「総合目次」にもどる |  「演奏会報告の目次」にもどる |  最終修正:99-08-15(日)

1999年7月24日(土) 渋谷 ON AIR WEST 【人間椅子 十周年記念公演】
17:00開場 18:00開演

【レポート】

 待望の十周年記念公演、今回も通常のライヴより1時間早い17時開場、18時開演です。通し券の場合は開場1時間前から両日分のチケット引換が始まるため、16:30過ぎにON AIR WESTに到着。すでに人間椅子の公演とは思えない(失礼)ほどの大人数が、会場前の通りに集結しています。
 いい頃合に来たつもりが、まだチケット引換がはじまっておらず、40分ごろからようやく開始。この遅れが響いたか、開場も17:20くらいからとなっていました。この間、直射日光は当たらなかったとはいえ、ひたすら暑い〜としかいいようがない待ち時間ではありました。

 いよいよ入場。この時のし袋に入った鉛筆をもらいました。軸には「祝十周年 人間椅子」の赤文字が。何というか、運動会の参加賞のノリです(笑)。
 入場後、まず十周年記念Tシャツを購入。絵柄はみうらじゅん氏による青森名所マップ(?)。他の物販は、既発のCD、ビデオ、お札ステッカーなど。CD類は購入特典として人間椅子・紙エプロンとサイン色紙付きのようでした。

 今回ライヴは開演前にビデオ上映会があります。人間椅子のデビュー前後の映像が中央のスクリーンに映し出される中、2階席へ。和嶋氏側の2列目あたりに着席します。
 映像は、イカ天直後の下北沢屋根裏での演奏、佐竹氏の参加している「君は千手観音」初演、鈴木氏と後藤氏の出会いとなった91年グラムロック・イースターでのKISSカヴァー、後藤氏のもう一つのバンド「ジェラルド」のライヴ映像、鈴木氏和嶋氏の地元ローカルCM「おかえりなさい、青森へ」、同じくローカルのレギュラー番組「人間椅子倶楽部」のよりぬきなどなど、ファンならずとも楽しめる内容。場内も大盛り上がり。
 ビデオを楽しんでいると、あっという間に開演時間が近づいてきます。土曜日とあって、2階席も満パイになってきています。
 上映会終了後は、シンバル類の再セット作業が行われています。たぶんスクリーンにシンバルがかかってしまう、あるいはシンバルの乱反射を避けるためだったのでしょう。スタッフの細かい配慮に感謝!

 開演時間より10分ほど押したところで、ヴァンゲリスの「ブレードランナー」のテーマとともにメンバー入場。場内が歓声ににつつまれる中、インスト曲「鉄格子黙示録」、そして「爆弾行進曲」という、バンド初期のライヴでオープニングによくやっていたという選曲。「鉄〜」をライヴで聴くのは久しぶりです。
 今日の衣装は、和嶋氏が甚平、鈴木氏が背中と左胸に龍の刺繍の入った死装束、後藤氏がテリー・ボジオ風ランニングシャツ。楽器は、和嶋氏がバット2、鈴木氏がお札イーグルといずれも最近の定番のもの。

 ここで最初のMC。メンバー3人が、この10年間でよかったことを語ります。鈴木氏は「パチンコに出会ったこと」、後藤氏は「外国で演奏できたことと、人間椅子に加入・再加入できたこと」、和嶋氏は「武道館で演奏できたこと」、とのこと。
 次の曲は、初期の選曲から一転、最新アルバム『二十世紀葬送曲』から「恋は三角木馬の上で」「都会の童話」。人間椅子の「現在」を象徴する曲で対比の妙が光ります。

 再びMC。今度は、この10年間で悪かったことについて。鈴木氏によれば「ドラマーが辞めたこと」。ちょっと雰囲気を暗くしたところで、久方ぶりの「憂鬱時代」。続いて「暁の断頭台」を演奏。

 MCとなり、早くもギターをグレコ、ベースをミラージュに持ち替えて1音半下げ曲に突入。
 まず最初は、本当に久しぶりの「水没都市」から。十周年記念にふさわしい曲です。このあたりから、演奏する側もノッてきた感じ。次は、最近は1音半下げで演奏されている「悪魔の手毬唄」。当然ながら、CDバージョンよりよりヘヴィな仕上がりです。続いて「莫迦酔狂ひ」へ。

 MCのあと、「この10年間で人間椅子に最も影響を与えたバンド」ということで、もちろん「サバス・スラッシュ・サバス」を演奏。客席は大きく「Black Sabbath!!!」で応えます。メドレーで、ブラック・サバスのカヴァー「チルドレン・オブ・ザ・グレイブ」。これも初期にはよくカヴァーされていたようですが、私は初耳だったので嬉しかったです。

