どんなライブか知りたいって?


それじゃあ、ここを見ればいいじゃん!



1996.6.17(MON)

大阪心斎橋・クラブ・クアトロ

「GREAT3」

                                BY 小出 紀子
1996.6.17(mon) GREAT3 心斎橋 クラブ・クアトロ

 たどりついてみれば、既に前のほうのフロアは3〜4列目くらいまでぎゅうぎゅうだった。それならばと、2段目のフロアに上がり、テーブルの後ろで見ることにした。
 この選択は正しかったと思う。というのも、そのフロアには私が暴れる余裕が十二分にあったし、前のフロアのクレイジーな人たちの様子をステージの彼等と併せて楽しめたから。人の波でモミクチャ、、、そんなことも味わってみたい気がするけど、やっぱり私は飛び跳ねたい時に自由に飛び跳ねたり、両腕を高だかと挙げたりするのが、好きなんだなあ。いちばん前でかぶりついて見られないのなら、2列目、3列目よりもっとずっと後ろを選ぶ。一番前で見たいという希望の次にあるのは、全体を見ながら踊りたいという欲望であって、少しでも前で見たいという訳じゃ、私の場合決してない。
 何かを選ぶとき、いちばんの希望に沿ったものが選べなければ、私なら新たな2番の希望に沿ったものを探して選ぶ。「いちばんの希望に少しでも近いもの」なんて基準じゃ選ばない。もちろん次の希望がたまたま、いちばんの希望に似たものだったって場合もあるかもしれないけど。

 GREAT3が出て来るのを今か今かと待ち構えていた時に聴こえてきたイントロは私の心臓を一気に加速させた。「これって、アレ?アラン・パーソンズ?」聴こえてきたのはアラン・パーソンズ・プロジェクトの「Don't Answer Me」近くにいた友人たちと「すごーい、懐かしいよね」なんて異常に盛り上がった。友人たちの頭の中にどんな光景がフラッシュ・バックしたのかは分からないけど、私の頭の中は当然のようにこの曲のビデオ・クリップが、断片的にだけど、流れ始めた。アメリカン・コミックをモチーフにしたビデオ・クリップ。
 この曲にかぎったことじゃないけど、当時のヒット・ソングって、曲を作ったらビデオも作る流れが当然という時代の全盛期のおかげで、TVでビデオ・クリップを流す番組がたくさんあった。それだからか、私の中では、曲 イコール 映像なんて図式があるくらい、曲と映像がワンセットになって記憶されていることが多い。例えば、ヴァン・ヘイレンの「Jump」なんかはそのタイトルを聞いただけで、”You can't see what I mean”のフレーズと、ビデオ・クリップにあったデイブ・リー・ロスの(視線を横に投げかけるような)意味深な笑みが、一緒に浮かんできてしまったり。
 聴こえてきたこの曲に特別な思い入れはないんだけど(でもすごーーーく大好きな曲)、「今夜はもうこの曲だけで十分だよ、私」そんな風に瞬間思ってしまったなあ。まったくお楽しみはこれからだっていうのにさ。

 1.Open My Eyes
 2.腰抜けマシーン
 3.STAR TOURS
 4.Night Rally
 5.ジェット・コースター日和
 6.Oh Baby
 7.Little J の嘆き
 8.Under the Dog
 9.嫉妬
10.Madness Blue
11.マイクロ・マシーン
12.DISCOMAN
13.エデン特急
ec1.Cruel World to Heaven
ec2.I Believe In you
ec3.Louie Louie

