どんなライブか知りたいって?


それじゃあ、ここを見ればいいじゃん!



1996.6.19(WED)

東京・赤坂BLITZ

「GREAT3」

                                BY 小出 紀子

 昨日、大阪から東京にやってきた。あいにくの雨の中、新幹線に乗ってたどり着いた。大阪を発つ前に、同じく大阪から東京にもどる「GREAT3」の見送りができないものかと新大阪駅の新幹線乗り場の改札に行ってみた。ずいぶん長いこと、その大きな柱の脇に立っていたけど、彼らの来る気配は全くなかった。ふと気がつくと、団体外国人観光客とは明らかに違う、外国人の集団をみつけた。髪の長い男たちが集団で歩いている。よく見ればその中には日本人の女の子が幾人かいて、ああこれは外タレとそのファンなんだー、と分かった。この人たちは一体誰なんだろう?じっと目をこらして見たけど分からない。見たことのある顔なんだけど、、。一緒に待っていた友人のTM(田中ミサコ)と話していて、デフ・レパードという名前が浮かんだ。さっき見たのはギターのフィル・コリンと、ドラムのリック・アレンだ(たぶん)。
 世界的にも有名であろうバンドの移動は、思ったよりとても静かなものだった。周囲への迷惑など微塵にも振りまかない、かといってバンドのメンバーとファンの間に立ちはだかるスタッフがいる訳でもなく、メンバーとファンはとにかくいい感じに私たちの前を通り過ぎ、改札を抜けていった。「GREAT3」を待つのに飽き飽きしていた私(新大阪駅にたどり着き、ものの5分とたたない内に、もおイヤとだれきっていた)の心は、デフレパードを見たおかげで生き返ったようだった。彼らとファンとスタッフのいい関係が私をなんかイイ気持ちにさせてくれた。「GREAT3と私たちも、ああ在りたいよね〜」なんて盛り上がりながら。うん、いい雰囲気を見させてもらったよね、あとで分かったことだけど、デフ・レパードは東京に移動して、その夜に武道館でライブだったそうだ(しかも2days)すごいなあ、、。
 それから少しして、今度は日本のバンドらしき人たちがやって来た。「GREAT3」じゃないのはすぐ分かったから、誰なんだろうって考えていたら、「岡村ちゃんだ」とTMが言った。へえーどの人がそうなのかなあって探しているうちに、みんな改札を抜けていってしまった。オレンジ色の服を着たNBAのバスケットの選手みたいな体格の人、と説明されるまで、どの人が岡村靖幸なのか分からなかった。
 長いこと待ってみたけど、「GREAT3」には会えず、少しがっかりした私たちは、その夜食べまくることで気持ちを満たそうとした。上野のHMVで・・・にいれた「GREAT3」のアルバム「メタルランチボックス」を聴きながらのTMとのトークは朝方まで及び、私はやはりライブにつきものの睡眠不足に陥った。

 19日、私のエンジンがかかったのは、ライブ前にラム・コークを流し込んでからだった。

 1.Open My Eyes
 2.腰抜けマシーン
 3.STAR TOURS
 4.Night Rally
 5.ジェット・コースター日和
 6.Oh Baby
 7.Little J の嘆き
 8.Under the Dog
 9.嫉妬
10.Madness Blue
11.マイクロ・マシーン
12.DISCOMAN
13.エデン特急
ec1.Cruel World to Heaven
ec2.I Believe In you
ec3.Louie Louie
ec4 .Not Fade Away

 赤坂BLITZってライブハウスのいいところは、ライブ前に気持ちよくアルコールを飲める場所があるところ。6月の夕方、天気も回復した空の下でたくさんの仲間たちと乾杯が出来た。乾杯したらこのツアーに出かける前に起こったことを色々思いだし、泣いてしまった。そして入場するためにチケット番号順に並んで行く人のあふれているのを見て、「今夜は少しでも前で見たいな」と思った。いつのまにこんなにもたくさんの人の気持ちを彼らはつかんだんだろう?一体いつの間にこんなにも。
 自分よりも先にいるものすごい人の数を見ていたので、あまり前のほうに行くことができないのは分かっていた。それでも前のフロアの後ろ、真中に行くことができた。偶然、隣にいたのが知っている人だったり、仲間たちが集まってきたり、あの広い会場で近くに知り合いばかりがいるなんて嬉しく思った。そうして仲間に囲まれて、私はいつも以上に楽しもう、絶対に楽しもうと心に誓った。こんな感じにフロアでワイワイ楽しめるのって、これからはもう余りないかも知れないって気がしていたから。
 この夜のことはあまり覚えていない。始まる前のBGMは?全然覚えていない。ただ、ステージにGREAT3とその仲間たちが登場してみると、大好きなカタヨセが自分の真ん前にいたその瞬間はよく覚えている。少しステージまで距離はあるけど、今夜、この位置にこれたことはすごく自分にとって意味のあること。偶然っていう名の必然ってこのことかな。
 ステージのGREAT3とその仲間たち。こんなにも広い会場で彼らを見るなんて夢じゃないよね。このフロアにひしめき合う人たちも嘘じゃないんだ。

