ほんとのスイス

洗濯場の闘争

私の家族は、10世帯が入っている共同住宅にいる。この中で、純粋にスイス人同士の家庭はたった2世帯だけで、あとは外国人同士の家庭や私の家庭のようなスイス人と外国人の混合家庭である。
「スイスのマンションなので当然スイス人が主導権を握っている」と思いやすいが、実は威勢がいいのがイタリア人家庭だ。彼らは「我が家だけは完璧だ」と思い込んでいるフシがあり、行動も堂々たるものである。
ところが、このイタリア人の奥さんと一階に住むスイス人の奥さんが、地下室の洗濯場の使用をめぐって対立してしまった。どちらも「この時間は私が洗濯をする」と言い張ったのが事の起こりである。この争いは洗濯だけではすまなくなり、次第に相手の人格攻撃に発展していった。互いの家庭環境や教育レベルにまで話が及び、子供も相手の家庭の子供とは遊ばなくなった。そして、ついに相手を「魔女だ」とか「白痴だ」とののしり合うようになったのである。私は「白痴」と呼ばれた方の奥さんと気が合い、話の一部始終を知っていたのだが、3時間もグチを聞かされ時には、さすがに閉口した。(小屋逸樹)

スイスでは現在覚醒剤常用者の増加が問題になっている。街角には注射器のごみ箱を設置、覚醒剤をやめるよう呼びかけている。

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