 ステージに出てきたGREAT3とその仲間たち。嵐のように猛烈な声援がフロアのあちこちから飛び交う。遂にこの瞬間がやってきた。ステージとフロアの壮絶なバトルのはじまり。響き渡る歓声のこだまの中からケンイチのドラムが走り出した。
 インストはちょっと長めのイントロ?
 まずは「1.Open My Eyes」で肩ならしならぬ、指ならし?いやそんな小手調べなんてあいつらはしない。とりあえずコレね、なんて演奏をする人たちじゃない。だってこのカヴァー、いつにも増してイイんだもん。いきなりブチ切れて、そのまま「2.腰抜けマシーン」へ。カタヨセはもうこの夜一本目の弦を切ってしまう。ちょっとペースが早くないかい?すぐさま「3.STAR TOURS」へ。そして間髪入れずに始まったのは「4.Night Rally」いきなりニュー・アルバムからの選曲。これにはびっくりしたなあ。この曲はイイ。何が?って。。何だろ。全部かな。うん。少しケンイチとキヨシのボーカルが聴き取りにくいけど、そんなのどうでもいいやって思っちゃうのは甘すぎるかな。でも思っちゃうんだよね、勢いだとか、雰囲気だとかそういう目に見えないところでカッコヨサをGREAT3は私に感じさせる。そういう部分は練習したからといって身につくものじゃないから‥。
 ここでメンバー紹介。ギターには、お久しぶりですの村上さん。キーボード&パーカッションにはStudio Apes からお馴染みのほりえくん、おいちゃん。今夜もよろしく。
 「5.ジェット・コースター日和」なんだけど、この夜のこの曲は心に染みた。カタヨセも「もう〜しない」というひとつひとつのフレーズに、キヨシの声に、何だか、救われた。この夜、曲目をライブ中に書き取っていたんだけど、後でそれを見たら、この曲にはすごく大きな丸がつけてあった。すごく大きな丸がね。イイなあ、、と深く感嘆していると、次もまた、、。なんと「6.Oh Baby」が新しいアレンジで登場。新しいといっても、実は4/27のパワ・ステでのイベントで披露されていたもの。ちょうどEL-MALOの柚木さんが一緒に歌っていたので、私はこれを柚木バージョンを呼び、密かに想いを寄せていたアレンジだけに、嬉しかった。いいよね、コレ。
 新曲やりますっ、と「7.Little J の嘆き」。サビに入る前にはちょっとヤラレタなあ。カッコよかった、生つば飲んだ、ホント。今夜のMCの節々に「マケナイゾ」なんて言葉が囁かれているが、これはきっと、前回の大阪のライブのせい?今年の2月に同じ大阪クアトロであったライブで、GREAT3自身がオーディエンスに喰われた感じを受けたようで、その二の舞を踏まないために、何度も「マケナイゾ」と口に出していたらしい。とにかく大阪のオーディエンスって本当にすごくアツイ。もちろん東京よりもライブ会場の造りが、ステージとフロアが密に迫っていることもあるかも知れないけど。それだけじゃないある種、異様な空気が漂っているのも確か。ノリがいいなんて単純な言葉では表現できないアツいものがあるよね。
 「8.Under the Dog」では真っ赤なライティングが、これまで以上にこの曲にふさわしくなったことと、エンディングのケンイチのドラムの凄まじい激しさ(とほんの少しのイタミ)に圧倒されたこと、このふたつがとても嬉しいことだった。ケンイチのドラムはいよいよ本領発揮の時が来たんだろうな、今、このバンドで。本領発揮といえば次の「9.嫉妬」では、何よりギターを弾きながらのキヨシのスキャット。これこそボーカルのベストなんじゃないかって思った。いやー、胸がアツクなりました。CDより数千倍カッコイイ。(シングルCDにはシングルCDでしか楽しめない特典があるからそれはそれで好きなんだけどね。)
 「10.Madness Blue」、うれしいなあ、この曲。CDはもちろんイイけど、ライブだとますますイイ感じになる。誰もがあんなにも心身ともに踊ってしまうという事実は、GREAT3のライブの素晴しさを物語っていると思う。本当にカッコイイ、素晴しいライブをやってくれるから、じゃあ次も、ってついライブに足を運んでしまうんだよね。ライブに行くと彼等のことが分かるような気もするし。どんなことが分かるのかって?分かったからって、それを言葉にするのは難しいよ。うまく言えない。でもGREAT3のこと好きな私たちの間だったら、「んー、あー、んーっ」「そうそう、んーっ」なんて擬音の会話でコミュニケイションが成立する。伝え合えるんだよね、うん。
 ものすごくイカしたケンイチのドラムから「11.マイクロ・マシーン」が始まる。こんなにまでキャッチーなメロディの曲があるなんて最初は少しびっくりしたけど、結構、好き。あの、最後の転調部分がね、〜Everything's alright〜 ってあんな調子で言ってるGREAT3って私はとても好きだなあ。この曲、身体が反応する。
 ようやくそのカッコよさに気が付いた「12.DISCOMAN」に続いて、本編のラストナンバー「13.エデン特急」が始まる。この曲がこんなにもすべての人にとって大切な曲になるなんて、始めて聴いた時には想像もしなかった。いい曲だなあとは思ったけど。最近では、ケンイチのドラムに聞き惚れることなくこの曲の時にはひたすら叫んで暴れている。今夜も、この曲にまた、背中を押してもらった。いつもありがとう。そんなことを思いながらステージを下がるGREAT3とその仲間を見送った。

 「オレがどんなに嬉しいかわかるか?」カタヨセが言う。私たちよりも嬉しいのかな。きっとそんなんだろうな、私にはわからないけど。
 「Cruel World to Heaven」のボーカルは嬉しさのあまりか、かなり熱がこもっているように聴こえた。ライブでしか聴けない、多分、みんなが好きな曲。これを聴くと、胸の奥に存在している何かに気付く。それが何なのかはやっぱり分からないんだけど。
 二度目のアンコールに登場したキヨシは今にも泣きそうだったようだ。涙もろいキヨシに何か言って泣かそうとする、ファン。9月のライブ告知、「GREAT3・Tシャツ」告知に熱がこもっていた。カタヨセとキヨシが唾のとばし合い。そして始まったのは「I Believe In you」、そして「Louie Louie 」。前のフロアとステージが一緒に揺れている。いい眺めだなあ。想像以上にいいライブで身も心もしあわせいっぱい。「GREAT3」、ぜんぜん名前負けしてないじゃん。あいつらスゴいって今更だけど、今夜、よおーく分かった、ホント、うん。  場内の明るさがライブの終わりを告げる。書き留めておいた曲目を見ると、字が崩れていてほとんど読み取るのが不可能に近かった。赤いボールペンで書き留めた場所は私の左腕。かろうじて読み取れた「マイクロ・マシーン」の文字は驚いたことにそのままミミズ腫れになっていた。なんてこったい、かっこつかないじゃん、ぜんぜん。
 GREAT3はいつ見ても、もっともっと、なんて私の欲望を駆り立てる。際限なくもっともっと、なんて。雑誌を見ても、ラジオを聴いても、TVを見ても、いよいよ、「GREAT3」って感じがするけど、いちばんそう思うのは、やっぱりライブを見た時かなあ。うん。GREAT3はライブがいいよ、ライブが。ねっ。


GREAT3
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