「番組」


 節、首都圏に限って言えば、地上、地下、公共施設、密室を問わず、広いバンド幅と膨大な回線数を確保して過度とも言える普及を果たしたPHS通信網を利用し、従来はしょせん個人対個人あるいは個人対ホストコンピュータといった一対一の形でしか行われなかった電話通信を、一対複数もしくは複数対複数での対話を実現する双方向マスメディアたらしめるべく始動された小規模な産官学合同のプロジェクトにおいて、最初のコンテンツとして放送の始まった投稿番組。日記や短信感覚で綴られる、人間の機微溢れる文章が手軽にしかも豊富に楽しめることから大変な人気を博し、試験放送であるにもかかわらず半永久的な放送継続が認められ、ボランティア団体によって運営されることとなった。

 一般のテレホンサービスとの主な違いは、放送内容が常に更新されていることと、聴取料金が無料であること。聴取者の中における投稿者の割合がテレビやラジオなど他のメディアに比べて高い位置にあり、また一度採用された者が繰り返し投稿する、いわゆるリピーター現象が顕著であるという調査結果から考慮しても、現在のチャンネル数を維持しつつ放送を続けるのはさほど難しくないと推測される。さらに放送設備への投資が、初期に機材を整える他は純粋に機器の保守費用程度にとどまっているため、聴取料込みで受信機を販売しても番組の運営をまかなうことができている。


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