「総合目次」にもどる |  「演奏会報告の目次」にもどる |  最終修正:99-08-15(日)

1999年7月25日(日) 渋谷 ON AIR WEST 【人間椅子 十周年記念公演】
17:00開場 18:00開演

【レポート】

 この日も昨日同様真夏日。開場時間がほぼ時間通りだったので、それほどでもなかったでしたが、やはり暑かった…。

 今日もアンコール時の抽選会用のし袋入り鉛筆をもらって入場。すぐ2階席へ上がるものの、すでに最前列は埋まっています。本日は最後列の椅子席で見ることにします。
 本日のビデオ映像は、人間椅子デビュー前の鈴木氏のドキュメンタリー「地球発19時」、「走れメロス」などが挿入歌となっているオートバイのプロモビデオ、テレビ番組「人間椅子倶楽部」に三柴理氏が出演した時の「三柴椅子倶楽部」など。最後は、誰もフルバージョンを見たことがないという伝説のプロモビデオ「幽霊列車」。コーラス部の和嶋氏の振り付けに場内爆笑。満場の拍手で映像コーナー終了となりました。今日もシンバルの再セット作業が行われています。今日の客の入りは昨日よりは少なめかな?

 今日も開演時間より10分ほど押したところで、ヴァンゲリスの「ブレードランナー」のテーマ。今日のオープニングは「戦慄する木霊」、そして「遺言状放送」。今日はノリのいい選曲で聴衆をリードするつもりか。つづけて超代表曲「りんごの泪」へ。
 今日の服装は、和嶋氏が甚平(昨日のとはちょっと色が違う)、鈴木氏が銀鼠のような色の和服、後藤氏が紫のノースリーブ。楽器は和嶋氏がバット2、鈴木氏がお札イーグル。それにしても、今日は席の関係で、和嶋氏がまったく見えません…(泣)。

 最初のMC。鈴木氏の「和嶋君の嫌いな『虫』をテーマにした曲を2曲…」ということで、まず4thアルバムに収録の「埋葬蟲の唄」。この曲のギターソロはいつ聴いてもいいですね。続いて最新アルバム収録の「蟲」。こちらの歌詞は和嶋氏ならずとも悪寒が走ります。ジワジワ狂気に誘う蟲とダイレクトに感覚を逆撫でする蟲。対照的です。奇しくも蟲シリーズはすべてマスヒロ氏のドラムでアルバム録音されていますね(鉄道シリーズも)。

 再びMCのあと、「人間失格」。展開部での、和嶋氏のギターと後藤氏のパーカッションの絡みが秀逸です。しかしまだ序盤なのにこんなに盛り上げて大丈夫なのか? 次は、もちろん今日も唄います、後藤氏がボーカルの「不眠症ブルース」。失格から及第に場の雰囲気を中和か。

 MCをはさんで「三十歳」。後藤氏ボーカルの3番の歌詞が十周年記念バージョンになっていました。節目のライヴに、この生きざま曲。聴く側も感慨深いものがあります。続いて久しぶりに演奏される「エイズルコトナキシロモノ」。この曲が次に映ずるのは何時のことなのでしょうか?(笑)。

 MCで和嶋氏がギターを久々にダブルネックに持ち替えて、次の曲は「夜叉ヶ池」。ややテンポを弛めに演奏。詞、曲、サウンドが渾然一体となった叙情が強く迫ってきました。密度が濃い異界性の高い1曲でした。

 ここで和嶋氏がグレコに持ち替え、重暗曲シリーズへ突入。まず「少女地獄」。ライヴで聴くのは初めての曲なので、非常に興味深かったです。
 続いて「踊る一寸法師」。後藤氏のフリーなドラミングもさることながら、鈴木氏のボーカルが凄まじい。ボーカルエフェクトが効果的でした。
 次は「暗い日曜日」。日曜日のライヴには必ず演奏されているか?!(笑)。

