渇真の「知性の泉」

[お知らせ]文書作成の単行本の紹介


文書作成に関する具体的な工夫を盛り込む

 説明技術に関係する単行本を出した。ワープロソフトを用いて、どのように書類を作ったら、分かりやすく仕上げられるかを説明したものだ。表紙、目次、中見出し、本文、挿入文などの構成要素別の作り方に加え、箇条書きなどの表現方法の作成ポイントも解説してある。また、ReadMe書類やアンケートといった、特定用途の書類の作り方も含めた。

・書名:ワープロ文書キメ技講座
・発行:日経BP社
・価格:2800円(税抜き)
・ISBNコード:ISBN4-8222-2856-8

 体系的にまとめて網羅した本ではないが、具体的な工夫や考慮点を数多く盛り込んであるのが特徴だ。たとえば表紙なら、どんな役割を持っていて、どのような項目を含めるべきかを説明してある。また、数ページの書類なので表紙を付けない場合でも、表紙と同じ役割を1ページ目に付けるように勧め、その部分の作り方を解説している。他の要素に関しても同様で、作成の考慮点と具体的な作り方を説明した。

ワープロソフトの基本機能を活用する

 もう1つの特徴は、現在のワープロソフトの有効な機能を使って、ある程度の見栄えを効率的に作る方法を紹介している点だ。多くの人がほとんど使っていない重要な機能に、スタイル登録機能がある。これを上手に活用すれば、無駄な設定をしなくても、好みの見栄えが簡単に作れる。本書を読むと、スタイル登録機能の存在理由が明確に理解できるだろうし、絶対に使いたくなるはずだ。
 ワープロソフトの解説ではないため、ワープロソフトの基本機能が使えることを前提としている。といっても、難しい機能をほとんど使わないので、多くの人が理解できるし、実際に役立てられると思う。
 本書に含まれる内容は、日経MACで連載中の「ディジタル時代の文書作成術」を元にしている。連載の全部を採用するのではなく、テキストに関する部分を抜き出して加筆した。オリジナルはMac OS環境のみを考慮していたので、Windows環境のことを書き加えてある。

ある程度の見栄えの書類を効率的に作れるひな形を付属

 本書の最大の特徴は、付属のCD-ROMに入れたひな形だ。ビジネスなどで作成する書類を対象として、ある程度の見栄えの簡単に実現するためのテンプレートを添付した。これを使うことで、見やすい書類が効率的に作れる。当然のことだが、効率的に作れるのは見栄えに関するレイアウトやだけで、内容に関しては自分で作るしかない。
 付属するひな形書類は、一部を改良したアップデート版を本ウェブページで公開する予定だ。CD-ROM部分は突貫工事で作成した(出版社側の都合などもあり著者の都合だけではどうにもならなかった)ため、改良したい部分が後から見えてきた。とくにWindows版のひな形は、紙の書籍のほうで紹介した工夫を盛り込めなかったので、盛り込んだ版のアップロードを用意するつもりだ。そうすればWindows版でも、通常より美しい日本語の書類が作れる。仕事が忙しいので、少し待ってほしい。
 本書のタイトルだが、正直なところ、まったく気に入っていない。まれにあることだが、タイトル付けに著者の意見が聞き入れられなかった。今までにない本で、どうしても出したかったので、こういった点は妥協した。当たり前のことだが、現実の世の中では、何でも思い通りになるわけではない。

 本書の売れ行きが良ければ、姉妹編を出すことができる。その内容は、テキスト以外の部分を対象にし、表、グラフ、写真、いろいろな種類の図が含まれる。これらを分かりやすく作るとき、どんなことを考えて、どのように作るのか、具体的な工夫を交えて解説するつもりだ。出せるかどうかは、本書の売れ行きにかかっている。本書を気に入った人はもちろん、姉妹編を読みたい人も、ぜひ買ってほしい。ただし、本書が価格に見合う価値があるかは、本人の価値観に大きく関わるので、少し時間をかけて立ち読みし、じっくりと判断したほうがよい。
 本書を読むことで、少しでも分かりやすい書類が増えることを願っている。それに役立てば幸いであり、当初の目的が達成できたといえる。


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