インドネシアの葬式

現代のインドネシアの葬儀は、イスラム教、キリスト教、道教といった宗教にのっとって行われますが、今でも昔ながらの伝統的なしきたりを守っているところもあります。その4つの例を紹介しましょう。



1. ジャワ
ジャワでは葬式のとき、家族が「セラマタン selamatan」という儀式を行います。「セラマト selamat」とは地元の言葉で、「安全、願い、幸せ、幸運」といった意味です。最初の「セラマタン」は、家族が死んだ日に行われます。次は3日後、それから7日後、40日後、100日後と続き、最も立派な儀式は1000日目に行われます。その頃には、死者の魂はすでにあの世で平安に暮らしているものと、ジャワ人は信じているのです。

2. スラウェシ
南スラウェシのトラジャ人は、死者の魂は「プヤ puya」というところに入ると信じています。死者はそのプヤに入るとき、現世での社会的地位を明らかにしなければなりません。そこで、現世で高い地位にあった人々はその力を証明するため、まるでカーニバルのような、盛大な葬式を行います。死者は葬儀を終えて初めて、正式に死んだものと見なされます。その前は遺体は「病んだ体」と考えられ、服を着せた状態で「トンコナン」という建物に安置され、人々はその遺体に食べ物を捧げます。

3. バリ
「トルンヤン」というところのバリ人は、葬儀の後、遺体を木の下に置きます。埋めたり燃やしたりすることはなく、覆いをかけることすらしません。驚いたことに、遺体は腐乱状態するのですが、臭いを発しないのです。遺体が置かれるのは、バリ島最大の湖キンタマニ湖のほとりの村の近辺です。

4. フローレス
フローレスのマンガライ人は、「ポティ」と呼ばれる死者の魂は、生前いたところ、特にベッドの近くにいると信じています。しばらくするとポティは家のそばの井戸や大木、交差路のほうに行きます。ポティは自分の孫を見守りますが、生きている人間にちょっかいを出すことはありません。死んだ日から5日目、ポティは死者のための土地「モリ・カラエン」に行きます。モリ・カラエンではすべてのことが現世と逆だと信じられているので、ポティがモリ・カラエンで皿やコップを使えるようにと、人々はその5日目に自分たちの皿やコップを割るのです。

マリオ・ルスタン



自然放置される遺体
エジプトや南米アンデスでは、死体を砂漠や山の中に置いておいたところ、自然にミイラができたという例が発見されています。ただし、バリはこういった地域よりずっと湿度が高いので、事情が異なるかもしれません。





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