gray out + ねっとでい 私的レポート

※このレポートは個人的な視点から書かれたものであり、gray outねっとでいの活動全体を述べたものではありません。これらのイベントについて詳しく知りたい方は、それぞれのホームページか、あるいは「ねっとでい非公式ページ」などをご覧ください。

960727

1000
 REM vol.6 "gray out"の会場であるキッド・アイラック・アート・ホールに到着。ねっとでいの他のメンバーはまだ到着していないようだし、会場もまだ開いていないのかなと思っていたところへ、パフォーマーの一人で主催者でもある吉田アミさんが来る。屋外まで電話線は引いてあるが会場内部への設定はまだのよう。とりあえず荷物を中へ置き、烏龍茶などごちそうになる(Thanx>アミさん(^^))。
1020
 そろそろ、ねっとでいボランティアが集まってくる。当然だがほとんどがNTT社員で、佐藤以外は初対面の人達ばかり。電話回線を屋内へ引き込み、機材のセッティングにかかる。
1030
 gray outのセッティングも始まっている。内側を漆黒に塗り上げた立方体のような格好の会場に音響機器が次々と運び込まれる……と同時に天井からは装飾の付いた針金が無数に垂らされたり(古代人が考えた宇宙の概念模型みたい)、三脚の上で灯台のように回転しながらフラッシュ光を放つ不思議な筒が楽器群の真ん中に立っていたり、ビジュアルな演出も面白そう。設営の様子を手持ちの電子スチルカメラに収めたりする。  ねっとでい側の機材は、電話会議用の端末、ノートパソコン3台、液晶プロジェクター、記録用ディジタルカメラ&ビデオカメラ。電話会議端末は全国各地で行われているイベントを音声でお互いに伝えあうためのもので、形は近未来的な風合いの円盤型をしている。ノートパソコンは、各地の情報を集めたり、gray outの状況を伝えたり、プロジェクターにホームページを表示させたりなどいろいろと使う予定。カメラで撮影した映像は、ホームページに載せたり、NTTのビデオ・オン・デマンド・システムに登録される。
1100
 音声会議端末から音声を発信できないというトラブルに遭遇。スピーカーからは大潟村のソーラーカーラリーの様子などが聞こえてくるので、受信の方は問題ないようだ。適当にいじっている内にうまくつながり、ねっとでい責任者の長田さんと連絡がとれる(長田さんは白州のアートキャンプでねっとでいしている)。
1130
 ノートパソコンでブラウザを立ち上げ、各地のスタッフが作成しているホームページを一通り見てみる。Yuko Nexus 6さんが演奏する時に使ってもらう音声ファイルを見つけておくためだ。各ページには様々な情報が載っているが、音声ファイルがアップロードされているのは、この時点で仙台だけ。子供達の元気なが幾つか記録されている。音を再生して確かめながら、ダウンロードしておく。
1140
 Yukoさんと軽く打ち合わせ。演奏の際は私がノートパソコンを持って舞台へ行き、YukoさんのPowerBookに接続して音を渡すことに。ねっとでいのメーリングリストで以前行われた話し合いでは、記録形式の変換やファイル転送のやり方などいろいろ議論があったのだけれど、最終的にはパソコンのマイクジャックとヘッドホンジャックをつないで音を流すことになってしまいました……。でも一番早くて間違いのない方法ではあります。
1200
 gray outパフォーマーの人達が食事をとりに外出。私もコンビニで昼飯を買ってきて一服する。
1300
 せっかくのプロジェクターだが、画面を大きく映し出せるスペースがない。仕方なく登り階段の裏側のでこぼこした部分に投影してみると、これがなかなかいい感じ。下から上がってくるお客さん達の注意も引きそうである。ともかく佐藤作gray outのホームページを表示しておく。
1345
 開演が近づき、会場内の動きが活発になってくる。楽器の調整や発声練習なども熱がこもってきて、様々な音が現れては消える。
1400
 開場。お客さんがまさに詰め掛けるように上がってきて、客席はすぐにいっぱいになる。立ち見続出で、ねっとでい機材置き場のわずかなスペース(=階段の踊り場;;;)も手狭になってくる。人々の熱気とプロジェクターのファンから放出される熱でたちまち気温上昇してしまう。でもプロジェクターの画面やノートパソコンで作業する光景を興味深げに見つめる人達も多く、少しは認識してもらえたようだ。  電話会議端末からは他のねっとでいイベントの音が流れているが、演奏の邪魔にならないように一旦スイッチを切る。午後4時からは他の会場からの送信をストップしてもらい、gray outの演奏のみが流れるようになる予定。
1430
 舞台では魅力的な演奏が繰り広げられているが、ファイルのアップロードやダウンロード、ホームページのチェックなど、仕事が山積みで演奏をまともに聞くことができない……(ボランティアで来てるんだから当たり前だけど;;;)。今度はちゃんと観客として見に来るぞ、と心の中で叫んでみたり。  この時点で仙台北九州のページに音声ファイルがアップロードされている。辻さんと連携してダウンロードと接続用ノートパソコンへのファイル転送を行う。
