美少女ランドルンドゥン

これはスラウェシ島南部、タナ・トラジャに伝わる伝説です。

スラウェシ島のランドルンドゥンは、髪の長い、美しい少女だった。
ある日、彼女が川で水浴びをしていたとき、1本の髪の毛がはらりと抜け落ちた。彼女はそれを拾って岩の上に置いておいたが、風に飛ばされて川を流れ、やがて海にたどりついた。

海に浮かぶランドルンドゥンの髪の毛は、太陽の光を浴びて輝いていた。そこへ通りかかったのが、冒険家ベンドゥラナの船である。彼は水兵たちにその不思議な髪の毛を拾ってくるように命じた。みな必死でそれをつかもうとしたが、結局失敗して船に戻ってきた。そこでベンドゥラナは自ら海に出た。彼は海の上を歩き、その髪の毛をつかんで自分の腕に巻きつけた。すると、髪の毛は突然長くなったのである。
「この不思議な髪の毛はいったいどこから来たんだろう」とベンドゥラナが思案していると、空を飛んでいた鳥が、その出どころを教えてくれた。そしてベンドゥラナは、鳥の導きによって、ランドルンドゥンのいる島までやってきた。
彼が錨を降ろした付近の岩は今日まで残り、「バツ・サンキナン・レンバン」と呼ばれている。
ベンドゥラナは島にマンゴーを植えた。すると、それはあっという間に成長して実をつけるようになった。
彼は島を歩き回り、ついにランドルンドゥンを見つけた。そしてランドルンドゥンに結婚を申し込んだのだが、彼女はこう言って断った「父ソロカンと母のランベ・ススは、まだ私を手放したがらないでしょう」。

ベンドゥラナはその場を去ったように見せかけ、ひそかにランドルンドゥンを尾行していた。

川で水浴びをしていたランドルンドゥンは、おいしいそうな実がなっているマンゴーの木を見つけ、さっそく実を一つ食べてしまった。だが、それが実はベンドゥラナが植えたマンゴーだったのである。

ランドルンドゥンがマンゴーを食べ終えたところを見計らって、ベンドゥラナは姿を現し、彼女にこう尋ねた。「おや、私のマンゴーを食べてしまったのは誰だろう」。ランドルンドゥンは答えた。「羊飼いの少年たちでしょう」。しかし、羊飼いの少年たちは、ランドルンドゥンがマンゴーを食べたところを見たと言った。あきらめたランドルンドゥンは、ベンドゥラナとの結婚を承諾した。

ベンドゥラナは、ランドルンドゥンの親に邪魔をされないよう、母親のランベ・ススに穴のあいたびんを渡し、「これを水でいっぱいにしてほしい」と頼んだ。ランベ・ススがベンドゥラナの企みに気づいたとき、彼女の娘はベンドゥラナの船に乗って去ってしまっていた。

ランドルンドゥンは船の上で結婚式を挙げたが、終始不機嫌なままだった。そこで一人の男が彼女の前に足の悪いカラスを連れてきた。カラスが奇妙なかっこうでぴょんぴょん飛び跳ねるのを見て、ランドルンドゥンは初めて笑顔を見せたのである。

マリオ・ルスタン



不機嫌な花嫁
不本意な結婚をさせられ、ふさぎこんでいた花嫁が、つまらないことで笑いを取り戻すという話は、他の神話の中にも見られます。これは何のストーリーが起源になっているのでしょう? お心当たりの方は、cycle@st.rim.or.jpへ!





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