命をもらったナイ・マンガレ

ナイ・マンガレの話は、北スマトラに住むタパヌリ族に伝わっています。北スマトラの人々は、通常「バタキーズ」とも呼ばれます。この物語はインドネシア人の間であまりよく知られているわけではありませんが、ギリシャ神話のピグマリオンの話と似たところのある、興味深い物語です。


ダツ・パンガナは有名な彫刻家でした。彼は注文を受けると必ず森へ行って、その注文に一番合った木を探したものでした。ある時彼は森で1本の木を見て、その木を彫ってみたい気持ちにかられました。彼は木を仕事場に持ち帰り、ひとつの美しい女性像をほりだしました。

バオ・パルティガティガという通りがかりの商人がそれを見て、自分の持っていた服や宝石で像を飾ってみました。するとその服や宝石は、像にくっついて離れなくなってしまったのです。

パルティガティガは大いに怒り、ダツ・パンガナに像を壊すよう要求しました。パンガナが断ると、パルティガティガは怒って行ってしまいました。なぜかその像は作った場所から動かすことができず、パンガナも像を残してその場から離れました。

今度はダツ・パルトアという男がその像を見て気に入ってしまい、像が生きて動き出すように祈りました。するとその像が命を得て動き出したのです、彼は像を娘として迎え、彼の妻は像にナイ・マンガレという名を与えました。

ナイ・マンガレが命を得たという知らせはすぐさま広まり、ダツ・パンガナは、自分こそがナイ・マンガレの所有者だと主張しました。また、バオ・パルティガティガも名乗りをあげたのです。

村の長老が仲裁に入り、3人の男の間でこういう決まりを作らせました。ダツ・パルトアが父親、パンガナが叔父、パルティガティガは像の兄としたのです。

マリオ・ルスタン



ピグマリオンの話
キプロスの王ピグマリオンが女性像を作ったところ、その像はアフロディーテから命を与えられ、ガラテアと名付けられた。BACK

ダツ・パンガナ
「ダツ」Datuとは、「〜公」という尊称。スマトラやマレーシアで使われる。BACK


古代のバタキーズの神。この神は、すべてのバタキーズの人々の父と見なされた。BACK

ナイ・マンガレ
「ナイ」Naiは「ニヤイ」Nyaiと同じで、MissまたはMrs.といった意味。ジャワ島で使われる。BACK



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