1500
 演奏会場の冷房がうまく機能しないらしく、異様に暑くなってくる。プロジェクターの排気口が作業スペースの方にまっすぐ向いているのも原因の一つ。堪えきれず何度となく下へ涼みに行く。
1600
 電話会議の回線を独占できる時間になったが、まだ他の地点から音声が流れてきている。連絡が行き届いていなかった模様ではあるが、音量はこちらの方が大きいので、しばらくそのままにしようということになる。  田近さんや佐藤がディジタルカメラで演奏の様子を撮影する。その一部は、文書によるレポートとともに「gray out会場の様子」ページにアップロードする予定。
1630
 会場の生の声を伝えるべく(?)、ねっとでいホームページの「メッセージのコーナー」にメッセージを残してみる。既に幾つか他の会場からのメッセージも載せられていて、公式声明とはまた違った個人的な声を感じ取れたような気がする。
1700
 FTPによるファイルのアップロードがうまくできなくなるという不具合発生。コマンドは受理されるが手応えがなく、送り先にはファイルだけ作成されてサイズがゼロという状態。辻さんがいろいろ試してみるも、結果は変わらない。結局電子メールにファイルを添付して送ることに。送り先の環境に合わせてファイル形式の設定を変更し、メールを送付。その後送り先でうまくファイルを取り出すことができた。
1730
 階段の下の方でパタパタ音がしていると思ったら、佐藤が手元をライトで照らしながら、PowerBookを使ってgray outの経時レポートを入力している。演奏者一組ごとに文章をまとめ、ホームページへアップロード。写真やビデオばかりでなく、こういうインターネット中継の手法もあるのだ。
1810
 当初の予定より遅れてそろそろYukoさんの出番。こちらも、今までダウンロードしてためておいた各会場の声の中から選んだものを、すぐ再生できるように準備してお呼びがかかるのを待つ。  今までの演奏とは違い、Yukoさんはちゃぶ台の上に小ぢんまりと機器を置いて演奏を始める。サンプリングされた音がくるくると巡り、様々な効果が追いつ追われつを繰り返す。  演奏が一段落すると、Yukoさんが「ねっとでい」の紹介を始めた。手持ちの音声ファイルを確かめつつ、Yukoさんに呼ばれてステージへ。おもむろにマシンを接続し、キュー待ちでデータを送り込む。  音声を再生して確認してみる。一個目は「ねっとでい!」と叫ぶ元気な声。元気過ぎて耳が割れそうになる。二個目三個目は、音量は良かったが発声時間がちょっと長過ぎた模様。不安を残しつつ私はここでステージから退場する。  子供達の声を使ったYukoさんの演奏が始まる。最初はゆっくりとした繰り返しだったが、それが段々速まり高まってゆき、しまいには声というより電子音の一種にまで変化していった。  演奏を終えてステージを離れたYukoさんに、フロッピーディスクを携えた一人の男性が走り寄った。 「Yukoさんの本を読んで影響を受けて、僕も曲を作ってみたんです!」  そして二人は楽しそうに語らい始めた。こういう出会いもあるのだなぁ、と端で見ていて感銘を受けてしまう。
1850
 本日二度目となるアミさんのパフォーマンスが始まる。切れのある歌声は変わらず聴衆を圧倒している。さらにスピーカーからハウリング・ノイズが飛び出してきて、ほとんど一騎討ちの状態。ポテンシャルの高い二つの音が交錯して、うなり、あるいは振動のようなものが発生していた。
1930
 佐藤はステージへ耳を傾けながら、階段の踊り場に座ってレポート作成にかかっている。私は時折聴衆の中へ顔を突っ込んで演奏の様子を電子スチルカメラに収める。  他のねっとでい会場はすでにイベントを終えているので、現在作業をしているのは、ここ明大前班の数人だけだ。電話による中継にしても夕方からは独占状態だったわけだが、果たしてどれだけの人が聞いてくれたのかちょっと気になる。
2040
 アミさんがgray out終了の挨拶をする。が、実はこれもパフォーマンスの一部で、アミさんの喋った声がサンプリングされ繰り返し流れ始めると、様々な音や彼女自身の歌声が重なり合って、一度落ち着きかけたホールを再び熱気に巻き込んでいった。
2110
 今度こそ本当に演奏終了。パフォーマー全員に惜しみない拍手が注がれる。  ねっとでい明大前班の中継の仕事も一段落。続いて後片付けタイムに入る。が、田舎者の私は終電を捉えるために、ここでお先に失礼させていただくことに……(申し訳ない! >明大前班の皆様)。またこのようなイベントの一翼を担える日を胸に思いつつ、ねっとでい公式バッジを身につけたお客さんの波をかきわけながら、帰途に就いたのでした。

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