 ここで再びギターをバット2、ベースをイーグルに戻して、「人間椅子倶楽部」。中間部にかかると、十周年祝いの花束を持った内田雄一郎氏が登場! CDバージョンと同じく、中間部の語りを入れます。語り終わるとすぐに舞台袖で黒いSGを受け取り、人間椅子の演奏に加わります。
 次のMCで、内田氏は自分のスペクター・ベースに代え、鈴木氏がベースからレス・ポールに持ち替えます。このレス・ポール、ツアー【怨念大納言】で演奏したツェッペリン・メドレーの時と同じく、ツアースタッフの川端氏の所有のギターでしょうか?
 この編成で、これも久々の「神経症 I LOVE YOU」を演奏します。ギターソロは鈴木氏と和嶋氏のソロのハモりが聴けましたが、演奏後、鈴木氏は「うまくいかなかった…」と反省しきり。ギターソロの部分だけ和嶋氏と再度挑戦、見事成功。「このテンポでしか弾けないということか」と鈴木氏。
 続いて、意外な選曲とも言える宇宙シリーズ「宇宙遊泳」。ベースを内田氏に任せた鈴木氏は、唄の部分ではレス・ポールの重厚なリフ、展開部では和嶋氏のテルミンに絡み付く宇宙音を発するシンセ・ドラム(?)を操ります。CD以上の充実度で、大満足でした。
 MCのあと、今度は初期の筋肉少女帯から「ドリフター」。大歓声の中、内田氏は退場。

 内田氏が去ってしばし、観客も落ち着きを取り戻します。MCで鈴木氏は再びイーグルベースに戻ります。和嶋氏の「嵐の過ぎ去ったあとの静けさに似合うイントロの曲を…」という導入で、「人面瘡」を演奏。終盤の熱狂もそのままに、続けて人気曲「幸福のねじ」でさらに盛り上げます。
 最後の曲は、これも初期でラストに演奏していた曲を、鈴木氏の当時の朴訥なMCスタイルで紹介。「最後の曲です。坂口安吾の小説から、『桜の森の満開の下』」。この曲の展開は、やはり最後に演奏されるのがふさわしいと再確認。
 拍手と歓声の中、メンバーは退場していきます。

 アンコールかと思いきや、楽しげな音楽の流れるなか、メンバーが再び登場し、抽選会が始まります。入場時にもらった鉛筆ののし袋に印字されているナンバーで当確が判明します。賞品は、鈴木賞がフェンダーの小型アンプ(メンバーサイン入り)、マスヒロ賞が時計とシンバルの「不眠症セット」、和嶋賞が和嶋氏自らが腕をふるったお手製ドリンク、そして特別賞が開演前に上映した映像のビデオと、人間椅子が唯一表紙に使われた幻の雑誌「じゃかすか」のセットでした。当選した幸運な方々は、漏れなくメンバーとのポラロイド写真を撮影してもらっていました。

 なごやかな雰囲気の中、アンコールへ。まず和嶋氏がバット2、鈴木氏がレス・ポールを持ち、ベースレスの編成で「もっこの子守唄」を演奏します。鈴木氏はメインリフを担当。
 鈴木氏がギターを下ろし、ハンドマイクで「ダイナマイトーォ!」と叫ぶや否や、イーグルベースを持って走り出てくる内田氏、そして「ダイナマイト」で疾走。
 最後に鈴木氏が、「明日は1曲以外はダブりません」と宣言し終演。メンバーが退出したあと、なぜか観客席では三本締めが行われていました。

 総評ですが、前半はいまひとつ演奏のノリがよくないように思いましたが、1音半下げ曲のあたりから良くなってきたように思います。内田氏のゲスト参加も違和感のないものになっていました。抽選会などの中断要素が多かったにもかかわらず、なかなか満足のいくライヴではなかったでしょうか?
 選曲については、普段演奏しない曲もやってくれましたが、全体の流れとしてはオーソドックスにまとめたな、という気がしました。初日ということで基本路線を貫いたか。
 音的には、定評あるON AIR WESTということもあり、音質/音量ともに十分満足できました。照明もがんばっています。

 ということで、翌日の2日目に続きます。

以上

【チケット】

チケット

【セットリスト】

SEQ. 曲名 使用楽器
ギター ベース
<オープニング ヴァンゲリス「ブレードランナー」>
鉄格子黙示録 バット2 お札イーグル
爆弾行進曲
<MC>
恋は三角木馬の上で
都会の童話
<MC>
憂鬱時代
暁の断頭台
<MC> グレコ ミラージュ
水没都市
悪魔の手毬唄
莫迦酔狂ひ
<MC>
10 サバス・スラッシュ・サバス
11 CHILDREN OF THE GRAVE(BLACK SABBATH)
<MC>
12 人間椅子倶楽部 バット2
黒SG(内田)
イーグル
<MC> バット2
レスポール
(鈴木)
スペクター
(内田)
13 神経症 I LOVE YOU
14 宇宙遊泳
<MC>
15 ドリフター(筋肉少女帯)
<MC> バット2 イーグル
16 人面瘡
17 幸福のねじ
<MC>
18 桜の森の満開の下
<抽選会、アンコール> バット2、
レスポール
(鈴木)
19 もっこの子守唄
20 ダイナマイト バット2 イーグル
(内田)


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