 ここで本日のゲスト、三柴理氏が登場。もちろん愛器のヤマハのピアノもセッティングされます。この隙にギターとベースは通常チューニングのものへ持ち替え。
 MCでは「三柴椅子倶楽部」の思い出から、「是政」という地名の恐怖について、故諸田コウ氏の思い出、「一生懸命、ピアノを弾いています!」など、三柴氏の楽しいトークが冴え渡ります。以前、人間椅子のアルバムに参加する話もあったとのこと。
 三柴氏のフェバリット・アーチストがキース・ティペット(鈴木氏は「チペット」と発音していた)、ということで、まずキング・クリムゾンのカヴァー、「キャット・フード」を演奏。オリジナルに勝るとも劣らぬサウンドと、三柴氏の真摯な演奏スタイルに、しばし瞠目してしまいました。
 しかしそれに感嘆する間もなく昨日と同じく宇宙シリーズwithゲスト「天体嗜好症」を演奏。中間部のピアノは絶品の一言! 先の「踊る一寸法師」と合わせて、間違いなく今回のライヴのハイライトとなる1曲でした。三柴氏には次回のアルバムのレコーディングに、ぜひ参加していただきたいものです。

 三柴氏が退場すると、ライヴは終盤戦へ。「天国に結ぶ恋」「地獄」「針の山」の人気曲3連発で締め。いつの間にか和嶋氏のギターがメンチに変わっています。大歓声の中、メンバーは退場していきます。

 しばしの間のあと、メンバーが再び登場し、昨日と同様に抽選会が始まります。今日の賞品は、鈴木賞がモッキンバード・ベース(メンバーサイン入り)、マスヒロ賞がラーメンタイマーとスネア・ドラム(羅生門ツアーで使用)、和嶋賞と特別賞は昨日と同じ。今日も当選した幸運な方々は、メンバーとの集合写真を撮影してもらっていました。

 なごやかな雰囲気の中、再び三柴氏が登場し、ビートルズのカヴァーで「ヘイ・ジュード」を演奏します。ボーカルは、ビートルズが嫌いな後藤氏が担当させられています(笑)。
 三柴氏がピアノのまま、鈴木氏がベースを下ろし、昨日との唯一のダブり曲となる「ダイナマイト」。今日もなぜか内田雄一郎氏がイーグルベースを持って走り出てきます。5人編成のゴージャスなダイナマイトが見られて幸せでした。
 これで終演。観客席では今日は万歳三唱が行われていました。

 総評です。大変良かったと思います。緩急をつけた演奏で、人間椅子の持ち味を十二分に発揮できた感じです。ゲストの三柴氏もすばらしく、十周年にふさわしいライヴと言えましょう。
 選曲については、昨日に比べてどちらかといえばマニア向けな感じ。2日連続で来るような客層を想定していたのでしょう。反面、今日初めて人間椅子に来たような人には、「人間失格」「夜叉ヶ池」「踊る一寸法師」での長い演奏は辛かったかもしれませんね。
 音的には、昨日と比べてボリュームが大きく、特に低音が前に出ていたように思います。とは言え、特に気になるほどではありませんでした。
 今回の記念公演、メンバーも場の雰囲気を楽しんでいた様子。こちらも二日間くつろいだ気分でお客さんさせてもらいました。
 それから個人的には、開演前のビデオコーナーは毎回やってほしいです。

 今年はライヴの予定は今のところ入ってない、とのことでしたが、来年3月25日にはまた新譜発売の予定があるとのことです。そしてついに人間椅子オフィシャルサイトが開設されるとの話もあり、今後の活動にも期待がもてる十周年ライヴでした。メンバー、スタッフ、そしてファンの皆さん、この10年間お疲れ様でした。
 では、二十周年記念公演でまたお会いいたしましょう!

以上

【チケット】

チケット

【セットリスト】

SEQ. 曲名 使用楽器 備考
ギター ベース
<オープニング ヴァンゲリス「ブレードランナー」>  
戦慄する木霊 バット2 お札イーグル
遺言状放送
りんごの泪
<MC>
埋葬蟲の唄
<MC>
人間失格
不眠症ブルース
<MC>
三十歳
エイズルコトナキシロモノ
<MC> ダブルネック ミラージュ
(?)
10 夜叉ヶ池
<MC> グレコ
11 少女地獄
12 踊る一寸法師
13 暗い日曜日
<MC> バット2 イーグル 三柴理
(ピアノ)
14 CAT FOOD (KING CRIMSON)
15 天体嗜好症
<MC> メンチ(?)  
16 天国に結ぶ恋
17 地獄
18 針の山
<抽選会、アンコール>
19 HEY JUDE (THE BEATLES) 三柴理
(ピアノ)
20 ダイナマイト


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