映画『サイン』にみる「神父」とは
カトリックには、下から司祭−司教−大司教−枢機卿−法王という位階があり、聖職者は結婚してはいけないことになっています。一般信者は聖職者のことを「神父様」と呼びます。プロテスタントの聖職者は牧師で、位階はありません。牧師は結婚することができ、信者からは「先生」と呼ばれます。(p. 64)。

この秋(2002年秋)にメル・ギブソン主演の映画『サイン』が公開されていますが、見いて何かひっかかる思いをした人はいないでしょうか。メル・ギブソンは元聖職者の役で、「神父様(ファーザー)」と呼ばれているのですが、結婚して子どもまでいるのです・・・! 上記説明をそのまま当てはめると、「アメリカではカトリックの神父も結婚していいの!?」なんて思っちゃいそうですが、もちろん違います。アメリカ人に聞いたところによると、彼の役は「米国聖公会(Episcopal)」という英国国教会の流れに属する教会の聖職者で(カトリックともプロテスタントともまた別のものです)、英語での呼称はFather、すなわち「神父様」なのです。

日本にも英国国教会系の「日本聖公会」があり(立教大学なんかがそうです)、そこの聖職者の方々は「神父」という呼称も「牧師」という呼称も使っているようです。

「神父」が結婚してちゃおかしい、と思う日本人は結構いたのか、この映画を紹介した雑誌なんかには『メル・ギブソン演じた元牧師が・・・』とありますが、ここは「神父」でいいんではないでしょうか。

ロンドンの英国国教会の建物を訪れる日本人は結構多いわけだし(ウェストミンスター寺院なんかがそうです)、ヘンリー8世が英国国教会を作ったことは誰もが世界史で習うわけだし、ここらで「英国国教会」とか「日本聖公会」(そして「米国聖公会」も)といったものがあることがもう少し認識されてよいのでは、と思うのだけれど、そういうことは起こらないんでしょうね、きっと・・・。

映画『サイン』紹介ページhttp://www.movies.co.jp/sign/


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