 ケンイチのドラムから始まるインストで今夜も幕が開いた。
 「なんでこんなにいっぱいいるんだよ!」
「1.Open My Eyes」を歌い終えたカタヨセは叫んだ。「こんなに集まってくれてどうもありがとう」、いつもならこんな風に言いそうなのに、今夜のカタヨセは嬉しい気持ち、感謝の気持ちを、こんな言葉で表現した。緊張しているのか、余裕がないのか、そう言うのが、彼の精一杯のような気がして、私は少し涙ぐんだ。続く「 2.腰抜けマシーン」が終わると今度はキヨシがこう叫ぶ、「スゲエいっぱい入ってんじゃねえかよっ」。キヨシもすごく嬉しいんだろうな。次の「 3.STAR TOURS」もハジけている。〜きっと死ぬまでギリギリなんだ〜というフレーズが頭を突き抜けた。
 新曲をみんなのためにと、「 4.Night Rally」が始まる。大きな声で歌おう、歌おうとするカタヨセのボーカルがハミ出てくる。
 ここでメンバー紹介、キーボード&パーカッションには、ほりえ君&おいちゃん。ギターには青森から飛んで帰ってきた長田さん。この面子で最後まで。
「5.ジェット・コースター日和」「6.Oh Baby」ファースト・アルバムからの曲が続く。CDに収められている曲にライブのアレンジが加わり、ますますいいモノになっている。GREAT3のライブの良さは、目に見えないグルーブ感だけでなく、はっきりと分かる部分にも現われている。本当はライブのいろいろなことを文章で伝えようとすることは無意味なことなんだろうか。やっぱり言葉だけじゃ伝えきれないよ。でもあえてそれに挑むのは自分の中でライブを思い出して、何かを確認したいからなんだと思う。そんな内々の個人的作業にいつも付き合ってこうして読んで下さって、本当にありがとう(こんなところでお礼いうやつ)。
 「7.Little J の嘆き」また新曲だ。〜サヨナラなんて聞きたくもないから〜を歌うカタヨセがギターを叩いていたんだけど、そこがこの夜いちばん、心に残った。私の見解と田中ミサコの見解は違ったけど。あのカタヨセの表情、絶対に忘れない。
 「8.Under the Dog」で気が付いたけど、始まる前より、ステージが近くに見えた。よくみるとずいぶん前のほうに流れてきていた。そういえば始まると同時にスゴイい勢いで前のほうに押されたっけ。カタヨセが最初よりも近くにいる。表情だって隅から隅までよく見える。
 真っ赤なライティングに身も心も狂わせて「 9.嫉妬」では、キヨシのギターとスキャットに熱くなる。身も心も今度は濡れてしまう。この曲はライブで聴くのが、絶対にイイ、うん。
「10.Madness Blue」から「11.マイクロ・マシーン」へ、そして「12.DISCOMAN」、ラストの「13.エデン特急」と、このへんは私の記憶欠落部分だ。人の波に紛れて、どれだけ身体を動かせるものか、結構動けるものなんだなってことは分かったけど、彼らがどんなだったかなんて覚えていない。隣にいる伊東さんの腕を勝手に持ち上げて踊り狂ったり、ジャンプしたり。そんな私がよく覚えているはずなんてないじゃない。でも、本当に楽しかったんだなあ、うん。
 あっという間に本編が終わり、大歓声に送られるGREAT3とその仲間たち。再び登場した彼らに、アンコールを求めていたフロアの連中(もちろん私も含む)はますますエキサイトする。演奏されるのはアルバム未収録の「Cruel World to Heaven」だ。この曲がどうしてアルバムに入らなかったのか、私の見解を述べるのはまた次の機会にするとして、この曲、いいなあー、ホント。まだGREAT3が事務所も決まっていない頃、田中ミサコ(東洋一のバカかも)と一緒に、GREAT3を語り合った深夜のTELトークでは、随分とこの曲の失礼な替歌を歌っていたこともあったけど。ごめんなさい許してねって謝るしかない。だって素晴しい曲だもんね。
 2度目のアンコールはキヨシのこんな告白から始まる。「なんか調子出てないと思ったら、ガイジンになるの忘れてた(笑)」だって。そういえばそうよね、お決まりのガイジン調トークが初めのほうなかったっけ。この告白のおかげか分からないけど、ここからまたすごい盛り上がりになった。 ガイジン終了して日本語でTシャツとライブの告知をするキヨシ。カタヨセはここでも「みんなのおかげだからなっ」って叫んでた。胸がキュンとなる。さて、曲は「I Believe In you」、そして昨日の大阪と同じ「Louie Louie 」。「間違えたら、みんな大声出せよ」ってカタヨセが言う。間違えなくても大声出してるよー、さっきからずっと。
 やっぱりこの日はツアー最終日、もう一曲やってくれたよ。うれしいっ。なんだかスゴく懐かしい気がする「Not Fade Away」を。時々、この曲がバディ・ホリーのものだったって忘れてしまいそうになる。それくらいコレはGREAT3の一部になっているんだ、私の中では。久々のこの曲で私のしあわせ感は10倍増しになった。

 ライブの後、すべてが夢だったような気持ちになるのは何故なんだろう。わからない。あともう一曲、そんな気持ちを少しだけ引きずりながらも、ハミ出て、コワれた彼らには、充分満たされた。この夢の続きは9月。オレンジ色からだんだんと更けてゆく空の下、大きな月と無数に瞬く星も観客に迎える9月の夜。風に吹かれながらっていうことで!!。


GREAT3
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