木の精キヤイ・ジェゴッド

1755年2月13日、東インド会社のパク・ブウォモと中央ジャワのマタラム帝国のマンクブミ王子は、ジャンティ協定という終戦協定を結びました。マタラム帝国の半分はマンクブミのものとなり、残り半分はパク・ブウォモのものとなりました。マンクブミは、のちに「スルタン・ハメンクブウォモ1世」と名前を変えました。これは、そのスルタンの祖父の時代の話です。



アマンクラット4世がマタラムのスルタンだった頃、よく近くのガルジタワティという森で瞑想をしていました。伝説によると、ある日、とある庭師が森の中で牛のエサにする草を集めていたときのこと、暑かったので水を探したところ、小さい池を見つけました。そこから水を飲もうとすると、水中から竜が出てきたのです。

その竜はとても友好的で「スルタン・アマンクラットが宮殿を建てるなら、この森に建てるとよい」と言って消えました。

スルタンは森の中に宮殿を建て始めました。彼は古くて力強い木を使うように言いましたが、そういう木があるところは、精霊たちのすみかで、伐採人たちは食べるものを何も見つけることができませんでした。口に入るものは米と水だけという日が、3日も続いたほどでした。

スルタンはさらに、宮殿の広間の柱は、力強い印象を与える特別な木でなければならないと言いました。ある晩、森で眠っていた召使いの1人は、大きく深い声を耳にしました。その声は、自分は「キヤイ・ジェゴッド」であると名乗りました。召使いがよく見ると、キヤイ・ジェゴッドは古くて大きく、堂々とした木でした。その木が、「宮殿の柱になるために、喜んで切られる」と言うのです。そうすることによって、彼は永遠に生き続けることができるのでした。

召使いはそのことをスルタンに告げ、キヤイ・ジェゴッドは宮殿の守り神として、永遠に柱の中で生き続けることになったのです。

マリオ・ルスタン






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