古代のインドネシアでは、イソップの寓話のような動物の寓話がたくさんありました。ただし、それらの作者は知られていません。
寓話のテーマは子供、ときには大人に教訓を与える目的のものが多かったようです。
古代マレー社会では、ほとんどの寓話でネズミジカが主人公として登場します。その一つをご紹介します。
ある日、ネズミジカがダンスをしていたとき、うっかりカワウソの子供を踏みつけて殺してしまった。
なぜネズミジカはダンスをしていたのだろう?
戦いの太鼓の音を聞いたからだ。
なぜ戦いの太鼓が鳴り響いていたのだろう?
ヤモリが剣を使うのを見て、キツツキが太鼓をつついたからだ。
なぜヤモリは剣を使ったのだろう?
カメが甲羅をかぶるのを見たからだ。
なぜカメは甲羅をかぶったのだろう?
カニが三つ又のほこで狙いを定めているのを見たからだ。
なぜカニは三つ又のほこで狙いを定めたのだろう?
川エビが槍を運んでいるのを見たからだ。
なぜ川エビは槍を運んでいたのだろう?
カワウソが自分の子供を食べようとしているを見たからだ。
そこでソロモン王(そう、あの有名なソロモン)がやってきて、判定を下した。ネズミジカは無罪、カワウソが有罪となったのだ。
ネズミジカ
インドネシアで愛されているシカ。体がたいへん小さく、角がない。↑
ネズミジカの紹介ページ
ソロモン王
旧約聖書に登場するユダヤの王。大変な賢者として知られている。インドネシアにはイスラム教徒が多く、イスラムの教典は旧約聖書の時代から始まるので、ソロモンは人々によく知られた存在。↑